バカとテストと五等分   作:夢見969

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何となく書きたかったので書いてしまったもの。
続きも書いてあるのですが更新はひと月に2話程度できたらいいなぁ(願望)


バカと五等分の転校生

「なぁ、明久」

 

麗らかな春の日差し。 そんな朝の一幕で悪友である坂本雄二は僕の名前をおもむろに呼んできた。

 

「なに、雄二? 僕はこれからの新しいクラスに心を躍らせることに忙しいんだけど」

「金太郎飴って知っているか?」

「切っても切っても同じ絵が出てくる飴…だっけ?」

「あぁ、まるで明久みたいだなってよ」

 

それはどういうことだろうか? どの方向から見ても美少年…なんて意味かな。ともすれば珍しく雄二は僕を褒めてくれたことになるのだけれど…怪しい!

 

「何処までいってもバカだって思ってな」

「貴様、僕のどこが馬鹿だというんだ!」

「テメーが着ている服を見直せバカ!!」

 

ふと視線を自らの制服に落とす。

白い布地に赤いリボン。それにふわりと舞うのは紺色のスカート…どこからどう見てもセーラー服じゃないか!

うん、お、おかしく……おかしく……

 

「知らないの雄二? 最近の男子高校生はセーラー服がトレンドなんだよ?」

「そんなトレンドならクソ喰らえだ!」

 

馬鹿な、僕の華麗な嘘も信じないなんてコイツ実は雄二の皮を被った他人なんじゃ…

一触即発の雰囲気が漂い互いに拳を握り睨み合っていると

 

「あの……」

「「は?」」

 

突然声をかけられた。朝早くから住宅街で騒ぎ過ぎたか…ちっ、命拾いしたな偽雄二め!

可愛らしい声の持ち主は声の通り見た目も可愛らしく凄いスタイルのいい文月学園の制服を着た女の子だった。こんなに可愛いなら同学年なら知ってるはずだし…後輩の子かな?

 

「そちらの貴方は文月学園の生徒さん…ですよね。 もし良かったら場所を教えていただけませんか? 私、コンビニで買い物している間にはぐれてしまったみたいで…」

 

話しかけられたのは僕ではなく雄二だった。

いや、僕も文月学園の生徒なんだけど?

 

「ん、あぁ。構わないぞ? 一年生…には見えないから転校生ってところか?」

「はい、今日から文月学園に転入する中野五月です」

「坂本雄二だ。んで、こっちのセーラー服はバカだ」

「よろしくね、中野さん! 僕は吉井明久。 こっちのガラの悪いのがバカだよ」

 

 

ガッガッ!!(←僕と雄二が殴り合ってる音)

 

「えっと、吉井くん? も…文月なんでしょうか? 制服が違うような…」

「朝慌てて家を出る時に間違えて着ちゃったんだよね」

「そんな間違え方ありますか!?」

「まぁ、バカはほっといて早く行かないと遅刻になるぞ」

 

雄二に急かされるように僕と中野さんはそそくさと後ろを付いていく。 うーん、見れば見るほど可愛い子だなぁ…そして見れば見るほど僕の制服浮いてるなぁ…!! 雄二の制服少し大きいけど剥ぎ取ろうかな。

 

「吉井くん、文月学園はどんな所なんですか? 恥ずかしながら初めての転校に少し不安でして」

「んー、どんな所かぁ…面白い人が多いところかな。 女の子みたいな男の子とか撮影のスペシャリストとか毎回学年一位の子に張り合う勉強馬鹿とか」

「それだけ聞いて誰かわかるって身内にしちゃすげぇ個性だよなアイツら。 お前も馬鹿だしな?」

「五月蝿いよ雄二! 見てろ、2年のクラスはDクラスは固いんだからねっ! あ、それと試験召喚獣システムだね面白味は!」

「試験召喚獣…ですか? お話は伺っているんですけどイメージが出来なくて」

 

まぁ、一般的な学校から来た人は分からないよね召喚獣なんて言われても…

 

