Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034   作:ホシボシ

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第12話 エピソードディケイド

沈黙が訪れると真志は思っていた。しかし意外と言葉はすぐだった。

 

 

「違う」

 

「……?」

 

「おれたちは負けない」

 

 

立ち上がった男がいた。小野寺ユウスケだった。

 

 

「ここでアンタに負けたら――ッ、おれたちのやってきたことが無駄になる」

 

 

ここで諦め、剣崎を行かせるということは、遠回しに桜花を見捨てたことになる。

それだけは絶対に許すことができなかった。

死んでも――、とはいわないが、なかなかどうして、言葉が見つからない。

だがそれでも何か、この、心にあるものを伝えなければならない。

だからユウスケは震える膝を押さえて立ち上がった。

 

 

「おれたちはずっと戦ってきた。少しでも自分の中にある。あるいは、生まれ続ける大切なものを守るために。それは必ずしも輝いてるものじゃないかもっ、しれないけど――ッ!」

 

 

ユウスケはかつての自分が行った試練を思い出した。

グロンギを前に恐怖したが、彼は戦った。

それは一人の少女を守るだめだ。奇しくも、それは今の桜花にとても似ている。

 

 

「少しでも悲しむ人がいなくなるように……ッ!」

 

 

ユウスケの声を聴いて、気絶していた翼が目を覚ました。

壊れた眼鏡を捨てて、目を見開く。

幻の中に閉じ込められた彼が脱出できたのも、きっとユウスケの中にある感情とそう変わらないものを抱いたからだ。

 

 

「それがおれたちの、Episode DECADEを形作ってきたんだ!」

 

 

真志は唸った。美歩も同じだった。

立ち上がるために力を込めたのだ。立ち上がれなかったが、立ち上がろうとはした。

レジェンドに触れた感覚。あの時、なぜ戦いと思った?

なぜ命を懸けようと思った?

 

 

「ここで諦めたら……ッ、桜花ちゃんは笑顔で終われない!」

 

 

ユウスケの言葉に呼応するように、拓真と友里は目を合わせて頷きあった。

カウントダウンがゼロになれば世界が終わる。だからこそゼロになる間際まで諦めずに足掻こうと思った。

あの時そう思えたならば、きっと今、ここで思えない理由はないんだ。

 

 

「だからおれたちは、負けない……!」

 

 

ユウスケの声が聴こえるなか、椿と咲夜は睨み合う。

無駄だ。俺には勝てないとブレイドは言う。それは本当のことなのかもしれないが、だからといって諦める理由にはならない。

誰かからそう、学んだ。

考えてみればそれは不思議な話ではないのかも。

かつての椿もそうしたし、やがて咲夜もどこかでそうした。

そこで椿は目を細めた。『何か』が落ちている。拾えと、誰かに言われた気がした。

 

 

「きっといつかのアンタだってそうした筈だ!」

 

 

ユウスケが吼える。ブレイドの様子が一瞬だけ変わった。気がした。

アキラは立ち上がると我夢に手を差し伸べる。

死ぬと決まった運命も変えようとした。あの時に抱いた気持ち、情熱を、きっと彼らはまだ失ってはいない。

アベレージというものがある。きっと、人間には。

我々が抱いた想いは少なからず人間だれしもが抱き得るものなのだと。

 

 

「炎なら着火剤がある。人の心の中にもきっと、ある! おれたちのそれはきっと同じなんだ!」

 

 

双護と鏡治は既に立ち上がっていた。

彼らも一度は戦った。その時に抱いていた想いは正解だったのかもしれないし、不正解だったのかもしれない。

人間は考えを変えることができる。良い意味でも、悪い意味でも。

でも変えたくない想いとか、そういうのはまたちょっと違うところにあるんだ。

 

 

「………」

 

 

ブレイドは野上良太郎とハナと目が合った。

良太郎とハナは頷いた。ユウスケにつく。そう目が語っている。

ブレイドは小さなため息をついた。

 

 

「桜花ちゃんを諦めたら、どの道、おれたちの仮面ライダーは死ぬんだ」

 

 

車椅子がぺちゃんこになっている。里奈はキバが庇っていた。

かつて、キバの試練では、違う価値観の人たちがいて、仲違いをしていた。

それでもいつか、何かのきっかけで人々は分かり合えると思った。

だから桜花もきっと、わかってくれる。

その想いが、届きさえ、すれば。

 

 

「………」

 

 

いつの間にか、辺りにはちぎれたページがいくつも空を漂っていた。

これはEpisode DECADEの記録であり、記憶である。

 

 

「だからおれたちは、諦められないんだ」

 

 

