Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034 作:ホシボシ
何度か言っているんですが、行間はいまだにしっくり来ていません。
まあ最近はスクロール多いのも面倒なんで、セリフまでは一行でいいかなと思い始めているのですが……
今回はEpisode DECADEと同じスタイルで更新していこうかなと思っています。
パソコンで全画面とかにしてもらえると、ちょうどいいのかなって感じですかね(´・ω・)b
「だが、それでも俺は、ここにガキ共の千年王国を造ろうと思う」
Episode DECADE×FOOLS,GAME 桜花ルート5034
ある日、高熱を出した。
俺たち兄弟は馬鹿だから、雨なのに公園でずっと遊んでたのがマズかったんだ。
親はいない。祖父の代わりをしてくれた人はいるけど、弟の傍にいてもらった。
でも俺もまだ小さかったから、夜は不安だった。熱の日は悪夢ばかり見る。
何度も起きて、眠れなくて、部屋は真っ暗だし、不安で泣きそうになって。
でも――……、あれ? そういえば、どうやって乗り切ったんだっけ?
まあ、気づけば寝てたんだろう。そういうものなんだ。きっと。多くの不安が。
あれ? でも、何で、俺は、こんなことを思い出したんだろう?
・夢の向こう側。
少年と、化け物が対峙している。
化け物はそれはそれはもうひどく怒っていた。
ひとつ、お前たちは、オワコンである。
終わったコンテンツ。あるいは、そう、終わろうとしている。終わりゆくコンテンツで――、あると。
一つ、お前たちは、二次創作である。
ではその元となった存在とは、何か――?
・フラッシュバック。それは、過去。
おお、見よ。
それは偉大なる魂のフルブラスト。
過去が放つ熱が陽炎を作り、その向こうにぼくらは揺らめく永遠を見た。
これはきっとノアの箱舟。でもだとするならその『世界』はもうまもなく――
『僕は、ウルトラマン』
しかし、それでも、光の蜃気楼がそこにあった。
おれはスーパー戦隊だって。
俺は、ガンダムでいく。
ぼくは怖いから……、クレヨンしんちゃんのほうが好きだな。
私はね、プリキュアがいい。
そうやって、みんな、腕を伸ばした。べつべつに。
それは
なぜなら世界を変える船はきっともっとたくさんある。
だって僕らの海は、とても広いから。
「永遠の地獄は、永遠だからこそ成り立つものなのだ!」
ヤッタラダマスはそう吼えた。
久遠迷宮、最終下層。そこにはありとあらゆる負が蓄積されている。
壁という壁に、"人は弱く、脆く、ほとほと救いようのない生き物である"ということが、つらつらと書き連ねられている。
だがそれは当然のことだ。
愛を詠った歌詞が何千とあるように、人間の醜さを表した詩もまたごまんとある。
言霊というものがあるように、それが敵のエネルギーに変わったのなら、それは実に対処しづらい。
事実、ディケイドの心は折れかけていた。
目の前に久遠の歌姫が磔にされているが、その距離がやけに遠く感じる。
もはやそこは人が足を踏み入れていい場所ではない。絶大な負のエネルギーが戦士たちの心を蝕んでいった。
知識が襲い掛かってくる。まるで世界のすべてが敵になったかのような錯覚。
叡智が彼らを喰い殺す。
「解き放たれぬ永遠、悪夢の詩を綴り、我は久遠を飲み干そう!」
ヤッタラダマスが巨大な龍へ変わり、ムネモシュネを飲み込んだ。
凄まじいエネルギーのスパークにより、ヤッタラダマスは
彼は文字通り無限になろうとしているのだ。
終わりはない。誰もがアペイロフォビアとなり、時間に喰い殺される。
「ハハハ! いいねぇ! 楽しいぜ! んあ最高だァッッ!!」
ハットを被って、襟元にファーのついたコートを着ていた少年がステッキを持ち、葉巻を咥えていた。
『ロギー』。名の通り、ロギーファミリーの長である。
彼は血走った目を見開き、散らばった世界の欠片が死んでいくのを見た。
しかしそれは始まりなのだ。全ての唄に悲しみのエッセンスが加えられ、今この場所にも影響を及ぼしていく。
「0など、どこにも存在せず、1は
何を言っているのか、ディケイドにはサッパリわからない。
わからないからこそ、勝てないと思った。
ディケイドは全てが間違っていたのだと思った。
そう、全てだ。何から何まで違う。だから悲鳴をあげて立ち上がり、走り出す。
だが、どこへ逃げればいい? 分からないが、とにかく走らなければならない。
ディケイドは先頭にいたので、みんなを通り抜ける形で逃げた。
だが――、ふと、『声』が聴こえた気がした。
ディケイドは足を止める。恥ずかしさがこみ上げてきた。なぜ? わからない。
だがすぐに説明しようのない頼もしさを感じた。ディケイドが後ろを見ると、そこには多くの背中が見えた。
その果て、一番前に立っていた男の背中を見て、ディケイドは……、まあしいて言うのであれば、激しい嫉妬を覚えた。
「俺は負けないッ! 諦めない――ッ!!」
確かにそうだと思った。そうでなくては、解釈が違う。
「無駄だ! お前たちでは無限を超えることなどできない!」
でもすぐに、そうかもしれないと思った。敵の言う通りだ。現実はとても厳しいから。
「いや、できる!」
「なぜ!」
そうだ。なぜ?