「簡単に言えば小さい自分みたいなもんだ。 クラスはAからFに分けられていてテストの出来高で割り振りされる。 Fってのは最底辺だな」

「さ、最底辺……」

「噂によると教室はかなり酷いらしいな。卓袱台と畳だとか。 Aクラスは逆にエアコンやらなんやら付いてるんだと」

「あからさまな贔屓じゃない!?」

「だから悔しければテストでいい点数を取って試召戦争で教室を奪い取れってことなんだろうよ」

 

召喚獣の強さは確かにテストの点数だからいい施設を手に入れるには自然と勉強しないといけないのかぁ…やだなぁ…

 

「坂本くんは…どのクラスになりそうなんですか?」

「ぁ? 俺はFクラスだろうな。テストはさっぱりだったし。明久もだろ」

「失礼な! さっきも言ったけどDクラスは固いって言ったでしょ!」

「中野もお前のような馬鹿面がDはありえないって顔してるぞ」

「そんな!? 酷いよ中野さん!」

「してません! してませんから!! 私も…その…転入試験全然ダメでしたし…」

「普通校で言えば全教科赤点レベルじゃなきゃEクラスぐらいには入れるはずだぞ。たぶんな」

 

雄二のそんな言葉を聞くと五月さんはスゥ…と目を細めてどこか遠くを見つめていた。

そんな、こんな真面目が制服を着てるような女の子がFクラスなんて有り得るの!?

あまりの気まずさに僕も雄二も五月さんも黙ってしまい数分、ようやく文月学園が見えて来た。

 

「吉井、お前…」

「西村先生、何も言わないで!? そして宜しければ制服を貸してください」

「お前は前からバカだバカだと思っていたがここまでとは。職員室に来い。制服があるはずだ。それと坂本は封筒を開けろ、所属クラスが書いてある」

 

助かった!! 制服がなければ僕の華麗な二年生生活が真っ暗になるところだった!

ついでに手渡された封筒を開ける。進級時に生徒一人一人に所属クラスを書いた用紙を渡すなんて非効率、と思うんだけれど秘匿性とかなんとか。

 

「あぁ、それと吉井。お前はFクラスだ」

「僕に対しての秘匿性は!?」

「ん、そっちの君は…そうか転校生の中野だな。 一緒に職員室に来なさい」

「は、はい!」

 

納得がいかない。やはり鉄人を闇討ちするしかない……!

如何にバレず鉄人を闇に葬るか、思考の海に潜っていると結論を出す前に職員室へと着いてしまった。

 

「吉井、隣の更衣室に予備の制服がある着替えてこい 」

「ちっ、命拾いしたな鉄人!」

「何を言っとるんだバカ。早く行け」

 

そそくさとセーラーな服をほかの先生達に見られない様に移動をし更衣室の戸を開け、ふと振り返った時、どうにも五月さんが五人居るように見えた。

 

 

 

 

 

「すみませーん遅れましたー」

「早く座れウジ虫」

「貴様、人が愛らしく謝ってるっていうのに!! ってなんだ雄二か。 なんで教室の前に立ってるの?」

「教員が来ないからな。クラス代表としてクラスメイトの把握をしていた」

 

雄二がクラス代表ということは僕が雄二より劣っているということに他ならない。バカな、僕が負けるなんて!

 

「おぉ、明久。来ないから心配しておったぞ?」

「秀吉? それだと僕が最初からFクラスだって思ってたような言い方だよ?」

「………確定事項」

「康太? 君も仲間だからね?」

 

去年から付き合いがある二人でFクラスなのは残念だけれど雄二も含めて知ってる人が居るのは正直助かる。

 

「ってあれ一人居ない?」

「アイツがFクラスにいる訳ないだろう」

「うむ、彼奴は学年次席らしいぞ?」

「………しかも首席と10点差」

 

僕たちとつるんでいた筈なのにどうしてこうも差ができているのだろう。

そんなことを考えていたら先生が入ってきた。

 