迸る闇。仮面ライダークウガ・ライジングアルティメットが構えた。

ブレイドもまた腰を落として構える。五枚のラウズカードを模したエネルギーが並んでいく。

 

 

「ハァアアア!」

 

 

クウガが吼えると、かざした両手から闇のエネルギーが放たれる。

真っ黒な嵐の中を、ブレイドは走り抜けた。

通過していくカード。光が闇を切り裂き、そして――

 

 

「――ッ!」

 

 

クウガが崩れ、膝をついた。

腹に刻まれた黄金の一閃。傷を抑えて、苦しげに呻いている。

一方で闇を振り切ったブレイドは、クウガに追撃するべく振り返った。

 

 

「!」

 

 

しかしそこで背中に激しい熱を感じた。

あまりにも激しい熱だった故に、すぐに振り返る。

 

 

「この流れ理解してるぜ! どうやらアンタを超えられるとすれば――ッ、それは俺が適任らしい!!」

 

「貴様――ッ、それは!」

 

 

守輪椿は一瞬だけニヤリと笑う。

天から巨大な『本』が一冊、降ってきて、椿の背後に着地する。

あとは力のままにソードライバーから聖剣を引き抜いた。

 

 

 

 

 

 

かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた。

この本がページをめくられるときに現れし聖なる定めに選ばれる剣士の名は……

 

 

――― とても勇敢なドラゴンが聖剣と交わり身に宿る ―――

 

 

ある日、男のもとへ破壊者の遣いが訪れて聖剣を授けた。

すると遣いは口にする。

 

「お前の前にいるのは真のお前であり、その言葉を疑うことはないだろう」

 

しかし男は首を振った。

 

「叶えなければならない夢がある」

 

遣いは問うた。

 

「なぜか」

 

男は答える。

 

「叶えなければならないからだ」

 

それは仲間たちのためであり、愛した女のためであり、なによりも自分自身の意地があるからだ。

すると遣いはゆっくりと頷いた。

 

「それでいい。それでいいのだ」

 

遣いは言う。

真実でないということは、其れ即ち、偽りということではない。

仮に偽りだとしても、それは視点の話である。

偽りであったとしても、おそらくそれは幻ではない。

幻であったとしても、虚ではない。

 

「ならば剣を取れ。お前には剣士の資格がある」

 

遣いは言った。

 

「火竜が放つ炎に耐えられるとするならば、それはお前が炎であるということだ」

 

轟々と燃えたぎる炎は刃を伝い、柄を持つお前の腕を包み込むだろう。

それに耐えることこそがお前に今一度訪れた『試練』なのである。

 

「授けた力の他に、お前には既に魔術書を得ている筈だ」

 

それがお前たちが旅をする中で、己の力で記していた――

 

「わかった」

 

男は剣を抜いた。

 

『烈火抜刀! ブレイブドラゴン!』

 

烈火一冊!

勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く――!

 

 

 

 

 

「変身!」

 

 

斬撃が仮面になる。

そこにいたのは仮面ライダーブレイドではない。まったく、新しい、別のライダーの姿であった。

 

 

「どうやら俺の進化は止まらねぇみてぇだわ。レジェンド様よ」

 

「……セイバー」

 

「昨日、二万もスパチャした甲斐があったぜ。ボイスも買ったし、俺は無敵だ」

 

「フン、所詮はまた与えられた力だ」

 

「確かに。でも少しだけ違う」

 

「なに?」

 

「もうあったんだよ。ずっと前から。アンタらに出会う、きっとずっと前から!」

 

 

セイバーが走ってくる。

ブレイドは何のことはなく手を前にかざして無数の雷をセイバーへ落とす。

セイバーは耐えながら進む。雷は激しくなるが、尚も突き進む。

しかしようやっとブレイドの前まで来た時にはダメージを受けすぎていた。

振り回す剣は簡単に回避され、カウンターの蹴りを受けて地面を転がっていく。

動きが止まったところで落雷。セイバーに直撃し、悲鳴が聞こえる。

セイバーの全身から、ガクンと力が抜けた。

首もだらりと力をなくしている。

 

 

『お兄ちゃん……!』

 

 

可愛くて、美少女の、妹が泣いていた。

 

 

『負けないで!』

 

「ったりめぇだろ……ッ!」

 

 

セイバーは立ち上がる。

 

 

「………」

 

 

カリス、一瞬停止。

 

 

「誰だ今のは!?」

 

「ほぇ?」

 

「貴様に妹はおらんだろ!」

 

「え……? うん」

 

「何の回想だ! びっくりした!」

 

「うるせぇえッ! いいか! 今のは、あれだ! あれだよォオオ!」

 