「不可能を可能にする! それがウルトラマンだ!」
そうなのか! そう、思った。
「悲しみを生み出す歪んだメビウスの輪は! 今ココで破壊する!」
ウルトラマンメビウスは確かにそう叫び、みんなのほうを振り向いた。
誰もが同じ意見だった。でもディケイドは少し怯んだ。メビウスのまわりにいる人たちはレジェンドたる力を持っているのに、みんな司と同じ場所に立っている筈の明日乃ミライの意見に賛同している。
それはなんだか凄く……、変だ。
『お前はどうする?』
誰かに言われた気がして、ディケイドは答えを用意した。
それは、みんなと同じだった。
なぜならば、みんなと同じが良かったからだ。
だって、それは――
「なぜ」
銀河の中にある。それは星の図書館。
「なぜ複数の世界が交じり合うと拒絶反応が起きるかわかるか?」
魔女に言われて、司は机の上にある絵を見た。
そこにはいろいろなキャラクターが描かれている。
仮面ライダー、ウルトラマン、ガンダム、スーパー戦隊、プリキュア、クレヨンしんちゃん。
つながりは、たぶん、ない。
あるとしても、それはきっと本当に些細なものだと思う。
少なくともその時の司にはわからなかった。
「もし少しでも時代が違ったなら、この絵は生まれなかっただろう」
「……なら、きっとどこかに、同じ人間がいるはずだ」
この絵を描いた人間と同じような人が、きっとどこかにいるはずなんだ。
「同じ時代に、同じものを愛した人が――!」
フェザリーヌはその言葉を聞いて少し呆れたように唇を吊り上げた。
・フラッシュバック、それはきっと過去。
じゃあ、キミは? どうして好きなの?
そう聞かれて、すぐには答えられなかった。
いけないことなのだろうか? いや、俺はそうは思わない。
好きに理由なんていらない。それはまさに心に稲妻が落ちる感覚だ。
理屈じゃないって。ハートなんだ。恋だってそうだろ? ドラマで言ってた。
そんなことを言ったら椿とユウスケは大笑いしやがった。俺は理不尽な暴力を行使しようと思ったが、心の中にいるヒーローに止められたので許してやった。
そうだ。彼らとは人間性が違う。俺は大人だ。スマートなのだ。だから許してやろう。
でもまあ……、そうだな。今も時々は考えたりする。
どうして俺は『 』を好きになったのか。
今、世界には娯楽が溢れてる。漫画なんてもう無料で見る時代だ。
ツイッターじゃ今日も面白い恋愛漫画をいくつか見つけた。今度書籍化もするらしい。
ドラマも見るし、アニメも見るし、漫画も見るし、動画サイトは面白いし。
だから特別なことじゃないんだ。少しばかりエンターテイメント性があれば、一定レベル面白ければ、別に何となく見続ける。
惰性だとか、それを続けることの優越感とか。みんなで感想を語り合うのもいい。今の時代のSNSはそれが中心だ。
椿が言ってた。漫画を一人で見る時代は終わったって。
俺にはよくわからないけど、友里も同じようなことを言ってたし、間違いないんだろう。
まあでも、いい時代になったと思う。周りとは趣味の波長が合わなくてもSNSなんかで簡単に同士を見つける事が出来るんだもの。
そりゃ、やっぱり同じ趣味を持ってるんだから、話も弾む。
同じものを好きなら――……、きっと、仲良くなれるんだ。
・これは、『今』だ。
「――ァ」
雨だ。土砂降りだった。だから昔を思い出したのか?
まあいい。問題は傘をさしてないことだ。これじゃあまた熱が出るなと思った。
それにしても、あの日は最悪だった。もうあんな想いはゴメンだ。悪夢は見るし、辛いし、吐き気はしたし、意識は朦朧と……。
そうだ。朦朧としている。
駄目だ。このままではいけない。これは間違いなく、死ぬ前に視る走馬灯というヤツだ。
「しかしまあ……! なんで――ッ、こうなると思う? 同じ趣味を持つ者同士なんだ。仲良くなれる筈だろ? 俺たちは」
吐き気がする。咳き込むと口から血が出てきた。勘弁してほしい。
司は疲れたように笑って、秋人を――、COBRAを見つめる。
仮面があるから表情はわからないが、きっと笑っちゃいないのだろう。
「趣味? もしも本気でそう思っているなら、お前みたいな馬鹿は死んだほうがいい」
暗い街だった。
街灯は一本。あとは無人のコンビニの明かりだけが司たちを照らしている。
二人はコンビニの、無駄に広い駐車場にいた。COBRAはふと横、店内を見る。
誰もいない。客も、店員も。みんな司が避難させたのだ。
「司。確かに僕はお前と同じ、仮面ライダーが好きだった」
だがそれは、それほどおかしな話ではない。
今日日SNSで検索すれば特撮ファンなんてのは腐るほど出てくる。
だからそこに神聖なものや神格化するべきものなど何一つ存在していない。好きだったからどうだと言うのだ。
「まさか仮面ライダーファンに悪い人間はいないなんて陳腐な言葉を聞かされるワケじゃないだろう?」
「あれ? いけなかったか? 俺はずっとそうだと思って生きてきたよ」
「どんな殺人鬼も、生まれた時は可愛い赤ん坊さ」
「それは、答えになってない。なってないぜ……! なあ?」
司は息を荒げながら立ち上がった。手にしたディケイドライバーを腰へ押し当てると、すぐに装着が完了した。
カードを抜き取る。COBRAは妨害には走らない。無言で立ち尽くしていた。
「変身――……ッ!」『カメンライド』『ディケイド!』
雨の音が聞こえる。
その中でディケイドとCOBRAは拳を交わし、ひたすらに殴りあった。
アーマーに拳を打ち付けると、水しぶきが飛んで仮面を濡らす。
腕が組み合った。近づく顔と顔。ディケイドの複眼に無数の雨粒がはりついている。そこにCOBRAの無機質な仮面が映っていた。
「僕は怪人で――」
何度も繰り返した言葉だ。
COBRAの拳がディケイドの装甲に触れると、闇が収束して弾けた。
彼の固有能力。『無視』の力はアーマーの防御力を無効化して固定ダメージを叩き込んでいく。
「お前はライダー」
ディケイドが吹き飛ばされ、コンビニの壁を粉砕して中に転がり込んだ。
雑誌の棚が崩壊し、ディケイドはさらに転がってアイスの棚を粉砕していく。
COBRAは追いかけるために歩き、そこでふと足もとに転がっている雑誌を掴みあげた。
雨の影響で水滴が垂れる垂れる。雑誌はすぐにボロボロになったが、ぺらぺらとめくれば内容は分かった。
「風都探偵か……」
「ダブルの漫画か? 見せてくれよ! はじめて見る!」
そもそも、ダブルの本編を知らない。
司にとってダブルっていうのは、小生意気な子供たちが変身するものなんだ。
どうしてダブルを知らないんだろう。
どうしてダブルが見れなかったんだろう。
ディケイドは立ち上がるが、足はフラついて後ろへ下がっていく。
棚にもたれかかる。衝撃でカップスープがボトボト落ちてきた。
店員さんに悪いことをした。そう思った時にはCOBRAに投げ飛ばされ、他の棚の商品を床にぶちまけていく。
「同じだな」
COBRAは雑誌を破り捨てると、落ちたお菓子を、ガムを、酒を、小物を指差す。
「数々の犠牲者が出た。星の棚から零れ落ちていく命は特別なことじゃない。ただそういう運命だっただけだ」
立ち上がったディケイドは大きく首を振った。
もう声を出す余裕は無い。だからリアクションで伝えなければならなかった。
(いやそれは違う。特別なことだった!)
