バカとテストと五等分   作:969

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新年明けましておめでとうございます。
今年も細々と更新していく次第であります。
あと感想ありがとうございます。感想をいただけると筆が早くなる調子者です。


Bクラスオブザエンド

「根本くん、二乃さんのクッキー食べて倒れたよ!」

「よし、アイツ保健室に連れていくフリして空き教室で片を付ける」

 

翌日の朝イチ。

中野家にムッツリーニと共にクッキーを受け取りに行き、ひと足早く登校すると誰も居ないことを確認して根本くんの下駄箱にクッキーを仕込んでおいた。

案の定というか根本くんは小躍りをしてそれを食べて数分後の今に至る。

というかこれを食べさせられたの風太郎は……!?

 

空き教室に根本くんを引きずり込むと彼の鞄を漁る。 小狡い彼のことだから何かのために持ってきてると思うけど……

 

「……あった、これか明久」

「あ!そう、それだよ僕の探し物!」

「へぇ、見た感じラブレターか」

「…………言い残すことはあるか」

「待って! 僕が貰うわけないでしょ!?」

「そうだな、姫路もこんなブサイクに渡すわけないだろムッツリーニ」

「…………悪かった」

「少しは否定してよ! 僕は365°どこから見ても美少年だよ!」

「実質5°だな」

 

あれ? なんか間違えた?

 

「しかし、如何にそれが俺たちにとっての生命線とはいえ……取り返すだけじゃ勿体ないな」

「とりあえず制服脱がせて捨てておこうか」

「……女子用の制服は用意してある」

 

なんでムッツリーニはそんなものを持ってきているんだろう? どこで手に入れたのか。

あっという間に根本くんをパンツ一丁にひん剥き、慣れないながらも女子制服を着せていくとゲテモノが出来上がった。

 

「…………キモイな」

「…………気持ち悪いね」

「…………これを綺麗に撮れる自信無い。不覚」

 

上手い具合に壁に寄りかからせたり、椅子に座らせてポーズを決めさせたりして特別写真会を開くも普段のムッツリーニの写真に比べれば芸術性が皆無だった。

 

「さて、そろそろチラホラと登校者が多くなる時間だ。 そいつを保健室にぶち込んでおけ」

「雄二は?」

「俺は交渉しないといけない相手がいる。そっちに行ってくる。 秀吉もそろそろ仕込みが終わるはずだ」

「……了解」

「この程度でBクラスを潰せてAクラスに恩を着せられるんだ。 楽なもんだな」

 

空き教室から出ていった雄二を追うように僕とムッツリーニで根本くんを担ぎあげて保健室のベッドに彼を寝かせておいた。

昼までには起きるだろう。たぶん。

その足でFクラスへと戻ると珍しく中野五姉妹が既に登校していた。加えて風太郎までいる。

 

「おはよ、皆! ってさっきもあったけど」

「おはようだな。上手くいったか明久?」

「うん、根本くんの荷物は全部漁ったしダミーでもないと思うよ」

「それならいい。 少し時間を巻いて早めに宣戦布告をしてしまうか…雄二は?」

「えーと、なんでも交渉したい相手が来たからそっちに行くって」

「そうか…わかった。珍しく役に立ったな明久」

「いやぁ、それほどでも……って珍しくってなにさ!」

「二乃、感謝する」

「……なによ、別にクッキー作っただけよ」

 

素直な感謝に驚いたのか二乃さんは少し気まずそうに目を逸らした。

 

「風太郎、頼んだよ」

「任せろ」

 

Aクラスは間違いなくBクラスに勝つだろう。 そこからが僕達の戦いだ。

 

「二乃さん、改めてありがとう!」

「別に私が作らなくても他の手を用意してたんでしょうけど……まぁ、仕方ないわ。クラスの為だもの」

「でもその根本くんって人、大丈夫なの? 事情を知ったら二乃が狙われたりしない?」

「………二乃が危ないのは嫌」

「あはは、大丈夫だよ。 もしなんかしようとしても」

 

「「「「「「「我々が始末する」」」」」」」

 

FFF団

Fクラスの血の掟を破りし異端者の捜索と断罪を行う断罪集団である。

 

「頼もしい?ですね!」

「あまり過激なのは…吉井くんも何回も被害にあっているじゃないですか……」

「自分と人の幸せは別だよね」

 

僕も鎌の手入れをしておかなくちゃ。

 

 

 

 

そして6限目。

新校舎側から怒号と騒音が聞こえ始めた。

始まった!

