機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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大変長くお待たせしました。

相変わらずの多忙によるストレスの発散の為のゲームプレイにハマりすぎて遅くなりました。

その分、努力して本文を書き上げたので、ゆっくりお楽しみ下さい!


怒りの日

突然現れた巨大兵器・ジェネシスから放たれた砲撃によって、その射程範囲内にいた地球軍のモビルスーツ部隊と艦隊はその光に巻き込まれ次々と撃墜されていく。

 

 

「なんだ、あれは…」

 

 

その光景を目にした俺は、『血のバレンタイン』の時以上の恐怖を抱きながら驚愕している。

 

 

『こんな…』

 

『父上…』

 

 

俺だけでなく、キラとアスランもその光景にかなり驚愕しているようだ。

 

 

 

 

「っ!あれを見ろ」

 

 

ドミニオンがザフトの部隊に向けてローエングリン発射する様子を目撃する。

それを合図にするように全ての地球軍の艦隊が撤退を始める。

 

しかし、ザフトは逃がすまいと地球軍を追撃し、追い付かれた地球軍のモビルスーツ・ストライクダガーがザフトのモビルスーツ・ジンのサーベル・重斬刀によってを胴体を両断され撃墜される。

 

 

『止めろ!戦闘する意志の無い者を!』

 

 

それを見たキラは、フリーダムをミーティアから分離させ、全速力でザフトに突っ込んでいく。

 

 

『ダン!』

 

「ああ。分かってる」

 

 

アスランの呼び掛けに答えた後、放置されたミーティアを装着したフューチャーで、ジャスティスと一緒にフリーダムの援護に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追撃するザフトと逃げる地球軍の間に割り込み、ルプスビームライフルでザフトのモビルスーツを無力化していくフリーダム。

 

フライトシステム・ファトゥム-00とミーティアのビーム砲で援護射撃を行うジャスティス。

 

それに続くようにマルチロックオンシステムを起動させ、フューチャーとミーティアによる多数の砲門から放つフルバーストでザフトのモビルスーツを次々と無力化させていく。

 

 

 

 

『フリーダム!フューチャー!ジャスティス!』

 

 

しばらくザフトと交戦していると、エターナルにいるバルトフェルド隊長が通信で呼び掛けてくる。

 

 

『一旦引き、作戦を立て直します。すぐに戦線から離脱してください』

 

 

バルトフェルド隊長に続き、ラクスが撤退するよう呼び掛けてくる。

 

 

「…了解。引き上げるぞ」

 

『うん』

 

『…分かった』

 

 

ラクスの指示に従い、俺はキラ達と一緒にプラントから離脱する事にした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラントから離れてからしばらく経ち、エターナル、アークエンジェル、クサナギの三隻は敵に発見されにくい小惑星に潜伏している。

 

エターナルに帰還し、フューチャーから降りた俺は、同じく愛機から降りたキラとアスランと一緒にメインブリッジへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メインブリッジに到着すると、ラクスとバルトフェルド隊長だけでなく、ラミアス艦長とカガリも来ている事に気付く。

 

 

「ダン」

 

 

先に俺達に気付いたラクスが俺の名前を呼ぶと、他のメンバーも俺達の方に顔を向ける。

 

 

「どこまで話は進んだ?」

 

「これからエリカ・シモンズから、あの巨大兵器についての説明を聞くところだ」

 

 

俺の質問に答えるバルトフェルド隊長の言葉を聞き、ブリッジの巨大モニターにエリカ・シモンズの姿が写っている事に気付く。

 

 

『では、あの兵器を調べて分かった部分を説明します』

 

 

俺達が気付いた事を確認したエリカ・シモンズは、クサナギのメインブリッジからジェネシスについての説明を始める。

 

 

 

 

『あの兵器から発射されたのはγ線です。線源には核爆発を用い、発振したエネルギーを直接コヒーレント化したもので、つまりあれは巨大なγ線レーザー砲なんです』

 

 

ジェネシスから放たれたレーザーの砲の説明の後、ジェネシスと地球の映像が写し出される。

 

 

『地球に向けられれば強烈なエネルギー輻射は地表全土を焼き払い、あらゆる生物を一掃してしまうでしょう』

 

 

ジェネシスの砲撃を受けた後の地球のイメージ映像を見た俺達は不安に襲われる。

 

 

「撃ってくると思いますか?地球を…」

 

 

ラミアス艦長の質問にラクスは険しい表情で顔を伏せている。

 

そんなラクスの肩に優しく手を置くと、それに気付いた彼女は安心させるような微笑みを俺に見せる。

 

 

 

 

「…強力な遠距離大量破壊兵器保持の本来の目的は抑止だろ。だがもう、撃たれちまったからな。核も、あれも…」

 

 

その最中、ラミアス艦長の質問にバルトフェルド隊長が答えるように口を開く。

 

 

「どちらももう躊躇わんだろうよ」

 

 

バルトフェルド隊長の返答にしばらくメインブリッジに沈黙が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その沈黙を破るようにバルトフェルド隊長は話を進める。

 

 

