Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034   作:ホシボシ

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第5話 バトルゲーム(前編)

 

 

「桜花ちゃん……!」

 

 

夏美は青ざめ、ブルブルと震えていた。

ニコに体を貸していたから見ている光景はリンクしている。

目の前で桜花が息絶えた。そして自分が死んだ感覚も鮮明に覚えている。

 

 

「レベルが足りてなかったんだ。とはいえ、してやられたけど全てが無駄だった訳でもない。ゲームケイジには他のメモリガジェットも放ってるけど、それが映像を捉えた」

 

 

ゼノンはデンデンセンサーの映像を確認する。

どうやら桜花が死んで蘇生後、しばらくはネクロデザイアたちは桜花を襲うことができないらしい。クールダウンの時間があるようだ。

 

 

「リスキルができないってことは、まだ少しは余裕が持てる」

 

「そんな簡単に言って! 分かってるんですかゼノンくん!? わたしたちは桜花ちゃんを守れなかったんですよ!」

 

 

詰め寄る夏美だが、ゼノンは彼女をヒラリと交わす。

 

 

「キバーラ、勘違をしてはいけない。桜花は所詮ゲームキャラクターだ」

 

「え……?」

 

「バグスターウイルスが寄生したことで、多少なりともイレギュラーな動きをしているみたいだけど、それも結局、AIのようなものでしかない。人のフリをしているだけで虚構なんだよ。なのにキミときたら情を移しすぎちゃって」

 

 

夏美は複雑そうに唇を結んだ。確かにそう言われると思うところもある。

桜花は死をまったく恐れていないようだった。機械的な印象は受ける。

 

 

「つまり普通の人間ではないから。本物の心がないから? そういうことですか?」

 

「その通り」

 

「違います!」

 

 

キッパリと言い切るものだから、ゼノンは目を丸くした。

 

 

「だったら私たちだって虚構じゃないですか!」

 

 

神なる世界のことを知っている夏美たちからしてみれば、桜花は自分たちとそう変わらない。創られ、シナリオというものの下に生きている自分たちと何も。

 

 

「それも違う。キバーラ」

 

 

今度はゼノンが否定する番だった。

確かに上位的な世界があり、夏美たちはそこから派生した一端であるかもしれない。

だがそこをさらに細分化することはできる。

同じ創作物だからといって、心の有無は大きく違ってくる。

フィクションの産物でくくってしまうと、夏美も石ころも同じということになる。

そんな馬鹿なことがあってたまるか。あくまでも夏美は『人間』、そして桜花は『ゲームのキャラクター』。

そこにはあまりにも分厚い壁がある。

 

 

「極論、桜花はショッカーの怪人たちと同じだ。キミは"何体"葬ってきた? いちいち気にしていたらキリがない。ゲームをしたことはある? 敵エネミーを倒すとき、あるいはデータを消すとき、キミは命を奪う苦しみに苛まれるか?」

 

「そ、それは……、そうかもしれないですけど。言ってることはわかりますけど!」

 

 

そこでピピーッと笛がなった。フルーラだ。

 

 

「まあまあ落ち着いてキバーラ。どのみち今のワタシたちではレベルが足りなかったわ」

 

「う、うぅぅぅ」

 

「そう。だから今はとにかく、ディケイドたちに期待するしかない」

 

 

保護失敗。それが伝わると、司の表情が変わった。

 

 

「頼むぞ、みんな。ゼノンたちが失敗した」

 

 

それぞれの表情は硬い。

 

 

「女の子が殺されたんだ」

 

 

強調するように司が言うと、椿が小さなため息をついた。

 

 

「アホやってる場合じゃねぇな……!」

 

 

大きく伸びを行って虚空を睨む。

 

 

「すまんすまん。軽く見てたわ。ゲームって言葉で混乱して頭がバグってた」

 

 

頭がバグる。独特な表現だが割としっくりくる表現だった。

他世界を巡っているうちに、いろいろなものがマヒしてきた。誰もが、誰しも。

 

 

「気にすることないさ。ゲームキャラとはそういうものなんだ」

 

 

エムがポツリと呟いた。誰に聞こえただろうか? 少なくとも司は聞いていた。

その意味は、まだよくわからなかったけれど。

 

