Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034 作:ホシボシ
あとがきでライダー大投票の結果に軽く触れてるんで、見てない人はスルーでおねがいしやす
ずっと思ってた。ゴミはゴミ箱に捨てます。
みんなに意地悪しません。人の嫌がることを率先してやります。
神様。わたしは良い子です。
だからもう辛いのは、やめてください。
そう思ってきたのに――ッッ! 誰も! 何も!!
助けてくれなかった!!
「私が魔法で! 世界を終わらせるッ!」
鏡が割れる音がして、空が砕け散った。
夏美は見た。空の破片が落ちる向こうにある青空を。
「まずいッッ!」
ゼノンが走ってくる。
「外に出た!」
殻が破れていく。崩壊していくゲームケイジ。
そして、むき出しになっていく現実世界。
「これらはッ! アバターじゃない! 生きている人間がいる本物の他世界だ!」
そこにあるビルが爆ぜた。
悲鳴が聞こえる。次々と響き渡る轟音と衝撃。
それだけじゃない。灰色のオーロラが見える。
そこから、いくつもの飛行船が現れるた。
いずれも大鷲のマークが描かれており、そこから無数のショッカー戦闘員たちが飛び出してくる。
あるものは着地し、あるものはジェット噴射で飛んでいき建物に直撃して自爆していく。
さらにスカイサイクロン量産機からは、怪人たちが降り立ち、逃げ惑う人々に襲い掛かっていく。
「壊れろッッ!」
桜花が叫ぶと、どうだ、その背後に現れる異形。
リッパーK、キリサキさん、レイスマン、キルゾーン。
そして、ネクロデザイア。
「お前……ッッ!」
「無垢なる、少女なら、闇にも染まりやすい」
「こうなることが、わかっていたのか!?」
ネクロデザイアは首を横に振って、人差し指を立てる。
「違う。決まっていたのだ」
「見て!」
フールズゲーム内、真っ青になったまどかが指をさした。
街を襲う異形の中に、モザイク状のエネルギーが顔にかかった『従者型』を発見する。
彼らはそのモザイクからレーザーを発射して、建物や人間を破壊していく。
「魔獣……ッ! どうなってるんだよジュゥべえ!」
真司はジュゥべえに掴みかかるが、ひょいとかわされてしまう。
『そりゃお前、それが桜花の願いなんだから。向こうに話は通したさ』
「そんなことすんなよ!」
『ははは! 悪い悪い』
歯を食いしばる。
映像の中、パトカーのサイレンがうるさい。
多くの警官が、前から歩いてくる男に銃を向けていた。
「とまりなさいッッ!」
「………」
イグゼシブ。魔獣の中でも上位存在『バッドエンド・ギア』の一体だ。
多くの棘があしらわれた紺のレザーコートに身を包み、赤いワンレンズのサングラスをに着けた恰幅のいい大男だった。
彼は向けられた銃口に怯まずに前進していく。
すると、警官の一人が発砲した。
銃弾はイグゼシブの肉体に当たったものの、簡単に弾かれてしまう。
次々と鳴り響く銃声のなかで、小さなため息が聞こえた。
すぐに、警官の悲鳴が聞こえる。
イグゼシブに首を掴まれると、簡単に持ち上げられ、そのまま近くの建物のほうへと投げ飛ばされたのだ。
後退してく警官たち。イグゼシブはパトカーを片手で持ち上げると、彼らに向かって投げ飛ばした。
「無力なり! 人間!!」
振り返ると、軍隊がやってくるのが見えた。後方には戦車も見える。
「人間風情の玩具か。果たしてどこまでやれるのか見せてもらおう」
踏み込んだイグゼシブのシルエットが変化する。
そこにいたのはミラーモンスター・シールドボーダー。
胸部には巨大なイノシシの顔を模した盾が装着されており、それがライフルの弾丸を簡単に弾いていく。
