Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034 作:ホシボシ
「ちょっとちょっと、これどういうこと?」
残されたレナは意味がわからずに困惑していたが、アギトは察したようだ。
「おれたちは行こうかってことかな?」
「答えになってない! この流れって、どういうこと?」
「大御所の力は必要ないってことだよ」
「はぁ???」
「まあ、おれは、おまけってことで」
そこで、十咎ももこがマシントルネイダーを走らせてきた。
ブレーキをかけると、バイクが変形してスライダーモードに変わる。
アギトは構えをとると、バーニングフォームへと変わってももこの後ろに飛び乗った。
十咎ももこもまた魔法少女だ。
ドレスの裾には、フルール・ド・リス(ユリの紋章)が描かれたところがあるのだが、『今は』そのひとつ、右側の部分がアギトの紋章になっていた。
「あとは、お願いね。ももこ!」
「おっけーレナ! 行こう翔一さん!」
発進するライダーマシン。
さらに、ももこが力を込めると、武器である鉈のような大剣が炎に包まれる。
鍔や、峰の部分にドラゴンズネイルによって保護された紫色の魔石、フォースアイが埋め込まれ、大剣のカラーリングがシャイニングカリバーを彷彿とさせる赤と白に変わる。
ももこはそれをふるい、ウィッチが先行して発射していた黒いエネルギー弾を一刀両断にしていった。
そして隕石を押して止めようとしている仲間たちのもとへと急ぐのだ。
『逆シャアみたい……!』
「言ってる場合かよ! ほら! 行くぞ!」
『俺も続きます!』
ここは地上。
振り下ろしたビームサーベル。
ゼクロスは刀で受け止めるが、そこで
煙をあげて下がっていったのを、メビウスが追跡する。
閃光が一本。ゼクロスの持っていた刀が折れて、そのまま胴体に斬痕が生まれた。
「タァア!」
さらに振り返りながら一閃。剣のリーチが拡大して、鞭のようにしなる。
ブレードオーバーロード。ゼクロスの体にメビウスを象徴する無限大のようなマークが浮かび上がる。
ゼクロスは吠え、それをかき消すと、高速回転しながら手裏剣を投げまくる。
爆発音とみんなの悲鳴が聞こえた。クロスファイヤーは力を込めるが、体がいうことをきいてくれない。
一方でゼクロスは分身を行う。
無数のゼクロスが飛び回るが、そこで聞こえてきた呪文、スゲーナスゴイデス。
トッペマフォームに変身したしん王が、魔法で分身たちを一瞬で消滅させた。
一番後ろにいた本体は呆気にとられ、棒立ちになってしまう。
そこでアキバレッドの飛び蹴りがヒットする。
ゼクロスは後退しながらも再びマシンガンアームを装着。
フラつきながらもしっかりと照準を合わせて連射する。
そこでアキバレッドの前にキュアハッピーが割り入った。
手をかざすとハート型のシールドが展開されて弾丸を受け止めていく。
さらにハッピーは転がり、伸ばした人差し指からハートの弾丸を発射して、ゼクロスの脇腹に直撃させる。
呻き、わずかに動きが鈍った。
それを見てメビウスが動いた。
両腕を広げ、頭上に生み出すメビウスの輪。
そして両手を十字に組んで光線を発射するメビュームシュート。
ゼクロスは寸でのところで反応して、地面を転がることで攻撃を回避する。
しかし気づいた。
パッと見て、人数が減っている。
いないのは、ガンダムだ。
「!」
ゼクロスが振り返ると、そこにSBSはいた。
はじめから光線が避けられることを想定したのだろう。
メビュームシュートをアブソーブシールドで吸収して、エネルギーに変換していた。
出現するパワーゲート。エネルギーでできた青いマントは、すぐに翼となり、SBSは超高速で突進していく。
一瞬のことだった。
SBSがゼクロスを弾き飛ばす。
そこで変わる風景。ゼクロスは自分が今どこにいるのかがわからなかった。
無理もない。いきなりフォーティーンの内部に送られたのだから。
『グレイブ!』『カメンライド』『ミッシングエース』
空に並ぶ五枚のカード。ブレイド・キングフォームが降ってくる。
【ROYAL STRAIGHT FLUSH】
ブレイドがフォーティンにキングラウザーを刻み付けた。
その一撃のダメージは、内部にいるゼクロスにも伝わっている。
「グゥオオオオオォォオッ!!」
大爆発が起こる。
フォーティンが爆散し、中からゼクロスが墜落してきた。
そこで周囲の世界が元に戻る。
「フフフ。面白いことをしているね。そこはやはり僕も混ぜてくれないと」
やって来たのは、ディエンド・コンプリートフォームだった。
「ぐぅアぅォオ!」
ゼクロスの鎧が粉々になる。
アリカポネは煙を纏いながら倒れ、すぐに立ち上がろうとするが、バランスを崩して倒れる。
「行ってください!」
「……ああ。すまない!」
メビウスに促され、エボルは走る。
シュバルツを呼びだしてシートに飛び乗ると、一直線にメガリバースマシンを目指して走った。
バイクが爆音を上げる。音速を超えて、すべての景色が線になっていく。
だとしてもひとつだけ、クッキリと見えたものがあった。
ハードタービュラーだ。エボルとビルドは視線を交わして頷き合う。
「すまなかった」
ビルドが言った。
この爆音を上げるマシンに乗っていても、その言葉はスッと届いた。
「いや、いいんだ。こっちこそいらないものを背負わせてしまったかもしれない」
「いつかは前に進まなければならない運命だったのさ。同じ
「僕は、感謝している」
やっと、なれた。仮面ライダーに。
「だから、続きを紡ぐんだ!」
エボルはスピードを上げた。飛んでくるレーザーを振り切り、車体が跳ねる。
メガリバースマシンはシールドを張ったが、関係ない。
二人はシートを蹴って飛び上がり、空中を一回転して――
「「ライダー! ダブルッ! キーック!」」
突き出したエボルの足と、ビルドの足が、シールドを粉砕し、そのままメガリバースマシンを貫く。
大爆発が起こった。崩壊していくそれを見て、アリカポネは怒りに震えた。
「ァァ! またテメェらか! またテメェらが俺様の邪魔をしやがるかァアァ!」
アリカポネは走り、戦士たちに殴りかかっていく。
打撃音。光線の音。それだけではなく様々な攻撃を聞きながら、クロスファイヤーは拳を握り締めた。
(立たなければ!)
