「これがロリロリの実だ」   作:神谷涼

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「さすが私ってところかしらぁ?」

 みさき(元ジャンゴ)とモブ海賊たちは裏口で配置についている。

 警報が鳴り響いた時こそ、身構えたものの。

 

「あー、ヒマねぇ」

「「…………」」

 

 誰も出てこない状況に、暇を持て余していた。

 踊りを愛する彼女(元ジャンゴ)は、じっとしているのも苦手。

 どうしても身をよじり、足でリズムをとり始めてしまう。

 

「表の方じゃ、なんかすごい音してるけど……こっちに来る気配もないし~」

「「…………」」

 

 プリンプリン大佐が暴れ始めていたのだが。

 正門側の出来事ゆえ、こちらには聞こえない。

 クロネコが負けてしまえば、ずらかるのだが。

 勝手に逃げれば、後で皆殺しにされかねない。

 肩をすくめ、居心地悪そうに身をゆする。

 足を軽くタップさせ、指でリズムをとってしまう。

 

「んー☆ しりとりでもする?」

 

 とはいえ。

 いつも騒がしい連中が珍しく、静かに隠れているのだ。

 あの変態船長への恐怖でいっぱいなのだろう。副船長として肩の力を抜かせてやらねば……と、みさきはリラックス感を強調するよう、アクビ混じりで背伸びしながら手下どもに振り返る。

 そこには――

 

「「…………」」

 

 まばたきを忘れ血走った目で、みさきの体を凝視する手下たち!

 そう、彼らはおとなしくなどしていない!

 みさきの女体鑑賞に忙しかったのだ。

 身じろぎごとに揺れて、誘うように形を変える尻!

 むちぃ♡みちぃ♡とエロ漫画的擬音を発する太腿!

 振り返るだけで横に揺れ、視線を引き寄せる乳房!

 アクビだけで目が潤み頬が上気する、煽情的美貌!

 その前には、警報音や破壊音など些細な問題。

 

「ねぇ、聞いてた?」

 

 ただならぬ表情に、みさきが不審げに首をかしげる。

 

「へ、へい! 副船長の尻っすよね!」

「まったく尻は最高だぜ!」

「なんだとてめェ、太腿様の価値がわからねェのか!」

「それより今の乳を見てなかったのかァ!」

「バカヤロウ! 正面向いてくださったんだから黙って鑑賞しろ!!」

 

 ある意味、いつも通りである。

 

「……はぁ。緊張してると思った私がバカみたいじゃない」

 

 呆れて頭を押さえ溜息をつくだけで。

 肺の動きに合わせて胸がかすかに揺れ。

 姿勢が猫背気味になったせいで、スカートに覆われた尻がびちぃ♡と浮かび上がる。

 

「「おおおおおお!!!!」」

「あなたたちねぇ!」

 

 軽く叱るが。

 顔をあげるだけで、大きな乳房はまた揺れ。

 脚を開き仁王立ちすれば、わずかにめくれるスカート。

 面積を増やす太腿。

 裾との距離が縮まる下着。

 

「「うおおおおおおおおおおお!!!!」」

 

 隠密性もへったくれもない歓声。

 一挙一動で、この有様。

 催眠術で口調こそ矯正したが、内心まで変えてはいない。

 ジャンゴから変わったのは口調と体だけだ。

 むさくるしい男どもが己に欲望の視線を注ぎ、股間を膨らませている様には、嫌悪感しかない。

 いや、女性とて危機感しか抱かないだろう。

 

「はぁ……あなたたち、これをよーく見なさい」

 

 スカートを軽くたくし上げた。

 チラリと白い下着の股間部が少しだけ見える。

 

「「ほわああああああああああああああ!!!!」」

 

 大歓声。

 鼻血を出している者も多々。

 みさきは投げやりな気分で、己の股間の前にチャクラムを垂らし。

 その輪を左右に揺らし始める。

 いつもなら目を合わせるのだが、こちらの方が凝視されやすい。

 

「ひの、ふの、みさき……で、あなたたちは美女になる」

「「えっ」」

 

(まあ、頭の中だけだから気持ち悪いでしょけど。こんな視線を浴びせられ続けるよりマシよねぇ)

 

