機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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正義の名のもとに

ザフトのパイロットの死を見届けたキラと俺は、現在アークエンジェルの乗組員達と向き合う形でフリーダムとフューチャーの前に立っている。

 

キラがヘルメットを取ってクルー達に顔を見せるとかなり驚愕している。

そんなクルー達にキラは一歩前に出て…

 

 

「間に合って、良かったです」

 

 

仲間を救えた安心感を含めた優しい笑みをクルー達に見せる。

 

 

「…キラ!」

 

 

ピンク色の軍服を着た少女がキラの名を呼んで駆け寄り、それに続くようにクルー達もキラに寄ってくる。

 

無事を喜ぶクルー達に色々な話題で話しかけられるキラだが、その表情は困っているよりは本当に喜んでいるように見える。

 

俺はそんなキラ達を少し遠くで見ていたが、それに気付いたのかクルー達が驚いたり、複雑そうにと様々な表情でこっちを見てくる。中には警戒している者もいる。

 

それに気付いたキラが俺を庇うように俺の前に立つ。

 

 

「彼は敵じゃありません。僕の大事な親友です」

 

 

キラの言葉に驚愕するクルー達。

その最中、クルー達の後ろで様子を見ていた茶髪の女性、パイロットスーツを着た男、ケガをしているのか右腕をギブスで固定している男の3人がキラの方に歩み寄ってくる。

 

あの女性…どこかで見た事があるような気がする…。

 

 

「お話ししなくちゃならない事が、沢山ありますね」

 

「そうね。でも、その前に…」

 

 

そんな事を考えていると、3人が俺の方に歩み寄って来た為、キラと同じようにヘルメットを取って顔を見せる。

 

互いに対立している軍の所属である為、突然の事態に対処できるように真剣な表情で様子を伺っていると、向こうから話を切り出してくる。

 

 

「アークエンジェル艦長マリュー・ラミアスです。先程の救援、感謝します」

 

 

マリュー・ラミアス。さっきの戦闘でキラと話していたのはこの人だったのか。

 

 

「アークエンジェル所属ムウ・ラ・フラガだ」

 

「同じくタキ・リューグだ」

 

 

三人が名乗った為、俺もそれに答えるように名乗る。

 

 

「元ザフト所属ダン・ホシノだ」

 

「ザフト?キラ。お前は今までザフトに居たのか?」

 

「…そうですけど、僕はザフトではありません。そしてもう、地球軍でもないです」

 

 

キラの発言にクルー達はかなり驚愕している。

 

 

「俺もザフトに追われているが、地球軍に寝返るつもりはない」

 

 

キラに続いて発する俺の言葉にラミアス艦長も少し驚いているが、彼女はすぐに話を戻す。

 

 

「…分かったわ。とりあえず話をしましょう。あの機体は?どうすればいいの?」

 

 

おそらくフリーダムとフューチャーの事だろうか、ラミアス艦長は二機に視線を向けている。

 

 

「整備や補給のことを仰っているなら、今のところ不要かと。あの二機には、〝ニュートロンジャマー・キャンセラー〟が搭載されている」

 

「ニュートロンジャマー・キャンセラー?」

 

 

 

 

ニュートロンジャマー・キャンセラー

 

地球各地に設置しているニュートロンジャマーの影響を打ち消す為にザフトが開発した装置で、この機能によって核分裂が可能となり、それに関する原子炉を導入する事もできるようになっている。

 

そして、これを利用して核エンジンを搭載した事で、無限に近いエネルギーを手に入れたのが、キラと俺が乗るフリーダムとフューチャーである。

 

 

 

 

「まさか、あの機体は核で動いているのか?」

 

 

タキ・リューグがニュートロンジャマー・キャンセラーの意味を理解し、次第にクルー全員があの二機が核で動いている事に驚愕している。

そんな彼等に対してキラは真剣な表情で口を開く。

 

 

「データを取りたいと仰るのなら、お断りして、僕は彼と一緒にここを離れます。奪おうとされるのなら、敵対しても守ります」

 

「キラ君…」

 

「お前…」

 

「あれを託された、僕達の責任です」

 

 

決意を示すようなキラの警告にラミアス艦長を含めたクルー達はかなり驚いている。

 

 

「(キラ…。お前は本当に変わったな)」

 

 

キラの成長に心の中で感心しながら、俺はもしも向こうが強行手段を用いろうとした場合に備えてクルー全員の動きに警戒しながら様子を見ている。

 

少しの間、沈黙が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…解りました。あの二機には一切、手を触れない事を約束します」

 

 

ラミアス艦長がその沈黙をやぶり、後ろにいるクルー達の方を向き……

 

 

「いいわね!?」

 

「「「はい!」」」

 

 

ラミアス艦長が確認の言葉をかけると、クルー達は躊躇う様子も無く返事をする。

強力な兵器が目の前にあれば、普通は欲しがってもおかしくないというのに、彼等はそんな様子を見せる事なく、キラの思いを尊重するように答える。

 

ナチュラルにも、これだけ仲間思いな人達がいるんだな…。

 

 

「ありがとうございます」

 

「ご協力、感謝します」

 

 

キラと俺はラミアス艦長とクルー達の気遣いに感謝し、今後の事を話し合う為、アークエンジェルに乗艦する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後。

 

フリーダムとフューチャーをアークエンジェルに収納した後、キラと俺はメインブリッジでラミアス艦長とクルー達からアラスカ基地での出来事を聞く。

 