「おはようございます。Fクラス担任の福原です。 皆さん、卓袱台と座布団に不備はありませんか?」

「卓袱台の脚が折れそうなんですが」

「木工ボンドとガムテープを支給いたします」

「窓が割れてるんですけど」

「新聞紙とダンボールも用意しますね」

 

設備最底辺Fクラス。

机と椅子はなく、卓袱台と座布団。

教室内はカビ臭い畳が敷かれており窓も須川くんが言ったように所々割れている。

冬場死人が出るのではないだろうか。

 

「さて、2年生になった皆さんに転校生の紹介です。 入ってきてください」

 

転校生。

その単語でピンと来た。五月さんだろう。

なんというか通学路での様子通りだったんだね…こんな女の子が一人しかいない教室に放り込まれるのは可哀想だ! 少し気にかけてあげよう!

なんて意気込んだ僕の気持ちを他所に、開かれた教室のドアから入ってきたのは五人の美少女だった。

五月さんがやっぱり五人居る。

 

「では自己紹介を」

「中野一花です」

 

最初に挨拶をしたのはショートヘアの五月さんそっくりな少女でどこか大人っぽい雰囲気。

 

「中野二乃よ」

 

続いたのはパッツン前髪のロングヘアー、黒い蝶の髪飾りをしていて少し勝気そうな印象を受ける。

 

「…中野三玖、です」

 

セミロングであまり表情が見えない大人しそうな子。

 

「中野四葉です! よろしくお願いしますっ」

 

ボブカットに緑の大きなリボンを付けた元気な女の子。

 

「中野五月です。よろしくお願いします」

 

そして今朝会った五月さんだった。

 

「では、空いてる好きな所に座ってください」

 

「「「「「え?」」」」」

 

うん、戸惑うよね。

とりあえず空いている場所に座り込む五人。

 

「あ、吉井くん。今朝はありがとうございました」

「五月さんと一年間同じクラスだね。よろしく」

 

最低クラスで一緒、というのはあまり喜ばしいことではないけれど。

 

「全員揃った事ですし廊下側の人から自己紹介でもお願いします。中野さん達は皆さんのことを知りませんからね」

 

福原先生の指名を受けたのは先程僕に声をかけてきた秀吉だ。

 

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」

 

独特の言葉遣いと小柄な体躯。

去年一年見慣れていなければ女子と間違えてしまうほどの容姿で双子のお姉さんが居るようだ。 優子さん何処のクラスなんだろ?

 

「──と、言うわけじゃ。 今年一年よろしく頼むぞい」

 

ニコッ、と微笑む姿に僕の心はきゅん…と高な──危な!? 秀吉は男だぞ!?

 

「……土屋康太」

 

次は…うん、康太だ。今更自己紹介を聞くまでもない。口数の少なさは相変わらず、背丈も去年からほぼ変わっていない。

続く須川くんや横溝くんの自己紹介も聞いていると改めて男子の多いクラスだな。

学力最低クラスってこうも女子が少ないのか…中野さん達には悪いけれどFクラスに来てくれたおかげで華やかさがあるのは助かることだ。

 

「趣味は吉井明久を殴ることです」

「誰だそんな恐ろしい趣味を持ってる奴は!?」

「はろはろー」

 

とんでもなくピンポイントで恐怖を煽る趣味を持つ人物に思わず声をかけると笑顔で手を振っているポニーテールの女子。

 

「し、島田さん…」

「今年もよろしく、吉井っ」

 

知り合いがあまりいない新学期が始まると思っていたら知り合いばかりの新学期が始まっちゃったよ。類は友を呼ぶ、というが僕はここにいる人たちほどバカじゃない!

それを挨拶で証明してやるっ!

 

「えっと、吉井明久ですっ! みんなと仲良くなりたいので気軽に『ダーリン』って呼んでください☆」

『ダァァァァリィィィィンンン!!!!!!』

 

とても不愉快だ。野太い声の合唱は警察で取り締まるべきだ。

 

「よろしくお願いしますダーリン☆」

 

大きいリボンをした…四葉さんだ!