いや、違う。
立ちたい。彼らと一緒に戦いたい。強く、そう思った。
それはなぜ? お前を突き動かすものはなんだ?
それは他でもない。自分自身に、そして今、この心の中にいる仲間たちに問われた。
つい先ほど、COBRAは去り際にこんな言葉を残していった。
『お前がならないなら、僕がもらうぞ』
ああ、頼む!
そうは言ったが、なぜか心には何かが刺さった気がした。
その時、クロスファイヤーの前に天の石が浮遊する。
司はかつてこの石を生み出す際に繋がりを願い、ゲートを開く力を託した。
ダメージを受けたからか、それとも大きな何かに立ちむかう中で怯んでしまったのか。
クロスファイヤーは、司は、助けてほしいと願った。
だから彼らは来てくれたのだ。
司はまた、縋るように天の石へ手を伸ばした。
このままでは、桜花は救えない。
だから――、だから、だから……?
躊躇する。
同じくしてロギーの叫びが聞こえてきた。
「首領は言った。俺は、選ばれた栄光の青年なのだと! だが違う! 俺が欲しいのはもっと大きな証だ!」
仕込み杖が火を吹く。ハッピーとしん王が悲鳴を上げて爆炎の中に消えた。
「俺はこう提案した。改造手術ッ、麻酔をしないでくれってな!」
アキバレッドの拳を受け止め、片手で投げ飛ばす。
ディエンドの弾丸を全身に受けても怯まず、アリカポネはそのままタックルでディエンドを吹き飛ばした。
「多くの仲間が死んだ! 親父も! お袋も! 親友も!」
シガゴバッカーノ。アリカポネの必殺パンチが、メビウスのエネルギー弾を粉砕し、そのまま殴り飛ばす。
「だからこそ生き残った人間を俺は愛した! 真のファミリーだ!」
マシンガンを取り出し、ぶっ放す。
ヒーローたちの悲鳴を聞いて、アリカポネはゲラゲラとわざとらしいほどに笑った。
「お前らには覚悟が足りねぇ! 信念こそが世界を獲る!」
覚悟? 俺は、どうなんだ?
わからない――? 前に進むエネルギーとは。
躊躇する。この石を掴むことは許されるのか?
しかしそこでクロスファイヤーは目を見開いた。
石が他の人間に掴まれたのだ。ひょいっと、あまりにも簡単に。
それはアキバレッドだった。彼はそのまま持っていた石を、クロスファイヤーの手に握らせる。
「卒業って、二度とその場所に戻ってこないわけじゃないだろ?」
「え……?」
「オタクって結構そのパターン多いのよ。だから司くんだってそれでいい。特撮は基本卒業するものじゃない。再入学するものなんだ」
「………」
司は石の中にベルトを見つけた。バックルがあったのだ。
そうか、そうだったのか。
クロスファイアーを助けに来てくれたんだ。
仮面ライダーが、駆け付けてくれたんだ。
そこで天の石が光った。
司の脳内に、かつて千年王国を作ろうとした男たちの記憶が流れ込んでくる。
その男はバイクに跨っていた。
男の瞳は震えていた。 触れれば壊れそうな、形容しがたい価値のある宝石を前にしたような錯覚。
男は兵士だった。
男は子供に囲まれていた。
彼ら、彼女らは、眩しいほど純粋な笑顔で敵国の兵隊が乗っていたバイクを褒めていた。
速いね。笑いながらいう。
男は何も言えなかった。
言葉を失うほどの純粋な心。
あの輝く眼を、もう一度だけ見られたなら、時代を超越する何かを得ることができるのかもしれない。
その依頼を受けた別の男が、どっかりとボロボロのスタジオに座り込んだ。
『俺はここに、ガキ共のための千年王国を造ろうと思う』
男たちはもがいた。もがく中で、ふと、思い出す。
それは些細な、とても小さなピースだったのかもしれない。
しかしそのパーツが一つでも足りなければ、それは完成しなかった。
あの時の焦燥。
あの時の悲壮。
あの時の――……
『何を泣くか! 貴様それでも日本男児か! 恥を知れ!』
憲兵にどやされて、その小さな少年兵は死体で埋め尽くされた川に入った。
空襲から逃げ遅れた死体を引き上げてトラックの荷台に乗せるだけの作業だった。
少年は泣きながら待ってくれと頼んだ。
仲間が死体と死体を引き剥がそうとしたのだ。
黒焦げになった母と子を引きはがさんがため、少年は死体にしがみつき、涙を流した。
なぜだ。
なぜ誰も助けてくれないんだ。
それが、当たり前だからか――?