 

セイバーは再び剣をもって走っていく。

ブレイドは呆れたように鼻を鳴らすと、再び雷撃を彼に――

 

 

「!」

 

 

おかしい。電撃がセイバーに直撃しているのに、彼の歩みが止まらない。

鈍りさえしない。そこで気づいた。ソードライバーにいつのまにか二冊目の本がセットされている。

一冊はブレイブドラゴン。そしてもう一冊は――

 

 

「ッ、それは……!」

 

 

ワンダーライドブック『Episode DECADE』。

雷の中、セイバーは走った。勢いが止まらない。ブレイドはキングラウザーを振るうが、聖剣がそれを打ち弾いた。

 

 

「馬鹿な!」

 

「英雄譚は一人の幼い少女を見捨てない!」

 

 

剣が交差し、ぶつかり合う。

ブレイドは確かに感じた。キングラウザーが確かに押し負けているのだということを。

しかし所詮は高校生。戦闘センスがあまりにも違いすぎる。

早速見つけた隙に、ブレイドは剣を差し込んだ。

 

 

「ぐっ!」

 

 

しかしその剣が弾かれる。

拳に。クウガの拳にだ。

 

 

「ナイスだユウスケ!」

 

 

セイバーはクウガの前に回り、剣を突き出した。

 

 

「それが俺たち人類が培ってきた一つの答えだッッ!!」

 

 

手にしていた火炎剣・烈火から炎が溢れる。

燃え滾る炎の剣が、キングラウザーを確かにはねのけた。

そしてその間際に炎が拡散する。それはただの『火』ではない。

セイバーの仮面、十字の炎が輝いている。

 

 

「クロスオブファイア……!」

 

 

炎がクラスメイトたちを照らし、そして活力を、勇気を与える。

雄たけびをあげて次々と立ち上がる少年少女たち。すると腰に炎が宿り、それがベルトとなって、一瞬で最強形態へと変わった。

 

 

「ッ、概念状態か。危険だな!」

 

 

ブレイドは再びマグネットの力を使い、青いエネルギーを拡散させる。

回避不能の絶対攻撃。当然ライダーたちはそれにより吹き飛ばされ、さらに武器を奪われようとする。

 

しかしそこでデルタ・ブラスターフォームは、武器を構えた。

ガトリング型の武器・デルタブラスターはデルタの腕に固定されており、青白いエネルギー弾を連射していく。

ブレイドはその弾丸さえもマグネットの力で受け付けないようにしてみせる。

 

しかし弾丸は磁力に負けず、確実に前に進んでくる。

ブレイドは鼻を鳴らして使用する能力をメタルに切り替えた。

硬化したブレイドへ次々と当たっていく弾丸。

当然、ダメージはない。

 

しかし弾丸が命中したことで、ブレイドのデータがデルタブラスターにセットされたスマートフォンに表示されていく。

蓄積エネルギーの表示。分散した場合の破壊確率。

 

 

「なる! ほど! ね!」

 

 

デルタはスマホに表示されているブレイドの体の『マグネット』と『タイム』の紋章がある部分をタップした。

するとエネルギーが収束し、実際にその部分が爆発を起こす。

 

 

「なにッ!」

 

 

煙が上がる。

タイムとマグネットの部分が損傷しており、力を込めても能力が発動しない。

 

 

「ハァアアア!」

 

「チッ!」

 

 

ブレイドは斬りかかってくるアームド響鬼と鬼の鎧を纏った天鬼をいなすと、突進してきたガタックとにらみ合う。

ガタックの手にあったのはパーフェクトゼクター。カブトとは違い、クワガタの形をしており、半分に割ることでガタックカリバーのように二刀流にすることができるのだ。

ガタックは両手に持っていたそれを振り下ろした。

 

ブレイドはそれを両手で掴み取る。

その瞬間ガタックは加速。武器から両手を離して、そのまま飛び上がってドロップキックをブレイドへ打ち当てる。

わずかに後ろへ下がっていく中で聞こえた電子音。

カリス・キングフォームが放った光の矢が一直線に飛んでいった。

 

ブレイドはそれをキングラウザーで叩き落そうとしたが、そこで装甲が爆発した。

ガタックだ。パーフェクトゼクターは長方形型の剣先に銃口がある。そこからプラズマ弾を発射してブレイドを撃ったのだ。

さらにそこへ響鬼と天鬼も斬撃を飛ばして命中させる。

ブレイドが怯んでいると、胸部アーマーのど真ん中に矢が突き刺さった。

 

 

「ぐぅうッ!」

 

 