「戦場で、始めて人を撃った時、俺は震えたよ。だが、直ぐ慣れると言われて確かに直ぐ慣れたな」

 

 

“直ぐ慣れた”という言葉にラクスは驚愕した表情でバルトフェルド隊長を見る。

 

 

「あの兵器も、核も、ボタンは同じと…」

 

「違うか?人は直ぐ慣れるんだ。戦いにも、殺し合いにも」

 

 

更に続くラミアス艦長の質問を現実的に答えるバルトフェルド隊長。

 

それを聞いたアスランは顔を背け、そんなアスランをカガリは気にかけるように見ている。

 

 

 

 

「兵器が争いを生むのでしょうか?それとも人の心が…」

 

 

呟くようにラクスは悲しそうな笑みを俺に見せる。

 

そんな彼女の言葉を聞いた俺は少し考える。

 

強い兵器があれば、それにすがり、慣れていき、それが戦争の火種にもなる事もあり、無意識の内に戦いを求めてしまう事もあるかもしれない。

 

ザフトに所属していた俺もそうだった。

 

両親を『血のバレンタイン』で奪ったナチュラルを憎み、その怒りをナチュラルにぶつけるように軍人になり、多くの命を奪った。

 

だが、ラクスやキラ達、そしてラミアス艦長達と関わっていく内に、命の大切さ、支えてくれる相手がいる事の有り難みを知った。

 

そのおかげで俺は、自分の本当に信じるもの、やるべき事に気付く事ができた。

 

だからこそ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「力があれば、大事ものを守れる。それを当たり前のように受け入れ、生きる為なら相手の命を奪う事も躊躇わない。現実的には当然の道理だろう」

 

 

今の世界を受け入れるような言葉に聞こえたのか、キラ達、というよりはラクスがかなり驚愕しており、それと同時に悲しそうな眼差しを俺に向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

 

俺が言いたいのは、そんな事ではない。

 

 

 

 

 

「だが、それは余りにも悲しく、虚しい事だ」

 

 

平和に生き、静かに暮らしたい。

 

最初はそう願いながらも、現実に押し潰され、本来願っていた夢とは異なる道を辿ってしまった者も多い。

 

だからこそ、完全とはいかないが、平和という夢が実現できるきっかけを作らなければならない。

 

それができるのは、現実的に考え、武器を取り、多くの命を奪い、その罪を背負いながらも、本当に歩みたかった未来の為に戦っている俺達だけだ。

 

 

 

 

 

「核にもあの光にも、絶対に互いを討たせちゃ駄目だ」

 

 

俺と同じ思いだったのか、キラが俺に続くように口を開き、俺とキラ以外のメンバーがキラに顔を向ける。

 

 

「そうなってからじゃ、全てが遅い」

 

 

そう言ってキラは、真剣な表情で俺とアスランを見る。

 

 

 

 

 

「ああ」

 

「…そうだな。何もせずに後悔する事だけはしたくないからな」

 

 

笑みを見せ合う俺、キラ、アスランの三人を優しい笑みで見つめるラクスに気付き、俺も彼女ほどではないが、優しい笑みで答える。

 

 

 

 

 

「では、エリカさん。説明の続きをお願いします」

 

 

ラクスの話の切り出しより、エリカ・シモンズから再びジェネシスについての説明を聞く。

 

 

『ジェネシスは連射がきかないのが唯一の救いです。おそらく、一射毎にこのミラーを交換しなければならないのでしょう』

 

 

エリカ・シモンズの説明の後、モニターにジェネシスのミラーが交換されるイメージ映像が写し出される。

 

 

「だが本体はフェイズシフト装甲、その前にはヤキン・ドゥーエと何重にも張り巡らされた防衛線だ。地球軍も総力戦で来るだろうが、こりゃ容易じゃないぜ」

 

 

バルトフェルド隊長の言葉を聞いた俺は複雑な表情でモニターのジェネシスを見ている。

 

ヤキン・ドゥーエの防衛の厚さは、ザフトに所属していた俺もよく理解しているからだ。

 

それを察したようにラクスが俺の服の袖を掴み、心配そうな表情で俺を見ている。

 

それに気付いた俺は安心させるように笑みを見せて頷くと、ラクスもそれに応えるように優しく微笑んで頷いてくれる。

 

 

「ミラーの交換に要する時間は?」

 

「二射目の照準は月か、それとも…」

 

「地球軍はまた核を撃ってきますよね?」

 

「…ええ」

 

 

ラミアス艦長、バルトフェルド隊長、キラの三人の会話を聞いた俺は真剣な表情で口を開く。

 

 

「とにかく、動くなら急いで準備をした方がいい」

 

 

俺の言葉を聞いたキラ達は頷いて答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《全艦発進準備。繰り返す、全艦発進準備》

 

 

エターナルの艦内に警報とオペレーターのアナウンスが鳴り響き、それを聞いた俺達はそれぞれ持ち場に向かう為にエレベーターに向かおうとした時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダン!」

 

 

俺がキラ達と一緒にエレベーターに乗ろうとした時ラクスに呼び止められる。

 

俺に寄り添うラクスの表情は不安に満ちており、そのまま沈黙が流れる。

 

