機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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フェイズシフトダウン

ヘリオポリスが崩壊して少し経った後、アスランのイージスがヴェサリウスに帰還したらしい。

 

 

「心配だろう。早く行ってやりたまえ」

 

「は、はい」

 

 

俺はクルーゼ隊長に敬礼をしてブリッジを後にしてアスランのところに向かう。

 

 

 

 

艦内通路を通っていると向こう側から来るアスランと出会す。

 

 

「…アスラン!」

 

「…あ、ダン…」

 

「馬鹿野郎!無茶をするなと言ったのに、何で勝手に出撃したんだ!」

 

「…すまん。…どうしても確かめたかったんだ」

 

「確かめたかったって…まさか…」

 

「…あのモビルスーツに乗っていたのは…キラだった」

 

「っ!…確かなのか?」

 

「ああ。あいつと話をしたから間違いない」

 

 

俺はアスランから事実を聞いて驚く。

またキラがあのモビルスーツで現れた時、俺達は戦えるのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は地球軍の新造戦艦を追撃する為、残骸となったヘリオポリスを離れて移動を開始する。

 

俺とアスランは同室の為、現在は同じ部屋で次の指示が来るまで待機している。

 

アスランはベッドで休憩を取り、俺はパソコンでキラが操縦していたモビルスーツのデータをチェックしている。

 

 

 

キラが乗っていた機体は、GAT-X105 ストライク。

 

ソウルと同じX100系で、6機の中で最後に造られた為、完成度は俺達が奪取した機体より高いモビルスーツだ。

 

 

 

ストライクの事を調べている途中、アスランの方に視線を向けると、涙を流しながら眠っている。ヘリオポリスでの戦闘で戦死したラスティとミゲルの事で悲しんでいるんだろう…。

 

無理もない。辛いのは俺だって同じだ。

アカデミーで仲が良かった2人が死んだのだからな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、アスランはクルーゼ隊長の出頭命令を受けて不在の為、部屋には俺一人しかいない。

おそらくあの時の無断出撃の事での呼び出しだろう。

 

 

「(アスランの奴…大丈夫なのか…)」

 

 

俺はアスランの事を気にかけてながら、自分のベッドで横になって少し仮眠を取る。

 

 

 

 

それから少し経ってアスランが部屋に戻って来るが、不安な顔をしている。

そんなアスランに俺はベッドから起き上がり話し掛ける。

 

 

「アスラン、どうだった?」

 

「ああ。懲罰は免れたよ」

 

 

それを聞いた俺は安心するが、アスランの顔は曇ったままだ。

 

 

「…だが、あの機体と…パイロットの事で色々聞かれたよ」

 

「…キラの事か?」

 

「ああ」

 

 

アスランから聞いた話によると、キラの事をクルーゼ隊長に話すと、俺達に気を遣って次の出撃は外すというと事だ。

しかしアスランはそれを断って、キラの説得も含めて出撃を求めたらしい。全く、アスランらしいな…。

 

 

「だが、どうしてキラがあれに…戦争を嫌っていたあいつが…」

 

「それはキラに会えばわかるさ。俺達の思ってる通りなら、またあのモビルスーツで出てくるかもしれない」

 

 

それぞれの疑問、今後の事を話しながら部屋で待機していると、艦内から警報アラームとアナウンスが鳴り響く。

 

俺とアスランはパイロットスーツに着替え、モビルスーツデッキで出撃準備を整えて待機していると、ブリッジにいるクルーゼ隊長が通信で話し掛けてくる。

 

 

『活躍を期待しているぞ、ダン』

 

「はい」

 

『アスラン、先の言葉を信じるぞ!』

 

『…はい』

 

 

おそらくクルーゼ隊長が言っているのは、キラの説得に失敗した場合に関しての事だろう。

 

アスランの乗るイージスがカタパルトに移動し始め、発進位置に着くとヴェサリウスのハッチが開き、宇宙へと飛び出す。続いて俺の乗るソウルがカタパルトに移動する。

 

 

「ダン・ホシノ!行きます!」

 

 

掛け声と同時にソウルを出撃させ、キラとの戦いが待ち受けている戦場へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…アスラン、そろそろだ」

 

『ああ』

 

 

コックピットのレーダーにキラの乗るストライクを確認する。

 