それは、あんまりだ。誰かがこんな世界から――……。
少年が泣いている時、エンジンの音が聴こえた。
振り返ると、そこにあったサイクロン号。
彼は、見た。見たのだ。
『ダメだダメだダメだぁ! 彼を切っちゃいけない!』
だから少年が大人になったとき、会議で、こう叫ぶことができた。
『ヒーローは絶対死にはしないんだ!』
集積していく光。
オーディション会場。涙をのんだ男たちのビジョンが流れ込んできた。
輝き、瞬き、そして消えていく。
諦めたものや、掴み取ったもの。
周囲の期待や喜びや、そして自らの中に宿る。
たった一握り、なれた者。そして多くの、なれなかった者たち。
彼らの中に在る。
あるいは、在った。まったく新しいだろう、その想いは――
きっと、とてもあやふやで、神なる世界じゃ輝きを保てないのかもししれない。
それでもきっと彼らはそれを信じようとしている。
俺も、また、その輝きを知っている。
その系譜が映し出そうとしているものを。
「バカヤロウ!」
それは少し後ろ向きになったヒーローたちに。そして司に投げた言葉であった。
灰色のオーロラの下、一人の女性が腕を組んで虚空を睨んでいる。
「たった一人の子供の願いも叶えてやれずに、やれ『 』だの人類を守るだの、デカイ口を叩くな!」
背中を叩かれたようにメビウスたちは立ち上がる。
「この世の中に絶対なんかありゃしない! 一度や二度痛い目に合ったからって、尻込みするほど貴様らって奴は腰抜けなのか!?」
ウィッチの落下スピードが落ちる。
抑えている魔法少女やガンダムやらプリキュアやらヒーローらが気合を入れたからだ。
だからそれが、司の心にも再び、いや三度と火をつける。
曖昧模糊な矛盾を孕んだのが仮面ライダーだ。
変身するから強いのか、改造されたから強いのか。そこには無限の答えがある
そしてそれはライダーだけではない。
お前の中にも――、あるものだ。
「正義だ!」
立ち上がった彼の腰には炎が渦を巻いている。
「俺を突き動かすものは! ただ一つ! 在るッ! 光の感情!」
アリカポネは不愉快だと叫び、走り出す。
しかし司にたどり着く前に、炎が放つ熱波に吹き飛ばされて地面に倒れた。
「優しさ! 希望! 平和! 愛! 勇気! 正義……! 正義ッッ!!」
炎が徐々に形を作っている。
「人は苦しい時、切ない時に涙を流す。俺には彼女の涙が見える。だがもう一つ! 人は嬉しい時にも泣けるんだ! 涙の種類を変えることができるならば、それは! ヒーローならッッ!」
司は何かに引っ張られるように前に出ていく。
桜花ルートを望んだ人間のビジョンが浮かぶ。
そうだろ。5034人のみんな。
思っただろ。彼女を助ける道が欲しかったと。
わかる。わかってる。待っててくれ。
足が動く。アキバレッドを越え、しん王を越え、アキバレッドを越え、ハッピーを越え、ディエンドを越え――
スタービルドストライクを越え、メビウスを越えて前に出る。
「一人の少女が苦しみ、終わる。これは正しいか? 違う! 間違っている!!」
炎が弾けた。
司の腰に捨てたはずのディケイドライバーが現れる。
いや、違う。マークが増えている。そして色も。
ネオディケイドライバー。これが、『司たち』に与えられた最後の仮面ライダー。
「俺は破壊者だ! バットエンドをッ、ぶち壊す!」
『カメンライド――』
「聖ッ、司ァァ……!」
「そして俺は今日! 定められたシナリオ! Episode DECADEを破壊する。変身!」
『ディケイド!』
走り出すディケイド。彼に続いて他の仲間たちも全速力で突き進む。
「キープザフェイス!」
ハッピーが叫んだ。
昔作った合言葉だ。みんなが覚えていたので、続きを叫ぶ。
「「「「「「「正義を貫け!」」」」」」
ディケイドが飛び、カードを放り込む。
『カメンライド』『ゴースト!』
『レッツゴー! カクゴ! ゴ・ゴッ・ゴッッ! ゴーストッッッ!!』
ディケイドは浮遊しながらアリカポネの前にやってくる。
「正義? 正義だと! だったらオレの! ロギーファミリーの正義はどうなる!」
ステッキを引きせてふるう。しかし攻撃はディケイドの体をすり抜けた。
背後に回るディケイド。
そこにもハイキックが合わせられるが、足は体をすり抜けた。
一方でディケイドの蹴りはアリカポネに命中する。
よろけたところに、ライドブッカーを剣に振り下ろすが、それは手で掴まれた。
「俺たちが楽しめる自由を守る! それが俺たちファミリーの正義だ!」
『だからこそ言わなければならない! お前の正義は、間違っている!』
メビウスの言葉と共に光線が放たれる。
メビュームシュートを受けてアリカポネは大きくよろけた。
「言うな! それをお前らが言うのかァッ!」
アリカポネの蝶ネクタイが光り、赤いレーザーが発射される。
あまりのスピードにヒーローたちの反応は遅れたが、問題はなかった。
彼らを守るバリアがある。空中から鹿目まどかが飛来してきた。
「大丈夫? 司さん!」
「ありがとう、まどかちゃん!」
「かわいい! 私と同じピンク色!」
ハッピーが手を振る。
まどかも、笑みを浮かべて手を振り返した。
それを見てロギーは大きな声で笑い始める。
「こりゃ! ま! 素晴らしい! まどか! まどか☆マギカまで! ありがてぇ! ただの仮面ライダーの問題だったのに、いつのまにかウルトラマン様にガンダム様だけでなく! ホハハハハ! 完璧だ! 最高だ! まあ反吐が出る! ヒャハハハハ!」
アリカポネはあまりにもあまりにもなので、持っていた杖をへし折って走り出した。
「さみィんだよォオオ!」
全速力で走り、剛腕を振るって向かってきたメビウスを弾いた。
「複数の世界が交じり合う偉大なる多重クロスがなぜ嫌われてるか知ってるかッ? おてんとうさまが多くちゃ、熱いは眩しいわ、疎ましくて仕方ねぇ!」
ビームライフルや光の矢を全身に受けても怯まない。
アリカポネとSBSは拳を交差させて互いの頬を打った。
クロスカウンター。SBSは吹き飛ぶが、アリカポネは不動である。
そして走る。まどかのシールドをバリンバリンと割りながら突き進む。
「それに皆様、お利巧なもんでとっくに気づいてる。正義なんてもん存在しねぇから! 口を酸っぱくそんな甘いことを言われちゃ、バカにすんなと怒るのさ!」
蝶ネクタイから衝撃波。
飛んできたハッピーが地面に倒れ、アリカポネは足首を掴んで投げ飛ばす。
そこでディエンドはオーガを選択。
パラダイスロストの力が反映されて、アリカポネは檻の中に閉じ込められる。
しかし腕力だけで難なく抜け出すと、食い殺そうと襲い掛かってきたエラスモテリウムオルフェノクを一発のアッパーで絶命させる。
するとフィールドが元に戻った。
アリカポネは蝶ネクタイから衝撃波を発生させて、ディエンドを吹き飛ばした。
「それになんだこの人選は! オタクくんの脳内観察みてぇで最悪だ! 死ね!」
アキバレッドのフックを回避。背中を蹴って、振り返った彼の胴体に拳を一発打って下がらせた。
まどかの必殺技である巨大な矢が飛んできたが、それを真正面から受けとめて粉々に粉砕して見せた。
「お客様との齟齬が生まれる。同じようなだけ愛した人間が一体どこにいるっていうんだ!?」
アリカポネは走る。ディケイドがまどかを庇い立ち、仮面ライダーダブルに変身した。