そこで爆発。

矢を押し込むようにファイズブラスターの弾丸が直撃した。

しかしそれでも装甲で止まる。

ブレイドは唸りながら矢を引き抜くと、すぐさま握りつぶした。

 

 

「……悪くない」

 

 

そう、悪くない。

ブレイドはサンダーとマッハの紋章を光らせると、一瞬で周囲のライダーたちを吹き飛ばしていく。

帯電して高速で駆けるブレイドをだれも止められない。

そう思っていたが、そこで雄たけびが聞こえた。

 

 

「オォオオオオオオオオオオ!」

 

 

こういのは似合わないので、今までしなかったが、それでも双護は――、カブトは気合を入れるために叫んで飛んだ。

ブレイドに追い付けるのは彼だけだった。

腰を掴むと、そのまま全力で倒れ、ブレイドを引き倒した。

 

 

「先生!」

 

 

叫ぶ。ブレイドの前に展開していくアギトの紋章。

ブレイドがカブトをはねのけて立ち上がった時、その胸にシャイニングフォームの足裏が直撃した。

 

 

「ぐあぁあ!」

 

 

ブレイドから初めてダメージが入ったと感じさせる声が聞こえた。

さらに墜落した先で背中が沈んでいく。

そこは水中だった。ドガバキエンペラーの力なのだろう。

ブレイドはサンダーを発動して電撃を拡散させることで潜んでいる敵をあぶり出そうとしたが、それは間違いである。

 

そこには誰もいない。

次の瞬間、ブレイドは固い地面、校庭の地に倒れた。

見る。電撃を纏った水が移動して、キバが持っていたバッシャーマグナムへ収束している。

さらに銃口には里奈が変身したタツロットが装着されていた。

 

 

『バッシャーフィーバー!』

 

 

黄金の雷を纏った水流弾が連射されて、次々に直撃していく。

キングの力を纏っているのだ。それはキングに効果的に違いない。

事実、ブレイドはうめき声をあげて動きを鈍らせた。

 

そこで翼を広げた電王が突っ込んでくる。

翼でブレイドを弾くと急上昇、そのままデネブヘッドが口を開き、そこから赤色のレーザーが発射された。

 

股間から伸びる光線は見栄えこそ悪いものの、威力は絶大だ。

ブレイドはキングラウザーを盾にして耐えているが、そこで電王は必殺技を発動してすべての仮面を腕へと移動させる。

ボイスターズパンチ。アックスフォームの仮面にある角が、キングラウザーに叩き込まれ、砕ける音が聞こえた。

 

 

「ぐッッ!」

 

 

武器が、なくなった。

ブレイドは破片の向こうに走ってくるサバイブ態となったファムを見る。

 

 

「オゥッらァアアアアアアア!」【ソードベント】

 

 

掠れるほどの雄たけびと共にファムは剣を突き出す。

しかしブレイドはメタルを発動し――

 

 

【コンファインベント】

 

 

鏡が砕ける音と共にメタルが解除された。

視線を移すと、龍騎サバイブが見える。

 

 

「それがどうしたという!」

 

 

ブレイドはビートを発動し、向かってきたファムを真っ向から――

 

 

「なにッ!」

 

 

ファムの体に拳が沈み、直後、その体が白い羽となって弾けた。

本物のファムはブレイドの背後に現れると、煌々と輝く剣を背中に突き入れた。

 

 

「が――ッ!」

 

 

ブレイドが、止まった。

 

 

「真志!」

 

 

ファムが名を呼ぶと、龍騎はドラグバイザーツバイを投げ捨てて走り出した。

走った。全ての力を込めて。

おそらくそれは生まれてきてから初めて出すスピードだったと思う。

 

 

「概念ッ! アンタもそうだ! アンタを引きずり込んだ! 俺たちのフィールドへ」

 

 

セイバーが説明する。

Episode DECADEが教えてくれた。攻略の仕方を。

これは物語だ。だとすれば、すべての描写にはおそらく、ほんの少しでも何か意味がある。

意味のない意味というのも、あるかも、しれないが――

そんな哲学的なものを今、ブレイドは振りかざしたいのか?