さらに、速い。
次々と隊員たちを吹き飛ばし、さらに加速。
このままでは危険と判断したのか、戦車が砲弾を発射した。
轟音。そして衝撃。
にも関わらず、シールドボーダーは一瞬たりとも減速しなかった。
砲撃を胸のシールドで完全に防御していたのだ。
シールドボーダーはそのまま戦車を『通過』して、前方にあるビルをも通り抜けて、次々と崩壊させていく。
「ぐあぁあ!」
別の場所では電王が宙を舞い、地面に激突した。
「ちッ! 野郎――ッッ!」
立ち上がると仲間のライダーがやられているのが見えた。
散り散りになって怪人たちを倒そうと決めた時、桃毛の少年が走ってきたのだ。
突然、殴りかかってきたと思えば、ライダーたちと渡り合っている。
いやむしろ強化フォームが解除されたばかりとはいえ、押している。
「うっ!」
殴りかかってきたファイズの拳を、上体を後ろに反らして回避すると、目にもとまらぬ速さで裏拳を顔に打ち込んで怯ませる。
右手でファイズの腕を掴むと軽々と投げ飛ばし、走ってきた響鬼やブレイドのほうへ命中させる。
さらに少年は手のひらからエネルギー弾を連射してカリスやデルタの飛び道具を打ち消しながら当てていく。
そこで踏み込み、回し蹴りを行った。
エネルギーを纏った衝撃波が拡散し、一同は悲鳴を上げて吹き飛んでいく。
踏みとどまったのは電王だ。剣を構えて、地面を蹴った。
「オラァア!」
剣を横へ払うが、少年は前宙で電王の背後に着地すると、背中を蹴る。
電王はすぐに剣を振るうが、少年は体を反らして器用に回避していき、頭突きで電王の頭部を打った。
衝撃でよろけていたところで肩を掴んで腹を二発殴り、手刀で胸を二回斜めに切ると、両手を突き出して、そのまま吹き飛ばした。
「おわぁっっと!」
転がっていく電王。少年はニヤリと笑い、足を進める。
一瞬、止まる。
感じたエネルギー。アメジングマイティへ変身したクウガと目があった。
「ハァァァアア……!」
クウガは腕にパワーを集中させる。
バチバチとエネルギーが迸り、そこで少年は笑みを深くした。
「いいねぇ。やっぱそこらへんの人間よりはよっぽどいい」
魔獣・アグゼルは、人間態から真の姿である『ワイルドボーダー』へと変身する。
同じく拳にモザイク状のエネルギーが収束し、そこで互いは地面を蹴った。
「おりゃああああああああ!」
「ハァアアアアアアアアア!」
ぶつかり合う拳と拳。
衝撃とエネルギーが拡散し、やがて爆発を生み出した。
「ぐあぁあああ!」
立っていたのはワイルドボーダーだった。
吹き飛んだクウガは変身が解除され、ユウスケは口から血を吐き出した。
すぐに薫が駆け寄ると、ワイルドボーダーは笑い始める。
「お前も『タイセツナヒト』がいるのか。だからやはり……、悪くない。だが勝ったのは俺だ。俺のほうが強い」
ワイルドボーダーは女は殴らない。
だから肩にあった砲台の口が、上から正面に移動する。
「負けたほうが死ぬ。わかりやすいルールだろ?」
発射。
しかし、光弾が命中したのは地面だった。
灰色のオーロラが現れたかと思ったら、ライダーたちをすべて消してしまったのだ。
「おっと。まあ、いいか。退屈しのぎにはなったしな」
すると上空から魔獣の協力者であるクララドールズが一体、イバリが飛んでくる。
金髪の髪。左側だけ濃いピンク色のリボンで結んでおり、右目は髪で隠れている
黒いワンピースを着ており、他のクララドールズとは違って、肌の色や身長などが人間と全く同じである。
「ライダーたちは全て退けた」
「流石です! アグゼル様っ! か、かっこいい……!」
「あとは頼むぜ。街の破壊は……、どうにも興味が出ねぇ」
