Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034 作:ホシボシ
一方でバトルフィールドにはある変化が起こっていた。
攻撃を命中させたり、受けたり、相手を倒すと専用のゲージが上昇していく。ディケイドチームの活躍により、それが今MAXになったようだ。
マギアゲージ。効果は既に把握済みだ。最大級の必殺技、使わぬ手はないだろう。
『マギアス・ライドオン!』
鳴り響く電子音。
自動的にファイナルフォームライドが発動し、龍騎の姿がリュウキドラグレッダーに変わる。
それだけでなく龍騎が契約したほうのドラグレッダーも飛んで来た。
素早く位置をとる他のメンバー。
中央にディケイド、背後に翼を広げたまどか、右に鎧武、左に鈴音が立った。
さらに鎧武と鈴音の隣にそれぞれドラグレッダーがつく。
鎧武は大橙丸を、鈴音は剣を大きく振るうと、その動きに合わせて二体のドラグレッダーが思い切り尾の剣を振るった。
Xに交わる炎の斬撃が飛んでいく。
それはライアを貫く――、が、しかしライアの体がドロンと煙と共に弾ける。
変わり身の術、本体は少し背後に出現するが、既にまどかが弦から指を離していた。
ディケイドが飛び上がり、蹴りの姿勢をつくる。
ライアとの間にホログラムカードが並んでいき、そこでまどかの光の矢が、ディケイドを包み込んだ。
それはまさに一瞬だった。ライアの胴体に、ディケイドの足が突き刺さる。
爆発が起き、パスタを食おうとしたさやかの背中に手塚が直撃。
さやかはミートソースに顔面を突っ込んだ。
「ぎゃあああああ! 肉のうま味とトマトのうま味が交じり合った奇跡のバランスのソースにあたしの顔が――」
もはや何も言うまい。
二体のドラグレッダーの力を借りた鎧武と鈴音がX状の斬撃を放ち、相手の動きを制限させたうえで、まどかの光の力を与えられたディメンションキックを放つ。
これが五人がいれば発動できるマギアス・ライドオンの詳細である。
『レベルアーップ!』
上昇する数値、ディケイドはそれを確認すると、振り返る。
「ユウスケ、今回は俺たちの勝ちみたいだな!」
ディケイドが剣を構えて走り出すと、龍騎たちも後に続いていく。
「……それは、どうかなッ!」
一瞬だった。ドーム状に広がる闇と雷。
気づいた時には足が地面を離れていた。そして視界いっぱいに炎が広がった。
気づけば真司、紘汰、鈴音は待機場に倒れていた。
「な、なにが起こったんだ!?」
すぐにモニタを確認すると、クウガが真っ黒に染まっているのが見えた。
アルティメットフォーム。パイロキネシスによる攻撃を唯一耐えたのはバリアを張ったまどかと、彼女が守ったディケイドだけ。
「あ、ありがとう、まどかちゃん!」
「はい、でも……ッ!」
呼吸すらも忘れるプレッシャー。
これが、究極。まどかは思わず地面を見てしまう。あの漆黒の目に視線を重ねたら殺されると、本気でそう思ったからだ。
「大丈夫」
カードが捲れる音。まどかが顔を上げると、ディケイドの姿が変わっていた。
コンプリートフォーム。それを見たとき、まどかの心が軽くなった。
「いけそう?」
「は、はい! 大丈夫ですっ!」
素早く作戦を伝え合う。一方で轟くエンジン音。
人間態に戻っていた薫がトライチェイサーに乗って飛んできた。
クウガの隣に着地すると、シートから降りて後ろに下がっていく。
そしてディケイドの隣にも灰色のオーロラが現れ、そこからマシンディケイダーが姿を見せる。
ディケイドはシートに跨り、アクセルグリップを握る。
「………」「………」
クウガと目が合った。
両者、見つめ合ったままで、しばし停止する。
「――ッ!」
だがその沈黙が嘘のように、マシンは爆音をあげて発進する。
両者、限界にまでグリップを捻り、一秒にも満たない時間の中でバイクは最高速を振り切って尚、加速していく。