 

「(来たか、キラ…)」

 

 

俺はソウルのスラスターの速度を上げ、ストライクの横を素通りして通信を繋げる。

 

 

「キラ!キラ・ヤマト!聞こえるか?」

 

『ダン…ダン・ホシノ!君なのか?』

 

 

イージスは前方を、ソウルは後ろに回りストライクを囲む。

 

 

『剣を引け!キラ!同じコーディネイターのお前が、何故俺達と戦わなくちゃならないんだ!?』

 

「俺達は親友だろ!だったら戦う理由はないだろ!」

 

『…アスラン!ダン!』

 

 

俺とアスランは通信を通してキラに話し掛ける。

向こうではガモフから出撃したブリッツ、バスター、デュエルが敵戦艦と戦闘を繰り広げている。

それに気付いたキラが救援に向かおうする。

 

 

「待てキラ!」

 

 

しかし俺とアスランがその行く手を塞ぐ。

 

 

『キラ!同じコーディネイターのお前が何故地球軍に居る?何故ナチュラルの味方をするんだ!?』

 

『僕は地球軍じゃない!けどあの船には仲間が…友達が乗ってるんだ!』

 

 

ナチュラルの味方をするキラを説得するアスランに対し、キラは自分がモビルスーツに乗っている理由を話す。

 

 

『君達こそ何でザフトになんか…何で戦争なんてするんだ!』

 

「『…!』」

 

 

キラの言葉に俺とアスランは家族を失った過去を思い出す。

 

 

『戦争なんか嫌だって、君達だって言ってたじゃないか!その君達がどうしてヘリオポリスを…!』

 

『状況も分からぬナチュラル共が…こんなものを造るから…』

 

『ヘリオポリスは中立だ!僕だって!…なのに…』

 

「お前の言いたい事も分かる。だが、奴等がその中立のコロニーでこれを造っていたのは事実だ。その時点で、もうあのコロニーは…」

 

 

俺達が話し合っている途中、どこからか数発のビームがストライクを襲う。ストライクはそれを回避してソウルとイージスから距離を取る。

 

 

『何をモタモタやっている!ダン!アスラン!』

 

 

ストライクを攻撃したのはイザークの乗るデュエルだ。

敵艦の相手をブリッツとバスターに任せて、ストライクを討つつもりだ。ストライクとデュエルが戦闘を繰り広げている中、俺とアスランはそれを見ている。

 

 

『何をやってるんだ!ダン、アスラン、イザーク!頭を抑える!』

 

 

そこに敵戦艦と交戦中だったバスターとブリッツが加わり、ストライクを囲む形になる。デュエル、バスター、ブリッツが連携してストライクを攻撃するが、ストライクはそれを回避しながら迎撃している。数ではこっちが有利だ。

 

 

 

 

しかし突然、俺達のコックピットのモニターにヴェサリウスから入電が届く。

 

 

『ヴェサリウスが被弾!?』

 

『何故!?』

 

『俺達に撤退命令!?』

 

 

イザーク、ニコル、ディアッカの三人はこの入電を見て驚愕している。

俺達がストライクと敵戦艦を相手している間に別行動を取っていたモビルアーマーの攻撃でヴェサリウスが被弾したらしい。ストライクの方を見ると既に俺達の包囲を突破している。それを確認したのか、敵戦艦から帰還信号が出る。

 

 

『させるかよ!こいつだけでもっ!』

 

 

ヴェサリウスからの撤退命令を無視してデュエルがビームサーベルを抜き、再びストライクに攻撃を仕掛ける。

 

 

『イザーク!撤退命令だぞ!』

 

『うるさい!腰抜け!』

 

 

アスランが制止するも腰抜け呼ばわりしてそれを跳ね退けるイザーク。デュエルのサーベル、バスターのビームによる攻撃を回避してビームライフルで応戦するストライクだが、2機の連携に徐々に追い込まれる。

 

 

 

 

ビームライフルでエネルギーを使い過ぎたのか、遂にストライクのフェイズシフト装甲が白から灰色へと変わってしまう。

 

 

『貰ったぁ!!』

 

 