「うん! 任せて!」
コネクト。
イバリが魔法を発動すると、モザイク状のゲートが現れ、そこから次々と『初級インベス』が飛び出してくる。
中にはシカインベス強化体や、イノシシインベスといった巨大なものまで見え、それらは次々に街を破壊していった。
「きゃあ!」
夏美の悲鳴が聞こえる。
これでもう三回目だった。
彼女は衝撃波で吹き飛ばされ、地面に倒れる。
「お姉さんたちには感謝してるよ。だからもう行って。関係ないでしょ? あなたたちは別の世界の人。だったらここが壊れようとどうでもいいじゃん」
この言葉もまた三回目だった。
しかし、はいそうですかと引き下がれるわけもない。
「よせ桜花! キミは自分が何をしているのかわかっているのか!」
ダブルも駆けつけ、説得しようと試みるが――
「ぐああぁあ!」
桜花がステッキを掲げ上げると、衝撃波がダブルを吹き飛ばす。
「……私がこんなに苦しんでいるのに他の人はしらんぷり」
地響き。
「でも私みたいになれば、きっとみんなわかる」
文字通り、地面が割れた。
「そしたら私は、ざまあみろって笑ってやるの!」
そこから現れる巨大なロボット。
ゼノンには見覚えがあった。それは、かつて"時空破断システム"と呼ばれたものと似ていた。
メガリバースマシン。生と死を入れ替えることができるショッカー発明品だが――
これは"メガリバースマシン改"。
見た目は変わらないが、『生と死』だけではないものを反転させることができるのだ。
「まさか……!」
デンデンセンサーを起動。
魔獣のレーザーに貫かれて死んだ青年を見た。
人間は死んだら終わりだ。しかしその青年はゲームオーバーになっただけ。
桜花がボタンを押してあげれば――
「……!」
青年が別の場所に出現した。
そしてまた逃げ惑い、しばらくしたら殺されてしまう。
そしたらまた、別の場所にてコンテニュー。
この世界。大ショッカーと魔獣が出現してから、『人口が一人も減っていない』のだ。今もどこかで誰かが殺されているにも関わらず。
「でも外からのお客様は対象外だぜ」
「!」
反射的にデンデンセンサーを外す。見えたのは拳だ。
「シカァーゴ! バッカァーッッノ!」
「ぐあぁあぁ!」
エネルギーを纏った拳を受けてダブルは地面を転がり、変身が解除される。
着地したのは大ショッカー怪人・アリカポネ。
その体が変質し、人間態・ロギーへと変わる。
「久しぶりだなぁ! 聖司ァ!」
「お前はッ!」
「ブレイクエネミーは俺だディケイド。愛と錯覚しちまうくらいに殺しあおうぜぇ?」
ロギーの右にイカファイアが。左にはヤマアラシロイドが立つ。
そしてその後ろ、アパートの屋根の上から姿を見せたのは――
「秋人」
「………」
COBRA、そしてSNAKEとBATも見える。
「桜花ちゃん!」
夏美が叫んだ。
「桜花ちゃんはっ、怒りから他者を巻き込もうとしているだけです! お願いだから考え直してください!」
「やだっ!」
その反論に、本当の桜花を感じた。
まだ子供、理不尽なものに対する漠然とした怒り。
夏美は酷いことを言ってしまったと怯む。
だから飛んでくる攻撃に気づくのが遅れた。
ネクロデザイアが発射した球体が夏美を飲み込もうと――
「!」
オーロラが攻撃を遮断する。それが晴れた時、そこには誰もいなかった。
「ううぅッゥ!」
栞――、ビシュムは呼吸を荒げながら膝をついた
彼女がオーロラで、司たちを学校内部へと戻したのだ。
こうして彼らは一旦、脅威からは遠のいた。
一度、場所は変わる。
チームディエンド。リーダーの
まあとにかく、そのつど長々しい名前をつけているグループだ。