可愛──ッ!?

 

ヒュン!!! グサッグサッ!!!

 

頬を掠めてカッターやコンパスが飛来し後ろの壁に突き刺さる。

いきなり殺傷沙汰が起き掛けた。

 

「─次は当てる」

 

「─生きて帰れると思うな」

 

「──死刑」

 

当てるもなにも当たってたからね!?

 

「失礼しました。忘れてください、普通に吉井か明久でお願いします」

 

四葉さんの可愛らしい声で前半の不愉快さは軽減されたものの軽率な行動を取るのは辞めようと思うには十分だった。殺されてたまるか。

自己紹介も順調に進み最後に雄二が立ち上がる。

 

「クラス代表、坂本雄二だ。 ご覧の通りFクラスは設備は脆い、空気はカビ臭い。 それに比べてAクラスの設備は見たか?」

 

Aクラスの設備…一体どんなに凄いのだろうか。

 

「エアコンに個人冷蔵庫、リクライニングシートにその他もろもろ…いくら学力に差が有ろうともここまでの格差があっていいと思うか?」

「そんなに凄いのAクラス!?」

「横暴だろ!」

「同じ学費払ってるのに!」

 

次々に声を上げる野郎共。卓袱台を叩き立ち上がっていく。ちなみに叩かれた卓袱台は砕け落ちた。脆すぎる…

 

「そこでだ。俺たちFクラスはAクラスへ『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」

 

ドンッ! と教卓を叩き迫力を付ける雄二に騒ぎ立てていた男子たちは一気に押し黙った。

 

『試験召喚戦争』

文月学園が取り入れているシステム。

文月学園のテストは百点満点ではなく問題数も無制限故、実力次第で幾らでも成績を伸ばすことが出来る。 そしてそのテストの点数こそが『試験召喚獣』の強さとなる為、FクラスやEクラスの生徒が上のクラスの生徒に勝つためには自然と勉学を頑張らなければならない。

向上意欲を促すシステムだ。

 

「だけど俺たちFクラスが勝てるわけないだろ」

「そうだそうだ! 俺たちとどんだけ差があると思ってるんだよ」

「中野さんたちが居るだけで俺たちはいい!」

 

中野さん達は何の話か分からないと首をひねり、男子たちは無理だと喚き立てる。

僕だってこのクラスがAクラスに勝てる訳が無いとおもっている。 なんたって文字通りAクラスとFクラスでは格が違うのだ。

一人を倒すのに三人…いや下手をしたら五人掛りでも負ける程に。

 

「お前らここで勝って、いい設備を使えるようにしたらカッコいいところを見せるチャンスだと思うがな」

 

『よっしゃぁあああ!! Aクラスなんてなんぼのもんじゃぁぁぁああ!!』

 

なんて単純な奴らなんだろう。

 

「安心しろ勝てる算段はついている。 このクラスには木下秀吉と土屋康太がいる」

「木下ってあの木下優子の…」

「土屋康太…そうか奴が寡黙なる性の探求者(ムッツリーニ)!」

 

やっぱり有名人だよなぁ…あの二人は。

特に康太の方はムッツリとしてだけど。今も畳に顔を押し付け、少し斜め後ろの三玖さんのスカートを覗こうとしていた。

 

「それに俺も全力を尽くす」

「坂本って昔は神童って呼ばれていたよな…っ」

 

雄二も地頭がいいのは認めよう…。

 

「そして吉井明久もいる」

『誰だそれ』

「折角指揮が上がりかけていたのに何故僕の名前を出した!?」

「明久は観察処分者だ」

「観察処分者ってバカの代名詞だろ?」

「使えねーじゃん!」

「みんなの言葉がグサグサと刺さるよ!!」

 

「順を追って計画を伝える! 多少なり勉強はしておけ!」と付け加えるとLHRが終わり雄二がこちらに寄ってきた。

 