 

「ムッツリーニ、戦況は?」

「……少し待て」

 

ノートPCを立ち上げ画面を覗き込むと新校舎側の廊下の様子が移されている。隠しカメラ!?

 

「……こんなこともあろうかと、仕掛けておいた」

「凄いよムッツリーニ! でも全部やけにローアングルじゃない?」

「……隠す場所がなかった。たまたま」

「四葉、後で土屋くんのカメラを探しに行きましょう」

「へ? あ、うん」

「……困る」

 

あ、なるほど。パンチラ撮影用に仕掛けていたカメラか。 性への探究心が毎回凄まじいねムッツリーニ。

映像を見ていると風太郎が映った。

どうやら彼が最前線の指揮をしているらしい。

あの風太郎が人を率いているなんて……変わったなぁ。

 

【Aクラス 上杉風太郎 数学 582点】

 

「「「「「「ごっ、500点台!?」」」」」」

 

嘘でしょ風太郎って頭良いとは思っていたけどそんなになの!?

 

「……島田、長女、お前たちの数学の点数は」

「ウチは補充試験で180ちょいだったわ…」

「うーん、100いったぐらい」

「明久お前は」

「あと少しで…あと少しで2桁だったはず!」

「引っ込んでろクソ野郎」

 

話を振ってきたのはそっちなのになんて言い方だ!

しかし下手をすると風太郎一人で僕たち全員戦死させるれるんじゃないだろうか…

 

続いて映ったのは久保くんと木下優子さん。

この二人も400点台で並み居るBクラスの生徒を次々と補習室送りにしていて正直、根本くんのせいで振り回された他のBクラスの人達が不憫に思えた。

 

「こりゃあっという間に終戦に向かってるな…」

「AクラスとBクラスってこんなに差があるの…?」

「違うな三女。 Aクラスのトップ組がコレだ。 今回は翔子…Aクラスの代表が相当頭にキているみたいだな」

「しかしここまでとはのう…姉上も鬼の形相から修羅になっておった」

「それだと普段からあんたの姉は鬼になるけど」

「鬼じゃ」

 

優子さんって優しい気がしたんだけど家族相手だとやっぱり違うのかなぁ。

 

「思った以上に早く決着がついちまいそうだな…明久、秀吉、ムッツリーニ、俺達も行くぞ」

「へ? 行くってBクラスに?」

「取引をしないといけないからな」

 

Fクラスを足早に出ていく雄二を追って新校舎の方へと歩いていくとBクラスはAクラスに包囲されていた。一人残らず殲滅する勢いで既に残っているBクラスの生徒は根本くんと親衛隊の4人程。つまりは36人は補習室送りになっているわけで…

考えただけでもゾッとする。

すると教室の中から声が聞こえてきた。

 

「クソ! クソ! Aクラスが、何故俺達に!?」

「自業自得だ根本」

「姫路さんはどうした?!」

「…瑞希なら体調を崩して休んでいる」

「どこかの誰かのせい、でね」

 

どうやら根本くんが騒いでいるようだ。

 

「どうせ負けるんだ…姫路さんのこれ公開してやるよ……!」

 

根本くんが制服の胸元から取り出した桃色の封筒を無造作に破り開けると数枚の写真が中からこぼれ落ち、広げられた便箋にはこう書かれていた。

 

【残念】

 

「…は? な、なんだこれは…!?」

「切り札は出し終わったか?」

「ひ……!?」

 

床に落ちた根本くんの女装写真を手に取りヒラヒラと振って無表情に語りかける風太郎は何処からどう見ても悪人だった。

 

「………上杉、ダメ」

「分かっている。 Bクラス、条件次第では講和を考えてやる」

「こ、講和…だと? なにを…」

「根本の謝罪と…そうだなその格好の撮影会でどうだ?」

「ふ、ふざけ─ゲフゥ!?「黙らせました」

「お、おぉ…ありがとう」

 

風太郎が出した条件は破格だ。 なんせ代表であり今回の元凶である根本くんを生贄に捧げれば敗戦ではなく引き分けという形で終わらせてクラス設備のグレードが下がることは無い。

Bクラスの残りは根本くんも含めて5人。どう考えたってここから巻き返すことは不可能で…

 

「よぉ、根本。 随分な様子だな」

「坂本…それに吉井…!? そうかお前らが!」

「なんの事かさっぱりだ。 俺達はAクラスに用があってな。 Bクラスなんか眼中に無いんだよ」

「貴様ら…!」

 

ギリッ…と歯を食いしばって睨みつけてくる根本くんなのだが格好が格好のために怖いというよりは気持ち悪いという感想を覚える。

 

「わ、わかった…Aクラス。条件を呑もうじゃないか……だがFクラスは分かってないようだな…! 敗戦扱いにならないということは俺達Bクラスは直ぐにFクラスに宣戦布告が出来るってことを!」

 

あ、そうか! 敗戦クラスは設備のグレードダウンに加えて3ヶ月間の宣戦布告が出来ない。 けど、Aクラスが引き分けに譲歩するとBクラスは試験で点数を回復して直ぐに攻め込まれちゃう!