キラは連合の軍服に着替えているが、俺はパイロットスーツしか持っていない為、整備班の作業服を借りている。

 

 

「…成る程」

 

「それが作戦だったんですか?」

 

「おそらくは」

 

「私達には、何も知らされなかったわ」

 

 

ザフトの追撃を振り切ってきたアークエンジェルに説明無しで戦場に駆り出した地球軍の上層部の考えが理解できんな。

 

 

「となると、本部はザフトの狙いがアラスカだという事を最初から知っていたんでしょう」

 

「ああ。でなきゃ地下にサイクロプスなんて仕掛け、出来る訳がない」

 

「そして自分達は安全なところで高みの見物か。…ふざけた奴等だ」

 

 

タキ・リューグとムウ・ラ・フラガのやり取りを聞き、地球軍の上層部に対して怒りを覚えていると……

 

 

「…プラントも同じだ」

 

 

キラの言葉にアークエンジェル一同は何の事か分からないような顔をしているが、俺だけはその言葉を聞いてあの人の話を思い出す。

 

 

 

 

「(我々はザラに欺かれた!発動されたスピットブレイクの目標はパナマではない。アラスカだ!)」

 

 

 

 

スピットブレイク発動直前の変更…

 

アイリーンさんから聞いた時は驚いたが、ナチュラルを憎んでるザラ委員長なら変更させてもおかしくはない。

 

 

「それでアークエンジェル、マリューさん達は、これからどうするんですか?」

 

「どうって…」

 

 

キラが言っているのは、おそらく軍に復帰するか、否かという事だろう。

 

 

「Nジャマーと磁場の影響で、今のところ通信は全く」

 

「応急処置をして、自力でパナマまで行くんですか?」

 

「歓迎してくれんのかねぇ、いろいろ知っちゃてる俺達をさ」

 

「おそらく無理に近いでしょう」

 

「命令なく戦列を離れた本艦は、敵前逃亡艦、という事になるんでしょね」

 

「原隊に復帰しても軍法会議か…」

 

「また罪状が追加される訳ねぇ…」

 

「なんだか…何の為に戦っているのか解らなくなってくるわ…」

 

「「「……」」」

 

 

話がまとまらず黙ってしまうクルー達。

 

 

 

 

軍に復帰。

 

できたとしても上の連中によって口封じの為に、どこかの施設に幽閉される可能性が高い…。

 

沈黙した状況を破るようにキラがラミアス艦長達に話しかける。

 

 

「こんな事を終わらせるには、何と戦わなくちゃいけないと、マリューさんは思いますか?僕達、僕とダンはそれと戦わなくちゃいけないんだと思います」

 

 

キラの言葉を聞いて、ピンクの軍服を着た少女と青の軍服を着た3人の男達が少し驚いた表情でキラを見ている。

今までとは違う落ち着いているキラの姿を見て驚いているんだろう。

 

それは俺も同じだ。プラントに着た直後は動揺する事もあれば、悲しい顔ばかりする時もあった。

だが、俺とラクスと過ごす内に落ち着きを取り戻し、何と戦い、何をするべきかを自分で考えるようになった。

 

 

「(プラントに残ったラクスはどうしてるんだろう。無事だといいんだが…)」

 

 

ラクスの安否を気にしながらも、俺はキラとラミアス艦長達と今後について話し合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いの結果、アラスカの戦闘で損傷したアークエンジェルを修復する為にオーブに向かう事になった。

 

アークエンジェルがオーブに向かっている間、俺はキラにアークエンジェル艦内を案内してもらう事にした。

 

 

 

 

「ここが食堂だよ」

 

 

MSデッキ、居住区、観望デッキなど色々な場所を改めて案内してもらい、今は食堂に来ている。

 

 

「おーい。こっちこっち」

 

 

すると向こうから声が聞こえ、その声のする方を見ると青の軍服の少年がキラと俺に向けて手を振っている。

他にももう一人の青の軍服の少年とピンクの軍服の少女が俺達を見ている。

 

三人に近付くと、手を振っていた少年が席から立ち上がる。

 

 

「そういえば、まだ自己紹介とかしてなかったな。俺はトール・ケーニヒ」

 

「ダン・ホシノだ」

 

 

互いに名前を紹介して握手を交わすと、ピンクの軍服の少女が俺に話しかけてくる。

 

 

「ミリアリア・ハウよ。よろしくね」

 

「俺はサイ・アーガイル。よろしく」

 

「どうも」

 

 

トール・ケーニヒに続き、ミリアリア・ハウ、サイ・アーガイルと握手に交わす。

 

 

「キラ」

 

 

それぞれの自己紹介を終えると、サイ・アーガイルがキラの方を見る。

 

 

「少し、話があるんだ…」

 

「…うん。いいよ」

 

 

察したのか、キラはサイ・アーガイルからの用件に応じるように返事をする。

 

 

「ダン。また後でね」

 

「ああ」

 

 

キラに返事をした俺はサイ・アーガイルと一緒に食堂を後にするキラを見届ける。

 

 

 

 

「…あのサイ・アーガイルという男…少し辛そうな顔をしていたな」

 

「うん。ちょっと、色々とね…」

 

「…そうか」

 

「あ、そういえば君キラとは幼馴染みなんだよな?」

 

「ん?ああ。そうだが…」

 

 

トール・ケーニヒ、ミリアリア・ハウの二人と少し話をしてからしばらくして、キラとサイ・アーガイルが戻ってきた為、アークエンジェルがオーブに到着するまで今度は五人で色々と話をする事した。

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