その名の通りレジェンドライダーのディエンドとは一文字違いで、性格も限りなく近いというリイマジとしての優秀さや、他にもいくつかレジェンドとは異なる点をもつチームとして注目されていた。
今日は、湖の畔に拠点のスカルギャリーを停車させて、近くのログハウスを借りているようだ。
朝焼けを受けてキラキラと輝く湖畔を見つめながら、蛇柄のロングスカートで紫色の髪の女性が大きく伸びを行っていた。
「あ゛ー! やらしいことしてぇ……!」
「最低の女だなクソ!」
緑色の髪の眼鏡の少年がイライラしたように頭をかいている。
名前はディス。彼が住んでいた孤児院出身者は、番号で呼ばれるのが基本だったので、自分で適当につけた。
しいていうなら『マンティス』が元ネタだ。
もともとは工房で安い石を加工して高く売るという詐欺まがいの仕事をしていたが、海東に誘われてオーズになった。
選ばれたのは『傲慢』のメダル。だから髪が緑色に染まっている。
「何が最低なのよ。五万で一発どう? 天国に連れてってあげるから」
ディスはその言葉を無視して、
彼女も名前は自分でつけた。もともとの名は玄武、別名はシンムグルン。
本当の名前も、本当の姿も可愛げがないから巳麗自身はあまり好きじゃなかった。
だから海東の誘いを受けて『色欲』のメダルを手に入れた。その影響で髪が茶色に染まったが、さらに自分で紫に染めてみた。
そんな巳麗と同じ世界出身の少女がログハウスで朝食をとっている。
量がおかしい。一斤の食パンが二十個ほど山積みになって、これまた山ほどあるウィンナーやスクランブルエッグ、ベーコンを次々と口の中に運んでいる。
露出の高い民族衣装のような風貌に、燃えるような赤い髪の少女。名前は
自分の世界よりも面白そうなものを求めて『暴食』の赤いメダルを手に入れた。
「ねえ朱雀ちゃん。これも食べる? ぼくね、頑張ってつくったんだ!」
銀髪で中性的で小柄な少年が、くまさんだの、ねこさんだの、ウサギさんだの、可愛らしいクッキーを持ってやって来た。
リラ。名前は適当につけた。ディスと同じ孤児院で育った彼についた名前は21だった。21番目にもらわれたという意味である。
屋敷で雑用係として働いていたが、海東に『憤怒』のメダルを与えられた。
「お、サンキュー!」
朱雀は大口を開けて可愛らしいクッキーをザラザラと口の中に放り込んでいく。
なんかちょっと違う。涙目になっているリラを横目に、朱雀は食事を続けていた。
一方、少し離れたところではフリルがあしらわれた清楚系のファッションに身を包んだ、青髪の少女・マリンがソファに座っていた。
とある世界で貴族の一人娘だった彼女は、世界の崩壊に立ち会った。
自らの世界が朽ちていくなかで、共に滅びることも考えたが、結果として選んだのは生き残ることだった。
現在、ソファに座ったまま動かない。
身の回りの世話は、唯一連れてきた執事のタイガが行っている。
爪の手入れ、紅茶の温度調整、パンの切り方、すべてだ。
マリンは一歩も動かないし、けだるそうに口を開けて、咀嚼や嚥下すらめんどくさそうにしている。
それは彼女の元々の性格もあるが、一番は『怠惰』のメダルを手にしたからだ。
召使であるタイガの髪色が金髪になったのも、『嫉妬』のメダルが原因である。
そしてログハウスの一番奥の部屋では、海東が盗品のお宝を見ながらウットリとしていた。
そこで連絡が入った。即決だったし、誰もそれを止めなかった。
命を失うかもしれないが、それは彼らを止める足枷にはならない。
それが彼らの価値観なのである。
だからスカルギャリーが桜花がいる世界に降ってきた。
【ガ~タガタガタキリッバ! ガタキリバ!】