「身も心も頭の中で思い描く、都合のいいエッチな美女になるの……!」

 

 己の食べた実と同じ内容ならわかりやすいはずだ。

 

「ひの」

 

(どうせなら見た目も変わって、同じ苦労を味わえばいいのに)

 

「ふの」

 

 投げやりに催眠術をかける。

 パンチラしながら、目も合わせていないのだ。

 いつものように己自身に催眠術をかけてしまう心配もない。

 

「みさきっ!」

 

 だが。

 いつもと違う手ごたえ。

 みさき自身の内から異様な何かが大量に噴き出す感覚。

 

「っ!!?」

 

 思わず、目を閉じてしまう。

 慌てて目を開けば、そこには――。

 

 

    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 呼吸も乱れ、ふらつきながら。

 返り血にまみれたクロネコが、要塞の建物を出る。

 

「はぁ、はぁ……さすがに、きつかったわね」

 

 プリンプリン大佐との死闘の後。

 クロネコはどうにか、プリケツ要塞内全ての海兵を皆殺しにした。

 電伝虫もひとつ残らず破壊し。

 写真も撮られてはいない。

 手はまっさきに洗ってある。

 腸液のついた袖も破り捨て、片腕は剥き出しだ。

 

「なんだか気配が読めるようになった……気はするんだけど」

 

 生き残りはいないと、なぜか確信できる。

 最後に残った連中を始末する時も。

 隠れた海兵、息のある海兵をすぐに見つけられた。

 兵舎から救出された連中も念入りに始末している。

 

「先輩が言ってた……“見聞色の覇気”ってやつかしら。便利は便利、ね」

 

 体力は限界に近い。

 ゴスロリドレスはボロボロで。

 動きを阻害する一部は自らちぎり、切り離した。

 そういった断片も念入りに火の中に放り込んで痕跡は残していない。

 

「けど……こんな力が、欲しかったわけじゃない……」

 

 悲壮な言葉。

 そのまま膝をつき倒れ込みそうになりながら。

 生き残りの気配を念入りに探りつつ。

 ずるずると、体を引きずるように進む。

 

「“覚醒”には至らず……はぁ。回復したら次のターゲットを……その前にナズーリンに生き残りがいないか確認させて、夜明け前には出航しない、と……」

 

 要塞内をしらみつぶしにしたせいで、裏口まで来てしまった。

 裏口にはジャンゴ――みさきたちがいる。

 クロネコとしては業腹だが、疲労とダメージで痛んだ体を運ばせるにはちょうどいい。

 もはや正面口までもう一度動く体力すら、残っていないのだ。

 

「……ん?」

 

 向こうにはいくつもの気配。

 よく知っているジャンゴ――みさきの気配と。

 おそらくは手下たち。

 戦っている様子はないが……何やら騒いでいる。

 

「どいつもこいつもバカばっか……! 静かに待ち伏せてろって言ったじゃない! 私の計画を狂わせた奴がどうなるか、百も承知のはずでしょ!」

 

 怒りが一時的に疲労を忘れさせる。

 荒々しく蹴り飛ばし、裏口を開き。

 隠れもせずたむろしていた連中に怒鳴りつけた。

 

「何してんのよアンタたち!!!! 隠れときなさいって言ったでしょ!!!!」

 

 手下どもが一斉に振り向き。

 みさきが困った顔を向ける。

 

「……は?」

 

 プリンプリン大佐のあの技を見た時と同じく。

 クロネコは呆然とした。

 対応もできぬまま、囲まれてしまう。

 

「クロネコちゃんが帰投しましたー。お疲れ~ぃ!」

「やっべぇ! クロネコちゃん様、かっけぇ!!」

「これは、随分と荒々しい……私、昂ってしまいます」

 

 やたらフェロモン臭のする美女たちが、クロネコを囲み。

 

「さあ、私に身を任せて……私に、すべて……何もかも、脱ぎ捨てて」

「ハイハイー、手伝ってアゲル♡」

 

 血まみれで固まったゴスロリドレスを、脱がせてくる。

 

「――はっ!? ま、待ちなさい! 何よ、あんたたち!! 誰!?」

 

 半ば脱がされながら我に返ったクロネコだが、混乱は治まらない。

 説明を求めて、気まずそうなみさきを睨む。

 

「あはは、あんまり変な目でジロジロ見てくるから、催眠術で頭の中だけでも女にしてみたんだけど……」

「頭の中って……見た目も何もかも、ぜんぜん違うじゃない!!」

 

 美少女とか美人とかそういうのじゃない。

 明らかにビッチ枠とかエロ枠とか、そういう外見と言動になっている。

 

「こう、催眠術使った時にぶわーってなって」 

「ぶわーって!?」

 

 フィーリングめいた説明はクロネコが最も嫌うものの一つだ!