俺がキラとアスランに対し申し訳なさそうに笑みを見せると、二人は察したように笑みを見せてエレベーターを操作して先にモビルスーツデッキに向かう。

 

残っているのは俺とラクスの二人だけだ。

 

 

 

 

「どうしたラクス?」

 

「これを」

 

 

そう言ってラクスは指輪を取り出し、俺に渡してくる。

 

その指輪を受け取り、エレベーターに乗るとラクスも俺の側に来て一緒にエレベーターに乗り込む。

 

 

「…指輪、ありがとう」

 

「帰ってきて下さいね。私の元に」

 

「………」

 

 

ラクスの言葉に俺はすぐには返事をする事はできなかった。

 

しかしそれは、ラクスの思いを裏切る訳ではない。寧ろその逆だ。

 

次の戦いは、ザフトと地球軍の総力戦に介入するんだ。

 

途中で命を落とし、約束を果たせない可能性もある。

 

俺はそれを恐れているからだ。

 

 

 

 

「ダン…」

 

 

エレベーターから降りると、ラクスに呼び止められる。

 

その声を聞いた俺は歩みを止め、しばらく沈黙が流れる。

 

ラクスの方に振り返えると、彼女は心配そうにこっちを見ている。

 

 

 

 

「あ…」

 

 

俺がそっと抱き締めると、ラクスは少し驚きの声を出すが、離れようとはせず手を俺の背中に回してくる。

 

そんな彼女の背中を優しくトントンとしながら静かに口を開く。

 

 

「ラクス。どんな事があっても、最後まで諦めたら駄目だよ。君の願ってる未来はここでは終われない。そうだろ?」

 

 

ラクスの不安を取り除けるか分からないが、俺なりに自分の想いを言葉にして彼女に伝える。

 

 

「ダン…。そうですわね。まだ、終われませんものね。私も、貴方も…」

 

 

俺とラクスは互いの存在を確かめ合うように、しばらくの間その場から動く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、いってらっしゃいませ」

 

 

しばらくして落ち着きを取り戻したラクスは優しい笑顔を見せ、それを笑みを見せて頷く事で答える。

 

 

「…いってきます」

 

 

そう言って繋いでいた手を離し、ラクスに見送りを受けながらフューチャーが収納されているモビルスーツデッキに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モビルスーツデッキに到着すると、すでにキラとアスランが到着していた。

 

 

「ダン」

 

「待たせたな」

 

「いや、俺達もさっき来たところだ」

 

「そうか」

 

 

しばらく沈黙が流れていると……

 

 

 

 

 

『トリィ』

 

「トリィ!」

 

 

トリィの鳴き声と気付いたキラの声で、俺とアスランもモビルスーツデッキ内を飛び回っているトリィに視線を向ける。

その最中、俺は色々な事を思い出す。

 

 

 

アスランとのヘリオポリスでの初任務。

 

立場の違いによるキラとの戦闘。

 

プラントでのキラとの再会。

 

ラクスからフューチャーを託された日。

 

地球に戻った直後のアラスカでの戦闘。

 

オーブでの地球軍との戦闘。

 

宇宙に上がった後のラクスとの再会。

 

 

 

…などと、今日まで色々と経験してきた事を思い出す。

 

 

「ダン。アスラン」

 

 

トリィを見ていたキラが俺とアスランに声をかけ、俺達はキラの方に顔を向ける。

 

 

「生きて、戻って来ようね。必ず…」

 

「…ああ」

 

 

アスランはそれを返事で答え、キラとアスランの間にいる俺は二人の肩に手を置いて口を開く。

 

 

「…俺達には、まだやる事が残っているからな」

 

 

俺の言葉にキラとアスランは優しく笑みを見せて答える。

 

 

 

 

会話を済ませ、互いに頷いた後、キラとアスランがフリーダムとジャスティスの方に向い、二人を見届けた後フューチャーのコックピットに乗り込む。

 

 

 

 

《ジャスティス、フリーダム、フューチャー、出撃スタンバイ》

 

 

メインブリッジにいるニコルの艦内放送を聞きながら、キラ、アスラン、俺の三人は、それぞれの愛機に乗り込みシステムを起動させて出撃準備を行う。

 

 

 

 

『モビルスーツ、発進して下さい』

 

『全艦、モビルスーツ発進!』

 

 

ラクスとバルトフェルド隊長の出撃指示が艦内に響き渡った直後、ジャスティスが先にカタパルトへと移動を開始する。

 

ジャスティスが発進し、次にフリーダム、そしてフューチャーの番が回ってくる。

 

 

 

 

ラクス……。

 

 

俺も、諦めないから。

 

だから……

 

 

生き残ろう。

 

 

絶対に。

 

 

 

 

『フューチャー、発進どうぞ!』

 

「ダン・ホシノ、フューチャー、行きます!」

 

 

ニコルからの出撃許可を得た俺はフューチャーを発進させる。

 

その後、ミーティアを装備したフリーダム、ジャスティスの二機と一緒に、ザフトと地球軍が激戦を繰り広げているヤキンドゥーエに向けて出撃した。

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