フールズゲームの空間が姿を変えた。

真っ白な空間ではなく。まるで道教のお宮のようだ。

龍の装飾が目立つ煌びやかな宮殿の敷地内の広場にて、現在、司たちが並び立っていた。

右から紘汰、まどか、司、真司、すずね。

向かい側には右から芝浦、手塚、ユウスケ、カオル、みらいが待機している。

 

 

『ルールは簡単。5対5のチームバトル。一定のダメージを受ければ自動的に退場、どちらかのチームを全滅させりゃあ、そこで終わりだ!』

 

 

ただしリーダーのみ最後まで生き残るように設定されている。

つまりリーダーを倒すには、まずは他の四人を倒す必要がある。ただし、リーダー自体にダメージを与えることは可能なので、狙うのは悪くない手である。

 

 

『魔法少女と騎士が与えたダメージがそのままゲームケイジにおける経験値に換算されるわけだ。そういう訳なんで。ま、頑張れよ』

 

 

空中に浮かび上がる、巨大な『GAME START』の文字。

次いで、カウントダウンが開始された。10、9、8……。これがゼロになれば戦いが始まるというわけだ。

それまでに準備を整えろということ。

司がディケイドライバーを腰の前に持っていくと、自動的にベルトが巻かれてライドブッカーが出現する。

 

 

「みんな! 行くぞ!」

 

 

カードを構える司。それぞれのメンバーも変身アイテムを取り出したり、構えを取ったりと準備に入る。

 

 

「まだちょっとよくわかんないとこあるけど、俺に任せろ司くんッ!」

 

 

真司はデッキを前に出し、腕を斜めに突き上げる。

 

 

「頑張ります!!」

 

 

まどかがソウルジェムを構えると、全身に赤いリボンが巻き付いていく。

 

 

「うらっしゃあッ! ここからは俺たちのステージだ!!」『オレンジ!』

 

 

ロックシードを起動させる紘汰。

 

 

「……足は引っ張らないで。フォローできる自信はないわ」

 

 

鈴音は既に魔法少女に変身していたようだ。手をふるうと炎が迸って、緋色の刃が特徴的な剣が生まれる。

そして一方でユウスケたちも同じように準備に入っていた。

 

 

「がんばんなさいよユウスケ!」

 

「ああ。司、悪いけど本気で行くぞ!」

 

 

薫はユウスケの背を叩くとウィザードリングの力で変身。銃に変わってベルト横に装着される。

ユウスケは構えを取った。それを合図にチームメンバーも動き出していく。

 

 

「さてっ! がんばりますか!」

 

 

カオルが魔法少女に変身。

 

 

「この、みらい様がちゃちゃっと倒しちゃうから、邪魔しないでよねッ!」

 

 

みらいという魔法少女は、大剣を片手で持ち上げるとニヤリと笑う。

 

 

「あー、だるッ。雑魚共はすっこんでろよ。足ひっぱったら潰すから」

 

 

芝浦はヘラヘラ笑いながらデッキを前に突き出した。

 

 

「………」

 

 

無言の手塚。テンションがいつにも増して低い。どうやら何かを察したらしい。

変身、重なり合う声と声。ちょうどその時カウントダウンがゼロに変わった。

 

 

「「ォオオオオオオオオオオ!」」

 

 

その瞬間、雄たけびをあげて走り出す戦士たち。

五人の動きが交差し、武器をぶつけ合う音が聞こえる。

 

 

『『『『『レベルアーップ!』』』』』

 

 

音声が重なった。

アナウンスエフェクトが浮かび上がり、文字通りディケイドとクウガが強化された。

両者、把握する。つまり戦えば戦うほどゲームケイジにおいてのステータスが強化されるのだ。そうすれば、あの化け物たちとまともに戦える。

 

 

「ハァアア!」

 

 

クウガは地面を蹴って人の群れを飛び出した。そのままの勢いで拳を前に突き出す。

狙ったのはディケイドだ。腕をクロスにしてガードしたが、衝撃で大きくよろけてしまった。

クウガは足を振り上げ、ディケイドの腕を崩す。

そして前に踏み込み、肩を掴むと引き寄せて飛び上がり、マイティキックを叩き込んだ。

 

