仕方のないことなのかもしれない。
(本来前話に詰め込もうとしてたけど二つにわけてみました)
―うん、私を貴方の力で『第零世代』に転換してほしい―
「…やっぱりか。」
その返答はまさにレイの予想通りの返答であった。
溜息とともに吐かれたその言葉にジト目で見つめていた二人は怪訝な表情を浮かべた。
「…?どうしたの?レイ。」
「ん?いやな、打鉄弐式がなりたい方向性を聞いたんだけど、その回答が予想通りではてどうしたものかと悩んだだけだ。」
「打鉄弐式はなんていってたの?」
簪はレイへ問いを投げた。
打鉄弐式の持ち主としては当然の反応だ。
レイは溜息を付きつつ口を開いた。
「私のISと同じく『第零世代』にしてほしいってさ。」
その言葉に二人は疑問符を浮かべる。
『第零世代』
先ほどその名前は聞いていたが、
確かそれはレイと篠ノ乃博士が共同で作ったものだといっていた。
仮に全てのISがそれを知っていたとすれば
篠ノ乃博士というピースがかけている今、それをお願いするのは変だ。
「…秘密って難しいもんだな。」
そういうとレイは懐から大きめの剣を取り出しながら二人へ忠告をした。
「これから話す事は軍隊とかでいえば機密情報に当たるものだ。
二人には私の秘密を教える代わりに黙っていてもらいたい。
そうしてくれるのなら簪のISを第零世代に…
ついでに本音の機体も第零世代仕様で用意する事を約束しよう。」
そう告げるレイだったが、二人の視線が何故か自分ではなく手元にいっていたのに気がついて…
「ん?この剣がどうかしたか?」
「え、えっと…もしも秘密を守らないっていったら、それでブスーってやっちゃうのかなーって…」
震え声で、多少涙目でそう告げる本音。
隣の簪は涙は流していないにしても、多少震えていた。
「酷いよ、本音。…私がそんな人って思われてたなんてショック…」
よよよ、とわざとらしく泣いたフリをするレイ。
そして茶番が一旦終わるとレイはこの剣について説明を始めた。
「この剣はアゾット剣という、短剣の部類でありながら魔法の杖と同等の力を持つ不思議な剣なんだ。」
そう言うと同時に切っ先を地面に向けつきたてる。同時に「set」というのも忘れない。
「いくらIS学園が機密情報を厳守とした鉄壁でも絶対はないからね。
今、一時的だけどここらに人払いの結界と認識阻害の結界を張らせてもらったよ」
とんとん拍子でレイは話していくが、正直のところ二人はついてこれていなかった。
「ま、待つのだ。結界?ってなんで突然ファンタジーな話を始めたの?」
「あぁ、そこから説明するべきだったか。
難しい事柄はまぁはぶくけど、実はこの世には魔術、魔法といわれる神秘が存在する。
本音にも簪にも当然ながら魔力は備わっている。
…尤もその存在を理解できない人には利用する事はおろか認識さえできないんだけどね。
そしてここからが本題なんだけど、『第零世代』は本人の魔力でもってISとのシンクロを行う必要があるんだ。
もう一人の自分っていう感じかな。武装も全て本人の意思でもって魔力を扱い顕現させる。
私のISの武装が良い例だ。まぁあれはあれで別の保管庫から打ち出しているわけだけどもさ。」
「武装も全てっていうことは…」
レイの説明から気になるワードに気がついた簪。
そしてその言葉にレイは言わんとしている事を理解したんだろう。
頷くと口を開いた。
「あぁ、申し訳無いけど、打鉄弐式は現在の武装を解除して一度コアだけの状態になってもらう必要がある。」
その言葉が予想通りだったのか簪は頷く。
すると本音が疑問の声を上げた。
「そういえば私のISも作ってくれるっていうけどコアはどうするのだ?」
「ん?あぁ私が作るよ?」
「「……は?」」
何気なしに告げるレイに二人は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「あー…説明を色々端折ったから説明してなかったか。
篠ノ乃博士…いや、束とは一応研究仲間という意味では知り合いでな。
正確なところをいうならば、『第零世代』のISのコアは私にしか作れない。」
曰く天災(誤字に非ず)の束を以ってしても理解のできない物質(魔力)が関わる第零世代は
認識できない為に作成ができなかったとの事である。
「既存のコアが有る場合はそれを軸にするんだけど無い場合は、第零世代仕様としてゼロからくみ上げる必要がある。」
「んー、でもレッ君。資材とかはどうするのだ?」
ここには打鉄弐式を除けばガラクタくらいしかない。
「そこはあれだ、天災(誤字に非ず)の力を借りるのさ」
そういうとレイは懐より小さな謎の箱を取り出してスイッチを押した。
どうやら、とある場所へ通信を送っているようだ。
するとレイ達の目の前の何も無い空間に突然電子でできたスクリーンが出現した。
『やぁっほぉおおお!!!レッくぅ~んっ!