きっと脱落してライダーになれなかった人たちだって、そう思っていた。
だから取り出すケータッチ。終わらせる。その覚悟は、本物であってほしい。
「意味を求めるな」
COBRAが掌をかざすと、無視の力が発動してケータッチの画面が真っ暗になって反応しなくなる。
戸惑うディケイドに叩き込まれる拳。レジを破壊し、壁を破壊し、ディケイドは再び外へ転がっていった。
「特別なことではなかった! 仮面ライダーは存在し、お前はその力を手に入れ、そして僕は失敗してショッカーの仲間になった! それだけだ。ただそれだけのことだ! 他には何もない!」
COBRAはディケイドの首を掴むと、持ち上げ、そして腹部を殴りつけた。
闇が破裂してディケイドの装甲がはじけ飛ぶ。司は倒れ、多くの雨を受ける。
「神になりたいのか? だがお前は神ではなく仮面ライダーだ。超人的な力を手に入れたとしても、人類を超越したステージに立っているわけじゃない。あくまでも殺傷能力に特化した鎧を身に纏っただけだ!」
「なんで……? なんでいけないんだよ! 俺とお前が協力して戦う! それでいいだろ!」
司は再び変身、ライドブッカーを手にCOBRAへ切りかかっていく。
しかし太刀筋はすぐに見切られ、COBRAは裏拳でディケイドの背を打った。
吹き飛んでいくディケイド。地面を転がる彼を、COBRAは呆れた様子で見ていた。
「お前の理想は世界にとってみれば些細な光でしかない。全てを照らす力も無いのに、その場で満足することに何の意味がある!」
「本気で言ってるのか? 違うよな。本気だったらお前はバカだ!」
「………」
「なんで忘れてるんだよ! お前ぇッッ!」『カメンライド』
ディケイドは立ち上がりながらディケイドライバーを閉める。
「変身!」『ヒビキ!』
ディケイドは雄たけびをあげて走り出す。
全力というメッセージを込めた右の拳は、COBRAの左手で簡単に受け流される。
次に放った左のストレートは両掌で受け止められた。
ディケイドは鬼の爪を出そうとしたが、『無視』の力で封じられた。
そこでCOBRAは手を振るって拳を弾いた。
ディケイドは腕を上にあげて動きを止める。
COBRAはがら空きになった脇腹にボディブローを打ち込むと、剛腕を振るい首を狙った。
しかしディケイドは地面を転がってラリアット回避すると、立ち上がりながらCOBRAの背を蹴る。
『カメンライド・ファイズ!』
COBRAの仮面についている鞭が振るわれ、ディケイドの装甲を傷つけた。
だが、それでも――、ディケイドは前に出た。雨を切り裂き、走った。
「ォオオオオオオオオオ!」『ファイナルアタックライド!』『ファファファファイズ!』
グランインパクト。両者、握りしめた拳を相手の胸に打ち込む。
息が止まる。よろける。しかしお互い前に出た。
両手を前に出し、相手の両手を掴む。
全力を込めた先に――、COBRAがディケイドを持ち上げた。体を捻りながらディケイドを思いきり上空へ投げ飛ばす。
無防備で空に放り出された。このまま落下すれば死ぬ。
『カメンライド』『アギト!』
ディケイドはカードを抜き取り、空中でフォームライドを行使する。
『フォームライド・アギト!』『ストーム!』
落下するディケイドがふわりと浮き上がった。
嵐が巻き起こり、水が収束する。COBRAにまとわりつく暴風雨、動きが止まったところでディケイドが落下し、風を纏った手刀を繰り出した。
鎌鼬がCOBRAを切り裂きながら押し出していく。
ディケイドはストームハルバードを生み出すと、青い斬撃を発射してCOBRAを狙った。
「!」
COBRAが腕を前に出すと、闇があふれて斬撃を受け止めた。
直後、闇がバラバラに砕け散る。激しいライトがディケイドを照らした。
COBRAは専用マシン・シュバルツに乗り込み、猛スピードでディケイドに迫る。
轢き殺される。ディケイドはすぐに体をそらしてみせたが、掠ってしまい、火花が散って倒れてしまう。
しかしカードは抜いていた。素早くバックルへ放り込むと、マシンディケイダーがマシントルネイダーに変わる。
『フォームライド・アギト!』『グランド!』
両者、バイクに乗り、アクセルグリップを捻る。
そしてもう一方の手を横へ伸ばしたまま、加速する。
衝撃が発生した。ラリアット、両者の腕が組みあったのだ。スピードは大きく減速するが、それでも前に進もうとして、両者のバイクは円を描く。
やがて勢いに負け、腕が解けた。先に動いたのはCOBRAだ。シュバルツを旋回させながら振り上げる。浮いた後輪がディケイドの体を打った。
衝撃で吹き飛ぶディケイドだが、そこでマシントルネイダーが変形。スライダーモードになり、ディケイドを受け止めた。
ディケイドはそのまま猛スピードでCOBRAから離れていき、ある程度進んだところで急旋回。
そこで一旦、停止して、COBRAをまっすぐに睨んだ。
COBRAも意味を理解している。
シュバルツの前輪を持ち上げると、車体がそこで固定される。
COBRAは飛び上がり、前輪と車体をつなげる部分に左足を置くと、右の足裏を激しく回転している前輪に押しつけた。
足裏とタイヤが激しく擦れあい、摩擦で火花が散っていく。
すると徐々にCOBRAの右足が黒く染まっていった。
「ハァアアアアアアアアアアア!」『ファイナルアタックライド』『アアアアギト!』
加速するマシントルネイダーからディケイドが飛んだ。