メタルシャフトフトを持って応戦するが、的確に回避され、たまに打ち込もうにも、効いているようには見えない。
そしているとメタルシャフトが弾かれた。
ディケイドはトリガーマグナムを取り出し、アリカポネの拳をかいくぐりながらカードを装填する。
『ファイナルアタックライド!』『ダダダダブル!』
青と黄色の追尾弾が発射された。
アリカポネは両手を広げて、全身で受け止め、そして弾いて見せる。
「ウォオオオオオ!」『カメンライド』『ドライブ!』『ファイナルアタックライド』『ドドドドライブ!』
周囲を駆け抜け、旋回するトライドロン。
ディケイドはアリカポネを蹴り、スピードロップを開始する。
しかし三発目だ。足を掴まれ、投げ飛ばされた。
ディケイドはトライドロンに直撃し、そこでレーザーをもらう。
爆発するトライドロン。爆炎の中からディケイドの悲鳴が聞こえた。
アリカポネは笑い、飛び上がると、必殺パンチでまどかを狙った。
「シカァーゴ!」
「アイギスアカヤー!」
巨大な盾を持った天使が現れるが――
「ンッ! バッカーッノ!」
拳はいとも簡単に盾を砕き、そのまま後ろにいるまどかへと――
「おっとォ!」
まどかが横にずれた。
しん王が突き飛ばしたからだ。
しかし咄嗟のことだったので二人は倒れてしまう。
アリカポネはしん王の足を掴み、持ち上げた。
「それになんだ! クレヨンしんちゃん!? 畑違いもいいとこだ!」
「は、はなせーっ!」
「この命のやり取り! 生きるか死ぬか! 魂がチリつく凄惨な戦場にこんなマヌケなガキがいるとかナメてんのか?」
「えらいのか?」
「あァ!?」
「人に! いじわるするのがっ! そんなにえらいのか!?」
「んははは! はははは! ギャハハッハアッ! ああ、そうさ! 俺が偉い! お前らが偉くない! なんでかわかるか? 神なる世界に正義の味方なんてねぇからだよォおッ!」
アリカポネはしん王を投げ飛ばし、まどかの首を掴んで持ち上げる。
「正義なんて陳腐なもんを! ここまでくどくどと語るお前らはもはや害悪だ! 現実と剥離しすぎた物語なんてのは、気持ちわりぃだーけッ!」
「うッ、ぐぅッ」
「お前とペアを組んでる騎士の中の社長さんが言ってたろ? 人間はみんなライダー! あれが受けた! 綺麗ごとお断りの合図ってわけ!」
首をへし折ろうとした時、逆にアリカポネが殴り飛ばされる。
ビルドナックル。発光する手で、SBSはアリカポネを指さした。
「ごちゃごちゃうるせぇなテメェ! こっちはとっくに覚悟が固まってんだよ! そうだろ! みんな!」
中にいるセイが頷いた。
『神なる世界がどうとかじゃない。ボクたちが信じるもの。それを突き通すだけだよ』
メビウスも頷き、立ち上がる。
『確かに世界は俺たちが思っている以上に、複雑なのかもしれません。それでも! 優しさはある! だからおれたちが集まった!』
みんな頷き立ち上がっていく。アリカポネは面倒そうに首を振った。
そのなかでメビウスが続けていく。彼の言葉はテレパシーなので、よく脳に入ってくる。
『悲しい思いをする人がいなくなるように! 少しでも苦しみが消えるように! 始祖たちが生まれた!』
おお見よ! あそこに輝くは間違いない。ウルトラの星!
『俺たちは! それを信じます……!!』
ディケイドはドライブのカメンライドが解除されて、ディケイドの姿に戻っていた。
立ち上がるなかで、メビウスの言葉を繰り返す。
「そう、そうだ。悲しみが少しでも癒えるように。大切何かを伝えたいために。人はヒーローを作った……」
あの子にも、その子にも、むこうのキミにも届くように、いろいろなヒーローを作った。
どんな言葉を使っても、どんな色をしていても、誰もが憧れる。そんな英雄を作ろうと思った。
女の子でも堂々と胸を張って正義を口にできるように、プリキュアを作った。
誰もが愚直に正義を語れるように。
誰もが正義をかっこいいと、目を輝かせ、徹頭徹尾、平和を信じることができるように。
そんな世界があればいいと……!
え? ガンダムは少しおかしい? それはもっともだ。
だがある日、誰かがガンダムは、ウルトラマンと仮面ライダーと同一である。
肩を並べる資格があると思った。それはまるでオセロのように、挟めば、その色になる。
ガンダムを正義の味方にしようと思った人がいる。
そしてその意思は受け継がれ、ある時、復活した。
つまりあれは間違いではなかったと胸を張った人間がいたのだ。
「その愛と、希望、正義の系譜を俺は信じる!」
アリカポネ。
しばらくの間、沈黙。
そして二回ほど、拍手を贈る。
「ロレンツァという女がいた。覚えてるか?」
記憶にはあった。
ナイトメアドーパントに変身していた女性だ。
アルビノのシャム双生児という境遇であり、見世物の小屋で暴力の限りを尽くされていたらしい。
ロギーがヒーローたちの正義、人を守りたいという意思に不快感を示すのはこのバックボーンがあるからだろうと推測できる。
ロギーはロレンツァの傍にいた。
彼女に指輪も贈った。だがロレンツァは、もういない。
「俺が殺した。この戦いに赴く前に」
「!」
「ロレンツァをたっぷりと愛したぁ……! バラの花の海の中で俺たちは抱きあい、そしてアイツは俺の胸の中で死んでいった。この大人の愛がァ……、お前らお子ちゃまにわかるかなぁ?」
返事はあまりにもすぐだった。
「ちっともわからないゾ!」
「………」
「俺もだ! 少しも理解できない!!」
「まあ、覚悟の話さ」
「違う! それはお前の弱さだ!」
「ッ、なにぃ……ッ!? 弱さだと! この俺の愛が! 弱い!?」
「そうだ! 彼女の傍にいて、彼女を笑顔にさせることができた! 彼女が人を殺める際も、お前だったらきっと止められた。だがお前はそうしなかった!」
「当然だ……! 当然だ!! 当然だ当然だ当然だァアアッッ!!」
「当然だと!? ふざけるな! それがお前の正義なら、俺は認めない!」
ディケイドはそれを、ケータッチ21を取り出した。
「俺たちの正義で超えていく。ロギー! 覚悟しろ!」
『ダブル!』『オーズ!』『フォーゼ!』
『ウィザード!』『ガイム!』『ドライブ!』
『ゴースト!』『エグゼイド!』『ビルド!』
『ジオウ!』『ゼロワン!』『ファイナルカメンライド』
「お前はッ! ここで倒す!!」『ディケイド!』『コンプリート21!!』
ディケイドコンプリートフォーム21。
胸部装甲や頭部、さらにはマントにまで、これでもかと貼り付けられたライダーカードたち。
まるでカードショップだ。
そして次々とそのカードから浮かび上がっていくライダーズクレスト。
「なるほどね」
基本形態に戻ったディエンドが小さく笑った。
一方で最後にケータッチから平成二期の紋章が。
さらにその周りを平成一期の紋章が。
そして令和ライダー1号の紋章が浮かび上がり、変身は完了した。
「なんだ……? なんだそりゃお前、また
その奇抜な格好にアリカポネは思わず固まってしまう。
風が吹いた。カードだらけのマントが靡く。
時の風が吹いた。
「……!」
無数のページが舞い落ちていく。アリカポネは一歩、後ろへ下がった。
光り歪む その度に 新しい空
僕を目覚めさすように手招きをする
これは日記なのか?
