バカとテストと五等分   作:夢見969

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ポケモンが発売されましたね


僕と召喚獣とAクラス

「凄いなぁ…これがAクラス…!」

「座布団とちゃぶ台を見てると理不尽なぐらいの環境差ね」

「向こうの方が落ち着く」

「でもここで勉強が出来たら……うん、落ち着きませんねきっと」

「五月、冷蔵庫にお菓子が入ってるよ!」

「本当ですか!?」

「よしこれを持って帰ろう!」

 

初めて入ったAクラスに…というか冷蔵庫のお菓子に目を輝かせている五月さんと四葉さん、それと僕。

そんな僕たちを後目に雄二とAクラスの代表は何かを話し合っていた。

 

「…雄二、勝った方が好きな命令をできる」

「……別に構わない。勝つのは俺たちだからな」

 

前から思ってたけどあの二人は知り合いなのだろうか。

 

「持っていくのはいいがその菓子は別料金だぞ」

「え、そうなの!?」

「俺もらいはに持って帰ろうと思ったがそれを聞いて少し躊躇っちまった」

 

貧乏性…というか家庭の事情でお金にうるさい風太郎だ。らいはちゃんの為とは言え躊躇うということは…そこそこのお値段なのだろう。

 

「上杉くんと吉井くんは仲がいいんですか? お二人は…なんというか水と油みたいな性格をしていると思うんですが…」

「まぁ…確かにな」

「風太郎、去年の初めは酷かったんだよ? バカだバカだって言ってきたり、時間の無駄だ〜とかさ」

「いや今でもお前のことはバカだとは思っているからな」

「そんな!? バイトとか色々教えてあげてるじゃないか!」

「それは有難いが…今はこいつらの家庭教師で忙しいしな…」

「上杉くん、もしかして家庭教師以外にもバイトを?」

「あぁ、喫茶店とか日雇いとかな」

「……よく勉強をする時間が取れますね…」

「慣れだ、慣れ」

 

風太郎は五月さん達の家庭教師になる前は結構日雇いのバイトをしていた。去年のクリスマスは僕たちとケーキ売りをしてその給料でらいはちゃんにクリスマスプレゼント買って帰ってたっけ。

 

「明久、五女。 そろそろ始めるぞ」

「あ、うん! というわけで風太郎、今日はよろしく!」

「よろしくお願いします。上杉くん」

「あぁ、もし当たるなら手加減しねーからな。 あとあそこでめちゃくちゃ俺を睨んでいる二乃を何とかしておいてくれ」

 

手を軽く振って離れる風太郎に習って僕達も雄二の元へ行くと彼の言うとおり二乃さんが鬼になっていた。

 

「何戦いの前に仲良しこよししてるのよ」

「本当に二乃さんって風太郎が嫌いなんだね…」

「嫌いよ」

「何がそこまで二乃さんを駆り立てるんだろう…」

「お前ら、今日限りであのボロい教室とはおさらばだ。 気合い入れろ!」

「うん、わかってるよ!」

「……準備は出来ている」

「わしは自信がないんじゃがのう…」

 

雄二の号令に僕達は拳を上げ吼えた!

僕たちの戦いは、これからだ!

 

 

 

 

 

 

 

【木下優子 WIN】【木下秀吉 DEAD】

 

「秀吉ぃいいい!?」

 

そして始まったAクラスとの試召戦争五本勝負。 一戦目は古文でお姉さんに挑んだ秀吉は文字通りの瞬殺をされてしまった。

 

「安心しろ明久。 秀吉が負けることは計算のうちだ。 …てっきりAクラスの初戦は久保だと思ったんだが…」

「雄二、貴様! 秀吉になんてことを言うんだよ!」

「雄二くん本当に勝てるの?」

「…まぁ、問題ない」

 

一花さんの問いに雄二は腹が立つ笑みを浮かべた。殴ってやろうか…! 秀吉が今保健室へ連れていかれたというのに!!

 

「第2戦目 Aクラス 久保くん、Fクラス 土屋くん。 前へ」

 

高橋先生の号令で久保くんとムッツリーニがクラスの中心へと出ていくとムッツリーニが保健体育を選択した。そりゃそうだよね!