やあやあやあやあ、お姉さんとってもうれしいよ。
連絡が貰えるなんてッ!!』
やたらめったらテンションが高い束がそこにはいた。
あーあー、後ろで、クロエが突然の束の変化に硬直してるみたいだ。
ちなみにクロエは束の身の周りのお世話をしている子である。
束曰く娘のような存在らしい。
だからクロエが束を母親扱いするのはまだ分かるけど、
何故私を父親扱いするんだ。…ま、きっと束の入れ知恵なのかもしれないけどさ。
「相も変わらずのようだな、束。
今日は折り入って頼みがあって連絡した次第だ。」
『レッ君が私に頼み…何かな?』
「彼女らに第零世代用コアを作るから、中身の構築されていない空洞のコアを1つ欲しいとおもってね。」
するとレイの言葉を聞いた束の表情が一変し、とても冷ややかなものとなった。
『嫌だね。確かにレッ君の頼みなら大抵のことはしてもいいけど、
どこの馬のほ―「束♪」…あ、いえ、ごめんなさい。』
馬の骨と言おうとした束だったがとても綺麗でいてまがまがしい笑みを浮かべたレイに対し染み付いた習慣からか、
とっさに謝罪をしてしまった。
「確かに束は自分の興味のある人間以外はどうでもいいかもしれない。
でも私が彼女らにならば作ってもいいかなって思った相手だ。
……しかし、対価もなしにお願いするのは確かにあれかもしれないから。
よし、束。」
『な、何かな?レッ君…』
何かを決心したかのようなレイの言葉に少し緊張しながら返答する束。
一体何におびえているのだろうか?
「彼女等の第零世代IS作成に手を貸してくれ。
そうすれば私にできる範囲で束の言う事をなんでもしよう。」
『ん?なんで…も?今、なんでもするって言ったね?』
レイの言葉を聞き束はゆっくり理解するように復唱する。
どうでもいいけど、さっきまでおびえていたのに今にやけているのは
どういう変化なんだ…
「あぁ、私のできる範囲であればなんでもするさ。
私が一度でも束に嘘をついたことがあったかな?」
『よ、よぅし、いいよ、いいよぉお!』
いつぞやの本音とダブって見えたが、まぁ似た者同士だし、
しかたないかな…とレイが心の中で思ったのは内緒である。
「では、IS学園の私宛で送ってくれ、その時に何をしてほしいかの要望書も添えてくれ。
確認後に可能なことならば口頭で返答させてもらう。いいかな?」
『うん、よろしいっ!…改めてそこの二人。
レッ君が認めた人なら私も認めざるを得ないから
自己紹介ッ!私は天才の篠ノ乃束さんだよー』
「わ、私は簪。更識 簪です。」
「わっ、私は布仏 本音なのだ~。」
『うんっ、かんちゃんとほんちゃんねっ!OK!』
何がOKなのか分からないが、とりあえず分かったのはネーミングセンスはやはり本音と同等レベルのようだ。
「おおっ!博士のネーミングセンス素晴らしいのだっ!」
『おっ!ほんちゃん、分かる!?何を隠そうレッ君という渾名をつけたのも私なんだよ!』
「私が言い始めた時にレッ君が言ってたのは博士の事だったのかー。」
『ほほぅ、ならばほんちゃんの実力を拝見するのデス。
さぁ私に渾名を付けてみんさいっ!』
「むむっ、そういわれたらやるしかないっ!!」
独特なネーミングセンス力を持つ二人は意気投合し会話を続ける。
蚊帳の外となったレイと簪と打鉄弐式はそれを眺めていた。
「アレは何をしているの?」
「同族共鳴っていう感じだろうな。束は天才故に他者から疎まれ、
天才ゆえに他者を理解できなかったから。
特にISを作ったことで世界から狙われる立場の彼女だ。
他者との交流など束の数少ない知人を除けば久しぶりか…
または初めてかもしれないな。」
「なんか寂しいね。」
「あぁ、だが、これが第一歩だ。
彼女の知人…まぁ織斑姉弟と自身の妹、そして私と画面の後ろの子を除けば
…本当の意味での友達は君達が初めてかもしれないんだからさ。
だから簪もよろしくね。あの独特ネーミングセンスで同調している通り、
束は本音並みに厄介な性格をしている。
もし束ないし本音が迷惑をかけたら連絡をくれ。この学園でアレを押さえられるのは
織斑先生を除けば私以外にはいない。」
と、会話をしていたが、どうやらレイの語りの一部が絶賛テンション上げ上げコンビに聞こえたんだろう。
『「ちょっとレッ君ッ!?私達はそんな問題児じゃないよっ!!」』
「ハモってまでいう事じゃないな」
「あははー…」
二人の言葉に心の中で呟くなんて出来ずに、言葉を漏らすレイと苦笑しかでない簪がそこにはいたという。
タイトルはあれだよ、
『同属嫌悪』を良い意味で転換した結果だよ。
本音のテンションと束のテンションはベクトルとしては同じ方向だと
作者はおもったわけだよ。