音が一瞬、止まった。直後マシンが正面からぶつかり合う。
凄まじい衝撃が走るものの、互いは確かにそこにいた。
『クウガ!』『カメンライド』『アルティメット』
ディケイドの隣に、ビートゴウラムに跨ったクウガ・アルティメットフォームが現れる。電子音に混じる雄たけび、同時に両者の視界が炎で染まった。
「く――ッ! うぅッッ!」
まどかは掌に伝わる力に思わず声を漏らした。
彼女が構築した結界の中に、今、ディケイドとクウガは閉じ込められている。
パイロキネシスによって生まれた全ての炎が行き場をなくし、結界の中の温度は瞬く間に上昇していく。
「ォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「ハァアアアアアアアアアアアアアア!!」
その時、まどかの結界が打ち破られた。
自由になった炎は、すぐに消えていく。
「やるな、司……!」
先に倒れたのは、クウガだった。
今まさに皿うどんを食おうとしていた椿の頭上にユウスケはが直撃。
顔面から熱々あんかけとパリパリの麺に顔を突っ込んだ。
「そこはさやかじゃねぇのかよ! ってあぢぢぢぢぢ! ぎゃあああ!」
「そもそもこんな時に飯を食うな」
咲夜の言うとおりではあるが、ここはバトルフィールドに場面を戻そう。
ディケイドチームの勝利を讃えるファンファーレが鳴り響くなかで、ディケイドは変身を解除した。
振り返ると、そこには天使が浮遊しており、微笑んでいる。
まどかは結界を構築しながらも、同時に天使ローシェルを呼び出していた。
その役割は回復だ。ディケイドがクウガとの打ち合いに勝ったのは、このローシェルが癒しの光を与えられていたからというのが大きい。
聴こえてくるレベルアーップの音声。力が戻っていくのがわかる。
これを繰り返すわけだ。ということなので、早速ほかのメンバーたちもレベルを上げるために動き出した。
「ォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「うグッッ!」
ブレイドが振り下ろした剣を、キバも剣を横にして受け止める。
が、しかしブレイドはひたすらにブレイラウザーを振り下ろし、ガルルセイバーに打ち付ける。
何度もッ!
何度もッッ!!
何度もッッッ!!!
そう! 何度でもッッッッッ!!!!!
「す、凄い気迫だ! 椿さん、アンタ一体なにを――ッ!」
「黙れ亘! 貴様には俺の気持ちなんて何一つわからない!」
「ど、どういうことッ!? わかるように言ってくれよ!」
「うるさい! 持たざるものの痛みがッッ」『マッハ』『タイム』『スラッシュ』
さっき、見てた。
なんか、キバが、攻撃受けて、倒れたら。
「大丈夫ッ、亘くん!?」
「まっててね、おにいちゃん! いま、ゆまが、治してあげるからねっっ!」
「痛いところない? さすってあげるから言って!」
「よくも亘様を……! 許せません!」
なんだかとっても可愛い女の子たちが心配してくれていた。でもこっちが倒れたら――
「おじさんたちは特に何も言ってくれなかった! スルーだ!」
「くっ! ぐあぁ!」
「しかもなんかオカマのおじさんに関しては変身せずに生身でナイフとか銃持って戦ってるし! 俺より強いし! どうなってんだ! なんで変身しない! 変身しなさいよ早く!」
「それはボク関係な――」
「お前なんかにッ! 俺の気持ちがわかるものかァアアア!」【ウルズスラッシュ】
「ぐああああああああああああああああああ!」
ブレイドの一閃がキバに刻み込まれた次の瞬間、斬撃が幾重にもキバに刻まれていく。
時間を停止している間に何度も相手を刻みつけ、そのダメージを一気に解放したのだ。
「凄い気迫ですね椿先輩!」
「見るな我夢! アホが移るぞ!」