高速の飛び蹴り、ライダーブレイク。
一方で車体から飛び降りたCOBRAは、真っ黒に染まった右足でそれを受け止める。
ダークアウト。ぶつかり合った蹴りと蹴り。
闇の力がディケイドの勢いを無効化させる。
「ォオオオオオオオオオオオ!」
しかしそこでようやくディケイドアギトのクロスホーンが展開する。
右足に収束していく金色のエネルギー。ディケイドの破壊の力が、COBRAの無効化を無効化しようと輝いている。
「ハァアアアアアアアア!」「グゥアァアアアアアアア!」
炸裂する光。ディケイドの蹴りがCOBRAの蹴りを打ち破る。
激しく地面を転がりながら、COBRAは懐から何か――、ディケイドの見たことのないアイテムを取り出した。
その時、銃声が聞こえ、ディケイドの体から次々に火花が散っていく。
煙をあげて膝をつく一方で、COBRAは左手に持っていたフルボトルを振って成分を活性化させた。
チャカチャカと音が鳴り、そのまま右手に持っていた銃にそのボトルをセットする。
「ディケイド。僕は、ライダーよりも大切なモノのために戦うだけだ」『COBRA!』
銃口から巻き上がるスチーム。
『Mist Match』『Co――……Cobra・ Cobra』
COBRAのスーツがさらなる進化を遂げ、赤く染まっていく。
『FIRE!』
花火が上がった。新形態・『ブラッドスターク』は、トランスチームガンを連射しながらディケイドへ近づいていく。
もちろん抵抗はした。しかしCOBRAの手にはいつのまにかスチームブレードと呼ばれる短刀が握られており、逆手に持ったそれを存分に振るっていく。
片手に銃、片手に剣。しかしディケイドはライドブッカーのみ。
どうしても攻めるスピードで押し負け、ディケイドの装甲から火花が散っていく。
もちろんこれらの攻撃にも『無視』の力は纏わりついており、まるで鎧などないように痛みがダイレクトに伝わってきた。
『カメンライド――』
痛みの中、ディケイドは響鬼のカードを抜いた。
しかしそのカードをライドブッカーから抜き取るまでの僅かな時間をブラッドスタークは見逃さなかった。
腕から尻尾状の針、スティングヴァイパーを伸ばしてディケイドの装甲に突き刺した。
「ウガァァアッ!」
ディケイドの体内に毒が流し込まれた。
それは無視の力を凝縮させたもの。ディケイドはすぐに距離を取り、カードをドライバーに装填するが、その力が発動されることは無かった。
それだけじゃない。毒は体中に回り、心の奥――、魂までをも侵食していく。
喉が渇く。まるで溶けるように、ディケイドの装甲が消え、ディケイドライバーが地面に落ちた。
(ヤバイッ、死ぬ! 殺されるッッ!!)
司は全ての力を込めて、腕を伸ばした。
すぐにディケイドライバーを拾い上げて腰の前にもって行くが、ドライバーが固定されることはなかった。
まるでそれは――、ただの玩具のようだ。
「ぃッ、なんで!」
「忘れるな。忘れてはいけない。それが真の姿だ。お前が立っている位置は、本当に正しい位置なのか?」
「え……ッ?」
ブラッドスタークの声が、脳に響く。
「お前こそショッカーに来い。観測者共は、お前が思っているような組織じゃない。奴らはモルモットのソフビで遊んでいるだけだ」
「たとえどんな裏があったとしても、何の罪もない人たちを殺すショッカーが正しい筈がないだろ!!」
ブラッドスタークは小さなため息をついた。
まあ、分かる。分かるが――、なんだか萎えた気分だった。卑怯な言い方ではあるが、少しガッカリしている。
「内側から潰すという発想には至れないのか? お前は」
「え?」
「それは……、何故だ?」
「――っっ」
「なぜだ?」
まあ、これは正直、COBRA自身もよく分からない言葉だと思う。
流石に今の流れで言ったのはそういう意味ではなかった。それに仮に潜入目的でショッカーに入ったとしても、それはやはりリスキーな話だ。だからそれは決して賢い判断ではない。
だが、COBRA――秋人は司が仮面ライダーに固執しているように見えた。だからきっと、そんなことを口にしてしまったのだろう。
もちろん、ただの気のせい。あるいはそれは嫉妬なのかもしれないが。
「いずれにしても残念だ。取捨選択、いつもそうだった」
ブラッドスタークはトランスチームガンと、スチームブレードを連結させ、銃剣に変える。それはライフル、銃口が司の心臓に向けられた。
「お前の旅は、ここで終わりだ」
雨が地面を打つ。激しい雨音が、互いの声をかき消す。
ブラッドスタークは動かなかった。だから引き金も引かない。
雨音が足音をかき消したからか、近づいてくる人影に気づかなかった。
「やめて、秋人」
「退け、ビシュム。ショッカーは裏切り者には容赦しないぞ」
「どかない。お兄様はシオリが守る!」
激しい眼光に、ブラッドスタークの動きが停止した。
するとエンジン音。強いライトを感じて視線をそちらへ移すと、仮面ライダークウガが迫っているのが見えた。
「司! 大丈夫か!?」
「小野寺ユウスケ……!」
「超変身!」
ライジングドラゴンは、跳躍で一気にブラッドスタークの前に距離をつめ、戦闘を開始した。
拳と、蹴りがぶつかり合う中で司はただ地面を見つめている。
「うあぁああぁあ!」
クウガの全身から火花が飛び散り、水溜りに落ちる。
だがブラッドスタークもヨロヨロと後退しており、突きを受けた部分を抑えていた。