後ろへ滑っていくディケイド。

しかしクウガは、足裏に伝わった感触がおかしいことに気づいていた。。

ディケイドの前に光り輝く桃色のバリアが原因である。

 

 

「大丈夫ッ? 司さん!」

 

「ありがとう、まどかちゃん!」

 

 

鹿目まどかの能力は『守護』だ。

強力な結界はサポートにはもってこいのようだ。

まどかは襲い掛かる攻撃をヒラリとかわしながら、弓の弦を引き絞る。すると光が収束していき『矢』へと変わった。

 

 

「えいッ!」

 

 

弦を離すと、矢が発射されてクウガの胸に直撃する。

衝撃、火花。クウガは大きく後ろへ吹き飛んだ。

しかし後方にあった柱を蹴ると、綺麗な着地を決める。

 

 

「バリアか。だったら割ってやる!」

 

 

踏み込むクウガだが、その時、背中に衝撃が走った。

クウガが間抜けな声をあげてうつぶせに倒れると、その背中の上を大量のクマのぬいぐるみが通過していく。

 

 

「ぎゃああああああああ」

 

 

クウガの悲鳴を下敷きに、突撃していくクマ軍団。

ぬいぐるみではあるが、もちろんただのぬいぐるみではない。

みらいの魔法によって命を与えられたクマたちは、鋭い牙と爪を光らせてディケイド達を狙う。

それほど狭くないフィールドだ。数で攻めようというのだろう。

 

 

「へへん! ボクがいればざっとこんなも――」

 

『カメンライド・カブト!』

 

「ん?」

 

『アタックライド』『クロックアップ!』

 

 

クマたちが宙を舞う。打ち上げられ、切り裂かれ、次々に消滅していく。

 

 

「うげ!」

 

 

見えたのは赤い閃光。

カブトに変身したディケイドは高速で駆けまわりながら、ライドブッカーでクマたちを攻撃していく。

さらに空中にジッパーが現れ、空間の隙間からパイナップルが降ってきた。

鎧武がパインアームズへ変身すると、パインアイアンを振り回してクマたちを、なぎ払っていく。

パインアイアンの先端はパイナップル型のハンマーになっており、そこに鹿目まどかが生み出したバリアが何重にも張り付いていた。

それは巨大なボールのようになり、リーチや攻撃力を上昇させている。

バリアとはつまり固い壁を生み出すということ。防御だけでなく攻撃にも応用ができるのだ。

 

 

「ぜァりゃアッッ!!」

 

 

パインアイアンが最終的に狙ったのはクマの持ち主。

みらいは降ってくる武器を見て、ギョッとしながらも大剣を構える。

 

 

「なんだあんなもの!」

 

 

みらいは腰を落とした。一振りで粉砕するつもりなのだ。

確かに彼女ならば容易であろう。だがその時みらいは、前方に『熱』を感じた。

 

 

「陽炎」

 

「うえ!?」

 

 

突如、みらいの目の前に鈴音が現れる。

躊躇なく伸ばした腕で首を掴むと、そのまま乱暴に投げ飛ばす。みらいは悲鳴をあげながら吹き飛び、結界ボールの射程に入ってしまう。

 

 

「させるか!」

 

 

だが牧カオルが地面を蹴って、みらいをキャッチ。変わりにボールを受けた。

直撃し、砕け散る結界のボール。破片が舞い散る中で、カオルはニヤリと笑ってみせる。

カオルの固有魔法は硬質化だ。鋼に変わった肉体の前に、結界のほうが打ち負けたのだ。

 

 

「椿焔!」

 

 

鈴音が持っている剣には中央プレートに紋章が刻まれており、その周りに小さな円系のパーツが五つ並んでいる。

どうやら対応する技が設定されているようで、使えばその部分が光るらしい。

今、鈴音が選択したのは補助の炎。火の玉がチームのメンバーの体内に入ると、身体能力が底上げされる。五人の戦士たちは緋色の光を纏い、フィールドを駆け巡る。

クウガたちも必死に追おうとするが、なかなか上手くいかない。

 

 

「超変身!」

 

 

クウガの体が緑色に染まった。

ペガサスフォーム。超感覚において、ディケイドたちの動きを捕捉しようというのだ。

銃に変わった薫をペガサスボウガンに変えると狙いを定める。

さらにその時、電撃が迸り、金の装飾が施されてライジングペガサスへ強化されていった。

感覚強化はより強く研ぎ澄まされていくが、それを抑えるためのエネルギーも大量に消費されるわけで。

 

 

(集中――……、集中!)