何を意味するのかは、わからないが、アリカポネはそれを恐れた。言葉を恐れたのだ。
一方で、ディケイドにとっては、それは勇気の詩であった。
一歩、前に進む。
「倒す? 俺を? 俺を!?」
予想外の現在地 地図はいらない
「そうだ。お前の物語を――」
「ッッ」
「終わらせる」
とりあえず右 つぎ、左
「――……な。ふざけるなァアア!」
アリカポネは走った。
同じくして、ディケイドの胸部アーマーにあったブレイドとウィザードのカードが光り、紋章が一瞬だけ浮かび上がる。
道は探すさ
「グォオ!?」
アリカポネは全力でディケイドに拳を打ち込んだ。
しかし鋼のダイヤモンドを殴ったかのような感触。
ガキン! と音がしてアリカポネは弾かれて後ろへ下がっていく。
さらに光るオーズとクウガのマーク。
ディケイドが指を鳴らすと、アリカポネの下半身が凍り付き、直後パイロキネシスで拘束されたアリカポネが炎に包まれた。
「ぐあぁあぁ!」
炎を消すために転がっていくなか、ディケイドの胸部、フォーゼのカードが光った。
ワープドライブで立ち上がったばかりのアリカポネの前にやってくる。
迫る拳を受け流し、カウンターのパンチで吹き飛ばした。
それぞれの世界が How many cards in the world
僕に求めてくる No hesitation my mind
ダブルのカードが光る。
現れる無数の本棚。ディケイドはその中から『この世界』を取り出した。
パララララとけたたましい音を立てて本が捲れていく。
そしてディケイドは本を閉じた。
通り過ぎずに戦うこと
「だいたいわかった!」
Ride the wind 駆け抜けろ Get pass the world
『フォーゼ!』『カメンライド』
ケータッチを取り外しフォーゼのマークをタッチする。
パラパラパラと音を立てて全てのカードがフォーゼに変わっていく。
時を同じくして、銀行では多くの人間が怯えていた。
泣いている者も多い。その前でイカファイアが笑っている。
「泣くこたぁねぇ。どうせ生き返る。ちぃーとばかし狂いそうなくらい熱いだけさ」
そこで、一人の男の子が立ち上がった。
ガタガタと震える足で、たった一人でイカファイアに立ちむかった。
すぐに彼の母親が抱きしめ、止めたが、もう遅い。
イカファイアは火炎放射器を男の子に――
このクロニクル
『コズミックステイツ』
手に入れてゆく 強さのCard
「んなッ!?」
男の子が、フォーゼ・コズミックステイツに変わった。
ディケイドが拳を突き出す。それは何にも当たらないが、離れたところでフォーゼが同じ動きをした。
その拳が、イカファイアに叩き込まれる。
『ファイナルアタックライド――』
電子音。男の子とフォーゼが分離した。
You eyes will 旅の中 I got the cause きっと見える
「ハアアアアアア!」『フォフォフォフォーゼ!』
「グアアアアアアアアアア!!」
目指すべきゴールの場所が Just keep on walking
ディケイドの放った青い斬撃がアリカポネに当たる。
フォーゼの放った青い斬撃がイカファイアに直撃して、イカファイアはそのまま爆散した。
Ride the wind この先に Get pass the world なにが待ってる?
『ウィザード!』『カメンライド』『インフィニティースタイル』
手がかりは そう戦うCard
友達を守ろうとした女の子が、ヤマアラシロイドによって、くし刺しにされようとした時だった。
その子がウィザードに変身する。
その体はいかなる針をも寄せ付けない。
ディケイドがライドブッカーを反転させて刀身を持ち手にする。
するとウィザードは同じような動きで、アックスカリバーをカリバーモードからアックスモードに変えた。
女の子はいきなり自分の体が変わったものだから驚いている。
全身や足裏を見ていたが、そこで体が勝手に動き、ディケイドと同じ動き、カードを装填するモーションを取った。。
You eyes will 旅の中 I got the cause 見つかるはず
『ファイナルアタックライド!』『ウィウィウィウィザード!』
自分が何をするべきか Just keep on walking
「うッ! うぉおお……! うオォォォオオオ!!」
ウィザードが女の子から分離する。
巨大化した斧が脳天に叩き込まれ、ヤマアラシロイドは真っ二つになって爆発した。
Ride the wind 9つの Get pass the world 世界の果て
『ゴースト!』『カメンライド』『ムゲンダマシイ』
目指すべきゴールの場所が……
ディケイドの隣に現れるゴースト。なぜかまどかの頭の上にユルセンが乗っかる。
アローモードにしたガンガンセイバーと、ライドブッカーがアリカポネに向けられた。
Just keep on walking!!