人の上に立ちたい。
【ラタラタァ~! ラトラーター!】
独占したい。
【サゴォゾ……! サゴーゾッッ!!】
怒らせるな。
【タ~~ジャ~~ド~~ルーーッ!】
喰いたい。
【シャシャシャウタァ~! シャシャシャウターッ!】
究極の静寂を。
【ブラカァァァァァァァッワニッ!!】
果てしない快楽を。
「………」
オーズたちの、間から小柄な少女が歩いてくる。
天王路真由。ぼんやりとした目が、無数の化け物を捉えた。
腰に巻かれていたのはオーズドライバー。真由の周囲に三枚のメダルが浮遊して自動的にセットされていく。
真由は目を閉じ、そして開いた。
瞳は、紫色に染まっている。
「……変…身」『プテラ!』『トリケラ!』『ティラノ!』【プッ! トッ! ティラーノ! ザウルースッッ!!】
一瞬だった。
オーズの周囲にいたショッカー戦闘員や従者型が氷漬けになる。
全てが、欲しい。
「ァァアアアァアァアァアァァアァアアアアア!」
プトティラが吠えた。
プテラノドンを模した頭部が翼を広げると風が吹き、氷がバラバラに砕け散る。
それがスタートの合図だった。地面を蹴るオーズたち。
「さあ、この世界ではどんなお宝が手に入るのかな? 楽しませてもらおうじゃないか」『カメンライド』『ディエンド!』
仮面ライダーディエンドもまた、嬉々として戦場の中に飛び込んでいった。
「心配だなぁ。ああそうさ、真由ちゃん大丈夫かぁ?」
「大丈夫。俺の妹は最強だからな」
鏡治はソワソワと窓の近くで動き回っている。
「とにかく今は彼女たちも協力してくれてるし……、任せよう」
治療カプセルをフル稼働しつつ、一部は葵や里奈が包帯を巻いて手当をしている。
その中でゼノンが言った。ディエンドやオーズが敵を減らしてくれているが、味方はそれだけじゃない。
メガリバースマシンによってゲームの存在と実際に生きている人間の存在が入れ替わった。
ということがあったため、ゲームキャラ扱いになっているものが舞台に降り立つことができるようになっていたのだ。
「スターライトアロー!」
巨大な水瓶が出現すると、そこから水でできた龍が八体、体を伸ばしてショッカー戦闘員や従者型、下級インベスを呑み込んでいく。
さらにアパートの屋根にいた、まどか先輩が、光球を射手座に並べる。
完成する『まどキャノン』。四つん這いになり、背中に生まれた大砲を発射していく。
「エケエケエケ!」
鳴き声をあげ、爆煙を切り裂き走ってきたのは、カニバブラー。
飛び上がり、手にあるハサミで、まどか先輩の首を切り取ろうとする。
「南無」
合唱。まどか先輩、諦めの境地。
「
しかし雷光が迸ると、サキが膝蹴りで敵を引きはがした。
「
硬いカニバブラーの装甲に、ズブズブと膝が沈んでいく。
そのまま押しつぶすと、敵は爆散して消え失せた。
フールズゲームにいた一部の参加者が、人を守るために現実世界に降り立ったのだ。
今もニコが、魔法少女や騎士たちに、指示を出している。
『まどか班は北を死守! かずみ班は東! あとは全部さやかに任せた! いけるな!』
「いけるかァ! あたしの担当が重すぎるだろ!」
「冗談でんがな。とにかく指定したところに向かってくれ」
そこでニコは待ったをかける。
「また上級怪人を発見! 一番近い場所にいるのは――」
それは、アパートの一室だった。
「きゃぁあああ!」
女性が悲鳴を上げて腰を抜かしていた。
つい先ほどまで眠っていたが、外が騒がしいので目が覚めた。
様子を見ようとカーテンを開いた時、そこに蜘蛛男が張り付いていたのである。
「フフフ、見つけた。対象を発見! ただちに殺害する!」