 

 

あらゆる雑音を遮断し、鋭敏になった感覚をコントロールしようと試みる。

 

 

「ああああああああ、もうぜんっぜん当たらないィイイイイイイイ!」

 

(集中、集中――……ッッ)

 

「うざいぃいいいいいいい!」

 

(集中ッ、集中ッッッ!!)

 

「うざいうざいうざいうざいうざいうざい!!」

 

「うざいうざいうざ――、って違う! あのっ、みらいちゃんっ、ちょっと静かにしててもらっていいかな!」

 

「ごめんだけど無理! このみらい様の溢れる怒りを止めることなんてできないから!」

 

 

みらいは、そう口にして大剣を振り回していた。

それを見て、ガイは呆れたように鼻を鳴らす。

 

 

「うざいうざいって、品がないなぁ。弱い犬ほどよく吼えるってさぁ」

 

(……お前もよく言うだろ)

 

 

隣にいたライアは大人の沈黙である。

しかし確かに面倒なのは確かだ。椿焔によって跳躍力が上がったディケイドたちには、なかなか攻撃が当たらない。ガイも龍騎に殴りかかるがジャンプで回避されてしまう。

 

 

「あぁ、うざいなぁ!」

 

(もう口にするのか。ブーメランが早い……!)

 

 

ライアは大人の沈黙を継続。

下手なことを言ってガイの機嫌を損ねるのは面倒だからだ。

芝浦はペースを乱されなければかなり強い。いや、乱されたとしても強引に元に戻せるのが強みだった。

 

 

『コンファインベント』

 

 

無効化のカード。鏡が割れる音が聞こえて、ディケイドたちの中にあった椿焔の力が消滅する。

 

 

「よく分かんないけどナイス!」

 

 

みらいは大剣を構えて飛び上がった。狙うのは急に減速して勢いを失った鎧武だ。

 

 

「覚悟ッッ!」

 

「うッ!」

 

『コンファインベント』

 

「お?」

 

 

鏡が割れる音がして、みらいの大剣が砕け散った。

どうやら大剣の刃部分は、魔法で作られていた様で、それが無効化されたのである。

 

 

「おれのコンファインベントはさ、二枚あるんだよねぇ」

 

「二枚あるんだよねぇ――、じゃねーよ! 味方! こっち味方だから!」

 

「うざいなぁ。あのさぁ、フィニッシュはおれなの」

 

「はぁ!? なんだこんにゃろう!」

 

 

怒ったみらいはガイに文句を言ってやろうと足を前に出す。

だが、ゾッとした。背後に気配を感じたのだ。

振り返ると、そこには燃え滾る刃を振り上げていた鈴音が見えた。

 

 

「曼珠沙火(まんじゅしゃか)!!」

 

 

一番右の円が光ると、炎の勢いが増した。

剣を地面に刺すと、凄まじい爆発が巻き起こり、みらいが爆炎の中に消えていく。

 

 

「おああああああああああああ!!」

 

 

とんでもない悲鳴が聞こえてくる。

爆煙が晴れると、そこには黒こげでアフロになったみらいが立っており、そのままバタリと地面に倒れた。

鳴り響くゲームオーバーの音声。みらいの体が弾けて消えていく。

どうやら超過ダメージを受けるとステージ外へ排出されるらしい。

うどんを食っているさやかの頭上にみらいが降ってきて、さやかに直撃。

さやかは顔面からうどんの丼に顔を突っ込んだ。

 

 

「ぎゃあああああああああああ! 熱々のお汁がぁぁあああ!」

 

 

地獄絵図。しかし考えてみればまだ一人減っただけだ。

クウガは全速力で走り、鈴音に向かっていく。装甲が青く染まった。ドラゴンフォーム、地面を蹴ると一瞬で鈴音の前に迫る。

 

 

(速い! 陽炎で回避を――ッ!)

