機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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ザフト編
偽りの平和


ザフトに入隊する事を決意した俺が、アカデミーの士官学校で様々な訓練を受けてから11ヶ月ぐらいが経った。

 

ラクスとシーゲルさんに伝えた時は、二人ともかなり驚いていた。特にラクスが…。

シーゲルさんは止めはせず、むしろ俺の意思を尊重して見送ってくれた。

 

無事に士官アカデミーを卒業し、ザフトの“赤服”としてラウ・ル・クルーゼ隊長が指揮するクルーゼ隊に所属している。

クルーゼ隊は最高評議会の要人達の子で結成された実力のあるエリート部隊だ。

俺は軍人の息子だけど、シーゲルさんの養子という事で特別にクルーゼ隊に所属という事らしい。

 

 

 

 

そして、C.E.71年。

 

俺達クルーゼ隊は旗艦であるナスカ級艦・ヴェサリウスで、同じクルーゼ隊の艦であるローラシア級・ガモフと並んで、あるコロニー付近の小惑星に紛れて潜伏している。

 

 

 

 

資源衛星コロニー・ヘリオポリス。

 

オーブ連合首長国が管理する中立コロニーで、宇宙における生産拠点で、そこには戦争を嫌う人達が平和に日常を過ごしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それは表向きで、裏では地球軍が密かに“ある兵器”を開発している。

 

その“ある兵器”とは、地球軍とオーブのモルゲンレーテ社の共同による“G兵器開発計画”を元に開発している6機の新型試作モビルスーツの事だ。

 

クルーゼ隊の任務は、そのモビルスーツの奪取らしい。

 

俺達が銃、爆薬など任務に必要な武器のチェックを終え、ヴェサリウスに配備されているステルスランチに乗り込むと、俺と同じ赤服のパイロットの一人が気楽な口調で話し出す。

 

 

「しかし、いいのかねぇ?」

 

「何がだ?」

 

「中立国のコロニーに手ぇ出しちゃってさ~」

 

「…じゃあ、中立国がコロニーでこっそり地球軍の兵器を作ってるのはいいのかよ?」

 

「…ははっ。そりゃやっぱ、ダメでしょ」

 

 

ステルスランチが出発するまでの間、雑談をしている赤服の二人。

 

その内の一人はイザーク・ジュール。

プライドが高く好戦的で、アカデミーの時はよく俺に勝負を挑み、負けても何度も挑んでくる負けず嫌いな奴だ。

 

もう一人は、ラスティ・マッケンジー。

俺達の同期のお調子者で、場の風紀を盛り上げてくれるムードメーカーである。

 

この二人と俺の他にも三人の赤服がこの作戦に参加している。

 

 

 

 

ディアッカ・エルスマン。

イザークとはアカデミーのルームメイト。軽い性格をしているが、根は真面目な奴だ。

 

ニコル・アマルフィ。

優しく穏やかな性格だが、祖国を守りたいという気持ちでザフトに入隊した俺と“あいつ”の友人でもある。

 

最後の一人は、アスラン・ザラ。

俺が言っていた“あいつ”とはこいつの事だ。頭脳明晰で、何事も冷静にこなすしっかり者だ。そして、月のコペルニクス幼年学校時代からの親友でもある。

 

 

「…」

 

 

俺は隣にいるアスランの方を見ると、考え事をしているのか、難しい顔をしている。

 

 

「…アスラン」

 

 

俺がアスランに声をかけると、アスランも俺の声に気付きこっちを見る。

 

 

「無茶はするなよ。お前に何かあったら、“彼女”が悲しむからな」

 

 

俺が言う“彼女”とはラクスの事だ。

 

血のバレンタインからしばらく経った後、シーゲルさんとアスランの父親であり、国防委員長でもあるパトリック・ザラ委員長の決定で二人は婚約者同士となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

婚約が決定してから数十分後

 

ラクスが深刻そうな表情で俺の部屋に入ってくる。

 

 

「ごめんなさい、ダン…。わたくしは反対しましたが、もう決まってしまった事だとお父様に言われて…どうする事も…」

 

 

悲しい顔で戸惑いながら謝るラクスの頭を優しく撫でると、彼女は少し驚いた表情で俺を見る。

 

 

「大丈夫だよ。あいつは優しくてしっかり者だから、きっと上手くやっていけるし、君を守ってくれる」

 

 

俺がラクスに言えるのは、これくらいしかなかった。

 