 

いや、違う。

ライダーを捨てたこと。

捨てるということ。

 

 

「オォォオオオオ!」

 

 

龍騎は変身を解除した。真志は走る中で、デッキを抜いて捨てた。真司さんごめん。

そうは思ったが、それでもやっぱり答えが見えてしまった。

そうか、そういうことか。司、お前ももしかして――……

 

 

「ぐぉぉおおォオ……ッッ!」

 

 

ブレイドから苦痛の声が漏れる。真志がファムの開けた穴に腕を入れた。

そして、『それ』を引き抜いた。

 

 

「ぐぅッッ、づう!」

 

 

ブレイドは前に進み、真志から逃げると、思い切り地面を殴った。

電撃を纏ったエネルギーがドーム状に発生しライダーたちを吹き飛ばす。

しかし踏みとどまった男がいた。

 

 

「仮面ライダーは……! きっかけに過ぎない!」

 

 

条戸真志の手には、雨龍フォボスが使っていたものと色違いの剣があった。

彼は白い剣を使っていたが、真志が持っているのは黒い剣である。

セイクリッドナイト。雨龍が持っているヴァイスの剣と対になる、シュバルツの剣だった。

 

 

「貴様ァ……!」

 

 

ブレイドは腰を落とし、サンダーとキックを発動する。

ライトニングブラスト。電撃を纏った飛び蹴りが真志を狙うが、真志が腕を前に出すと黒い魔法陣が現れてブレイドの蹴りを完全に受け止めた。

 

 

「……っ!!」

 

 

真志は不思議な感覚に陥っていた。

頭の中を文字が巡る。世界の構造が理解できる。

それはサイケデリックであり、あるいは文字ばかりの何の色も持たないもの。

 

しかし、いずれにせよ、真志はわかったので、剣を抜いた。

黒い風が巻き起こりブレイドを吹き飛ばした。空中をもまれながら着地したブレイドの周りに黒い鎖が伸びて、四肢に巻き付いていく。

真志は踏み込んだ。剣を鞘に納め、そしてもう一度抜刀する。

 

黒い嵐が巻き起こった。

ブレイドの全身から火花が散って、彼は地面を滑っていく。

それは闇だ。真志はそう思った。脳がすべて黒色に染まっている。

 

 

「がんばって!」

 

 

真っ黒な画面に、その文字が刻まれる。

受信した。理解した。それは葵の叫びだった。

 

 

「よくわからないけど! 私は絶対みんなを応援するから!」

 

 

葵とは誰だ?

真志は本気でそう思った。

なぜならば脳の画面がさっきから真っ暗で、何も映っていないのだ。

しかしページを捲る音が聞こえた。セイバーの腰にある本と同じ表紙のものが表示された。

 

それは、Episode DECADE。

そうか。本を読んだので理解した。

 

 

・死んだ葵を真志たちが蘇生させた。

 

 

その、章を読んだ。

オレは、ひどく落ち着いている。

 

 

「仮面は変わっても! 素顔は変わらねぇ!」

 

 

真志の意識が覚醒する。

叫び、剣を振り上げると、ブレイドが倒れていた場所から闇の剣が突きあがった。

剣先がブレイドを空に打ち上げる。

 

下ではクウガが走っていた。

一歩、また一歩、大地を踏みしめるごとに帯電する闇が溢れていく。

 

 

「ハァッ!」

 

 

両足をそろえ、クウガは飛び上がる。

 

 

「おりゃあああああああ!」

 

 

ありったけの闇を凝縮させたキックが、その時、ブレイドの体に直撃した。

 

 

「グアァアアア!」

 

 

墜落したブレイドは地面を激しく転がり、そこで変身が解除された。

剣崎はしばらく闇を纏ったまま地面を転がっていき、やがて停止する。

レジェンドを倒した。とは、思えど、真志は地面に膝をついた。

呼吸が荒い。すると剣が消えていく。

 

 

「ちょ! 大丈夫? 真志!」

 

 

美歩が駆け寄ってくる。

真志は大丈夫だとジェスチャーを送った。

 

 

「当然だ。セイクリッドナイト……、ライダーを超える力を子供が扱えるわけがない」

 

 

剣崎は立ち上がると、服についた砂を払う。

すると真志の周りにあった闇が剣崎のもとへ移動し、剣となって具現した。

息を呑む一同。しかし剣崎は剣を消し去ると、一同に背中を向ける。

 

 

「見せてもらった。悪くない。王にくれてやるには惜しい連中だ」

 

「それは、どういう――ッ!」

 

「……俺のテストは合格ってことさ」

 

「て、テスト!?」

 

 

少なくとも、剣崎にとっては、という話ではあるが。

 

 

「もうわかっているとは思うが、改めて伝えておく。俺たちの背を追うのはやめろ。ライダーはただの殺しの道具だ」

 

 

あるいは司の想う姿こそが本当だったとしても。

それはおかしいと剣崎は思っている。

 

 

「仮面ライダーは、みんなの勲章だ。何も特別じゃない」

 

 

いや、それは、果たしてそうなのか?