徐々に現れる紋章。ブラッドスタークはそれを闇でかき消しながら――
ふと、ため息をつく。
「確かに僕は、仮面ライダーが好きだった」
スチームが溢れる。
「でももう今は――、それほど」
それもまた、なんら不思議なことじゃない。
気づけばブラッドスタークの姿が消えていた。
司は崩れ落ち、そこで意識を失った。
『やあ、ごきげんよう。ボクはゼノン。仮面ライダーダブルだ』
え? 偽物? ボクが? おいおい、言ってくれるじゃないか。
まあ確かに仮面ライダーダブルは左翔太郎とフィリップが変身する仮面ライダーだ。しかしある日を境に、そんな決まりは崩れ去った。
それがいつなのかは明確に断定できるわけじゃないから置いておくとして、少なくとも『活性化』した日ならわかる。
そもそもキミは仮面ライダーの力をどう考えている? どうすれば変身できると思う? ケースバイケース? 確かにそうかもしれないが、答えは簡単なのさ。
すべては仮面ライダーのエネルギーである『クロスオブファイア』を持っているかどうかにしか過ぎない。
それは明確に視覚できるものではないが、獲得していれば遅かれ早かれ仮面ライダーになる運命が待っている。
でももちろんそれは選ばれたものにしか掴むことのできない力だが、ボクらはそれを『誰にでも』与えることができるようになった。
キミも知っているとは思うけど、世界を隔てる壁は徐々に薄くなってきている。
未知の侵略者がある日、突然異世界から訪れるというケースはいくつも報告されている。
なかでも最近は『大ショッカー』という連中が勢いをつけているようだ。
あれは厄介で、放置すればやがては世界中を蝕み、数多の崩壊を齎すだろう。
だからこそボクらはそれを止めるために仮面ライダーを量産する計画を立てた。
とはいえ、量産するだけでは奴らには勝てない。なぜなら、ライダーとしての質が落ちるからだ。
クロスオブファイアを入れれば、ある程度は誤魔化しがきくが、概念に頼っているだけのライダーでは到底『本物』とはいいがたい。
さらにボクたちが作るのはただの仮面ライダーではない。世界を移動し、敵と戦える役割を持った戦士だ。それには専用のチューニングが必要となる。
たとえば、ファイズ・ブラスターフォームは本来スタートブレイン社の人工衛星からスーツが転送されるが、ボクらはスマートブレインではないのでそんな衛星は作れないし、そもそも作れたとしても、それをわざわざ世界移動のたびに持っていくのはあまりに馬鹿らしい。
スペックの問題もある。なんでも、クウガアルティメットフォームのパンチ力は80トンで、キック力は100トンもあるらしい。
でも一方でアギトシャイニングフォームのパンチ力は15トン、キック力は45トンだ。まさにヒョロガリ、クソ雑魚すぎる。戦士として考えた時、どう考えてもクウガを二人作ればいいだけになってしまう。
でもそうじゃない。それじゃあダメだ。いろいろと。
ライダーはクウガからキバまで必要だし、アギトには時としてクウガアルティメットが勝てなかった相手に勝ってもらわなければならない。
だからボクらは、そうした問題がすべて上手くいくような概念的システムを作った。
それが『Episode DECADE』だ。
システムのベースはすぐに出来上がった。
ただ問題は、一番肝心な仮面ライダーになる人間だった。
これを用意するのが大変でね。なにせ文字通り命を賭けて戦ってもらわなければならない。
なかなか上手くいかなかったよ。ボクらの組んだプログラムでは仮面ライダーになるにも時間がかかるし……。
初めに選んだ人たちは案の定、途中でやめたいと言い出した。
こちらもそれを無視して無理やり戦わせるわけにもいかないだろう? だから記憶を消して世界へ戻した。
それ以降も似た結果が続いてね。最初は乗り気でも死人が出た途端に戦意を喪失するケースが特に多かった。
途中で戦士を補充した時もあったが、それはそれとして、チームとしての連帯感もほしい。
わかりやすく言えばそうだな。スーパー戦隊の28話あたりでレッド以外のメンバーが入れ替わっていたらどうなる? 勘弁してほしいよね。
プリキュアが全員不仲だったらどうする? もう、うんざりだよ。
そうそう、お金で雇った時もあったな。
お金の関係は信用できるっていう話だったけど結果としてはもっと大きな金を提示する敵に寝返っちゃった。
あの時はどうなることかと。まあ結果的に懲らしめて、元の世界へ返したけどね。
そんな中で、少し印象に残ってるグループがあってね。
何回目かはちょっと忘れちゃったけど、あの時はクロスオブファイアを与える人間を『自殺志願者』に絞った。
もともと死ぬつもりの連中だったら、多少の無茶もしてくれて、存分に命を燃やしてくれると思ったんだよ。
結果は成功だった。
でも一つ大きな誤算があったのは、ライダーとしての力が安定していることと、実力の有無は、全く別のところにあったって話さ。
一応、ボクらのクロスオブファイアには、所持者の身体的能力を上げる『
戦ったのがショッカーの中でも優秀な怪人だったというところは、不運の一言なんだけど、せっかく苦労して作ったライダーたちがほとんど壊されちゃったよ。
そして二人、裏切った。
まあ、でも、あの時に掴めたものがあった。
キミはなぜ、死ぬはずだった秋人たちがショッカーになってまで生き永らえようとしたと思う?