それを好機と見てデュエルがビームサーベル二刀流でフェイズシフトダウンしたストライクにとどめを刺そうと切り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その前にソウルのシールドでデュエルのサーベルを受け止め、ストライクの腕を掴んでイージスの方へ投げ飛ばす。

投げ飛ばされたストライクをイージスがモビルアーマーに変形して拘束し、デュエルから距離を離す。

それを確認した俺はソウルのシールドで防いでいるデュエルのサーベルを弾き、イージスの後を追う。

 

 

『何をする!ダン!アスラン!』

 

「見ての通りだ。この機体を捕獲する!」

 

『なんだとぉ!?』

 

『命令はそいつの撃破だぞ!勝手な事をするな!』

 

『捕獲できるならその方がいい。撤退する!』

 

『貴様らぁ!!』

 

 

イザークの怒号、ディアッカの文句を無視してストライクを拘束しているイージスと並んでガモフに向かう。ブリッツ、デュエル、バスターもその後について来る。

 

 

『アスラン!ダン!どういうつもりだ!?』

 

「見てわかるだろ。お前をガモフに連行する」

 

『ふざけるなっ!僕はザフトの船になんか行かない!』

 

 

キラは俺の言葉に反論し、必死にイージスの拘束から脱出しようと抵抗する。

 

 

『お前はコーディネイターだ!俺達の仲間なんだ!』

 

『違う!僕はザフトなんかじゃ…』

 

『いい加減にしろ!キラ!』

 

 

アスランは説得を拒み続けるキラに遂に痺れを切らせて一喝する。

 

 

『このまま来るんだ。でないと俺達は、お前を討たなきゃならなくなるんだぞ!』

 

 

アスランの言葉にキラ黙ってしまい、俺はそんなキラに話し掛ける。

 

 

「血のバレンタイン…。その日に、アスランはお母さんを…俺は両親を失った…」

 

『っ!』

 

「だから俺達は…」

 

 

俺が家族を失った過去をキラに話していると、突然コックピットに警報アラームが鳴り響く。

徐々に俺達に近付いて来る反応に警戒しても見当たらない。

 

 

「…アスラン!上だ!」

 

 

まさかと思って上を見ると、太陽の光に紛れてオレンジ色と青色の2機のモビルアーマーが現れ、ソウルとイージスに攻撃を仕掛けてくる。

青いモビルアーマーがソウルを足止めするように攻撃をしている間に、オレンジのモビルアーマーがストライクを拘束しているイージスに攻撃を仕掛ける。

 

 

『モビルアーマー!?しかも2機!?』

 

 

執拗にオレンジのモビルアーマーに攻撃されているイージスの援護に向かおうにも、青いモビルアーマーが行く手を阻むように攻撃してくる為、イージスの元に向かう事ができない。

そのせいで攻撃を受け続けていたイージスが応戦するために拘束していたストライクを放してしまう。

 

その隙にストライクが離脱し、敵戦艦の方へと向かってしまう。

 

 

『キラ!!』

 

「ちっ!」

 

 

ソウル、イージス、ブリッツ3機で敵モビルアーマー2機の相手をしている間に、デュエル、バスター2機がストライクを追い掛ける。

 

モビルアーマーとの戦闘中、爆発音が聞こえ、そこに目を向けるとストライクが向かった場所で爆煙が広がっているのが見える。

 

 

『やったか!?』

 

 

どうやらさっきの爆発音は、デュエルがストライクに攻撃を仕掛けた音らしい。

 

 

「(キラ…)」

 

 

キラの心配していると、爆煙の中から高エネルギーのビームがデュエルを襲うが、右腕を被弾しながらも回避する。

 

爆煙の中から遠距離用の武装に換装を終え、再びフェイズシフトを展開したストライクがビーム砲でデュエルとバスターに攻撃を仕掛ける。

 

 

『うわあぁぁぁぁ!!』

 

 

キラは雄叫びを上げながら、ストライクのビーム砲をデュエルとバスターに向けて乱射する。ストライクの反撃を受け、デュエル達は徐々に追い込まれている。

 

 

『引け!イザーク、ディアッカ!これ以上の追撃は無理だ!』

 

『何っ!』

 

『アスランの言う通りです。このままだと、今度はこっちのパワーが危ない!』

 

「墜とされたくなかったら、アスランの言う通りにしろ!」

 

 

