「これがロリロリの実だ」   作:神谷涼

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サブタイはサンジの料理食った時のギンのセリフ。
好きなシーンです。

今回は閑話的なお話。



「死ぬかと思った……!! もう、ダメかと思った…………!!!!」

 

 プリケツ要塞の殺戮から一か月。

 クロネコ海賊団は今、海賊旗を下ろし。

 ある大きな港町に近づきつつある。

 略奪はしない。

 あくまで補給のための寄港。

 

 船の特殊な事情から……買い出しと荷運び役を任せられるのは二人だけ。

 ゆえに船長室には今、その二人が呼び出されている……のだが。

 

「……?」

 

 クロネコは首をかしげていた。

 

「あんたたち、だいじょうぶ?」

 

 二人の男――ニャーバン兄弟、シャムとブチをしげしげと見る。

 

「だ、大丈夫っす! 買い出し行かせていただきます!」

「問題、ない……」

 

 元からネコ背とはいえ、シャムは杖をついており。 

 ブチは酷く脚を開いたガニ股になっている。

 そして目の下にはクマができ、頬はげっそりとこけ、肌は老人の如くカサカサ。

 憔悴……というより、衰弱しきっている。

 

「いや、私の前でネコかぶらなくてもいいから」

 

 不審な目で二人を見る、クロネコ。

 他の船員で体調を崩したという話は聞かない。むしろ以前より、元気に働いている。

 妙なクスリに手を出すような機会もない。

 補給こそ困難が続いているが、食糧は海軍基地や海賊船から奪い続けて十分なはず。

 かわいさのカケラもないが、ニャーバン兄弟といえば一応はクロネコとみさき(元ジャンゴ)に次ぐ強者である。

 

「うーん……きつかったら無理しなくていいんだけど。今のあんたたちじゃ、積み下ろしもたいへんでしょ? 命令はするけど、できないことをさせるつもりはないわよ。なんだったら適当に沖合で停泊して、港から出る適当な船を待ち伏せてもいいし」

 

 冷酷非道サイコパスのクロネコには珍しい言葉をかけるが。

 

「いや、頼む船長……行かせてくれ……!」

「一日でも……せめて陸に……!」

 

 二人は必死だ。

 

「まさかと思うけど、私から逃げるつもりじゃないでしょうね?」

 

 ギラリと、クロネコの目が冷酷に光る。

 脱走も密告も、許すわけにはいかない。

 

「違うんだ……!」

「監視が必要なら副船長に……! 船長でもいい……!」

「はぁ?」

 

 クロネコとしては二人が何を言っているのかわからない。

 今更、陸が恋しいとか船酔いがきついというはずもあるまい。

 衰弱している理由も謎である。

 何より、この二人を含め船の誰もがキャプテン・クロ――クロネコに恐怖し、近づきたくないと考えているのも知っている。なのに、船にいるよりもクロネコといる方がマシと言わんばかりだ。

 人の心がわからないクロネコが見ても異常である。

 

「ううん……」

 

 何がどうなっているのか。

 かつて“百計”と呼ばれたプライドが少し傷つく。

 かといって、この二人に直接聞くのもシャクだ。

 

「頼む、クロネコちゃん様……お願いだ!」

「このままじゃ死んじまう!」

「えぇぇ……」

 

 命にかかわるとか、何が起きているのかわからない……。

 弱卒なら船員内でいじめが起きる可能性もあるが。

 彼らは二人がかりなら、みさきより強いのだ。

 と。

 

――コンコン

 

 混乱した空気を切り替えるように、ノックがされ。

 

「何騒いでるのかしらぁ☆」

「「ママ……!!」」

 

 副船長みさき、航海士ナズーリンが入ってくる。

 現れた二人……特に副船長を、ニャーバン兄弟は目をキラキラさせながら拝む。

 

「「はぁ……」」

 

 そんな様子を冷めた目で見て、ナズーリンとクロネコが溜息をついた。

 

「現状、そいつら二人が安全に上陸できるのよ。賞金もかかってないし」

「他の船員がアレだからねぇ」

 