もちろん理由はたくさんあるんだろうけど、一番はやはり、あの二人が愛し合っていたからさ。
ボクらは愛というものが戦いにおける人間のモチベーションを大きく左右する重要な要素であるということは知っていた。
しかし逆に今までは愛が生まれた場合、リタイアを選択するケースがほとんどだった。
もちろんあの時の秋人も、美夜という愛を守るために、ある種のリタイアを選択したということになる。
こちらに大きな損害を齎すことがわかっているのに。
しかし、そう。逆に言えば。
自殺志願者が仲間を裏切って、化け物になってまで生きたいと思ったのは、愛の力であると。
そこで、ボクらは一つ大きな冒険に出た。
年齢層をグッと低くして、男女がペアになるように選出したんだよ。
ボクらはEpisode DECADEに必要なものが『青さ』であると見出した。
奇しくも、その前にディエンドをリーダーとするチームが安定化をはじめていてね。
そのグループも若さが生み出す青さに背中を押されたところが多かったと分析している。
だったらそちらの方向に舵を切るしかないだろうと、ボクらは高校生と中学生を中心にクロスオブファイアを与えた。
結果は、大成功さ。
もちろんラッキーもあった。
最も重要でありイレギュラーなアイテム、ディケイドライバーが手に入った初めてのグループということ。
あとはなによりもレジェンドライダーである野上良太郎が仲間になったのは大きかったね。
でもそれを差し引いても狙い通りなところはあったよ。
若さは無謀を生む。それは愚かではあるが、爆発的なエネルギーだ、
まあ考えてもみれば、仮面ライダーとはそういうバカな連中が多かっただろ?
大人になれば忘れてしまう感情を炎にくべたのさ。
そもそも考えてみれば仮面ライダーってのは主に子供のものだ。
純粋さ、あるいは幼稚、それは似て非なるものではあるのだけど、良くも悪くも内包するエネルギーは非常に近い。
子供が幼いのは当たり前だ。しかしある程度、体が成長した時にこそ、その人間の芯にある『幼』なるものが浮上してくる。
……まあいいか。
とにかく、こうして彼らは無事に一人も欠けることなくライダーになる試練を成功させた。
ボクらは彼らの学校の一部を切り離して、ちょちょいといじって『船』に変えた。
せっかくだ。少し覗いていこう。
≪●≫
学校の食堂。キッチンでは、少しタレ目の少年・
しかし隣にいたポニーテールの少女・
「雑だなぁ!」
「べつにいいでしょ。腹に入れば同じなんだから、こんなの」
ユウスケは呆れたように薫を見つめながら、
「何がレシピよ。ハチミツレモンなんだから、ハチミツ入れるに決まってるでしょーが」
そう言って薫はガサゴソと棚をあさるが、そこで首をかしげる。
「あれ? ここにあったと思うんだけど……。ねえユウスケ、ハチミツ見なかった?」
「心当たりないなぁ。昨日、キンタロスたちがハチミツ爆食い大会してたのは知ってるんだけど。その時はあったしなぁ……」
「………」
そ れ だ よ
「ごめんね薫ちゃん。二度としないように、しっかりシメといたから!」
ハナクソおん――……。そこでメッセージは途切れている。
コハナは倒れて動かなくなったモモタロスたちを睨みつけていた。
隣では肩を竦めている良太郎と、その後ろに隠れているデネブが居心地が悪そうにしている。
しかし今回はどう考えてもモモタロスたちが悪い。冷蔵庫や特定の棚に入っているものを使いたいときは事前に言うのがルールなのである。
「でも姉さんがたまに作ってたんだけど、ハチミツレモンってしばらく漬け込んでおかないとダメなんじゃなかったっけ……?」
「え?」
ユウスケと薫は携帯を覗き込む。
まあ、確かにそんなことが書いてあった。提供予定時間まではあと五分ほど。
「「………」」
薫は天を仰ぐ。
全ッッ然、時間が足りない。200%間に合わねぇ。
焦る指が震えて、彼女に罪を背負わせる。
「薫! お前っっ!」
「いいの! ユウスケ! 仕方ないことなの!」
「……安心しろよ。お前だけに背負わせはしないさ」
「ユウスケ――ッ、ごめん!」
二人はそう言って、レモンを次々とイマジンたちのお口の中に詰め込んでいった。
彼らは気絶していても口に入れば咀嚼してゴクンと飲み込んでいた。しかしとても酸いのか、ウンウンうなされている。
と、ここで世界が灰色になって停止する。
上位世界への移行、ゼノンはユウスケの隣に立ってニヤリと笑う。
「彼は小野寺ユウスケ、仮面ライダークウガに選ばれた」
そうそう、一つ忘れてた。
ライダー候補に選ぶのは正真正銘ただの一般人の時もあるけど、たいていは
大きな力を持ったレジェンドライダーのパラレル的存在。その系譜を受けつぐ彼らには、主に名前に特徴が表れる。
ボクらはそれをアルファベットのN・O・P・Qで四段階に分けた。
最も強力な個体レベルは『N』ame(ネーム)だ。
レジェンドと名前が同じでカタカナ表記、あるいは漢字ではあるが同じ名前をいう。
次に『O』rder(オーダー)。
神なる世界において仮面ライダーを演じたアクターの文字が入っている。あるいは顔が同じ。
『P』edigree(ペディグリー)は名前やバックボーン、性格がレジェンドと近い、あるいは対になる要素がある。
最後は『Q』uibble(クイブル)。
共通点が薄い、ハッキリ言ってハズレの部類さ。
見ての通り、小野寺ユウスケは最上位のレベルNだ。
