機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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舞い降りる剣

ザフトの追撃を退けたキラと俺は、アラスカにいるキラの仲間の救援に向かう為、フリーダムとフューチャーで地球への降下を始めようとしている。

 

 

 

 

周囲が赤く染まり、揺れも激しくなっていく。

 

どうやら大気圏に入り、地球の重力に引かれ始めたようだ。

 

 

「キラ。そろそろだ」

 

『うん。行こう、ダン』

 

 

フリーダムとフューチャーのラミネートアンチビームシールドを構え、大気圏の熱を抑えながら地球へと降下していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大気圏を無事突破し、ようやくアラスカに到着するが、そこでキラと俺が見たのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラの仲間が所属している地球軍がザフトのモビルスーツ部隊に一方的にを追い詰められている光景だった。

 

 

 

 

『っ!あれは…』

 

 

俺達が地球軍が苦戦している状況に驚愕していると、一隻の白い戦艦がザフトのモビルスーツの集中砲火を受けている光景が見える。

 

 

 

 

その白い戦艦こそ…今まで“足つき”として何度も対立してきたアークエンジェルである。

 

 

 

 

地球軍も奮闘しているが、モビルスーツの圧倒的な数と性能に、アークエンジェルを除く地球軍の戦車と兵器が次々と破壊され、徐々に追い込まれてしまう。

 

好機と見たのか、グゥルに乗った1機のジンがアークエンジェルに近付いていく。

 

 

『ダン!』

 

「ああ。急ぐぞ!」

 

 

それを見た俺達はフリーダムとフューチャーのスラスターを全開させ、アークエンジェルに向けて最大全速で降下を急がせる。

 

アークエンジェルの側まで近付いたジンは、アサルトライフル・重突撃機銃をアークエンジェルのメインブリッジに向けて構え、今にも撃ち抜こうしている。

 

 

 

 

この状況ではもう間に合わないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…俺達が“フリーダムやフューチャー以外”のモビルスーツに乗っていればの話だ。

 

 

「…キラ」

 

 

降下している最中、俺は通信を開いてキラに話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早く安心させてやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…うん』

 

 

俺の言葉に返事をしたキラは、一足先にフリーダムでアークエンジェルの元に急行していく。

 

それを見届けた俺はフューチャーのルプスビームライフルでアークエンジェルの前にいるジンに狙いを定め、引き金を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フューチャーの放ったビームは、アークエンジェルにとどめを刺そうとしているジンのアサルトライフルを持つ右腕を正確に撃ち抜く。

 

被弾したジンは突然の事態にかなり動揺している。

 

そこに追い撃ちをかけるようにキラはフリーダムの腰からラケルタビームサーベルを抜き、一瞬でジンの頭部を斬り飛ばす。

 

メインカメラを失ったジンはよろめきながらアークエンジェルから離れていく。

 

 

 

 

そして一足先にアークエンジェルに辿り着いたフリーダムに続き、フューチャーもアークエンジェルの近くに到着する。

 

 

『こちらキラ・ヤマト!援護します。今のうちに退艦を!』

 

 

それを確認したキラがアークエンジェルに通信を繋げ、退艦を呼び掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラと俺の介入で少しの間、侵攻を停止していたザフトであったが、再び俺達を含めてアークエンジェルに攻撃を仕掛けてくる。

 

 

 

 

それを確認したキラと俺は、フリーダムとフューチャーのウイングを展開させ、巻き込まないようにアークエンジェルから距離を離して前に出る。

 

コックピットのメインパネルの中央に設置してある立体型表示パネルを起動させると、パネルに表示されている敵機を次々とロックオンしていく。

 

 

 

 

このフリーダムとフューチャーには、マルチロックオンシステムが搭載されており、単機で多数のモビルスーツを同時に捕捉する事が可能となっている。

 

 

 

 

そしてビームライフルを含めた5つの武装、砲門から一斉射撃を行う態勢、ハイマット・フルバーストで進攻してくるザフトのモビルスーツを次々と無力化しながら迎撃していく。

 

 

 

 

『マリューさん!早く退艦を!』

 

 

アークエンジェルの艦長なのか、キラはマリューという人物に再び退艦を呼び掛けるが……

 

 

『…あ…本部の地下に、サイクロプスがあって、私達は…囮にっ…!』

 

 

サイクロプスだと…!?

 

マイクロ波で人間を一瞬で焼きつくす上に、システムが完全に壊れない限り、作動し続ける大量破壊兵器の事か。

 

その厄介な兵器がこのアラスカに…。

 

 

『作戦のなの!知らなかったのよ!』

 

 

感情の籠った言葉を発しているとすると、どうやら嘘ではなさそうだ。

 

 

『だからここでは退艦出来ないわ!もっと基地から離れなくては!』

 

『分かりました!ダン!』

 

「分かってる。そっちの方は任せる!」

 

 

 

 

事情を聞いたキラの呼び掛けに答えた俺は、キラと一緒にザフトの迎撃を再開する。

ザフトのモビルスーツをハイマット・フルバーストで無力化していきながら、俺が通信回線を開く。

 

 

「ザフトに伝える。こちらクルーゼ隊所属ダン・ホシノだ!」

 

 

一部のザフトは進軍を停止するが、俺はそのまま迎撃を続けながら話を進める。

 

 

「このアラスカ基地の地下にサイクロプスが仕掛けられており、間もなくそれが作動し、自爆する!ザフト軍、直ちに戦闘を停止し、撤退せよ!繰り返す!」

 

