Episode DECADE×FOOLS GAME 桜花ルート5034   作:ホシボシ

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第7話 変身者たち(前編)

 

 

『レベルアーップ!』

 

朗報ではあるものの、地面に倒されたままで聞くのは気分が悪い。

龍騎に変身していた真志は立ち上がると、目の前で余裕の笑みを浮かべている双護を睨みつけた。

 

 

「クロックアップ、強すぎるんだよ。オレにもくれ」

 

「ほら」

 

 

カブトがボタンを投げる。まさか本当にくれるなんて思ってなかった。

大慌てでキャッチすると、勢い余って再び地面に倒れた。

 

 

「ディエンドがスペアを落としていったんだ。それを盗った」

 

「……お前も意外とちゃっかりしてるのな」

 

「ヤツもたまには盗られる側の気持ちを味わったほうがいい。それにポケットにそっと釣りたてのマヒマヒを入れておいた。これでチャラだ」

 

「そっと仕込むものではないし、それでチャラになると思って……、いやいいッ、これはたぶん付き合ったら疲れるやつだ」

 

 

クロックアップシステム。この形状は見たことがある。

真志はVバックルを取り出すと、さっそく右横に取り付けた。

これだけで龍騎がクロックアップを使えるようになるのだ。

 

 

「双護、お前、エムの言ってたこと、どう思ってる?」

 

「俺たちがEpisode DECADEに真に理解した時、新しいものが見えると言っていたな。少しはわかるさ、最近夢を見る。王の力に触れる夢だ」

 

「王?」

 

「ああ。だがそれはきっと俺にしかわからない。だから説明できない。それは偶然であり、必然でもある」

 

 

言っていることはサッパリ理解できないが、いつもみたいに突拍子のない意味不明なものではない気がして、真志は必死に意味を探った。

しかしそこで双護は念を押す。本当にわからないのだ。彼自身にも。

 

 

「しいていえばそれは俺が『双護』だからだ。これは偶然であり、必然である」

 

「はぁ」

 

「俺たちの時間は常に流れている。ゼノンも言っていた。新世代はすでに10を超えたと。それはつまり、仮面ライダーの歴史は俺たちの知らないところで進み続けていたということだ」

 

 

真志も漠然としたものは見えている筈だ。

それを言語化できないわけだが、限りなく近いところに立っているのだろうと、双護は思っていた。

 

 

「なんつうか……、たとえばの話な」

 

「ああ」

 

「まったく違うかもしれないけど。たとえば、なんかこう、オレたちは電話を使ってるんだ。黒電話だ。でも外国ではもうスマホが出てる」

 

「黒電話よりは、もう少し性能がいい」

 

「あ、ああ」

 

「待ってろ」『HENSHIN』

 

 

双護は再びカブトに変身すると、クロックアップを使った。

こうしてあっという間に真志の前にいろいろな『アイテム』が置かれる。

鏡治(ガタック)と同じ世界の出であり、今はフォーゼに変身している結弦(ゆづる)という少年、通称・博士(はかせ)から受け取ったものだ。

ゼノンたちからはあまり使用しないようにと言われているのだが、双護は逆に使えという。

 

 

「お前のやりたいように一度やってみろ。視界が少し、クリアになるかもしれない」

 

「……ああ。わりぃな。いろいろ」

 

 

 

『よっしゃ! じゃあディケイドチームVS龍騎チーム! はじめるぜー!』

 

 

鈴音、紘汰、司、真司、まどかが寺院の中に入っていく。

一方で向いのゲートからは、右から戒斗、美歩、真志、蓮、かずみが歩いてくる。

バトルフィールドの外ではギャラリーたちが試合を観戦しようと集まっていた。

そこにはチームに選ばれなかった魔法少女や騎士の姿も見える。

たとえば霧島美穂はパートナーである浅海サキのもとへ駆け寄った。

 

 