 

 

違う。そう断言してもいい。

 

 

なぜならば――、仮面ライダーは……。

 

 

「真の、英雄なのだから」

 

 

その他原作

二次創作

オリジナル

BanG Dream!

BLEACH

FAIRY TAIL

Fate/

GOD EATER

HUNTER×HUNTER

Infinite Dendrogram

Muv-Luv

NARUTO

NEW GAME!

ONE PIECE

Re:ゼロから始める異世界生活

VOICEROID

アークナイツ

アイドルマスター

アカメが斬る!

アクタージュ

アサルトリリィ

アズールレーン

ありふれた職業で世界最強

暗殺教室

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。

イナズマイレブン

インフィニット・ストラトス

ウルトラマン

ウマ娘プリティーダービー

英雄伝説

オーバーロード

ガールズ&パンツァー

学戦都市アスタリスク

かぐや様は告らせたい

がっこうぐらし!

家庭教師ヒットマンREBORN!

仮面ライダー

艦隊これくしょん

ガンダム

カンピオーネ!

鬼滅の刃

銀河英雄伝説

蜘蛛ですが、なにか?

グランブルーファンタジー

ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

けものフレンズ

原神

恋姫†無双

コードギアス

ご注文はうさぎですか?

五等分の花嫁

この素晴らしい世界に祝福を!

ゴブリンスレイヤー

咲-Saki-

シャングリラ・フロンティア

呪術廻戦

食戟のソーマ

ジョジョの奇妙な冒険

進撃の巨人

新世紀エヴァンゲリオン

スーパーロボット大戦

ストライクウィッチーズ

ストライク・ザ・ブラッド

ゼロの使い魔

戦姫絶唱シンフォギア

ソードアート・オンライン

ダイの大冒険

対魔忍

盾の勇者の成り上がり

ダンガンロンパ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

超次元ゲイムネプテューヌ

デート・ア・ライブ

テイルズオブ

転生したらスライムだった件

ドールズフロントライン

とある魔術の禁書目録

東京喰種

東方Project

刀使ノ巫女

ドラゴンクエスト

ドラゴンボール

ニセコイ

日本国召喚

バイオハザード

ハイスクールD×D

ハイスクール・フリート

ハイキュー!!

バカとテストと召喚獣

ハリー・ポッター

緋弾のアリア

プリキュア

プロジェクトセカイ

ペルソナ

僕のヒーローアカデミア

ポケットモンスター

真剣で私に恋しなさい!

魔法科高校の劣等生

魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女リリカルなのは

魔法先生ネギま!

名探偵コナン

モンスターハンター

問題児たちが異世界から来るそうですよ?

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

遊戯王

結城友奈は勇者である

ようこそ実力至上主義の教室へ

幼女戦記

落第騎士の英雄譚

ラブライブ!

ランスシリーズ

りゅうおうのおしごと!

ロクでなし魔術講師と禁忌教典

ワールドトリガー

 

 

黄金の輪の中に表示されていく文字。

それは世界の名前である。今もどこかで新たな世界が生まれては、神々の手によって育まれているのだ。

そしてまたどこかでは、観測が終わった世界もあるのだろう。

それは決して不思議なことではない。当然の摂理というものだ。

 

 

「しかし悲しいかな。優劣というものがある」

 

 

上下というものが、存在している。

終わっていく世界。終わらなければならない世界。終わりを望まれる世界。

数多の神を熱狂させては、そして飽きられていく。

しかしどうか、わかってほしい。その無数にある世界の中の頂点たる存在を。

 

 

「それが、仮面ライダーなのである」

 

 

羅列されていく世界の名前は入れ替わっていくだろう。

支持されているものも、いつかは熱が冷め、神々は離れていく。

それは決して幻とは言わないが真実ではない。

 

しかし仮面ライダーは違う。いつまでもそこに煌々と名を連ねるだろう。

いや、たとえ仮になんらかの事情で無くなったとしても、希望は人々の胸に残り続け復権を望まれる。なぜならばそれが仮面ライダーであるからだ。

 

 

「多くの幼子らが憧れる存在である。子はやがて大人になり、新たな子を作り、ライダーの名を受け継いでいく。こうして仮面ライダーは久遠の時を生きるのだ」

 

 

では他の世界はどうだ? そんなことが起こりうるか?

 

否。

 

悲しいが――、否なのだ。

たとえばそれは民からの支持をわかりやすく示す『通貨』で説明すればわかりやすいだろうか?

 

神なる世界において、仮面ライダーゼロワンは285億を売り上げたそうだ。

他のどの世界がそこに肩を並べることができるだろう?

それだけの支持率を打ち出すことができるのだろうか?

そして仮に、超えていたとしても、それはこの先も永遠に続いていくのだろうか?