蜘蛛男は窓を蹴破るが、部屋に侵入する前に真横へフェードアウトした。
大量のオラクルを全身に受けて地面に倒れたところを、ガルドストームに首を掴まれて持ち上げられる。
すると竜巻が発生。蜘蛛男が空に舞い上がった。
次いで、無数の火の鳥が直撃していき、あっという間に燃え尽きた。
火の鳥たちは、そのままさらに加速してアパートの周りにいた怪人たちを逃さず始末していく。
やがて一か所に集まっていくと、オーディンとなって着地した。
「少し言葉が気になりました」
織莉子は飛び上がり、割れた窓から中に入る。
「え? え!? えッ、なに!?」
「落ち着いてください。私は敵じゃない」
織莉子は部屋の中を見回す。
そうしているとオーディンも入ってきた。織莉子を見るときちんと靴を脱いでいたので、慌てて変身を解除すると上条も靴を脱ぐ。
織莉子はふと、棚にあったゲームを見つけた。
「これは、確か――」
そこでアパートが消し飛んだ。
塵になった跡地に降り立つのは、ネクロデザイア。
何もかもが消滅したが、ゲームソフトだけは無事である。
「我が、本体。これでいい。フフフ」
そして一方、少し離れたビルの屋上に織莉子たちはいた。
「あぶなかったね。織莉子の魔法がなければ今頃……」
織莉子の固有魔法は未来予知。
ネクロデザイアの攻撃を知って、オーディンのワープを使ったのだ。
傍にいた女性はしばらく呆けていたが、織莉子がおおまかな事情を説明すると、何が起こっているのかは把握したようだ。
「まさか、そんな……、私のゲームに」
女性の名前はマホといった。
心当たりはないらしが、それはそうだ。バグスターウイルスが感染したのは本当にたまたまであり、特別な理由はない。
ましてやマホに意味もない。大ショッカーはゲームさえ回収できれば、マホは殺してしまうつもりだったのだし。
「もしかしたらゲームを破壊すれば弱体化させることができたのかな?」
「かもしれません。ですがあの時は逃げることを考えるのが精いっぱいで……」
確かに感染源を経てば、バグスターは多少なり弱体化する。
それに大ショッカーとしてはバグスターという存在を解析したいがために、いずれにせよ手に入れたかったというわけだ。
「あ、あの」
「はい」
「パソコン、とかって……、あの、私の」
「ごめんなさい。もう諦めてください」
「そ、そうですよね。いや、あの、いいんです。一応なんとなく聞いてみただけだから」
上条はふと、その様子が気になった。
「何か、大切なデータがあったんですか?」
「いやッ、その……」
マホはしばらく固まっていたが、やがて、ニヘラと笑った。
「イラストレーター……志望なんですっ! って、いっても……、本当、何年もやってるのに全然ダメで。えへへ」
「そう、なんですか」
「この前もネットに絵をあげたんですけど、へたくそって言われて。個人的には頑張ったつもりなんですけどっ、その……」
口パクになった。やがて口を閉じて、ニコリとほほ笑む。
「もういいんです! やめる! いい……、きっかけになったかも!」
上条は少しシンパシーを感じた。
しかし会って間もない人間に何を話す? だから上条は何も言わなかった。
下を見る。怪人はまだ、多い。
むろんそれが魔法少女の願いであるのだから当然だ。
学校ではその魔法少女とは何かが説明されていた。
インキュベーターの手によって生み出されたものであり、その末路も説明される。
その事実に驚いているものはいたが、今はそれどころではないのだ。
「魔法少女になったものを戻す方法は存在していない。よって、桜花を止めるには彼女を殺すのが一番だ」
「なに言ってるんですかゼノンくん!」