別の場所では響鬼チームとカブトチームが戦っていた。
カリスの上段蹴りがカブトを狙うが、空を切る感覚。
すぐに響鬼も音撃棒を振るうが、当たっているように見えても感触がない。
理由はわかってる。後ろでは仮面ライダーナックルが拳を振るうが、超高速で動き回るガタックに触れることすらできていなかった。
少し離れたところで銃を振り回しているマミも同じだ。大量のマスケット銃から放たれる弾丸はサキには当たらない。
イルフラースのスピードのせいであり、そして仮に弾丸が当たったとしても、サキに纏わりつく電撃のが弾丸を塵にしてしまう。
そして原因はそれだけじゃなかった。
「ふっ、流石の巴さんでも、なかなか苦戦しているようね」
「……その恰好で言うのかい」
カブトチームであるほむらは現在、ぶっといリボンと錠で柱に縛りつけられている。
力を込めても引きちぎれないし盾には触れられないしで戦力外なわけだ。そしてすぐ隣には同じようにぐるぐる巻きにされている呉キリカがミノムシのように吊るされている。
しかしほむらと違うのは、キリカは現在も支援中であるという点だ。
地面にある減速魔法陣によって響鬼たちのスピードが落ちている。しかもその魔法陣は一切の目視ができないため、響鬼たちは自分たちが減速していることに気づいてすらいないだろう。
「わかったよ!」
しかしたった今、気づいたものがいる。
日向茉莉は、テレパシーでチームメンバーに仕組みと対処方法を送信する。
行動はすぐだった。後ろにとんだ響鬼が音撃鼓を地面に押し当てて展開すると、音撃棒を打ちつける。
ドン! と内臓に響く太鼓の音。音撃の衝撃波が地面にあった減速魔法陣をかき消した。
「なッ! 私の魔法が!」
「焦るな。妨害の一つが破られたところで有利なのに変わりはない」
カブト、ガタック、サキは、すぐに響鬼たちのもとへ――
「そうはさせないわ! レガーレヴァスタアリア!」【アライブ】
水色のドレスに大きなボンネット。マミの姿が
一瞬で張り巡らされる細い糸。いくら早く動こうとも、それに触れずに移動することは不可能だ。しかも糸は細く、目で確認することは難しい。
事実、すぐに三人の体にそれは触れる。すると糸は一瞬で太くなり、白、水色、黄色、三色のリボンが一瞬でカブトたちを拘束してみせる。
「うぉおお! なんだこりゃ!」
ガタックはすぐにプットオンを発動しようとしたが、ベルトに手を伸ばすこともできない。
サキもリボンを引きちぎろうとしたが、イルフラースのパワーをもってしても束ねられたリボンは破れない。
時間をかければ……、というところだが、それよりも早くマミはリボンを移動させてカブトたち三人を一か所に集めた。
そこへ投げられる音撃鼓。太鼓型のエネルギーが展開していき、茉莉、ナックル、カリスが走る。
「ザック! 一緒に!」『クルミ!』『マギア!』
「おう! オレに任せろ!」『カクテル!』
ナックルが茉莉を抱きかかえた。
そのままナックルは左手を、茉莉は右手を前に出し、指を絡ませて握り合わせる。
社交ダンスのような姿勢。その状態で拳をターゲットに向ける。
【Evolution KING】
王冠にマント、女王のようなフォルムに変わったカリスは長い杖となったキングラウザーをカブトたちに向ける。
杖の先端には大きな弓がついており、そこに光が集中していき――
【HEART・TEN】
【HEART・JACK】
【HEART・QUEEN】
【HEART・KING】
【HEART・ACE】
金色に光るカードがカリスとカブトたちの間に並ぶ
「お、おい! まずいぞ!」
サキがカブトを見ると、彼はゆっくりと頷いた。
「確かにまずいな。プリキュ『ア』からしりとりがスタートすると、俺は『ア』ントマンと答える。そうすると必ず負けてしまう。これはマズイ」
「………」
え? なんの話?