 

 

だがそれよりも早く、クウガが鈴音の腕を絡めとり、剣を奪った。

 

 

「超変身!」

 

「くっ!」

 

 

クウガは周囲にあるものを自分の武器に変える能力を持っている。

奪い取った鈴音の剣をタイタンソードに変えると、電撃を放出して装甲を金色に染め上げた。薫も剣に変えることで、タイタンソードの二刀流となって前進していく。

武器を失った鈴音は掌から炎弾を撃ちながら後退していくが、タイタンフォームの装甲はそれらを全て受け止め、あろうことか『吸収』していく。

 

 

「ハァアアアアアアア!!」

 

 

タイタンソードから炎が噴き出て、刃に纏わり付く。

両手に持った剣を、交差させるように振るうと、X状の炎の斬撃が発射された。

それは猛スピードで鈴音に迫るが、そこで彼女は真横に転がった。

クウガはハッとする。鈴音に注目していたから気づくのが遅れたが、奥のほうで龍騎が腰を落としていた。

突き出された腕。ドラグクローとドラグレッダーの炎が交わり、巨大な火球となる。

昇竜突破。それはクウガの放った斬撃にぶつかり、激しい衝撃とともに相殺させた。

火の粉が舞う。その中を駆け抜けるディケイド、それを見てクウガも何かを汲み取ったようにマイティフォームに変わり、走り出した。

 

 

「「!!」」

 

 

腕と腕がぶつかり、クロスに重なる。

その時、彼らは違う世界の夢を見た。

時間にしてみればあまりにも短い。しかし全てを理解するには十分すぎるほどの時間。

多くのライダーたちがバイクに跨り、地面を駆け、そして爆炎の中に消えていく。

その果てに立っていたのが仮面ライダーディケイド。

その向こうにはクウガが見える。二人は力の限り殴り合い、そして――

 

 

『ファイナルベント』

 

 

ディケイドがハッとして右を見ると、ガイがメタルゲラスと共に突進を仕掛けにきていた。

ヘビープレッシャー、醒めたばかりのディケイドは気づくのが遅れたため、避けることができない。

 

 

「アイギスアカヤー!」

 

 

一瞬だった。ディケイドの前に立ったまどかの、さらに前。

そこに大きな盾を持った天使が現れてガイの攻撃を受け止める。分厚い盾はメタルホーンをしっかりと受け止めてみせた。

 

 

「くッ、うざいなァ!」

 

 

しかしガイも諦めない。力を込めると盾を持った天使は苦しそうに踏ん張りはじめる。

まどかはそこで別の天使を呼び出した。

アクターメバーエル。まどかの分身体である『まどか先輩』が少し離れたところに着地すると、背後に光球が出現して牡牛座(おうしざ)の並びを作り出す。

 

 

「まずはやっぱりこれだねぇ」

 

 

ジュゥゥウウウウウウウ!!

七輪の前に正座をしていたまどか先輩は、さっそくタンを一枚さっと炙ると、レモン汁が入ったお皿にくぐらせて口に入れる。

しっかりとした歯ごたえのタンを味わると、『マジカル☆泡ジュース(麦)』をくいッとあおった。

炭酸が喉を刺激し、自然と声が漏れた。

 

 

「くぅうう! これだけでええ! でも、けれどっ!」

 

 

まどか先輩はいよいよメインに入ることにする。

網の上に肉を並べると、モクモクとたちのぼる煙を見上げていた。

これぞ必殺・"まどカルビ"。おいしそうな匂いにつられてメタルゲラスは盾を押すのをやめ、そちらのほうへ猛ダッシュしていく。

 

 

「あれ? サイくんも食べたいの?」

 

「お、おい!」

 

 

ガイはバランスを崩して地面に倒れる。

すぐに立ち上がってはみるが、メタルゲラスはまどか先輩と焼き肉に夢中のため、使い物になりそうにない。

まどか先輩は蟹座の力を引き出し、手をカニのハサミに変身させて骨付きカルビを切っていた。

これぞ必殺、"まどキャンサー"。

 