 みさきの催眠術で、永続TSビッチ堕ちしたままの船員たちである。

 その容姿は、みさきに準じる美女であり。

 衆目に晒せば、世界政府に“裏・悪魔の実”を嗅ぎつけられかねない。

 

「だから、今回は上陸して補給して欲しいのに……なんでそいつら、そんなに衰弱してるわけ!?」

 

 同じ能力者()になった心やすさか。

 抱えていた疑問が愚痴っぽく、口をついて出た。

 

「「あーーー」」

 

 みさきとナズーリンが、なんとも言えない声を出し。

 ニャーバン兄弟も含む四人が、ふいと目をそらす。

 

「え、えーっとね、クロネコちゃん」

「なによ」

 

 他がわかっていた様子に、クロネコは苛立ちを露にする。

 

「あのね、ほら、なんていうか。こどもは知らなくていいことなの」

「えっ、そ、そう?」

 

 みさきの言葉に、クロネコの顔がにへらとゆるんだ。

 

(((なんで嬉しそうなんだ……?)))

 

「クロネコちゃんはお子様なんだから、教えられないなぁ……なんて」

「うひ、えへ、いひひ、じゃあ、しょうがないにゃぁ~♡」

 

 完璧に愛らしい幼女が発する、気持ち悪い笑い!!!!

 

(((相変わらずかわいいはずなのに、気持ち悪い……!)))

 

 横で見ている三人……と、話かけるみさきの胸中が同調する!

 

「こどもが知らないことがあるのは、あたりまえでしょぉ?」

「そうね。うぃひひ、幼女だから……えへ♡」

(((うわ、きつ……)))

 

 こども扱いが、冷酷非情サイコパスを蕩け顔にする。

 日頃から鏡の前や人前で幼女ロールプレイの鍛錬を続ける彼女(彼)。

 正面からこども扱いされると、冷酷な知性はなりをひそめ。

 現実より幼女ロールプレイを優先してしまうのだ!

 

 ひとしきり、気持ち悪い笑いと表情を見せてから。

 

「……ふぅ。それにしても、みさき」

「は、はい?」

 

 冷静に戻ったらしいクロネコに。

 みさきが、緊張した面持ちになる。

 どれだけ変態でも。

 機嫌を損ねれば命を失う、危険な人物には違いないのだ。

 

「あなた、お世辞が上手になったわねぇ」

「あ、あはは……」

(((お世辞…………????)))

 

 別に、みさきが賢くなったわけではない。

 クロネコ――キャプテン・クロがバカになったのだが。

 敢えてそれを口に出す者はいない。

 

「と、とにかく、二人とも裏切ったりしないはずよぉ? ねっ?」

「ハイ、話に聞くクロネコちゃん様の師匠に誓います!」

「誓う……!」

 

 副船長から教えられた、いざという時の最後の手段である。

 

「……はぁ。師匠に誓われたんじゃしょうがないわねぇ」

 

 まだ、もの言いたげなクロネコだが。

 ため息まじりに寄港を決定し。

 二人の上陸を許可した。

 

 

    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「ハァ、ハァ……これで、今夜は一人で眠れる……!」

「いや……個室はまずい。雑魚寝の大部屋で泊まるんだ……!」

「そう、だな……個室だとフラッシュバックしそうだ!」

「汚ねェおっさんのイビキと屁を聞きながら寝ようぜ!」

 

 ふらつきながらも、希望に満ちて。

 ニャーバン兄弟は上陸準備を進める。

 ほんの一か月前までの日常。

 むさくるしく男臭い、あの生活に恋い焦がれる日がくるなんて……思ってもみなかった。

 

「クロネコちゃんはアレでごまかされてくれたけど……大丈夫?」

 

 そんな二人の元に、副船長みさきが心配げに訪れる。

 気遣うような上目遣い。

 その仕草で強調され、形を変える淫靡な乳房。

 まともな男ならば誰しも――

 

「「いでェっ!!」」

 