夏美は怒ったが、ゼノンも怒っていた。
そもそも果たして桜花を殺せば収束するのか? ジュゥべえに問うと、ケースバイケースであると。
『今回は世界崩壊の能力が桜花によって生み出されている』
ブレイクエネミーであるロギーを倒したとしても、彼女がいる限り大ショッカーや魔獣を繋げる世界のゲートは開き続ける。
それが桜花の発動している魔法なのだ。
つまりそれを止めるには、彼女を止める必要がある。
それで怪人たちが消えるわけではないが、少なくともこのまま放置していては敵はいつまでも湧き続ける。
『だから魔法の発動を断つために桜花を殺すのはアリだぜ』
「そんな……!」
「キバーラ。桜花は間接的にだが命を奪っている。こうしている今もね」
「でもっ、本当に殺してるわけじゃ……」
「結果的にそうなっているだけだ。それは殺意の否定には繋がらない」
「……ッ」
「こういうシステムにしたのは彼女の良心か? 仮にそうだったとしても、あの不安定な状態では理性はすぐに壊れてしまうよ。それに今の説明通り、彼女は魔女がいない世界で魔法少女になった。その意味がわかるよね?」
つまりグリーフシードがない世界であるということ。
ソウルジェムを浄化できなければ、魔法少女は魔女になる。
「とっくにラインを超えているんだよ。彼女を助けても近いうちに魔女になる。そしたら多くの人を殺すのだろう? それを容認しろと?」
「それは、その……」
「ジュゥべえ、グリーフシードなしでソウルジェムを浄化できるのかい?」
『無理だ。魔法を使わずに生活すれば、そこそこ生きるだろうが、今の桜花はフルパワー全開だぜ』
「そう。だからわかりやすく言おう。彼女は怪人になったんだ。ショッカーに改造された今までの奴らと変わらない」
でも、桜花ちゃんは、今までずっと苦しんできて……
それが原因だから、少しは仕方ない。
あ、でも、何の罪もない人が今も苦しんで。
だから、それは、でも、きっと……
思う。
そうか、それならば、仕方ない。
司は酷く落ち込んだ。理由はわからない。
だってかわいそうな過去がある怪人を殺したことがある。
それと何も変わらない。
相手が小さな女の子だから? それは差別だ。
だから、きっと、たぶん、仕方ない。
殺
『方法は、ある』
声が聴こえた。
「え……?」
司は砂の大地に立っていた。空には銀河が広がっている。
これはいつか見た景色だ。COBRAに負けた後に見た景色だ。
司の前には男がいた。姿はよくわからない。黒い闇でぼやけている。
しかし男がつけているドライバーだけはしっかりとその存在を誇示していた。
司はそれを見て、その男が誰なのかを察した。
また会いましたね。そう言おうとしたがやめた。そういうのはたぶん、嫌いな人間なんだろうから。
「どうして……? また、ここに?」
「落ち込んでいるヤツの肩に手を置くくらいの優しさはあるさ」
司は考えた。なぜ彼がここにいるのかを。
以前、あの時の司は、全てを破壊された。
アイデンティティ、自信や希望、そして自らの中にある正しさ。
違う言い方がある。それはたしか、漢字を二つ並べた言い方だったと思う。
「同じなんですか? 貴方はそれを知っているから、ここに来てくれた」
司は桜花を助けられないと思った時、凄まじい失望感を覚えた。
「俺の抱いた感情は、あの時と……」
男は何も答えなかった。代わりにその時の話をする。
「世界が崩壊し、多くの命が潰えた。だがフェザリーヌは世界を再生した。お前に契約を持ち掛けるためにだ。それと似たようなことをすればいい」
「え……?」
「お前はなぜ、諦めた? 俺にはよくわからない」
何が判断を決定する? 常識か? 確率か?
