機動戦士ガンダムSEED 未来を担う剣   作:Please

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一時の安らぎ

「アスラン。お前もたまにはラクスの様子を見に行ってやったらどうだ」

 

「いや、しかしな…」

 

 

ラクスを無事にヴェサリウスに連れ帰った俺は、アスランと一緒に艦内の見回りで、艦内通路を渡りながら会話をしている。

 

 

『ハロ、ハロ、アスラーン、ダーン』

 

 

その途中、向こうからハロが凄い勢いで壁をバウンドさせながらアスランに突っ込んでくるが、アスランはそんなハロを受け止める。

 

 

『ウォン、ウォン』

 

 

ハロに続いてドルフも向こうから現れ、俺の近くまで来たドルフを抱き上げると、甘えるように前足をブンブン動かしている。

 

 

「ドルフ。ハロ。って事は…」

 

 

案の定、向こうからラクスがやって来る。

おそらく退屈という理由で部屋から出て来たんだろう。

 

 

「ハロもドルフもはしゃいでいますわ。久しぶりにあなた方に会えて嬉しいみたい」

 

「ドルフはペット型ロボットだからね」

 

『クゥン、クゥン』

 

「うふふ」

 

 

俺は抱えているドルフをラクスに手渡すと、彼女は笑顔で甘えるドルフを愛でる。

 

 

「しかし、ハロはドルフと違い、感情のようなものはありませんよ。貴女は客人ですが、ヴェサリウスは戦艦です。あまり、部屋の外をウロウロなさらないで下さい」

 

 

アスランはラクスを部屋まで連れて行き、俺もそれに着いていく。

 

 

「どこに行ってもそう言われるので、詰まりませんの」

 

「仕方ありません。そういう立場なんですから」

 

「でも大丈夫。時間が空いたら、またここに来るから」

 

「ダン」

 

「仕方ないだろ。ラクスは軍人じゃないんだ。じっとしてろと言われても無理な話だ」

 

「確かに彼女は民間人だが…」

 

「なら別にいいだろ」

 

「そういう問題じゃなくてな…」

 

「うふふ」

 

 

俺達の会話を見ていたラクスはクスクスと笑っている。

 

 

「どうしたの?ラクス」

 

「いえ。お2人共、本当に仲がよろしいですわね」

 

「あ、いえ…」

 

「幼年学校時代からの仲だからね。それより…君の方は?疲れたりしてない?」

 

 

俺の質問にラクスは一瞬だけきょとんとするが、すぐに笑顔を見せてくれる。その笑顔には嘘偽りもなく、本当に疲れておらず、むしろ楽しかったと思わせる感じだ。

 

 

「私は元気ですわ。あちらの船でも、お2人のお友達が良くしてくださいましたし」

 

「…そうか」

 

「キラ様はとても優しい方ですのね。そして、とても強い方」

 

「…あいつはバカです!軍人じゃないって言ってたくせに…まだあんなものに…。あいつは利用されてるだけなんだ!友達とかなんとか…あいつの両親は、ナチュラルだから…だから…」

 

 

ラクスからキラの話を聞いたアスランは感情任せに、あいつが足つきにいる事に対して不満を打ち明けていく。

そんなアスランの頬をラクスは優しく触れようとするが、顔を背けられ、少し距離を取られる。

 

 

「…あなた方と戦いたくないと、仰っていましたわ」

 

「僕達だってそうです!誰があいつと…」

 

「…」

 

 

俺達は何度も対峙し、何度も敵対し、何度も戦った。

だが、それは俺達が望んだ事ではなく、偶然にそうなってしまったんだ。

まるで…運命のいたずらのように…。

 

 

「…失礼しました。では、私はこれで」

 

 

ようやく落ち着いたのか、アスランはラクスに挨拶をして部屋から出ていく。

 

 

「辛そうなお顔ばかりですのね。この頃のアスランは…」

 

「ニコニコ笑って戦争は出来ませんよ…。先に行ってるぞ、ダン」

 

 

アスランが部屋を出た後、ラクスの表情は、少し落ち込んでいる。それもそうだ。将来、一緒になる旦那があんな感じでは流石に不安だろう。

 

俺はそんなラクスの頭に手を置き、優しく撫でる。

 

 

「ダン…」

 

「大丈夫。口ではああ言ってるけど、キラの事を心配して悩んでるんだ」

 

「…」

 

「それに、もしあいつが1人で抱え込むような事があったら、俺が親友としてあいつを支えるよ。だから心配ないよ」

 

「…ありがとう、ダン」

 

 

頭を優しく撫でられて安心したのか、ラクスの顔に笑顔が戻る。

 

 

「じゃあ、俺も仕事に戻るよ。終わったらまた来るよ」

 

「はい。いつでもお待ちしておりますわ」

 

「ドルフ。ハロ。しばらくの間、ラクスを頼むぞ」

 

 

『ウォン、ウォン』

 

『テヤンデー、テヤンデー』

 

 