 見惚れた二人が、苦悶の悲鳴をあげてよろけた。

 

「大丈夫、じゃなさそうね」

「面目ねェ……副船長……今は!」

「副船長は別格すぎて……」

 

 目の前のいやらしすぎる卑猥な体から必死に、目をそらす二人。

 

「……はぁ。ある意味、私の責任よねぇ」

 

 困った顔すら、煽情的。

 二人は目をそらしたままだ。

 みさきは無理に顔を合わさせず、一枚のメモを手渡した。

 

「「これは……?」」

 

 そこには簡易な地図と、いくつかの店名。

 

「あの港、行ったことあるわぁ。書いてる場所は……名前からわかるでしょ?」

「「!!」」

 

 ニャーバン兄弟の目に涙が浮かぶ。

 

「オイスターバー、スッポン料理屋、モツ鍋屋……潰れてなきゃあるはずよぉ。買い出しはオクラとモロヘイヤと山芋を忘れないようにして。ブラッドソーセージもいいわよぉ。缶詰もそのあたり中心で。ヨーグルトは痛みやすいから、陸で食べて来るだけで我慢しなさいねぇ」

 

 涙が、溢れる。

 

「…………!!! 面目ねェ、面目ねェ!!」

「死ぬかと思った……!! もう、ダメかと思った…………!!!!」

 

 土下座するような体勢で号泣する二人をよしよしと撫でようとするが。 

 

「「いでェっ!!」」

「うわ、近づくだけでダメなの!?」

 

 そう。

 クロネコ海賊団総勢三十名あまり。

 幼女となったクロネコ。

 ケモ耳になったナズーリン。

 中身は変わっていない、みさき。

 変化のないニャーバン兄弟。

 この5人はさておき。

 残る全員……およそ30人の荒くれたちが!

 副船長みさきの催眠術で、超級エロビッチに変わっていた……!

 外見だけではない……中身まで!

 

 そんな船で一か月。

 たった二人の男が、無事でいられるはずもなく……

 

「ぜェぜェ……面目、ねェ……恩義に目も、合わせられねェ……」

「に、匂いだけでも、やばい……はなれ、て」

 

 二人は犠牲になったのだ。

 TSモブ船員たちをツヤツヤにするための……。

 

「そ、そう。ごめんねぇ」

 

 寂しそうな声を聞くと、男として罪悪感がハンパないが。

 一か月酷使されたそれは、粘膜も限界突破して痛みが治まらない。

 強制連続使用で、前立腺はボロボロ。

 鍛えられた体すら、慢性腰痛状態に。

 そんな股間が充血などすれば、歴戦の海賊とて苦痛に身悶えするのも道理。

 みさきの別格フェロモンに晒され続ければ、命の危険があぶない。

 

「とりあえず、みんなにはしばらく二人には近づかないよう言っておくから。しっかり養生してきてねぇ」

「「はぁ、はぁ……この、恩義は必ず……!!」」

 

 生きているだけで、十分にタフさの証明。

 むしろ、タフさだけは鍛えられ成長していた。

 今やニャーバン兄弟は動物系(ゾオン)能力者にも劣らぬ耐久力を持っている!

 

 ふらつきながら、一時の休息を手に入れた兄弟。

 

 しかし、彼らが己の成長を知る日は来ないだろう。

 三十人という物量に加え。

 彼らの休息はそのまま……捕食者たちに“飢え”と“渇き”を。

 すなわち欲求の高まりを与えてしまうのだから。

 

 

 

 そして船長のクロネコは、己の船が淫行船と化している事実を知らない!

 老女(クロネコ基準)のプライベートとか興味ないから……!

 





ニャーバン兄弟の回。
よく見直すとあいつら「ニャーバン・兄弟」なんすね。
原作開始時では賞金かかってますが、3年前はまだかかってない扱いとします。



敵でオリキャラ出すのはヤだなぁってジンクスがあるので、次回どうするか悩み中。
クロネコ、敵を生かして逃がす選択肢がないんで……。
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