「ねえほら! サキ、見てよぉ。あれが美歩ちゃん!」

 

「確かキミの」

 

「リイマジってやつらしいわ。血を分けた姉妹みたいなもんよね」

 

「確かに雰囲気が似てるね」

 

「でしょー? 愛しくてたまんないわ。ほら今からファムに変身するから見て――」

 

 

一同が変身準備を進める中、美歩は携帯を見ていた。

SNSをチェックしているのではない。『操作方法』を見ていたのだ。

変身。次々と聞こえる声に反応して、美歩は携帯をしまった。

そして代わりに、大きなドライバーを取り出して腰に装着する。そこには穴が開いており、そこへカードデッキを差し込むと、ドライバーにある四つの赤いレバーを下に倒していく。

 

 

『3(スリー)』『2(ツー)』『1(ワン)』

 

 

美歩はファムの変身ポーズを取ると、身に着けていた『フォーゼドライバー』のレバーを入れた。

 

 

「変身!」

 

 

激しく巻き起こるスチーム。

それを振り払い、仮面ライダーファムが姿を見せる。

が、しかしどうしたことだ。このライダー、仮面は紛れもなくファムではあるが、首から下は完全に仮面ライダーフォーゼそのものではないか。

まさにコラージュのような姿だった。

 

 

「ずいぶん変わった形のファムだな……」

 

「えーっ! えぇー! なんでぇー!?」

 

 

美穂の声が聞こえてきたのか、気まずそうに『フォーゼ』は両手を合わせた。

 

 

「いやー、すんません! なんかコッチ使ってくれって真志がうッさくて。これヤバイですよね? なんていうか……、え? いやこれマジヤバくね? 気のせい?」

 

 

動けばかっこいい! 真志が投げやりに叫んだ。

そこでカウントがゼロになる。一斉に走り出す戦士たち。武器を交差させ、そのまま一対一になるように散り散りになっていった。

 

 

「鈴音と戦うのって珍しいよね!」

 

「……そうね」

 

 

等間隔で並ぶ柱を間にして、鈴音とかずみは並行に走っていた。

かずみが十字架を前に向けると、先端から光弾を発射されていき、鈴音を狙う。

 

 

「どっちが強いと思うッ!?」

 

「今、決めればいいことよ」

 

 

鈴音は時に柱を盾にして、時に自らも炎弾を発射することで飛び道具を相殺していく。

しかしここでかずみの背後から小型の十字架・シビュラがいくつも回転しながら飛んでいった。

それらは複雑な動きで飛んでいき、火の粉を回避しながら鈴音のもとへ向かっていく。

 

鈴音は少し眉を動かすと、姿勢を低くして加速。

スライディングで近くの柱の後ろへもぐりこんだ。

当然、シビュラたちは柱の後ろに回り込み、鈴音を執拗に追いかけるが――

 

 

「陽炎!」

 

「ちょわッ!?」

 

 

鈴音が一瞬で、かずみの前に現れる。

だが、かずみも反応が間に合い、振り下ろされた剣を十字架を横にして受け止めてみせた。

火花が散る。鈴音はすぐにしゃがみ、足を払うが、かずみはバク宙で距離をとりながら十字架を分離させて二刀流に変えた。

 

着地と同時に走る。

鈴音も剣も交えて、ひたすらに武器を打ち付けあった。

やがて競り合いが崩れたのは、鈴音の炎が原因だった。

プレートの周囲にある玉が全て光ると、鈴音の剣が真っ赤に燃える。炎はやがて螺旋を描いた。鈴音はその状態で武器を思いきり振り下ろす。

 

 

「紅(べに)ッ、椿(つばき)!」

 

 

かずみは再び後ろに跳んだが、無駄だ。

叩きつけられた炎を中心に竜巻が発生する。熱風でかずみの体が浮き上がり、吹き飛んでいった。

 

 

「あつーいッ!」

 

「じゃあ、もう終わりにしてあげる」

 