しかも五代雄介のリ・イマジネーションとされている小野寺ユウスケと同名であるこれ以上ない個体だった。
当然その力は強力で、クウガの力と順調に適合してる。隣にいる空野薫も一条のリイマジだろうね。再構成された存在の性別が異なるケースは別に珍しいことじゃない。彼女はライダーにはならなかったが、イメージリングというアイテムによって剣、銃、ロッドに変身できる。
これによりクウガの各フォームに必要な武器をすぐに用意できるということさ。
二人と話していたのはハナと野上良太郎。
いわゆる、レジェンドライダー。時空の乱れによって見た目は小学生くらいだけど、やはり他とはクロスオブファイアの量が桁違いだね。
ただ残念なことに、我々の仲間になったことでその鮮度は落ちてしまった。まあコッチの話だよ。
でもだからこそ面白い実験もできた。たとえレジェンドライダーであったとしても、システムの発展は見込める。
ハナは現在、桜井氏からゼロノスの力を受け継いでいるが、カードによる記憶改変はボクらの手によって無効化されている。
これにより彼女は自由にゼロノスへ変身できるというわけだ。
さらに電王をはじめとして、彼らは独自の進化を遂げた。これこそがEpisode DECADEの目指す調和と進化の形なのさ。
詳しい説明は省かせていただくけれども……。
そこで世界は色を取り戻す。
校庭を見てみよう。そこで眼鏡をかけた優しそうな青年、小野寺翼がカウントをとっていた。小野寺ユウスケの兄であり、アギトに選ばれた。
注目するべき点は彼が変身するアギトには、トワイライトフォームという環境変化を無視する形態があるのだが、もちろんこれはレジェンドライダーのアギトにはなかったフォームだ。
先述した通り、Episode DECADEのプラス面である。
量産型と言っても、細部は違う。時にそれはレジェンドの力を超えるケースもあるのではないか。
事実、翼のアギトはトワイライトの力をバーニングフォームなどにも受け継いでいる。
これは疑うことのない『進化』なのだ。
「みんながんばってー!」
優しそうな女性が手を振っていた。彼女は
戦闘能力はないが、戦うものたちの身の回りの世話を受け持っている。
注目するべき点は元々は死人だったが、こうして蘇っているという点だ。これが他世界を巡るということの可能性でもあり、大きな恐ろしさでもある。
現在、彼らが何をしているのかというと、誰が言い出したか『特訓』である。
その方法が校庭をひたすら走り続けるという頭の悪いものなのは置いておくとして、インスタントホッパーによって身体能力が上昇した少年少女は以前よりは遥かに走れるようになっていた。
とはいえ、早朝からひたすら全速力で走っていれば、さすがに体力の限界は近いようだ。
「ゼェーッ! ヒューッッ! ゼェーッゼェー! ひーッ!」
眼鏡をかけた少年、
「ちょッ、もう無理。もぉ無理やてこんなん! オタクがマラソンなんてはじめから無理だったんだよ!」
そういってゴロンと寝転ぶ。
陰だの、チーだの、自称している彼も、無事にブレイドの力を手に入れた。
さらに剣崎一真のそれとはシステム面で大きく異なる点がある。
ポイントの廃止、異なるカードコンボ、カードの種類や効果などなど。
テセウスの船、ゼノンはそう呼んでいた。意味はどうか察してほしい。
「大丈夫ですか椿先輩」
中性的な少年が話しかけてきた。中等部の
ちなみに良太郎や我夢は変身した際に、身長が伸びてライダーのシルエットは成人男性のそれとなる。これもまたEpisode DECADEの恩恵なのだ。
「我夢は優しいな。でもいいんだ。手を貸さなくていい」
そうしていると黒髪の美少女がやってくる。
椿の幼馴染の
というのもレベルのタイプは一見するとネームではあるのだが、広瀬栞と橘朔也の要素を持ちながらも、選ばれたのはカリスだった。
こうしたタイプはブレイドの要素に広く適合できる『キメラ』であると思われ、リ・イマジネーションの法則性を考える上での重要なサンプルらしい。
さらに彼女が変身するカリスはバックボーンが違うため、ジャックフォームやキングフォームが存在している。
そして咲夜の隣には涼しげな印象の
彼女もユウスケと同じく最高ランクのネームである。当然、天鬼の力を手に入れた。
「これくらいでへこたれるとは情けないヤツだな」
「俺はな! 繊細なんだよ! テメェみたいなゴリラとは違うんだ!」
「哀れなヤツだ。行こうアキラ」
「は、はい」
「ったく、何マウントが取りたいんだアイツは! なあ我夢、ほら見てみ俺の右手。ほら、これ、自然に中指立っちゃてるもん。いやもう本当スムーズに立っちゃってますわ。これこのままアイツに向けちゃってるもん。くたばれメスゴリ――……っておいちょっと待て、アイツ戻ってきてねぇか? おい情けないのはどっちだよ! ちょっと煽られたからってすぐキレるお前のほうが――おいちょッ、マジやめろって! ケツを狙うな! お前どんな――! ちょ待て待て! やめろ! 蹴るな! おい、出たよ! はい出まし――! アァアアアアアアアアアッッ! 蹴りでケツを二つに割られた! 誰かすぐに救急車を呼んでくれ! あと警察……! いやッ猟友会を――」
椿が転げまわっていると、とんでもないイケメンが歩いてくる。
少しクセのある髪質の少年の名は
「大丈夫か椿。疲れたならこれで回復しろ」
「助かる! スポーツドリンクとかか? お茶でも全然よい!」
「いや。画像編集で緑色にした卵焼きの写真だ」