 

「気がついたら、みんなこうなってたって感じ?」

「感じ!?」

 

 確かに、衣装は手下たちのもののままだ。無理矢理巻きスカートにしたり、シャツでかろうじて股間が隠れた下半身全裸の者も多いが。辺りにズボンが落ちたりしている。

 

「かぁわいぃ~」

「ふふふ……ソワカソワカ」

 

 ばさりと、またスカートが落ちた。

 

「って、私のスカートじゃない! どこまで脱がす気よ!!」

「「おぅふ」」

 

 クロネコ、ロリ以外には容赦しない!

 さすがに癇癪で手下を殺したりはしないが、掌底パンチは入れる。

 

「とにかく外見そのままだと思ったら、体まで女になっちゃったのよねぇ」

「ふ、ふざけんじゃないわよ……」

 

 男の尻に腕まで入れた死闘でも、覚醒できなかったのに。

 泣けてきてしまう。

 

「ま、さすが私ってところかしらぁ?」

 

 にへーっと脱力した笑みで、ドヤ顔を見せられると。

 

「死ねェ!!!!」

「ちょ、あぶなっ!!」

 

 本気ではないが、ザンッと“猫の手”の一撃をみさきに繰り出してしまう。

 みさきとて、それなりの使い手。

 慌てて斬撃をかわす。

 

「これだけ女に変えて! なんでババアばっかしでロリビッチが一人もいないのよぉ!!!!」

 

 血涙と共に叫ぶと。

 疲労とダメージとショックで、クロネコは昏倒した。

 

「相変わらずねぇ」

 

 呆れながら、みさきがクロネコを支え、背負う。

 

「んぉ、どうする? ナニする?」

「私たちの方こそ、彼女を憎むべきだと思います」

 

 手下の一部は、みさきに謀反をそそのかすが。

 

「バカいわないで。クロネコちゃん無しで私たちが生き残れると思うのぉ? その姿になっても、別に強くなったわけじゃないってわかるでしょ」

 

 呆れつつもクロネコを抱えながら。

 脱げて落ちたズボンなど、大きな痕跡を残さぬよう指示を出し。

 みさきはナズーリンとも合流し、夜明け前に船へと撤収した。

 

 

    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 翌日。

 クロネコの命令により、海上で延々と実験が行われたが。

 みさきの催眠術では、エロビッチ以外への変身は不可能だった。

 ロリビッチも皆無。

 クロネコは号泣した。

 

 ともあれ、みさきとナズーリンの精神衛生上のため……そして男ばかりより幼女が来やすいという理由で。

 クロネコ海賊団のモブ船員たちは全てTSビッチ化したのだった。

 




ゾロと同じ原理で、ボロボロで戦い続けて見聞色に目覚めたクロネコ。
他にも地味に六式練度とかHP上昇とか、そういう成長はしてますが。
本人的にはクソどうでもいい能力。

一方で、みさきは催眠術との合わせ技であっさり覚醒しました。
他者に能力を及ぼす、という方向性では催眠術ってすごい相性いいと思います。
みさきの催眠術の掛け声が、今回一番の難産……。



セリフのあったゲストビッチキャラの皆さんは以下の通り

・鈴谷(艦これ)艤装はない
・アルベド(オバロ)角や翼はない
・殺生院キアラ(Fate)ラスボスにはなってない
・ファサリナ(ガン×ソード)ロボには乗らない
・メーテラ(グラブル)耳はアクセサリ

ロリじゃないエロ枠、公式エロセリフ多い、という基準で選びました。
青娥(東方)はわかりやすいセリフが出なかったので断念……!
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