 

 

 

キラは地球軍に、俺はザフトに撤退を呼び掛けていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ダン!貴様、どういうつもりだぁー!!』

 

 

覚えのある声が聞こえ、その声の方を見ると、イザークの乗るデュエルがビームライフルを構えてこっちに向かってくる。

 

 

「(この忙しい時に…)」

 

 

 

 

デュエルはビームライフルによるビームを撃ってくるが、フューチャーの機動力で難無く回避し、フューチャーのビームライフルでデュエルのビームライフルのみを撃ち抜く。

 

ビームライフルを失ったデュエルは、今度はビームサーベルを抜いて斬りかかって来るが、その攻撃もフューチャーのシールドで防ぎ、更にデュエルの左手によるストレートをフューチャーの右手で受け止める。

 

 

 

 

「いい加減にしろイザーク!これはハッタリじゃないんだぞ!」

 

『何を!裏切り者がぁー!!』

 

 

俺は通信を繋げ、怒鳴りながら撤退するよう呼び掛けるが、イザークは聞く耳を持たず、フューチャーの頭部に向けてレール砲を撃ってくるが、頭部を少し動かす程度でデュエルの攻撃を回避する。

 

しかし、デュエルは更に頭部で頭突きを仕掛けてくるが、それをデュエルの胴体を蹴って宙返りをしながら距離を取り、フューチャーのビームライフルでデュエルのレール砲とビームサーベルを持つ右腕を撃ち抜いた後、腰からビームサーベルを抜いてデュエルの胴体目掛けて斬りかかる。

 

 

『う…うわぁぁ!』

 

 

斬られる恐怖に悲鳴を上げるイザーク。

 

俺は、そんなイザークを容赦なくデュエルの胴体ごと真っ二つに両断する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…筈もなく、フューチャーのサーベルがデュエルのコックピットに当たる寸前で角度を変え、デュエルの両脚のみを切断して後ろに回り込む。

 

 

「さっさと離脱しろ。命を無駄にするな!」

 

 

俺はイザークにそう言い、フューチャーで両脚を失ったデュエルを近くにいるディン目掛けて蹴り飛ばす。

 

ディンに受け止められたデュエルはそのまま戦場を離脱していく。

 

 

 

 

面倒な奴とはいえ…

 

アカデミーの同期を手にかけるほど、俺はそこまで冷酷じゃない。

 

ディンに運ばれながら撤退していくデュエルを見届けた後、まだ撤退せずに侵攻してくるザフトの迎撃を再開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…サイクロプス起動!?』

 

 

ザフトの迎撃の最中、アークエンジェルから突然の報せがやって来る。

 

…もう作動させたのか…!

 

 

『機関全速!退避!!』

 

 

キラと通信で話していた女性の掛け声を合図に、フリーダムとフューチャーはアークエンジェルと一緒に全速力でアラスカから離脱を開始する。

 

フューチャーとフリーダムの機動力があれば、すぐにマイクロ波から逃れる事はできるだろう。

 

しかしその途中、負傷しながらも避難しているジンを見かける。

あれでは離脱する前にサイクロプスのマイクロ波を浴びてモビルスーツもろとも焼かれて終わりだ。

 

すると、近くにいたフリーダムは負傷しているジンの元に向かって引き返していく。

 

 

「全く…無茶をする奴だ」

 

 

フリーダムに続くようにフューチャーをジンに近付け、そのジン腕をそれぞれ片方ずつ掴んで全速力でサイクロプスのマイクロ波との距離を広めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後。

 

サイクロプスによって多くの犠牲を出しながらも、キラと俺、アークエンジェルは何とか窮地を乗り越え、現在はアラスカから大分離れた孤島にいる。

 

俺達はそれぞれの機体をアークエンジェルから少し離れた場所に着陸させ、さっき助けたザフトのパイロットの手当てをしようとしたが、既に虫の息である為、助かる見込みは低い。

 

 

「しっかりして下さい!大丈夫ですか?」

 

 

パイロットに呼び掛けるキラを俺は後ろで見守っている。

 

 

「…君達が…あの2機のモビルスーツの…」

 

「はい」

 

 

パイロットの問いにキラは言葉で、俺は頷いて答える。

 

 

「何故…助けた…?」

 

 

 

 

「そうしたかったからです」

 

 

続けてのパイロットの問いにキラが答え、パイロットはキラの返答に驚愕している。

それもその筈だ。見ず知らずの人間を助かる者は、戦場では余り見ないからだ。

 

パイロットは次第に笑みを浮かべて……

 

 

 

 

「…殺した方が、早かっただろう…に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言い残し、息を引き取った…。

 

 

「…くそぉー!」

 

 

キラは目の前の人間を救えなかった悔しさに、右拳に怒りを込めて地面を殴る。

 

 

「…」

 

 

 

 

例え力を持っても守れるものに限りがある。

 

 

 

 

俺達が気付かない場所で誰かが命を落とす事もある。

 

 

 

 

俺達が誰かを救えなかった事で、その人を大切に思う誰かから恨まれる事もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが……

 

 

 

 

それでも俺達は立ち止まる訳にはいかない。

 

 

 

 

この先何が待ち受け、何が起こり、その後はどうなるか分からなくても……

 

 

 

 

俺達は自分の信じ、選んだ道を進むしかないんだ。

 

 

 

 

それが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラクスから力を託された……

 

 

 

 

俺達の責任だ。

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