 

『オレンジ!』『マギア!』『カクテル!』

 

「!」

 

 

音声が聞こえた。ガイが振り返ると、鎧武と鈴音が跳躍していた。

 

 

「セイッハーッ!」「ハァアアア!」

 

「グゥウ!」

 

 

鎧武が果汁状のエネルギーオーラを纏って左上から右へ。

鈴音が炎のエネルギーを纏って右上から左へ飛び蹴りを仕掛ける。

ガイはなんとか踏みとどまって耐えたが――、背後に着地した鎧武と鈴音が振り返ったのはその時だった。

 

 

「ァらよッッとォ!!」「フ――ッ!」

 

 

左側にいる鎧武が無双セイバーと大橙丸を同時に右上から左下へ、鈴音も持っている剣を左上から右下に振り下ろしてX状の斬撃を刻み込む。

これが鎧武と鈴音の複合必殺技。無頼(ぶらい)双炎華(そうえんか)である。

 

 

「ぐあぁああああ!」

 

 

大爆発。

ガイのHPがゼロになると芝浦が待機場に戻されて、今まさに蕎麦を食おうとしていたさやかの頭上に直撃。

さやかは顔面から蕎麦の丼に顔を突っ込んだ。

 

 

「ぎゃあああああああああああ! カツオのお出汁がきいたアチアチの汁がぁあああ!」

 

 

一方でバトルフィールドではライアがチームメンバーを後ろに下げた。

既に二人やられている。これ以上、差をつけられるわけにはいかない。

 

 

「牧、小野寺、協力するぞ!」

 

「ああ、わかった!」

 

「うし! 任せろ!」

 

 

カオルが地面に両手をつくと、そのまま地面を蹴って飛び出した。

サッカーで鍛えられた脚力がある。猛スピードで突っ走るカオルは瞬く間にまどかたちとの距離を詰めていった。

これはまずい。まどかは矢を発射するが、その時カオルが跳ねた。

足を思い切り振るうと、足の甲に当たった矢が反射されたではないか。

しかも蹴り返された矢はスピードが上がっていた。まどかもそれには反応できずに真正面から受けてしまう。

 

 

「きゃああ!」

 

 

動きが止まるまどか、そしてもうすぐ目の前にはカオルが迫っている。

 

 

「ほっ!」「うあっ!」

 

 

カオルがまどかの鳩尾を蹴って跳ねた。

 

 

「まどかちゃん! って、うあ゛ッ!」

 

 

さらに駆け寄ってきた龍騎の肩も踏んでさらに跳躍する。

それだけじゃない。同じくしてライアのアドベントによってエビルサンダーが登場、鎧武に掴みかかり、地面を転がっていく。

 

 

「行くぞ! 鈴音!」

 

 

空高くに飛びあがったカオルは右足を突き出して、鈴音に飛び蹴りを仕掛けていく。

鈴音は炎弾を連射してカオルを撃墜しようと試みるが――

 

 

「くッ!」

 

 

同じく既にアドベントで呼びされていたエビルダイバーが割り入り、腹で炎弾を受け止めていった。

さらにカオルはエビルダイバーの尾を掴むと、右足を硬質化させた。

エビルダイバーは体を旋回させて急回転。カオルを振り回して、周囲にいたライダーや魔法少女を吹き飛ばしていった。

 

それだけではない。

エビルダイバーの上にはクウガが乗っている。

既にライジングペガサスに変身済みであり、ボウガンから矢を連射してディケイドや龍騎、まどかたちを射抜いていった。

 

 

「ぐあぁあああ!」「ぅっっ!」

 

 

苦痛の声をあげて離れていく仲間たち。

しかし踏みとどまっていたのはまどかだ。右手をかざし、天使ニターヤーの名を叫ぶ。

小型の天使が現れると、指を鳴らし、四角い箱状のバリアのなかにターゲットを閉じ込めようと試みる。

 

 

「超変身!」

 

 

ドラゴンフォームは脱出に成功したが、残りのメンバーは閉じ込められてしまう。

 

 