 

それは無理だ。

しかし仮面ライダーは違う。

永遠に人々の心の中に生きて、そしてこれからも伝説を刻み続ける。

故に、世界の頂点に立つ資格というものを持っているのである。

 

現に多くの世界がライダーの色を真似た。

当然だ。優れたものを模倣するのは何もおかしな話ではない。常に覇道をを歩み続ける存在こそが、偉大なる仮面ライダーなのだから。

 

その存在を知らぬものはもういない。

加護を受けた時間の差はあれど、加護を拒む愚かものはほとんどいない。

むしろライダーが嫌い。そう言うのであれば、わかりやすくていい。

 

それは悪党である。

あるいは光に触れることを恐れた臆病者。

もっといえば、善を理解できない不適合者なのだ。

 

だが、そう。

いずれにせよそれらは、全て異端なものたちである。

大多数の人間が仮面ライダーを愛しているのだ。

 

 

「だからこそ、お前たちは栄光なる仮面ライダーの礎にしか過ぎないのだ!」

 

 

世界が掌握される。

今もこの瞬間、無数の壁を破壊して、数多の世界に仮面ライダーが降り立ち、誰かを救っているのだろう。

それは当然である。仮面ライダーよりも優れた作品など、この世に存在しないのだから。

その救いをありがたいと思い、敬うべきなのだ。

 

 

「もちろん、それはお前たちもである」

 

 

赤い文字が並ぶ。ラ・イ・ダー。

 

 

「誇るがいい。魔法少女たちよ――!」

 

 

オーマジオウが玉座にて笑う。

 

 

「仮面ライダーとお前たちは肩を並べているのだから!」

 

 

 

 

「!」

 

ほむらを守っていたのは巨大な〇(セイカイ)と×(マチガイ)だった。

 

 

「ッ、貴方は……!」

 

「問題」

 

 

ハットを被った男が、ほむらの前に立っていた。

 

 

「仮面ライダーは魔法少女よりも優れた存在である。〇か、×か」

 

「×です。比べる対象によるでしょう?」

 

「……正解だが、不正解だ。だがこれは出題者の俺も悪い。なぜなら正解のない問題というものだからな」

 

 

その男、堂安(どうあん)主水(もんど)の腰にも、ベルトがあった。

雨龍フォボスはため息をつく。

どうやら彼がユウスケたちのところへにソードライバーを運んだらしい。

 

 

「ディケイドに命令されたのですか? しかし、下がりなさい。いずれせによココで暁美ほむらの肩を持つことは、あの原理主義者(ろうがい)にとってはプラスになります」

 

「かもな。だが俺は回答者であると共に、出題者でもある。だから暁美ほむら。お前に問題を出す」

 

 

振り返る主水の姿が変わった。

仮面ライダークイズ。どうやら彼は、はじめの会話を聞いていたらしい。

なので暁美ほむらに問いかける。

 

 

「世界は分離するべきだ。〇か、×か」

 

「ッ、それは……!」

 

 

流れ込んできたオーマジオウの映像は覚えている。

そういえば以前、龍騎だらけの世界に紛れ込んだ時、少しだけまどかの様子がおかしかったが、もしかしたら同じような映像を見たのかもしれない。

だとしたら――……。

 

 

「わからない」

 

 

ほむらは、正直にそう口にした。

 

 

「確かに、すべてが正しいことばかりではないのかもしれない。だけど……、だけど」

 

 

ほむらは口を閉じた。言葉が上手く探せない。

 

 

「それでいい」

 

「え?」

 

「俺が今、問うたのは唯一無二の答えじゃない。アンタの心の中にある答えだ!」『モシモシヒントフォン!』

 

 

ガラケー型のアイテムを取り出すと、上下を分離させて、それをベルト左右にあるプロディジーエンジン部分にセットする。

クイズドライバーの形状はジクウドライバーと酷似しており、ライドウォッチをセットするのと同じプロセスである。

 

 

「数多の並行世界を観測する中で、俺たちは時に自分を見失う」

 

 

しかし心がある限り、欲望や願いは消えない。

行く手を阻む壁を解き明かす方法を、きっと誰もがわかっている。

 

 

「俺は今まで、答えを出せずに後悔してきた人間を腐るほど見てきた。お前はそうなるな。いいか? 何も書かないのはやめろ。ペンを持ったなら、何でもいいから書くんだ。たとえそれが間違えていたとしても!」

 

 

それを聞いて、ほむらは頭を抑えた。

次から次に来るライダーや、常識を超えた話は混乱する。

けれども一つだけ、直視しなければならない願いがあると、暁美ほむらはわかっている。

 