「ハァアアア!」『ファイナルアタックライド!』『ゴゴゴゴースト!』
「ズゥウウ! ぐぅおおおぉぉつっ!」
二つの矢を受け、アリカポネは再び倒れ、転がっていく。
『ゼロワン!』『カメンライド』『ゼロツー!』
ディケイドの隣に現れるゼロツー。
『ファイナルアタックライド』『ゼゼゼゼロワン!』
ディケイドとゼロツーの姿が消えた。
シンクロする動き。ディケイドは右から左へ、ゼロツーは左から右へ、旋回するように飛び蹴りを命中させる。
一瞬の衝撃。アリカポネの体が後方へ移動する。
そこにあったのは灰色のオーロラだ。
アリカポネが背中を地面につけた時には、そこは別の世界の採石場であった。
「なにッ!? 世界を移動した!? どこだここは!」
誰もいない世界だ。
果てしない荒野が広がるだけの星。
そこでアリカポネは、離れたところの丘の上にディケイドを発見した。
『ダブル!』『カメンライド』『サイクロンジョーカーエクストリーム』
ダブルがディケイドの左に現れた。
『トゥエンティワーンッ!』
右にも、ダブルがいた。
前にもダブルがいた。後ろにもダブルがいた。
採石場に山のようにダブルが立っていた。
アリカポネは言葉を失う。ダブルの数は全部で21
「――ォ!」
の、21乗。
「ォオオオオオオオオ!」
『ファイナルアタックライド――』
世界を埋め尽くすダブルが同時に、同じ動きをした。
虹色の光が溢れる。
星が粉々に砕けた。
「グアァァアアアアアアアアアアア!!」
灰色のオーロラからアリカポネが排出される。
同じくディケイドもメビウスたちがいる傍に着地した。コンプリートフォームが解除されて基本形態に戻る。
「アアアアアアアアアアア!」
ボロボロのアリカポネは両手で地面を殴りつけた。
フラつく足で立ち上がると、三百六十度、ヒーローに囲まれている。
彼らは同時に地面を蹴って飛び上がった。
「ハァアア!」『ファイナルアタックライド』『ディディディディケイド!』
飛び蹴りを仕掛けた仮面ライダーディケイド。
「テェアッ!」
伸びた剣を突き出すウルトラマンメビウス。
「『ビルドナックルッッ!!」』
発光する拳を突き出したスタービルドストライクガンダム。
「ハッピーッ! シャワー! シャイニング!」
輝くハートを鷲掴みにして、それを突き出したキュアハッピー。
「ボウケンスコッパー!」
武器に足を乗せて体を捻りながら突っ込んでいくアキバレッド。
「アクションキーック!」
エネルギーを収束させた飛び蹴りを仕掛ける仮面ライダーしん王。
「スターライトアローッ!」
かに座の力を得て巨大なハサミを突き出す魔法少女まどか。
「フッ!」『ファイナルアタックライド』『ディディディエンド!』
エネルギーを収束させた銃口を突き出した仮面ライダーディエンド。
7人の必殺技が同時にアリカポネに直撃した。
「う――ッ! ウォオォオオォオ……!」
アリカポネはゆっくりと腕を上げ。
そして、ダラリと下げた。
そこで衝撃。弾かれたディケイドたち。
着地を決め、空を舞い、ヒーローたちは一か所に集まる。
「………」
アリカポネはフラフラと後ろへ下がっていき、そこでロギーになった。
「お前の言うとおりだ。ロギー」
ロギーには、ディケイドが司に見えた。
「いつかこの戦いは繰り返される」
「………」
「主張は蘇り、時を経て、再び。再び繰り返されるだろう」
「………」
「違うどこかで。違う誰かで」
「………」
「でも――、きっと、その時も俺たちが勝つ」
「……ッ」
「その次も……、その次も。その次も!」
「その、次もか?」
「ああ。その次もその次もだ!
ロギーは頷いた。何度も何度も頷いた。
そしてコートの裏から一本葉巻を取り出すと、足元にあった炎でつけた。
「……おもしれぇ。賭けは、嫌いじゃァない」
味も匂いもなかった。ロギーは葉巻を投げ捨てる。
「いつか世界は転覆する。憤怒が倫理を超越する」
ロギーは膝をついたが、膝を殴って立ち上がった。
「今はせいぜいお国やカンパニーに対してだが、そうじゃない。憎悪や憤怒、負の感情はいずれ全は個へ、集は点へと収束していく」
ロギーはニヤリと笑った。
「その時こそ! 俺たちファミリーの考えが正しかったと人は思うだろう! その時は俺様が主役でッ、テメェらが敵になる!」
ロギーと司は睨み合い、一切、視線を逸らさなかった。
「その時を、先に地獄で待ってるぜェ! フハハハハ……! ハハハハハハ!」
「………」
「ハーッハハハハハハ! ハッ……! アァ! アアッ、グアァアアアアハハハアァア!」
爆発が起こる。
苦痛の声を交えれど、ロギーは最後まで笑いながら死んでいった。
「ま、あとは頑張りたまえ」『アタックライド』『インビジブル!』
消え去るディエンド。
「みんな、あと少し、もう少しだけ力を貸してくれ」
ヒーローたちはすぐに頷いた。
ディケイドは礼を告げ、手を前に出す。
そこへ重なる手。彼らは光となり、ディケイドの体に交わる。
炎の十字が、ディケイドの姿を変える。
風に靡くマフラー。そして髑髏をモチーフにした仮面。
骸骨の口の中に、司の口元が覗いている。
クロスファイヤー・スカルフェイス。
これが最後の強化形態。正義という概念の実体化である。
「トォーッ!」
クロスファイヤーが飛んだ。
光よりも早く、あの子のもとへ飛んでいこう。
すべてを振り切り、彼女のため、彼女のような存在に捧げる。
最後の物語だ。
「帰ろう」
クロスファイヤーは手を伸ばした。
帰れるの? 彼女は聞く。
ああ。
じゃあ、帰りたい。
わかった。
クロスファイヤーは手を取った。
同時にEpisode DECADEが燃えてなくなった。
「……!」
少し前まで傍にいたからだろうか?