そこでカリスは杖にあった引き金をひいた。
「消し飛べ!」【ROYAL STRAIGHT FLUSH】
弓から光の矢が発射されてカードを貫いてエネルギーを増していく。
矢は一瞬で縛られていたキリカとほむらを貫くと、そのまま旋回して縛られていた三人に直撃した。
大爆発が起こり、煙が晴れるとそこにはもう何も残っていない。
『おぉー、すげぇな。はい、つーわけで勝者は響鬼チー――』
『HYPER・CLOCK OVER』
『ほよ?』
カリスがハッとする。
そこにカブトが、ガタックが、キリカが、ほむらが、サキが立っている。
「しま――」
ほむらの盾が動いた。カリス視点、気づけば目の前に超エネルギー。
『ALL ZECTER COMBINE』
『MAXIMUM・HYPER CYCLONE』
ジュゥべえはしばらく呆けていたが、やがて消し飛んだのが響鬼チームであると理解した。
『ま、間違えた! 勝者はカブトチーム!』
「ぉおおおい!」
場外に咲夜は目を見開き、モニタの中にいたカブトを睨む。
「ハイパークロックアップは卑怯だぞ!」
「……昔、通りすがりの、おばあちゃんが言っていた」
「はッ?」
「あんた嫌やわ。左のキンタマ出てるよ。ってな」
「黙れ! それはッ、なん――……ッ? ええい! しまえ! お下品だぞ!」
関わりたくないのか、それ以上の抗議はでなかったのでその場は流れた。
まあそもそもこれはレベルアップのための戦いなのであって極論、誰が勝ったかなどはどうでもいいのだが、やはりそれぞれのプライドというものがある。
それとなく気になってしまうのは仕方ない。今もバトルフィールドでは、電王が杏子に振り回されていじめられていた。
「オラァ!」「あらーっ!」
杏子が多節棍を思いきり振るって電王を投げ飛ばした。
すさまじい勢いで吹っ飛んでいった電王は、そのまま頭から壁にぶつかって壁の中にめり込んだ。
さらに悲鳴が聞こえる。佳奈美を先頭にして、さやかとゾルダが全速力で走っており、その後ろをベノスネーカーに乗った王蛇が笑いながら追いかけまわしていた。
「こわいよぉおお!」
「おらっ! 弁護士! 大人が中学生を押しのけ前に行こうとすんな!」
「やかましい! むしろお前なら一瞬で回復できるんだから盾になれよ!」
ゾルダとさやかは少しでも互いが後ろにいくように押しながら前に進んでいく。
そこで跳ねるシルエット。石神エムが変身した仮面ライダーエグゼイドがベノスネーカーの上に飛び乗り、王蛇と組みあって落下した。
「おお! ナイス!」
と、さやかが口にした時、地面が光る。
下を見ると、三角形の魔法陣に次々と文字や模様が追加されていくではないか。
「やんばっっ!」
さやかたちは頷き、すぐに魔法陣から出ようとするが、そこで紫色の弾丸が次々に直撃していき魔法陣の中に押し戻されてしまった。
見れば龍玄が銃を構えて立っているではないか。
「出るな屑共!」
「いででで! ちょ! 酷す――」
「吹っ飛べ! イル・トリアンゴロ!」
文句を言ってやろうとした時、ユウリの魔法陣が爆発。
さやかたちは悲鳴を上げて空に打ち上げられていく。
墜落してくることはない。超過ダメージとみなされてバトルフィールドの外に弾かれたのだ。
「ちょ、ちょっとやりすぎなんじゃ……」
ファイズがおずおずと口を開くと――
「「「あぁ?」」」
「あ、いや、なんでもないです。ごめんなさぃ。はい」
睨まれたので後ろに下がっていった。
ああいう目つきの人と関わってはいけませんと何度も学校で習った。
拓真くんは真面目な人なので、その通りにしましたよ、と。
『ゲッキットッツ! ロボッツ!』
エグゼイドが機械的な装甲を纏い、パワーアームで王蛇に殴り掛かる。