ドルフとハロの返事を確認した俺は部屋を出た後、ラクスに向けて笑顔を見せる。ラクスもそれに気付き、優しい笑みを見せて答えてくれる。ラクスが元気を取り戻したのを確認した俺は、彼女の部屋を後し、軍の仕事に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度、軍の仕事を片付けた俺は、アスランを誘ってラクスがいる部屋に向かおうとするが、アスランは余り乗り気はなく自分の部屋に戻ってしまった為、俺だけ彼女のところに行く事になった。

 

 

「ラクス。俺だよ」

 

 

すると部屋の向こうから足音が近付き、ドアが開かれ、嬉しそうな表情のラクスが出てくる。

 

 

「ダン。お待ちしておりましたわ」

 

「約束通り来たよ」

 

『ウォン、ウォン』

 

『ハロ、ハロ、ダーン』

 

 

部屋に入るとラクスの後ろからドルフとハロがやって来る。

ハロは俺の頭の上に乗り、ドルフは俺の足元まで来て尻尾をブンブン振ってこっちを見上げている。

 

 

「ごめんラクス。アスランも誘ったんだけど、やる事があるからって先に戻ってしまったんだ」

 

 

ドルフの頭を撫でながら、アスランを連れて来れなかった事をラクスに詫びる。

 

 

「まあ、それは残念ですわ…。でも、ダンはこの後お暇なのでしょう?」 

 

 

そう言って、何故かさっきより嬉しそうに微笑むラクスが俺の腕に抱き付いてくる。

 

 

「そうだね。でも、いつ呼び出しが来るか分からないけどね」

 

「では、それまで一緒にいられますわね♪」

 

「うむ…」

 

「…駄目ですの…?」

 

 

俺が少し考えていると、ラクスが目を潤ませながら、こっちを見ている。俺と一緒にいたい時には必ず見せる顔だ。分かってはいるが、こういう時のラクスには弱い。

 

 

「…分かった。一緒にいようか」

 

「はい♪ではこちらへ♪」

 

 

上機嫌になったラクスは俺の腕を引き、俺はそんな彼女と一緒に部屋の奥へ進む。

ハロはいつの間にか、俺の頭の上から降りて、床でコロコロ転がっており、ドルフはそんなハロと一緒に遊んでいる。

俺はラクスと一緒にドルフ達が遊んでいる様子を見たり、彼女から足つきから脱出する時、キラ以外にも彼女を逃がす時に協力してくれた者達がいた事を聞く。

俺はラクスの話を聞きながら、心の中でキラとその協力者達に感謝し、幼馴染みの時間を過ごしながら、迎えの船を待つ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラクスとの時間を過ごしてからしばらく経ち、彼女をプラントへ送り届けるローラシア級艦が到着する。

 

 

「残念ですわね。せっかくお会いできたのに…もうお別れなんて…」

 

「そうだね。でも仕方ないよ」

 

「プラントでは、皆心配しています」

 

 

俺とアスランはラクスの手を引き、ヴェサリウス内に用意された内火艇まで誘導する。内火艇の入り口前には、すでにクルーゼ隊長と数人の護衛が待機している。

 

 

「クルーゼ隊長にも、色々お世話をかけました」

 

「御身柄は、ラコーニが責任を持ってお送りするとの事です」

 

「ヴェサリウスは、追悼式典には戻られますの?」

 

「さぁ…それは分かりませんが…」

 

「戦果も重要なことでしょうが、犠牲になる者のこともどうか、お忘れ無きよう」

 

「…肝に銘じましょう」

 

「何と戦わねばならないのか…戦争は難しいですわね…」

 

 

アスランは戦争の真意を問うようなラクスの言葉に辛そうな表情をしている。

 

 

「…そうですね。戦争のない世界になるよう、自分なりに努力しようと思います」

 

 

公式の場である為、敬語でラクスに自分の意思を込めて返事をすると、彼女も俺の返事に納得したように笑顔を見せて答えてくれる。

 

 

「では、またお逢いできる時を、楽しみにしておりますわ」

 

 

ラクスは俺達に挨拶をして数人の護衛と一緒に内火艇に乗り、ヴェサリウスの隣に停まっているローラシア級艦でプラントに向けて出発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何と戦わねば、か…。」

 

 

クルーゼ隊長、アスラン、俺の三人がラクスを乗せたローラシア級艦を艦内通路から見届けていると、クルーゼ隊長が話を切り出してくる。

 

 

「イザークのことは聞いたかな?」

 

「あ、はい…」

 

「確か、ストライクとの戦闘で、顔に傷を受けたとか…」

 

 

俺とアスランがラクスの護衛をしている間、ニコル達が乗っているガモフは、地球軍の第8艦隊と合流を試みる足つきに襲撃を仕掛け、後一歩のところまで追い詰めるが、キラが乗るストライクの奮闘によってイザークは顔を負傷し、第8艦隊と合流されてしまったらしい。

 

 

「そうだ。ストライク…討たねば次に討たれるのは君達かもしれんぞ?」

 

 

クルーゼ隊長は意味ありげな言葉を残し、艦内通路を後にして立ち去る。

 

その後、俺達の乗るヴェサリウスは足つきを討つ為、ガモフとの合流を急ぐのだった。

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