メビウスたち、フルブラストメモリーズと鹿目まどかだけは、理解できた。
司が消えた。そして司の中にいた特別クラスのみんなもだ。
そして、桜花も。
いずれ、そのことをメビウスたちは忘れるだろう。
だから彼を覚えている間に終わらせたいと思った。
あとは、頼む。そう言われたことを覚えているうちに。
「行きましょう!」
みんなが同意した。
メビウスやSBSは巨大化して飛行船を打ち落とし、残りのメンバーは怪人たちをねじ伏せていく。
もうゲートはない。あっという間に世界を蝕む脅威は消え去った。
しかし、唯一、勢いを増した者がいた。
ウィッチだ。
桜花がいなくなったことで、十面鬼を構成するパーツは消え、大幅に弱体化した筈だった。
にも関わらず、すぐにそこには苦悶の表情をした『仮面』が用意されて埋め合わせが完了する。
メガリバースマシンは崩壊し、桜花が消えたことで、世界が再構成されていく。
その核がむき出しになるのを待っていた。
「あれを、手にすることができれば、我らは――!」
ネクロデザイアは知っていた。
至るには、『世界』になることだ。核を手に入れれば世界となる。
そうすれば到達する、煌々と輝くゴールデンサークルに。
「神なる世界への扉を!!」
黒い波動がヒーローたちを吹き飛ばした。
一切を寄せ付けない。そのエネルギーの名は、『絶望』という。
「!」
しかしその中を突き抜けてくるものたちがいた。
魔法少女だ。正面左から、タルト、織莉子、まどか、かずみ、鈴音が、それぞれ全員アライブを発動して、飛んでくる。
おお見よ。彼女たちが放つ光が、絶望の光を塗りつぶし、蒸発させていく。
ネクロデザイアは吠えた。
ここまで来て、小娘に邪魔をされたのでは、魔女として示しがつかない。
大量の闇が三日月状となり、飛んでいく。
しかしそれらはまどかに触れることなく、その周りのエネルギーに当たった瞬間に消滅した。
かずみの突進魔法メテオーラフィナーレが強化された状態で発動されているのだ。
そしてウィッチは気づいた。前に進めない。
「光よ!」
髪が伸びて、白いマントに、黒いガントレットをつけたタルトが叫んだ。
ウィッチが動けないのは、後ろにある『光の門』が原因だった。
そこにもフルール・ド・リスが描かれており、何重にもなる門がガコンガコンとけたたましい音をたてて開いていく。
そこで織莉子の左目から炎が溢れる。
同時に光の門から何体もの『約束のドッペル』が飛び出した。
これはカゲロウ型の魔女であり、長い炎にはいくつもの鈴がついている。鎖のようにウィッチに巻き付いていき、動きを封じた。
司の。
いや、それは今もどこかにいるヒーローの叫びを、まどかは聴いた。
『俺の夢はッ、まだ死んでない――ッッ!!』
そうだ。それはまどかも同じだ。
「わたしたちは! 進むことを諦めなかったからここにいる!」
まどかはギュッと、織莉子とかずみの手を握った。
それに釣られて、織莉子とかずみも、タルトと鈴音の手をギュッと握りしめる。
「わたしたちは!」
「ぉ、ォォォオ!」
「絶対に負けない!!」
「オオオオオオオオオオオオオ!」
まどか、織莉子、かずみ、鈴音、タルト。五人の声が重なった。
「「「「「エクシーズオーバーロード!!」」」」」
巨大な翼が、ウィッチを通り抜ける。
「あなたの名前は?」「あなたの名前は?」
ウィッチに埋め込まれていたキリサキさんと、鈴音が同時に口を開いた。
「私はキリサキさ――」「私は天乃鈴音」
鈴音はキリサキさんの包丁を掴んでいた。
それを、握り潰す。
「希望の
ウィッチの全身に炎の斬撃が幾重にも刻まれ、直後、バラバラになった。
悲鳴と共に無数の破片は光の門へと吸い込まれていき、やがて門が閉じて消滅した。
「ありがとうございました」
マホは深く頭を下げた。
「大変だと思うけど、頑張ってください」
織莉子は崩れたビルや、ガタガタになった地面を見る。
復旧作業はさっそく行われている。大変だろうが、命を落とした人間はいないので数は減ってない。
今もたくさんの人間が助け合っているのが見えた。
「わたし、もっといっぱい絵を描きます! それで好きな配信者さんとか、それから、それから!」
マホは笑顔だった。生きていたことが、嬉しいからだ。
「いつか、魔法少女と騎士のお話を描きます! 内容はまだ決めてないけど! 正義が伝えれるような、そんな……!」
上条と、織莉子と、ついてきていたさやかは、ニコリと笑って、マホと別れた。
「ねえー、ひっさしぶりに、五億年ぶりに聴かせてよ。恭介のヴァイオリン」
帰り道、さやかはそんなことを言ってみる。
自分たちの世界に帰るまで、まだちょっと時間があるらしいので。
「いいよ」
「やったー!」
上条もそう提案されるだろうことはわかっていた。
というのも、さやかがずっとヴァイオリンのケースを持っていたからだ。
キュゥべえに言ったら用意してくれたらしい。
「……私は、また今度。キリカとお茶の約束があるので」
「そっかぁ。残念」
ということなので二人は織莉子と別れて河原に移動する。
「ここでいい?」
「うん。はい、これ」
「ありがとう。わ、すごい。見てさやか、花火だよ」
「きれいだね……?」
「一発だけ? かな? 珍しいね」
「う、うん」
「あぁっと、ごめんごめん。えーっと曲は何がいい?」
「なんでもいい」
「うん。わかったよ」
上条は少し考え、弾こうとして、もう少しだけ考えて、演奏を開始した。
弾き終わると、さやかは笑顔で拍手する。
「いいね。最高。憑き物が取れましたな」
「ふふ、ありがとう。でも本当に理解してるの?」
「もっちろん。あたしの幼馴染は天才だってこと」
「もう、調子がいいんだか――」
さやかは上条に抱き着くと、キスをする。
「……本当に、わかってるよ。さっき弾いてくれたのラブソングでしょ?」
「う……ん」
「さやかちゃんだって、いろいろ勉強してるんですから」
「う、うん。ごめん」
「あたしのほうこそ、ごめん……」
「いやっ、それは、あの、いいんだけど」