しかし王蛇は僅かに体を反らすことでそれを回避すると、エグゼイドの背中を蹴って、ベノサーベルを叩きつけた。
「うぉつ!」
大きくよろけたエグゼイドの体がすぐに浮き上がる。
足首に多節棍が巻きついており、杏子が武器を振るってエグゼイドを壁に叩きつけた。
「………」
司はモニタでその様子を確認していた。
エグゼイド、未知なる存在の仮面ライダー。その力がどんなものなのかは気になる。
すると司が前に乗り出した。エグゼイドが動いたのである。
どこからともなく取り出した武器が多節棍を破壊した。
そのまま高い跳躍力で、寺院の屋根に着地すると、振り返って王蛇と杏子を見た。
「流石はレジェンドライダーにレジェンド魔法少女――で、いいのかな? エグゼイドのままじゃ手こずりそうだ」
「?」
司は今、エグゼイドが口にした言葉の絶妙なニュアンスが引っ掛かった。
そうしている間とエグゼイドはおかしな行動に出る。
というのも、彼は自分のベルトである『エグゼドライバー』を引きはがしたのだ。
すると一瞬で現れる別のベルト、その中央に持っていた武器を装着する。
【ガ・チャーン……!】
「覚えておいてくれ、特別クラス」【仮面ライダークロニクル】
エグゼイドはバックルのボタンを押して待機モードに入る。
「レジェンドを超えるものがあるとすれば――」【ガシャット】【バグルアーップ】
ガシャットをセットすると、巨大な時計が現れてエグゼイドを通過していく。
迸るエネルギー。衝撃波が発生して、王蛇たちの体が宙に舞う。
【天を掴めルゥイダー!】 ウォー!>
【刻めクロニクル!】
【今こそ時はッ! 極まァれりィイ!!】 ウォー!>
見た目は、エグゼイドの雰囲気を残している。しかしカラーリングや装飾は違う。
フォームチェンジ、一瞬そう思ったが、気になるのは腰の中央にあるアイテムだ。
(ベルトごと変わった……!?)
困惑するのは無理もない。そしてそこにいたのはエグゼイドではないのだ。
仮面ライダークロノス。エグゼイドはベルトを交換して、違うライダーに変身したのである。
「超えるものがあるとすればそれはただ一つ。圧倒的な
クロノスはバグルドライバー中央に手を当て、AとB、二つのボタンをタッチした。
【ポォーズ……】
無音になる世界。呼吸音すら聞こえない。
そこにいる全てのものが動きを止めたからだ。
それは時間さえも。
【ガ・チャーン……!】
しかしその中でクロノスだけが動いていた。
バグバイザーツヴァイを腕にセットして、銃口を向ける。
火が放たれた。王蛇は防御などできない。全身で受け、のけぞったままに静止している。クロノスはそのまま杏子やユウリたちにも同じくエネルギー弾を連射して浴びせていった。
杏子たちの姿が爆発で塗りつぶされていく。するとクロノスはバグバイザーを再びバックルにセットしてボタンを押した。
【……リスタート】
重なる爆音。悲鳴なんてものは轟音に塗りつぶされる。
煙を纏いながらバトルフィールドの外に杏子たちが排出されて転がっていく。
「なんだッ、何が起こった――ッ!」
ユウリが立ち上がると、ジュゥべえがニヤリと笑ってほむらを見る。
『時間停止だな。お前以外にも使えるヤツがいたみたいだ』
なんと返せばいいものか、ほむらが言葉を探していると杏子がモニタを指さした。
視線を移すと、そこにはリーダーであるファイズの他にもう一人、あの攻撃を耐え抜いている者がいた。
「タフだねアンタ」
「悪くない。お前も……!」
王蛇が煙を纏いながら走ってくる。
当然クロノスは再び二つのボタンを押そうとするが――
『ベノム』
爆発が起きてから地面に倒れるまでの間に、王蛇は毒を撒いていたようだ。
ベノムフィールドの中にいる間は特殊能力は無効化される。