 

「不味いよ雄二!?」

「安心しろ明久。 小山、分かってるな」

「えぇ、AクラスとFクラスがここまでお膳立てしてくれたんですもの。 しっかりとやらせてもらうわ?」

「ゆ、友香…? なんでここに…?」

 

Bクラスに入ってきたのは……確かバレー部のホープと呼ばれているCクラスの代表 小山友香さんだ。

どういうこと?

 

「Aクラス代表頼める?」

「……わかった。 高橋先生、AクラスはBクラスとの試召戦争を終わらせます」

「分かりました。双方の合意の元、試召戦争を終了します。 この度の試召戦争の勝敗は無いため、どちらのクラスも設備等の扱いは変わりません」

 

………あ!! もしかして!?

 

「高橋先生、CクラスはBクラスに宣戦布告します!」

「友香!?」

「明日の昼から開戦。 よろしくね根本くん」

「ま、待ってくれ!!」

 

え、えげつない…そろそろ完全下校時間だし今日は補充試験は受けれない。

明日だとしても先生達の採点は人によってまちまちで…Bクラスは4人を残して壊滅状態。 その4人も無傷という訳では無い…うわぁ…

 

「坂本くん、どう? 私と付き合わない?」

「根本のお下がりなんて願い下げだ。あんなやつの何処がいいんだ」

「私、頭がいい人が好きなのよ。 上杉くんでも構わないわ?」

「生憎だが俺にも相手を選ぶ権利は有るつもりだ」

「あら残念」

 

雄二と風太郎、小山さんは邪悪な笑みを見せながら言葉を交わしている。 あの三人が手を組むのはこれっきりにしておいた方が二年生のためになると思うんだ僕。

 

「………雄二」

「今回の件について礼は言わねぇぞ翔子」

「………わかっている。 雄二にも吉井にも上杉を通して無理を言った。 AクラスはFクラスとの試召戦争で三つまで条件を呑む」

「条件は五本勝負で先に三勝した方が勝ち、選択はこっちが3科目、そちらが2科目、勝負は一週間後だ」

 

全面戦争だとAクラスに勝ち目がないもんね…。

でも五本勝負で三勝もだいぶ厳しいような…ムッツリーニは勝てると思うけどさ。

 

「………わかった。来週には瑞希も来ているはず」

「お前の事だから代表同士の一騎打ち、とでも言うと思ったが」

「風太郎の言う通りだな。だが保険は掛けておくものだ。ウチにはムッツリーニと観察処分者がいる」

「そうだな、気を抜かないで全力でやらせてもらう」

 

終戦したということもあってAクラスの面々はゾロゾロとBクラスを出ていき、僕達Fクラスも教室を出ていく。残されたBクラスの生き残りの人達は明日のことを考えて燃え尽きているようだし。

 

「1週間、明久お前には集中的に日本史を勉強してもらう」

「日本史? そりゃ確かに暗記だけでそこそこ点数取れそうだけど……僕個人じゃ限界が目に見えてるよ?」

「なんでお前はそんな偉そうに言えるんだ……大丈夫だ。今回は三女と一緒に勉強してもらう」

「へ、三玖さんと?」

「あぁ、最低でも180点は取れ。それだけ取れれば……お前なら勝てる」




問題
女性のバストのサイズを現す単位に『カップ』があります。基準となるAカップの大きさを説明しなさい。



土屋康太の答え
『トップとアンダーの差が10cm。以後2.5cm毎にBカップ、Cカップとカップが上がり、逆に10cmから2.5cm下がるとAAカップ、AAAカップとなる』


先生のコメント
正解です。 詳しいですね。



吉井明久の答え
『島田美波』


先生のコメント
コメントは控えます。



中野四葉の答え
『見たことないサイズです!』


先生のコメント
吉井くんと一緒に謝罪に行くことをオススメします。


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