 

「土屋って強いの?」

「土屋くんが召喚獣で戦っている姿見たことありませんね…」

「心配するな次女、五女。 本来ならBクラスの時、アイツを切り札にするつもりだったが…根本のおかげであいつの実力を知る奴は限られた。ここは絶対に勝てる勝負だ」

 

そう中野さん達は勿論のこと、寡黙なる性の探求者(ムッツリーニ)の真の力を知る人間は僕らを含めてほんのひと握りだ。

風太郎なら知ってるかもしれないけど…。

 

「本当なら風太郎にぶつけてアイツを仕留めたかったが…仕方ない」

 

「「試験召喚獣 召喚!」」

 

【Aクラス 久保利光 保健体育 342点】

 

さすが久保くん…! 余裕で300点台だ…でも!

 

【Fクラス 土屋康太 保健体育 478点】

 

ムッツリーニ(土屋康太)は保健体育のスペシャリストなのだ。

 

「嘘、400後半!?」

「凄いね!?」

「土屋さんってすごく勉強が出来たんですか!?」

「いや、保健体育だけだ。ムッツリだからな」

「素直に凄いとは褒めにくいですが土屋くん、凄いですね…」

「意外な…意外でもない…?」

 

中野姉妹の驚愕に雄二が付け加えるもムッツリーニの保健体育はあの風太郎ですら上回る点数なのだ。久保くんの召喚獣も大きな鎌とか持っててめちゃくちゃ強そうだけど…

 

「……加速」

 

忍者のような姿をしたムッツリーニの召喚獣がブレるといつの間にか久保くんの召喚獣の背後に立っている。

 

「……加速終了」

 

ズバンッ!!! 空気が破裂したような音と同時に久保くんの召喚獣が一刀両断され消滅する。

 

「勝負あり。 勝者 Fクラス 土屋康太」

「さすがムッツリーニだ!」

「あぁ、ムッツリの名に恥じねぇ野郎だ!」

「ムッツリーニ! ムッツリーニ!」

「ムッツリじゃない…!」

 

ブンブンと首を振っているムッツリーニだが、彼の視線は今も尚、中野姉妹達のスカートに目が行っているので全くもっての説得力がない。

負けた久保くんは相手が悪かった。

 

「申し訳ない上杉くん、代表…」

「相手が悪い。 ムッツリーニ相手じゃ俺だって負ける」

「…私より点数が上。土屋、凄い」

 

Aクラスの上位者すら認める保健体育のスペシャリスト…カッコイイような情けないような…

 

「第3戦目。Aクラス 姫路さん。 Fクラス 吉井くん、前へ」

 

っと、呼ばれた!

 

「明久、絶対に勝て。負けたら殺す」

「頑張って明久くん!」

「負けたらご飯抜きよ!」

「大丈夫です吉井さん! 勝てますよー!」

「頑張ってください!」

 

みんなの声援に応えたい!

でも、雄二と二乃さんのは殺害予告だよ!! 僕なんて今は二乃さんのお弁当で日々を生き抜いているのに…負けられない戦いが、ここにある…!!

 

「行ってくるよ、三玖さん!」

「アキヒサなら、大丈夫ッ」

 

そう、雄二の指示で僕は三玖さんと日本史の勉強(ゲーム)をしてきたんだ! 今までの僕とは違う…っ!

………うん、ゲームばっかりしてた気もするけど大丈夫だよね?

 

「よ、吉井くん…よろしくお願いしますっ」

「うん、よろしくね姫路さん!」

「あ、あの…始める前に……根本くんの件、ありがとうございました…っ」

「へ?」

 

なんで姫路さんが僕にお礼を言うんだろう? あの件で頑張った…というか動いたのはAクラスの皆なのに。

 

「上杉くんから聞きました。…吉井くんが、吉井くん達が助けてくれたって…」

 

おのれ風太郎、余計なことをさては言ったな!?

 

「いいんだよ。困ってる人を助けるのは当然だよ!」

「吉井くんは…変わらないですね。 その、この戦いに私が勝ったら…吉井くんにお願いがあるんですが聞いて貰えますか?」

「え、姫路さんのお願い? それならいつでも──」

「中野さんみたく、私が毎日…お弁当を…」

「──高橋先生、科目は日本史でお願いします!!」

「承認します」

召喚(サモン)!」

「え?! えっと、召喚(サモン)ですっ」

 

絶対に負けられない戦いがここにある!!!!!

 

お弁当という単語が出た瞬間、雄二の顔色が悪くなり、ムッツリーニは震え、二乃さんは頭を抱えてしゃがみこんでいる。トラウマまでバッチリだ!

 

「ツンツンだけでは飽き足らず。姫路さんからまで弁当を作ってもらおうというのか被告(吉井)

「我々は許さんぞ」

「断罪せよ!断罪せよ!」

 

あれだけ団結していたFクラスもこの有様だ。姫路さん恐ろしい子!