いずれにしても、疑問である。
何度も腰に巻いたものがあるというのに、まだそんなものに縛られるのか。
それでは破壊者の名が廃る。壊す力はなんのためにあるのか。
「新しい概念で世界を再生、あるいは創造する。それが魔女のやったことだ」
多くの炎を蓄えた司ならば可能であると。
そして既に似たようなことをしていた。それは栞の件についてだ。
司は栞の『兄』になった。兄ではなかったが、別の世界では兄だった。だからこそ、そこに融合した。あるいは統合といってもいい。
それと何が違うのか。
「むろん今回は、大きな犠牲を伴うがな」
それだけだった。そこで司は自分が今いる場所が、教室の中であると理解した。
「ちょっと待ってくれゼノン」
言葉は、すぐに出た。
「俺は、桜花ちゃんを助けるよ」
みんな、ポカンとしていた。
何を言っているんだコイツはという表情だった。
夏美、以外は。
「今更、何を?」
そうだ、今更だった。
たとえば旅行。
みんなで大阪に行こうと意見が纏まった時、いきなり東京に行こうと言い出したヤツ、それが司。
たぶんきっとそれくらいのことなんだろう。重さ的には。
それでも司はもう一度、口にした。
「桜花ちゃんを救う。彼女は死なせない」
「だからその方法がないんだと言っている」
「ある。一つだけ。いや、もしかしたら他にもあるのかもしれないけど、一つだけ確実に救える方法が俺の中にある」
「へぇ、聞こうじゃないか」
「ただしそれは大きな代償があるんだ」
司は俯く。
「ごめんみんな」
そして、顔を上げた。
「旅を終わりにしよう」
一瞬、時が止まったような錯覚に陥った。
「え……?」
とりあえずユウスケが音を出してみるが、それだけだった。
どういう意味なのか、一応自分で考えてみるが答えがわからない。
だがゼノンは違った。それができる方法があるのなら、おのずと絞られるからだ。
「……ちょっと待て、まさかお前ッ、や、やめろ! 嘘だろ?」
「俺は本気だ」
「どうかしちまったのか!? おい、ディケイド! これはスルーするべき案件だろ!」
「ど、どういうことなんだよゼノン。司は何が言いたいんだ?」
「統合化だ……! しかしディケイド! あれはビシュムの兄がキミと同一的存在だったからこそ可能だっただけで!」
「できるさ。俺たちの力を合わせれば」
旅をするなかで、多くの力に触れた。多くのパワーを手に入れた。
「それらはきっと、桜花ちゃんを救ってくれる」
司は立ち上がり、壁にもたれかかっていたエムを見る。
「力を貸してほしい」
「おれが……?」
エムは一瞬、怯んだが、ニヤリと笑った。
「まあ、いいけどね」
「そういうことか」
ゼノンも理解したらしい。
「レジェンド様から教えてもらったのか。でも待ってくれ! キミが桜花と交わした言葉を羅列してごらんよ。それはきっと原稿用紙二枚にも満たない筈だ!」
「かもしれない。時間にしてみれば出会って、一日も経ってないし、一緒にご飯を食べたりもしてない」
「だったらわかるだろ! そんなワケのわからない、しかもゲームのキャラのために積み上げてきたものを崩すっていうのか? あまりにもリターンがないね、キミたちの、ボクらの努力を無駄にする気か!?」
「ゼノン。でもそれは違う。無駄じゃないんだ」
「おいおいおい、なんのためにライダーにしてやったと思ってる! こんなゴミみたいなことで終わらせる気か! そもそも忘れたわけじゃないだろ! キミが諦めるということは、魔女との約束を破ることだ! キミが死ぬんだぞ?」
「諦めるんじゃない。進むんだ」
司とて、自分でもおかしいことを言っていることはわかっていた。
だがしかし、どうしても譲れないものが一つあった。
それを今、やっと自覚する。
「俺は何が好きだったのか、考えたことがある」
COBRAと戦って、ベルトが巻けなくなった時、そこにいたのは弱い人間の自分だった。あ
れがないとダメなんだ。あれがないと何もできない。
でも今は違う。ディケイドライバーは、確かにこの手の中に。
「たった一人、見捨てない」
桜花は苦しんだ。だからその選択をとった。だから助ける。
「それが俺の
大投票の結果見たんですけど、やっぱ電王はすごいですね(´・ω・)
いや僕もね実際、平成ライダーでは龍騎か電王が並んで一位みたいなところあるんで、まあまあまあって感じなんですけど。
やっぱ当時の時代があったってのもあると思うんですよね。
シリーズで見てる身からすると、電王は平成一期だったから、あそこまでの爆発力があったような気がします。
学校とかでもすごかったですからね。まじでクラスほぼ全員見てました。
アーティスト、俳優、アニオタ、特オタとか、ビタッとハマったものがあったんでしょうかね。
あと意外とビルドが高くて意外でしたね。
まあビルドも僕は順番がよかったと思ってるんですけど、どうなんですかね?
仮面ライダーのベタな要素を入れつつ、なんか常にエボルト! エボルト! エボルトォオオ! みたいな作風が当時はめちゃくちゃ新鮮だったんですよね。