「わ! なんだこれ!」

 

 

カオルは結界を蹴るがビクともしない。

そうしていると前方に浮き上がるまどかと、その周りを激しく旋回するドラグレッダーを見つける。

弓を構え、弦を引き絞ると、それに反応するようにドラグレッダーの口の中が光り輝いていく。

 

 

「ちょいちょいちょい! マジですか――ッ!」

 

「チッ!」『ソードベント』

 

 

ライアの背中にエビルブレードが出現する。

それに手をかけ、抜刀するとライアの姿がブレイドフォームへと変化した。

 

 

「フッ!」

 

 

ドラゴンロッドを構えて跳躍するクウガ。

それぞれはカオルを助けに向かうが、クウガの前にはディケイド、ライアには鎧武が立ちはだかり、切りかかっていく。

ライアは鎧武の剣を体を反らして回避すると、剣を振り下ろして火花を散らす。

さらにすぐに振り返るともう一度斬りおろしを行い、向かってきた鈴音をけん制した。

刃こそ当たらなかったが、剣を振った際に電撃が拡散し、鈴音は表情を曇らせながら後ろに下がっていった。

 

一方でロッドを突き出したクウガだが、ディケイドはそれをかわすとロッドを掴む。

片手を離してバックルを開くと、もう一度両手でロッドを掴んで振るった。

クウガのバランスが崩れたところでもう一度片手を離してカードを抜くと、それをバックルに入れて閉めた。

 

 

「変身!」『カメンライド』『ファイズ!』

 

 

紅い光とともにディケイドの姿がファイズに変わる。

そこでクウガが蹴りでディケイドを怯ませた。そこへ二度ほど突きを打ち込み、大きくよろけさせて地面に倒す。

しかしそこでディケイドもディケイドライバーを展開させていた。

クウガが飛び上がり、スプラッシュドラゴンを打ち込もうとする前に、カードを放り込む。

 

 

『ファイナルフォームライド』『ククククウガ!』

 

「ッッ! うげぇえぇ!」

 

 

ロッドが地面に落ちる。クウガの腕が消えたからだ。

あっという間にクウガの姿がクウガゴウラムへと変形。体のコントロールは効くが、それでも変形途中で武器を離してしまったのは大きい。

すぐにクウガは大きな角でディケイドを挟もうと突進を仕掛けるが、ディケイドはそれをジャンプで回避しており、さらにカードを発動する。

 

 

『アタックライド』『オートバジン!』

 

 

空中からバトルモードに変わったオートバジンが飛来してガトリングガンを乱射する。

狙いはクウガではなく、ライアだ。弾丸を受けてライアの動きが鈍る。

そこまで。それでまどかのチャージが終わった。弦から指を離すと同時に龍騎が飛び上がり、右足を突き出した。

 

 

「ごめんねカオルちゃん!」

 

「うッッ!」

 

 

バリアが割れる音、なんとか壊すことには成功したカオルだが、既に紅蓮の弓矢が目の前にあった。すぐに全身を鋼鉄に変えてはみるが――

 

 

「「マギア・ドラグーン!」」

 

 

凄まじい爆発が巻き起こる。

防御を貫き、カオルのHPがゼロになると待機場に戻された。

今まさにラーメンを食おうとしていたさやかの頭上に直撃。顔面から熱々スープが並々と注がれた丼に顔を突っ込んだ。

 

 

「ぎゃあああああああああああ! 濃厚豚骨醤油のスゥプがァァアア!」

 

(学習せんな、こいつ)

 

 

ニコはそう思ったが、思っただけなので口にはしなかった。

 





まどマギは見たことあるけど、外伝はまだ見たことないって人はね、ぜひ『かずみマギカ』は見てほしいですね。
外伝の中では一番好きなんですよね。
この間もね、マギレコで久しぶりにピックアップがあってですね。
まさかここで来るとは思ってなくて、石ないけど、まあ愛があるから来るやろって、かずみを引いたんですけど、こなかったですね。
久しぶりに課金もしたんですけど、こなかったですね。お金が一瞬で消えました。

ちょっと愛が重かったのかな……
愛はお金では買えませんでした(´;ω;`)
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