 

【Aクラス 姫路瑞希 日本史 321点】

 

【Fクラス 吉井明久 日本史 171点】

 

やっぱり姫路さんも300点台…でも、勝てない相手じゃない。

 

「少し目標には届いてないが…姫路の方も想定していたより多少点数が低いな。許容範囲だ」

「アキがあんな点数取れるなんて…三玖何したの?」

「少し勉強をしながら…ゲーム?」

「アイツにはそれが合ってたってことだ」

 

失礼な声が聞こえるけど今は気にしない。

 

「まさかあの明久が三玖と勉強をして点数を伸ばすとは…俺が教えてやった時はカスだった癖に」

「上杉くんが教えてもダメな人って居るのね」

 

風太郎と木下さんも大概失礼だ。

 

「なんだか飼い犬に手を噛まれた気分だわ」

「少し複雑です…」

「ちょっと、何で二乃さんと四葉さんまでそんな反応な…ァぶなぁ!!?」

 

あまりの言われように反応してしまったタイミングで姫路さんの召喚獣が大剣を振るいながら襲いかかってきたのを紙一重で回避する。

フィードバックがあるんだからあんなの食らったら即戦死の保健室送りだよ!?

勝てない相手じゃない、とは思ったけどまともに食らったら一撃で終わりだからね!!

 

次々に斬撃を繰り出して来る姫路さんに対して僕の召喚獣はちょこまかと左右避け、背後に回り込んで木刀で一撃を与える。手応えは十分…!

 

【Aクラス 姫路瑞希 日本史 305点】

 

現実は非情である。

雀の涙程のダメージだよ!!

 

「何かしらね、アキが押してるはずなのに…見てられないわ」

「小賢しいのよね。アイツの召喚獣」

「吉井さーーん! 正々堂々といきましょー!!」

 

美波と二乃さんの評価が辛辣だし四葉さんの応援も心が痛い!

 

「と、言うか美波ってば何時から吉井(バカ)の事をそうやって呼ぶようになったのよ」

「え、えーと…その色々あって?」

「………あんた、アイツはやめときなさいよ…悪いやつじゃないけど…苦労するわ。絶対」

 

二乃さん、美波と何を話してるんだろう。

 

「よ、吉井くん…は…皆さんに色んな呼ばれ方をしてるんですね…?」

「へ? ま、まぁ…一花さんと三玖さんには名前で呼ばれてるし美波にもアダ名だし…」

「ズルいです……私だって同じクラスなら…」

 

不意に姫路さんの召喚獣の動きが鋭くなり切っ先が僕の召喚獣の腕を引っ掛けた。

痛っっっったァ!!!?

 

【Fクラス 吉井明久 日本史 116点】

 

僕の必死の攻撃は20点程度で姫路さんのは掠っても50点ほど持ってかれるなんて…!

左腕がジンジンと痛む。これ以上は掠める事すら許されない…!

でも、大きな回避を続けていても姫路さんに攻め込むことは出来ないから……ァッ!!

 

「─ッ!!!」

 

大剣の縦振りが召喚獣に触れるか触れないかの位置に振り下ろされる。 紙一重の一撃に肝を冷やしながら木刀で放つ突きは姫路さんの召喚獣の眉間を捉えた。

 

バコーン!! という音ともに相手の召喚獣は大きく仰け反ったが…

 

【Aクラス 姫路瑞希 日本史 73点】

 

仕留めきれなかった!?

急所とも言うべき頭に入れた一撃も点数差が足を引っ張った。

しかし姫路さんも決まったと思ったのか一瞬惚けた様子を見せ、まだ終わっていないことに気がついたみたいで慌てて召喚獣が動き始めた。

ごめんね、僕の召喚獣が弱くて!

 

振り下ろされた大剣の峰で殴るように横振りに薙ぎ払いを受ける。咄嗟に足と腕でガードしたけど骨まで響く重さで本当に不味い。

直撃でもそこまでダメージを受けなかったのは距離が近かったおかげだろう。

正直言うと姫路さんの召喚獣操作はそこまで上手くない。 実戦が今日初めてというのもあるし1年生の頃の操作授業は体調を崩して結構休んでいたらしい。 点数を除けばこの数週間、僕と模擬戦をしていた二乃さんの方が断然動ける方だ。

しかしそれを覆すほどのダブルスコア地味た点の差はたった一撃で戦況を変えるし、点数の低いこちらの攻撃は大したダメージにならない。

 

直撃を食らった僕の召喚獣はゴロゴロと転がり受身をとって体勢を立て直す。このまま長引けば確実に負けるので……

 

「これで決めるよ…!」

 

改めて相手に向き合うと一気に駆け出す。

姫路さんも迎え撃つ構えを取った。 だから僕は、木刀を彼女に向かって全力でぶん投げた。

 

「えっ!? あ、…!」

 

ゴン…!! と鈍い音を鳴らしたのは相手の大剣。

頭部を狙って投擲した木刀は咄嗟に振るわれたソレに弾かれ上空へと打ち上げられた。

 

ここまで上手くいくとは思わなかったなぁ…!