「だから俺コイツと一緒に走るの嫌だったんだよ。もう普通に怖いわ……」
双護は卵焼きの写真をナメるように見つめると、そのまま歩き去った。
(俺のくれるんじゃなかったのかよ。そもそもこれ走ろうっていうコンセプトだろ。なんで普通に歩いてんだよアイツだけ)
そう思いながら椿が立ち上がると、隣を猛スピードで駆けていく少年が見えた。
爽やかな雰囲気の
元々は特別クラスのメンバーたちとは違う世界の出身だったが、旅に加わった経歴を持つ。
メンバーが増えることは管理が面倒になるぶん、戦力の増加に繋がるため悪くない話なのだ。
その鏡治、特訓なのだから全力でやるべきだという考えからか、ペース配分を無視した全力疾走を続けている。
そうなると力尽きるのは誰よりも早くなるわけで。地面にバタリと倒れて空を見ていた。
「も、もう走れねぇ! ああそうだ。俺は全力を出し切ったぜ……ッッ!」
そうしていると小柄な少女がチョコチョコと駆け寄ってきた。
「
ゼノンは言葉を切る。まあいろいろあるのだが、長くなるのでやめておこう。
くせっ毛で双護の妹。過去の事件が原因で感情を出したり、言葉を話すのが苦手なところがある。
「ねえ…鏡治くん……も…う、走れないの?」
「へ?」
「ボク……ね、鏡治くんが…走ってるとこ…見る…の、好き」
「うぉおおおおおおお真由ちゃああああん!」
鏡治は顔を真っ赤にして再び全力疾走で校庭を駆け抜けていく。
こんな感じの流れが三回ほど繰り返されている。凄いのか馬鹿なのかよくわからない男である。
一方、保健室では誰よりも早くダウンした少年がベッドに寝かされていた。
「大丈夫か?」
彼を保健室に運んできた茶色い髪の少年、
打算的な性格ではあるが、正義感の強い男である。龍騎に変身するが、彼と天王路双護だけはゼノンがクロスオブファイアを与える前から所持していたという特徴がある。
それ故にライダーとしての実力も高いが――、どうにも最近モヤモヤすることが増えてきた。
旅を続けるなかで、真志たちは強力な力をいくつも手に入れてきた。
しかし同じくして敵も力をつけてきている。最近はギリギリの勝負、あるいは負けの回数も増えてきた。
焦燥感があるのは当然だ。
そして、それとはべつに、真志には負けた理由がいまいち掴みきれていなかった。
もちろんそれは純粋な実力の面が大きいのかもしれないが、『力』以外の確かな理由がある気がする。
だがそれがいまいち見出せないでいた。それは真志だけじゃなく、拓真が無理をして倒れたのも、似たような理由からだろう。
「あんま焦っちゃダメだよ。拓真は優しいんだから、下手に気合いれても、から回るだけだっての。ねえ美歩」
「それな。あ、やべッ! ミスったじゃん! どうしよ真志! ここ直して!」
拓真の幼馴染でデルタに変身する二つ結びの少女、
隣ではファムに変身する明るい茶髪の少女・
「あのなお前ら、みんな真面目にやってるんだから、走れよ」
「えー! あたしはほら、幼馴染として拓真の傍にいるっていう義務があるし」
「アタシは、ね、ほら、あの――……、あれ! そう、アレ!!」
「やれやれ……」
真志は呆れたようにため息をつくと、保健室を出て校庭に戻ろうとする。
すると爆発音。真志は大きく肩を震わせて、のけぞった。
「うぉ、なんだ? 上か……?」
上、つまり屋上では
向こうからは弟の
二人の
殴る。ひたすらに。ただ殴る。
拳が胸を打つ。後退していくキバはザンバットソードを取り出し、ディケイドへ斬りかかった。
そこでディケイドはライドブッカーを合わせて鍔迫り合いを始める。
火花が散り、剣が離れた。直後ぶつかり合う音。
二人はひたすらに武器を打ち付けあう。見たところキバがやや有利といったところか。ザンバットの攻撃力がライドブッカーを上回っているのだ。
『ブレイド!』『カメンライド――』
だからこそ、ディケイドの隣に生まれたブレイドの幻影は剣を投げた。
『キング』
ブレイドの動きがディケイドとシンクロしているため、ディケイドが武器を左に投げればブレイドは右へ投げる。
ブレイドがライドブッカーを掴み、ディケイドがキングラウザーを手に入れた。
それを振るうと、撃ち負けていたザンバットを逆に押し始めた。
「ハアアアアアアアアアアア!!」
「グアァアア!」
雄たけびと共に剣を突き出すと、突きを受けたキバが転がっていく。
『カブト!』『カメンライド』『ハイパー』
『ファイナルアタックライド』『カカカカブト!』
キバの背後にハイパーフォームが出現する。
しかもキングフォームは消滅したが、ディケイドの手にあったキングラウザーはそのままだ。
ディケイドは左下から右上へ。カブトは右下から左上へ同時に大剣を振るった。
二つの斬撃はキバに命中し爆発を起こす。
「ぐっっ!」「きゃあ!」
変身が解除された亘と、タツロットに変身していた亘のクラスメイトである
里奈は幼少期の事故が原因で足が動かない。すぐに夏美が駆け寄って肩を貸していた。
「ありがとう夏美さん。でも司さん。凄い迫力でビックリしちゃった……!」
「確かにッ、兄さん、今のはマジでビビッたぜ――ッッ!」
殺意とも間違える気迫だった。
それは、あまりプラスのものではない。
「焦ってんの?」
亘に図星を突かれて、ディケイドは何も言わずに変身を解除すると、そこへ栞がやってくる。
「どうだった?」
司が聞くと、
「見えたよ。次の世界もCOBRAが……、秋人が来る」