 

再び鈴音がワープでかずみの前に来た。

空中で身動きが取れなくなっている、かずみへ伸びた刃。

すぐにポーンと、かずみの頭部が宙に舞った。

 

 

「!」

 

 

しかしそこで黒い布に変わる肉体。

ユニオン・トリックベント。本物のかずみは既に地面に倒れており、光る十字架の先端を鈴音の腹部に押し当てた。

 

 

「しま――ッ!」

 

「リーミティエステールニ!」

 

 

レーザーに押し出されて飛んでいく鈴音。

しかし、ただでは転ばないのか、吹き飛びながらも手を伸ばして炎の剣をかずみの周囲に出現させる。

だが炎の剣が次々に刺さろうとも、かずみは魔力を込め続けた。

やがて鈴音が壁に叩きつけられた。

お互いにダメージはある。すぐに立ち上がると、魔力を解放して、決着をつけにいく。

 

 

【アライブ】【アライブ!】

 

 

音声は、二つ。

エコーかかったバイザーの音声と、エコーかかった戦極ドライバーやロックシードに使われている音声。

かずみはショートカットだった髪が、一気に伸びてロングヘアになる。

ドレスも、ほのかに紫かかった白いものに変わった。

 

鈴音は、髪を結んでいたリボンが解けて、銀色の髪が風に靡く。

見た目は何も変わっていないが、剣の形状が変化しており、カッターのようなシルエットから、刀を彷彿とさせるものとなっていた。

先に動いたのはかずみだ。腰を落とし、踏み込んで地面を蹴る。

 

 

「メテオーラフィナーレ!」

 

 

かずみが光となり、流星のようにして飛んでくる。

鈴音が構えた。居合の構えだ。目を細め、そして――

 

 

「ぺげぇ!」「うぅッ!」

 

 

大爆発。

二人は同時にバトルフィールド外へ排出されて転がっていった。

 

 

『トリックベント』

 

 

前から走ってくる無数のナイトたち。

それを見ると、鎧武は高速形態への変身を遂げる。

 

 

【ジンバーッ! チェリー!】『【ハハーッ!』】

 

 

赤い閃光が次々にナイトを切り裂いて地面に倒していく。

 

 

「へへっ、どんなもんだァ!!」

 

 

鎧武が自慢げに鼻を鳴らした時、ナイトたちが爆発して無数の小型のコウモリになって飛んでいく。

 

 

「うえぇ!?」

 

 

しかもこのコウモリ、一匹一匹が超音波を放ち、鎧武は思わず頭を抱えて膝をついた。

 

 

「うぐおっぉ!」

 

 

そこへ強力な突きが入った。

鎧武は背中から地面に倒れ、衝撃で足裏が天を向くまでのけぞった。

 

 

「甘いな」

 

 

ナイトが走る。

鎧武は上半身だけ起こすと光の矢を連射するが、ナイトは剣を使って次々に矢を弾いていった。

そうしていると二人の距離が間近に迫る。

ナイトは剣で地面を突いて鎧武を狙うが、鎧武は素早く地面を転がって突きを何度も回避していく。

高速であるが故、距離が開いた。

立ち上がる鎧武と、カードを発動するナイト。

 

 

『ガードベント』

 

 

ナイトが、マントで自らの姿を覆い隠した。

そこで走ってきた鎧武がソニックアローを振るってマントを切り裂く。

手ごたえがなさすぎる。切り裂かれたのはマントだけだった。ナイトの姿はどこにもない。

 

 

「ハァア!」「うぐぉ!」

 

 

そうしていると背中に衝撃を感じた。いつの間にかナイトが回り込んでいたのだ。

槍の一撃で鎧武が吹っ飛ぶのを確認すると、デッキからカードを抜いてバイザーに装填する。

 

 

『ファイナルベント』

 

 

鎧武が振り返ると、すでにマントに身を包んだナイトが急降下してくるところだった。

よけられない。だからこそ、鎧武はロックシードを起動する。

 