 

召喚獣は小さい見た目なのだがその実、人間に比べて力持ちだし身体能力はかなり凄い。

だから僕の召喚獣は跳んだ。

 

「これで、終わりだぁあああ!!」

 

打ち上げられた木刀をキャッチし、落下速度を合わせた勢いのままに振り下ろした縦切りは今度こそ相手の脳天を捉えた。

 

【Aクラス 姫路瑞希 日本史 0点】

 

「勝負あり。 勝者Fクラス 吉井明久」

 

勝った…! 同時に足から力抜けて崩れ転んでしまう。 フィードバックが結構痛かった…!

 

「アキ!?」

「ヒヤヒヤさせやがって…四女、ムッツリーニ回収だ」

「吉井さん、凄かったです! さあ、私たちに捕まってください!」

「……よくやった明久。 秀吉の写真大特価」

「え、本当に!? ダースで買うよ!」

 

まさかの副賞だ。 今月も厳しいけど秀吉の写真のためなら…必要経費だ!

ウキウキしながら肩を貸してくれた二人に捕まり立ち上がると少し心配そうな顔をした姫路さんが近づいてきた。

 

「あ、あの吉井くん…大丈夫ですか?」

「うん、少し痛むけど大丈夫だよ。鉄人に殴られる方が痛いしね」

「そ、そうですか…その吉井くん。 どうして、と言っては失礼かもしれませんが…今回のような点数を取れたのですか?」

 

今回の点数…といっても姫路さんに比べたら全然な点数だけれども……

 

「三玖さんと一緒に勉強したり、雄二に勝てって言われたり…真面目に勉強をする五月さんや四葉さんにいい環境で勉強してもらいたいって言うのもあったけれど──」

「けれど……?」

「─うん、やっぱりAクラスの中に"僕だって出来るんだぞ"ってところを見せたい相手が居たから、かな」

「なるほど…そうなんですね」

 

悔しそうな顔をしながらも姫路さんは頭を下げ、自らのクラスメイト達の元へと戻って行った。あんな顔をさせたくはなかったんだけどなぁ…

四葉さんとムッツリーニに引き摺られながらFクラスのみんな所へ連れ戻されると結構な歓迎を受けた。

 

「よくやったわアキ!」

「明日からお弁当のおかず増やしてあげるわ!」

「明久くんならやれるってお姉さん信じてたよ〜」

「わしの仇を取ってくれたのじゃな明久」

 

瀕死だった秀吉も目を覚ましたようでお祭り騒ぎだ。

 

「これで2勝1敗。 あと1回勝てばこの教室は俺たちのものだ」

「それでは第4戦。 Aクラス 上杉くん。 Fクラス中野さん、前へ」

 

淡々と進行する高橋先生に風太郎は従って前に出てくる。

風太郎と霧島さんは2年生の中でも異次元の成績だと常々噂では聞いているけど…

 

「誰が出るのか知らねーが…来いよ。叩き潰してやる」

 

その風格はまさにボスだった。




問題
以下の意味を持つことわざを答えなさい。
(1)『得意なことでも失敗してしまうこと』
(2)『悪いことがあった上に更に悪いことが起きる喩え』



上杉風太郎の答え
(1)釈迦も経の読み違い
(2)泣きっ面に蜂


教師のコメント
さすが上杉くんですね。正解です。



中野五月の答え
(1)弘法も筆の誤り
(2)踏んだり蹴ったり


教師のコメント
正解です。最近正答が増えてきていますね。この調子で頑張ってください。



土屋康太の答え
(1)弘法も川流れ


教師のコメント
シュールな光景ですね。



吉井明久の答え
(1)誰かの目にも涙
(2)泣きっ面蹴ったり


教師のコメント
『鬼の目にも涙』は無慈悲な者も、時には情け深い心を起こし、涙を流すことがあるということのたとえに使う言葉ですので間違いです。 決して誰かではありません。
それに鬼はキミです。
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