 

「…ありがとう、ダン」

 

 

ラクスも無理をしていたが、笑顔で俺にお礼を言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今に至る。

 

 

「ダン…。だが、あれは…」

 

『お前ら』

 

 

アスランが俺に何か話そうとした時、俺達が乗っているステルスランチのモニターから一人の緑服のパイロットが通信で話しかけてくる。

 

名前は、ミゲル・アイマン。

俺達の先輩で、クルーゼ隊の緑服兵士。後輩に対しても敬語を使わせないほど俺達同胞の面倒見もいい。

 

 

『あんま待たせんなよ』

 

「わかってる。よし行こう。OK。ザフトのために、ってね」

 

 

ミゲルに返事をし、場の雰囲気を和ませるように気楽な口調で言うラスティ。そして遂にヘリオポリスに向けて俺達の乗るステルスランチが動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリオポリスの入り口に張られている赤外線センサーなどの防衛システムを抜け、内部に潜入した俺達は、6機のG兵器がある場所に向かう途中、その内の3機がどこかに向けて搬送している光景を目撃する。

 

 

「あれだ。クルーゼ隊長の言ったとおりだな」

 

「突けば慌てて巣穴から出てくるって?やっぱり間抜けなもんだ、ナチュラルなんて」

 

 

残りの半機は、まだ工場施設にあるようだ。

俺達は二手に別れる事にし、イザーク、ディアッカ、ニコルの三人は搬送中の3機奪取の為に待機し、俺はアスランとラスティと一緒に、まだ搬送されてない3機がある工場施設に向かう。

 

地球軍に気付かれないように行動し、施設に到着した俺達は作戦開始の合図を待っている。

 

 

 

 

しばらくして、施設内にかなり大きな爆発音が鳴り響く。

 

それは同胞達が設置した爆弾が爆発した音であり、それと同時にザフトのモビルスーツ・ジンが攻撃を開始する。 

 

モルゲンレーテの社員達は既に避難を開始している。施設内に残っているのは地球軍の兵士達だけで、さっきの爆発とジンの襲撃でかなり動揺している。

 

それを合図に俺、アスラン、ラスティは3機に向けて行動を開始する。

 

 

「今だ!」

 

「よし、行くぞ!」

 

「な、何だ貴様ら…ぐあああああっ!!」

 

 

敵に隙を与えずそれぞれの奪取する機体へと向かうが、地球軍の抵抗もあり、激しい銃撃戦を繰り広げる。

 

 

その銃撃戦の中、ラスティが敵の凶弾を受けて倒れてしまう。

 

 

「っ!ラスティーーッ!!」

 

 

ラスティが撃たれた光景を見て、俺は同期を撃たれた悔しさで歯を噛み締め、アスランはラスティの名を叫ぶ。

 

だが、立ち止まる訳にはいかない。

 

一瞬だけ動揺するが、すぐに立ち直り、俺とアスランはそれぞれの機体に向かう。

俺はその途中、ラスティを撃った敵を撃つ。

 

残っている地球軍の女はアスランに任せ、俺は周辺を警戒しながらモビルスーツへと走る。

 

 

 

 

機体にたどり着いた俺は、すぐにコックピットに乗り込み、素早く起動コードを入力する。コードの入力を終え、起動した機体はゆっくりと起き上がる。

 

俺が奪取した機体は、GAT-X107ソウル。

G兵器の1機で、機動性に優れたモビルスーツだ。

 

 

「(ソウル…魂を由来にした機体か…)」

 

 

コックピットのレーダーで状況を確認すると、俺とアスラン以外は既に奪取に成功して離脱している。

 

俺達も急がないといけない。 

 

俺はすぐにソウルで離脱しようとした時、コックピットのモニターに映るアスランと対峙している少年を見て驚愕する。

 

 

「!?(あれは…)」

 

 

いや、そんな筈は…。

“あいつ”がここにいる筈がない。

 

そう思っていると、アスランの銃撃で右腕を負傷している地球軍の女がアスランに銃を向けて発砲するが、それを回避して別のモビルスーツへと向かう。地球軍の女も“あいつ”と一緒にコックピットに乗り込む。

 

その直後、施設周辺は次々と爆発し、炎に包まれる。

 

 

「(何故こんな場所に……

 

 

 

 

キラがいるんだ…?)」

 

 

俺はその疑問を抱きながらも、爆発する施設から脱出する事にした。

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