「さてと、これでクラスの連中は焚き付けた。どうせお前もやるつもりだったろ明久」

「ま、まぁねぇ…中野さん達が可哀想でしょ。このクラス設備」

「流石のわしもこの設備には驚いたのう…」

「………座布団も固い」

「あの、ちょっといいですか?」

 

僕が座っていた場所に集まってくると、自然と隣に座っていた五月さんも話に巻き込まれる位置になる。

 

「あたしも、話を聞きたいんだけれど。 坂本だっけ?」

「私も聞きたいですっ! 試験召喚獣とか!」

「まあまあ、みんな落ち着いて聞こうよ」

 

二乃さん、四葉さん、一花さんもやって来て華やかさがグンッと上がった。 三玖さんは康太みたく口数が少ないようだけれど無理して話す必要もないしね。

 

「次女に長女に四女に…そっちが三女か」

「名前で呼びなさいよ坂本」

「別にいいだろ。 それで『召喚獣』の事だったな? 明久、福原先生に許可もらって召喚しろ」

「えぇ!? でも理由もなく貰えるかなぁ…」

「デモンストレーションとか言っておけば大丈夫だろ」

 

仕方なく腰を上げて福原先生に掛け合うと少し疑われながらも許可を貰えた。

なんで疑われたんだ僕。

 

「と、とりあえず召喚するよ? 試獣召喚(サモン)!」

 

ボンッ、と足元に現れたのは凛々しい顔つきをした僕のカッコいい試験召喚獣…!

 

「え、ダサっ。小さいヤンキー?」

「……かっこ悪い」

「召喚獣って、その…みんなこんな感じなんですか?」

「あっはは、ちっさくて可愛いね」

 

一花さん以外に不評が過ぎる。

 

「いやダサいのは明久だからだ」

「雄二だって僕のと遜色ないじゃないか!」

 

雄二の召喚獣は白い特服にメリケンサックというどこの時代のヤンキーだって感じの召喚獣。

対して僕のは長丈学ランに木刀だ。

 

「にしてもこれが召喚獣ねぇ………こんなので戦えるの?」

「まぁ、操作はある程度慣れないと難しいのう…一年の頃には授業で操作訓練があったくらいじゃ」

「……明久は学年で一番上手い」

 

観察処分者って召喚獣を使って先生の手伝いとか良くするから自然と召喚獣の扱いが上手くなぁるぅぅううううう!??!

 

「どうして吉井くんは頭を抱えてのたうち回ってるのですか!?」

「あぁ、観察処分者ってのは召喚獣が負ったダメージの何割かをフィードバック…つまり自分が受けるんだ。 そこの四女が明久の召喚獣を叩いてるからだな」

「えぇ!? 吉井さんごめんなさい!?」

「あ、謝らなくていいから叩くのやめ、おおぉおおお!!!!!?」

 

割れる! 頭がパッカリ割れる!!

 

「まあ、こうなるのはコイツだけだ。 中野姉妹にはある程度動かせられるようにしてもらうがな」

「これを見せられて前向きに考えられるわけないわよ」

「……それに人に見せられるような点数でもない」

 

ようやく叩かれるのが止まると二乃さんと三玖さんがドン引きした表情で僕を見下ろしていた。

 

「大丈夫だよ。このクラスに人に見せられるような点数を取ってる人なんていないから!」

「それはそれでどうなの?」

「私は…その勉強を頑張るので…」

「私も!私も頑張りますよ!」

 

うぅん、五人姉妹で前向きなのは四葉さんと五月さんだけか…僕も勉強を頑張るってことは無いけれども。

 

「とりあえず今日は中野達の学校案内が先だろう。島田、頼めるか」

「もちろん。ウチで良ければ学校案内させて?」

 

という訳で、昼休みには島田さんが五人を引き連れて校内探索に出ていったので男だけで屋上に上がり昼食を取る事となった。

 

 

 