アスランの指示に納得できないイザークだが、ニコルと俺にも言われ、ようやく撤退する気になったようだ。

 

俺達はストライクの猛攻を回避しながら離脱し、ガモフの方へ撤退する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガモフに帰還した俺はソウルから降りてモビルスーツデッキを後にし、待合室の手前まで来ている。

 

 

「貴様!一体どういうつもりだ!」

 

 

イザークの怒号が聞こえ、まさかと思いドアを開けると、そこにはイザークが鬼のような形相でアスランの胸倉を掴み、ディアッカが腕を組んでアスランを睨んでいる。

俺はすぐにアスランの胸倉を掴んでいるイザークの腕を掴んで無理やり引き剥がし、アスランを庇うようにイザークと睨み合う。

 

 

「暴力は感心しないな。少し頭を冷やしたらどうだ?」

 

「うるさい!そいつもだが、貴様もあそこで余計な事をしなければ…!」

 

「とんだ失態だよ。“誰かさん達”の命令無視のおかげで」

 

「…」

 

 

“誰かさん達”とは、どうせ俺とアスランの事だろう。

全く、こいつらは…。

 

 

「お前達こそ人の言えるのか?ヴェサリウスからの撤退命令が出ていたにも関わらず、それを無視して、勝手にストライクに突っ込んで、反撃されたのはどこの“誰かさん達”だ?」

 

「ちっ!」

 

「なんだとぉ!貴様ぁっ!」

 

 

イザーク達の問い詰めに対して黙っているアスランの代わりに俺が言い返すと、案の定、ディアッカは舌打ちしてイザークは激昂して俺に向かって右ストレートで殴り掛かってくる。

 

俺はそれを受け止めてそのまま後ろに回り込み、イザークを組み伏せて大人しくさせる。組み伏せられながらも俺を睨むイザークを無言で睨み付けていると、後から来たニコルが俺達の喧嘩を見て驚愕しながらも俺の側までやって来る。

 

 

「何やってるですか!やめて下さい!こんな所で!」

 

「俺はただアスランに当たってたこいつらを止めようとしただけだ。先に仕掛けて来たのはこいつの方だ」

 

「でも!それが喧嘩をしていい理由にはなりません!お願いですからやめて下さい!」

 

 

ニコルの必死な説得で落ち着いた俺は、すぐにイザークの腕を放してディアッカの方へ突き飛ばす。ディアッカに受け止められながもイザークはまだ懲りずに俺を睨んで来る。

 

 

「イザークもです!どうしてこんな事を…」

 

「5機でかかったんだぞ!それで仕留められなかった…こんな屈辱があるか!」

 

「だからといって、ここで仲間同士喧嘩をしても仕方ないでしょ!」

 

 

ニコルに正論を言われたのか、悔しそうに俺を睨んでから待合室から出ていくイザークにディアッカもついて行く。

それを確認した俺はさっきの険しい顔からいつもの顔でニコルに話し掛ける。

 

 

「悪いなニコル」

 

「気にしないでください。ダンが理由もなく喧嘩を起こす筈がない事ぐらい、僕も知っていますから」

 

「…ありがとな」

 

 

俺が礼を言うと、ニコルは優しい笑顔でそれに答えてくれる。その後、真剣な顔でアスランを見るニコル。

 

 

「アスラン…いつも冷静な貴方が今回はらしくないのは僕も思います。でも…」

 

「…すまんニコル、ダン。今は放っておいてくれないか」

 

 

そう言ってアスランも待合室を出てってしまい、残ったのは俺とニコルだけとなった。

 

 

「アスラン…」

 

「…ニコル。アスランだってきっと分かってるさ。けど、今はそっとしといてやろう。しばらくしたら立ち直るだろう」

 

「…そうですね」

 

「じゃあ、俺はそろそろ休むよ。またな」

 

「ええ。また後で」

 

 

俺はニコルと別れ待合室を後にし、パイロットスーツから軍服に着替えて自室に戻る。部屋に戻ってもアスランの姿がないって事は、まだ1人でキラの事を考えているんだろう。俺はアスランより一足先に休息を取る。

 

 

 

 

しばらくして、俺とアスランの2人は修理を終えたヴェサリウスにいるクルーゼ隊長からの帰投命令を受けてプラントに向かう事になった。

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