「好き」
「……僕は」
「?」
「ずっと、ヴァイオリンばっかりだったから、そういうのはあんまり……」
「………」
「でも、でもね、なんだか落ち込んだ時、さやかの顔が浮かんだんだ。それはもしかしたら別に特別なことじゃないのかもしれないけど――」
「だから?」
「キミと、ずっと、一緒にいたい」
「まわりくどいなぁ」
「ご、ごめん」
「いいよ。許してあげる!」
さやかは嬉しそうにほほ笑むが、やがて真っ青になって頭をかきむしる。
「でも、うわー! まじかー! うわー! ダメ寄りで行動したのに! こうなったら未練がががが」
「え? ど、どういうこと」
「ごめん恭介。あたしらさ、元の世界に戻ったら記憶消えるっぽい」
「えぇ!?」
「さっきジュゥべえがポロっと言ってたの。景品があるとか言ってたじゃん? あれも嘘みたいで、怒ったニコが花火の中にジュゥべえたちを詰めてたから、きっとさっきのは――」
「また、言うよ」
「へ?」
「なかったことになるのは残念だけど。今度は、僕からっ、伝えるから……!」
さやかは、上条の頬を撫でた。
「うんっ! 待ってる!」
そう言って、彼女は恥ずかしそうに笑った。
星の図書館。
フェザリーヌはソファにの上で寝ころんでいた。
「舞台を降りれば殺すと言った」
「………」
「しかし、ふむ、真理に触れたのならば理解できると思うが、殺すというのは命を奪うという単純な話ではない。そういう意味ではそなたはもう死んだともとれる」
「申し訳ありません」
司は頭を下げた。
魔女はニヤリと笑って起き上がる。
「私は良い魔女ではないが、悪い魔女でもない。気に入った玩具は大切にするさ。まあ今回は其方の選択に免じて、むしろ祝福をしたい」
最後に、その心にあるものが聴きたいと魔女は言った。
「……救うなら、仮面ライダーで。が、よかった」
だからネオディケイドライバーを手にしたのだし。
でも最終的にはクロスファイヤーに帰結した。
それが、答えだ。
「仮面ライダーじゃなくてもいいんだ。彼女を救うには、救いたいと思った気持ちさえあればいい」
「姿、形に、意味はないと? 皮肉であるな。"仮面ライダーにさせる"試練の果てに出した答えが、"仮面ライダーではなくていい"というものだなんて」
「俺は仮面ライダーになれて本当に良かったと思ってます。でも桜花ちゃんを助けられるならウルトラマンでもよかったし、ガンダムにもなった。それが俺の、俺たちの愛した……」
司は微笑んだ。
「ちなみに、最後に一つだけいいですか?」
「ああ」
「この方法……、俺たちが旅を諦める以外に、桜花ちゃんを人間のまま助ける方法はありましたか?」
「ああ。三つ以上ある」
司は肩を竦めて苦笑した。
「もっと真面目に勉強しておけばよかった。馬鹿な高校生なもんで」
「気にするな。人生とはそういうものだ。あのまま死なせるよりはマシだったと思うぞ」
魔女は最後に楽しそうに笑った。
「方法は三つ以上はあると言ったが、同じくして、お前が助けようとしなければ、あの桜花は死んでいた。それもまた、真実なのである」
「そう、ですか。じゃあよかった」
「……ああ。誇るがいい」
魔女に言われ、司はもう一度、深く、それは深く頭を下げた。
「終わったんだね」
司がソファに座った時、彼の体からエムが出てきた。
「こっちも終わったよ。みんなに伝え終わった」
「ありがとう」
「物好きだね」
「キミだって、わかるだろ?」
「……まあね」
エムは司の隣に座った。
約束だ。ゲームで遊ぼうという。
「どんな自分にもなれる」
エムはロボットになった。
司は宇宙人になった。
キャラメイク。初めてだったので上手くいくか不安だったが、なかなか悪くないとエムに言ってもらった。
調子に乗って一度、ドラゴンになってみた。
まあまあうまくいったが、一瞬戻り方がわからなくなって、すごく焦った。
元に戻ると、司とエムはゲラゲラ笑った。
「変身していくよ。俺たちはもちろん。世界も」
バグスターになるのは、少し抵抗があったのかもしれないが、考えてみたら今まではもっと凄いものになっていたのだ。
それに、同じ境遇のエムはこんなに楽しそうだ。
「きっとこんなに楽しいなら、もっと楽しくなるさ!」
「……ああ」
「熱くなりすぎるのは禁物だけどね。まあ、罵りあうのは銃を持つより、ボイスチャットのほうがまだマシって思えばいいか」
エムはバグスターでプロゲーマーなのでエロゲをさくっとノーダメージでクリアするのなんてわけがなかった。
人、町、希望。その情報を司が獲得して、あとは統合化を果たす。破壊から、創造が生まれる。司はEpisode DECADEの内容をすべて桜花のためだけの物語にしようと思った。
彼女の世界を、自分たちの世界へ混ぜた。
桜花を連れていき、今までのエピローグと、そしてこれからのプロローグを自らの手で記した。
今までのすべての旅路は、彼女を救うためにあったのだと。
なら終わらせることだ。
それはどんな方法でもいい。雑で、無茶で、とにかく――
ディケイドを、打ち切るのだ。
そして、だから物語は終わる。
そうすることで新しい物語が生まれる。
桜花がいる物語を
それはきっとチラシの裏に書いたような、誰の目にも留まらぬものなのだろうけど。
「ここからのページは、俺の――、俺たちの手で捲っていくさ」
「最高の文字が紡げるといいね」
司は頷いた。
せっかくなので、髪をピンク色に染めてみた。
似合うじゃないかとエムは笑った。
二人はたくさん遊んだ。
まだ、もう少し、まだ遊ぼう。
しかし返事はない。エムが隣を見ると、司はそこにはいなかった。
「またな。仮面ライ……」
言いかけて、首を振る。
「正義の、聖、司」
前もどっかで書いたんですけど、僕個人としてはやっぱり仮面ライダーも正義のヒーローであってほしいんですよね。
概念的な話というか。V3とかの歌詞でもその単語出てきますしね(´・ω・)b
だからまあ昭和ライダーがコテコテ感を出してくれればいいのかもしれませんが。