 

「私は、みんなと一緒がいいの……!」

 

 

多くの問題があることは重々承知だ。けれども――

 

 

「それが私の、夢だから!」

 

 

それを聞いたクイズは頷き、右のヒントフォンにあるボタンを押した。

 

 

「それを答えにしろ!」

 

 

電子音が鳴り響く。

するとどこからともなく大量のアザレアの花びらが舞った。

母が好きな花だった。白いアザレアの花言葉は、『あなたに愛されて幸せ』だった。

 

 

『タラレバ!』

 

 

もしも――、『if』なる道は、誰もが持っている。

それは不思議なことではない。ほむらにも博士や、ほむ姉たちがいるように。

そこに正しいも間違いも存在していない。

どうやらそういうものが、この世にはあるらしいのだ。

 

 

『アザレア!』

 

 

故に、二元論の否定。

〇と×じゃつけられない答えがある。

その中間である△や、全く違う切り『口』から得た答えがある。

 

 

『フォーエバー!』

 

 

あなたたちは、また僕らの邪魔をしますか。そう雨龍に言われた。

しかし仕方ない。それがクイズたちの答えだ。

もし、は、存在している。だからこそそれを無かったことにはさせない。

 

 

『仮面ライダークイズ! フォーアンサー!』

 

 

仮面ライダークイズの中間フォーム。

モチーフは旅人に問題を出し、不正解ならば食らっていた幻獣・スフィンクス。

胸には〇と×だけではなく、さらに緑色の△と、ピンクのの□も追加されている。

 

大きな椅子に座しているのだが、実はこれ、椅子に固定されているのだ。

つまりクイズは動くことができない。それを雨龍も理解したのか、剣を構えて歩き出す。

 

 

「問題。これよりお前に降り注ぐものは何?」

 

 

〇・雷    ×・隕石

 

△・火柱   □・無数の氷柱

 

 

どこからともなく大きな〇×△□のマークが飛んできて雨龍に纏わりついていく。

マークは次々と雨龍に突進していき、彼の接近を妨害していく。

しかしそこで振るった剣がたまたま〇のマークにあたり、バリンと音をたてて崩壊した。

 

 

「正解、答えは〇の雷」

 

 

空が光る。雨龍めがけて轟雷が降り注ぎ、直撃した。

 

 

「く――ッ!」

 

 

シールドを張っていたため、雨龍にダメージはないが――

 

 

「問題! そのシールドは、その後どうなる?」

 

 

〇割れる

 

×溶ける

 

△消える

 

□砕けない

 

 

出現するマーク。雨龍にとって有利となる□が大きいのは、その確率が大きいということだ。

仕組みを理解したのか、雨龍の背後に水の龍が八体も現れて、蛇のようにうねる。

 

狙っているのだ。

しかし雨龍のアクションよりも早く、△のマークが砕け散った。

 

 

「ッ!」

 

 

雨龍は目を細めた。ホムラが銃を抜いていた。

どうやら仕組みに気づいたのは彼女も同じらしい。

 

フォーアンサー。

それはホムラアライブの力に似ている。異なるパラレルワールドを引き寄せて、いずれかの選択肢を現実に反映させることができるのだ。

引き寄せた『if』が具現する。雨龍のシールドが消えたかもしれないという、ありえたかもしれない世界がやってくる。

 

 

「ぐぅぅうッ!」

 

 

シールドが消えたことで降り注いでいた雷が直撃した。

とはいえ、雨龍が剣を払うと一瞬で電撃がかき消された。

 

 

「問題」

 

 

雨龍は走る。

 

 

「これから起こることは、次のうち、どれ」

 

 

〇 雨龍フォボスを倒せるだけの希望がやってくる。

× 暁美ほむら逃走用ゲートが突如として開く。

△ 雨龍フォボスが考えを変えて見逃してくれる

□ 暁美ほむらがワープで逃げる。

 

 

「面白い。いいでしょう答えは〇です。僕を超える力は何かを見せてください」

 

 

雨龍が指を鳴らすと〇のマークが砕け散った。

 

 






当時アホリズムって漫画が好きで、Episode DECADEはそれを参考にしました。
学園+異能バトル+サバイバルデスゲームみたいな感じでめちゃくちゃ面白かったです。
打ち切りっていうか、一旦終わっちゃったあとは、まだ追えてないんですけど。
別エピソードとかもやっるみたいなんで、また見たいですね。

教師が呪われてるせいで、男女二人以外全滅しちまった五組の二人と、本筋にはあんまり絡まないけどちょいちょい出てきて助けてくれる加藤くんが好きでした(´・ω・)b
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