「最初はDクラスだ。 ここが弱くもなく強過ぎる相手でもない。Fクラスの士気を上げるにはもってこいの相手だな」

「雄二が言うならそうなんだろうけど…いまいち僕たちが格上クラスに勝てる気がしないんだよねぇ…」

「少なくとも正面からの戦いでは勝てぬじゃろうなぁ…」

「……肉盾戦法」

 

級友の肉体を盾として敵陣にくい込むか…なるほど。

 

「いやDクラス相手なら2対1に持ち込めば負ける要素はほぼない。が、俺達には一発の大きな一撃がないのは確かだ」

 

各々が昼食を取り出して摘みながらあーだこーだと試召戦争に話し始めたので僕も昼ご飯を準備していると二乃さんが屋上に入ってきた。

あれ、二乃さん?

 

「あんた達。美波どこに行ったか知らないかしら」

「どこに行ったも何もお前たちを連れて校内案内してただろ」

「……はぐれたのよ」

 

なんだろう今朝も似たような事があったような気がする。朝は五月さんだったけど。

 

「姉妹揃って迷子気質か」

「違うわ!! 学校が入り組んでるから悪いのよ」

「旧校舎と新校舎でだいぶ違うと思うんだけれど…そういえば朝はどうやってきたの二乃さん」

「五月達と一緒に歩いてよ。あの子がはぐれて地図がなかったから私たちも迷ったけど」

 

五月さん地図持ってたのに迷子になってたの…?

というかこのご時世、携帯で調べられると思うのだけれど。

 

「仏頂面の男子に学校まで連れてきてもらったわ……ところで吉井、あんたが手に持っているそれは何?」

「え、僕のお昼ご飯だよ?」

「お昼ご飯…?」

「うん、今月はちょっと厳しいから塩と水をちょっとね」

「……頭が痛くなってきたわね」

「えぇ、大丈夫!? 雄二、僕は二乃さんを保健室に連れていくよ」

「あんたの所為よ!!」

 

なんで僕が怒られたのだろう。あれ?塩を舐める前から何だかしょっぱいや。

 

「明久、放課後に時間を作って中野姉妹の召喚獣の練習するぞ」

「あ、それいい「無理よ」ね……って無理なの!?」

「むっ、何かしら用事があるのかのう?」

「家庭教師が来るらしいのよ………何よその目。分かってるわ、私たちは勉強出来ないし。でも勉強したい訳じゃないのよ。少なくとも私はね」

 

何処か苛立だしげに遠くを見つめる二乃さんにかける言葉が思い浮かばずに塩を舐めて水を飲み、少しの贅沢として砂糖も舐めているとゴミを見るような目で二乃さんがこちらを見ていた。

無視しよう。

 

「あ、二乃。みんなと居たの?」

「ま、まぁね。」

「皆さんもご飯ですか!」

「吉井くんは…一体何を食べてるのですか…?」

「塩水だよ!」

「それはご飯では無いです!!」

 

三玖さんだけは見当たらないけれど軽い案内は終わったのだろう。

三玖さん、あまり人付き合いが得意ではなさそうだけれど時折気にかけるとしよう。




問題
時に食用できる地下茎を持つ、英語で『Lily』という名の植物を答えなさい。


霧島翔子の答え
『ユリ』

教師のコメント
正解です。霧島さんには簡単すぎたでしょうか。 地下茎は鱗茎と呼ばれ、養分を蓄え厚くなった葉で、ネギやらっきょうなども含まれています。



中野五月の答え
『おイモ』

教師のコメント
芋は種類にもよりますが「potato」や「tuber」と言います。もっと砕けたのスラングな言い方は「spud」となります。
さつま芋は「Sweet potato」ですね。



吉井明久の答
『ジャガイモ! 山芋! さつま芋!』

教師のコメント
あなたも芋ですか。



土屋康太の答え
『百合に挟まる男は死』

教師のコメント
土屋くんの趣向は大いに構いませんが答えは百合だけでいいです。
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