しかし王蛇が拳をクロノスに当てる前に、再び衝撃波が発生して吹き飛んでいった。
見れば、クロノスが新たなガシャットを起動させたらしく、それがベノムフィールドを吹き飛ばしたのだ。
司は目を細めた。クロノスのドライバーがいつのまにかエグゼドライバーに戻っていた。
いや違う。これはエグゼドライバーではない、"見た目は全く同じ"だが、このドライバーの名前は、『ゲーマドライバー』である。
『ガッチャーン!』『レベルアーップ!』
『タドル歴史! 目覚めるキシ! タドールレガシー!』
クロノスではない。そこに立っていたのはまた別のライダーだった。
「仮面ライダーブレイブ・レガシーゲーマーレベル100」
「チッ! さっきからコロコロと……!」『アドベント』
ブレイブの背後にジェノサイダーが出現し、食らいかかろうとした。
その僅か一秒ほど。ジェノサイダーの牙がブレイブの仮面に触れる前に、無数の光の剣がジェノサイダーの体に突き刺さっていた。
「ギシィィィイイイ!」
後退していくジェノサイダーへ、さらに光の剣が突き刺さっていく。
しかし王蛇の咆哮がジェノサイダーの咆哮に重なる。
ファイナルベント。瀕死のジェノサイダーではあるが、強引にブラックホールを生み出して決着をつけようというのだ。
「ハァ!」
王蛇が飛んだ。
しかしブレイブは引力に負けることなく踏みとどまり、持っていた剣にガシャットを装填する。
『タドル! クリティカル・フィニッシュ!』【TADDLE・CRITICAL FINISH!!】
踏み込み、そして――
「ハァアアアアア!」
薙ぎ払う。光の斬撃がジェノサイダーを上下に断ち、飛んで来た王蛇さえも飲み込んで爆発させた。
「グゥゥウ!」
バトルフィールド外へ転がっていく浅倉。
そこでブレイブはベルトを再びバグルドライバーに変更する。
無数の赤い円錐がブレイブを囲んだ。ファイズアクセルフォームだ。
だが残念ながら、それよりも早くクロノスへの変身は完了している。
触れるボタン。止まる時間。目の前で停止しているファイズへ向けて、クロノスは回し蹴りを繰り出した。
【キメワザ】【クリティカル・クルセイド】
足の動きに合わせて時計のエネルギーが重なり、長針と短針が重なり合う。
【終焉の……一・撃】
そこでクロノスはポーズを解除した。
「うあぁああぁあああ!」
凄まじい爆発が起きてファイズが外へ送られる。
勝者が確定。司はいてもたってもいられず、戻ってきたエムに駆け寄った。
「お、お疲れ。凄かったじゃないか」
「ああ。サンキューな」
「でもッ、どうして他のライダーに?」
「俺個人の感想、キャラランクがエグゼイドより上だからかな。ブレイブを選んだのはなんていうか王蛇に対するバフがかかるからかな? 単純な性能はクロノスのほうが上かもしれないけど、対王蛇として考えるならブレイブのほうが相性がいいんだ」
わかるような、わからないような。司が戸惑っているとエムはニコリと笑った。
「プロゲーマとしては勝ちに行きたい性分でね。まあキミもEpisode DECADEを真に理解する時がくれば、おのずと意味がわかるよ」
「そう、なの……か。そういうものなのか。ってことは俺はまだEpisode DECADEを理解してないってことなのか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。そういう曖昧な話だから」
何かが見えた気がするが、それはすぐに隠れてしまった。
フールズゲームを書き始めた時は、まだ鈴音とかタルトとかもいなかった時代で。
本当それこそ、まさかこんなに魔法少女が増えるとはって感じだったんですけど――
まあでももし今、書くとしてもメンバーは変わってなかったと思いますね(´・ω・)b