 

『カチドキ!』『ロック・オン!』

 

 

カッティングブレードを倒すと、重厚な鎧が一瞬で鎧武を包み込んだ。

 

 

『カチドキアームズ!』『いざッ! 出陣!』

 

 

飛翔斬。ドリルのように変わったマントの先端が鎧武に突き刺さる。

しかし甘い刺さりだ。どんなに力を込めても、鎧武の鎧を貫けない。

 

 

『エイ! エイ! オーッッ!!』

 

 

カチドキアームズ。

両手を背中に伸ばして旗を掴み取ると、目の前にいるナイトを叩き落した。

 

 

「ゥぉおッシャア!」

 

 

旗が風に靡く。豪快にブンブンと振り回し、ナイトの手から槍を弾くと、そのまま先端で鎧を小突いて後退させていく。

 

 

「ち……ッ!」

 

 

ナイトがダークバイザーで切りかかるが、旗の柄にぶつかり、さらに鎧武が体を回転させることで『カチドキ乱世風雲斬』が発動。

旗からオレンジ色の衝撃派が発生してナイトが吹き飛んでいった。

ナイトが地面を滑っていると同時に鎧武は旗から手を放し、どこからともなく火縄大橙DJ銃を取り出してスクラッチを開始する。

 

 

「ハァーッ!」

 

「ぐッ!」

 

 

巨大な光弾が飛んできた。

ナイトは剣でそれを弾こうとするが、あまりの衝撃で剣が手からすっぽぬけて飛んでいく。

さらに二発目、ナイトは胴体でそれを受け止め、猛スピードで吹っ飛んでいった。

やがて壁に直撃、そこへ追撃の三発目がくるが――

 

 

【サバイブ】

 

 

嵐によって光弾がかき消される。

風の中からマントを広げて飛び出してきたのは強化形態となったナイトだった。

バイクに変形させたダークレイダーに跨っている。既にファイナルベントは発動済みのようで、巨大なマントがバイクを覆って槍へと変わった。

 

 

「貫くッ!」

 

「おもしれぇ! 俺も行くぜーッ!」

 

 

疾風断(ウイングバスター)。

しかし鎧武もまた銃に剣を連結させており、大剣にして構えを取っていた。

 

 

「ハアアアアアアアアア!」

 

「セイッハァアアアア!!」『無量大数ゥ!』『カチドキチャージ!』

 

 

ぶつかり合う技と技。凄まじい爆発が起こる。

その煙が晴れた時、そこにはもう何も残っていなかった。

 

一方、少し離れたところでは龍騎とバロンが戦っていた。

 

 

「うぉ! あぶっ! おぉわあぁ!」

 

「ええい! ちょこまかと鬱陶しい!」

 

 

突きだした槍。それを龍騎は両腕で掴んでホールドしてみせる。

 

 

「危ないもの振り回すなよ! バナナは食べるもんだろ!」

 

「黙れ! このゲームの趣旨をまだ理解していないのか貴様は!」

 

 

バロンは前蹴りで龍騎を弾くと、カッティングブレードに手を伸ばす。

 

 

「とくと味わうがいい!」『カモン!』『バナナスパーキング!』

 

 

バロンが持っていた槍を地面に刺すと、龍騎の周りから地面を突き破ってバナナ型のエネルギーが突き出してくる。

 

 

「うわぁああ! でっかいバナナがぁああ!」

 

 

龍騎は悲鳴を上げながらバナナから逃げ、その途中でデッキからカードを抜いた。

 

 

『ストライクベント』

 

 

ドラグクローを装備。さらにその周りに赤いオーラがまとわりつき、巨大なドラグレッダーの頭部型のエネルギーを構成する。

"ドラゴンバイト"。龍騎が腕を振るうと、竜のエネルギーオーラが大口をあけて、バナナを食い破っていった。

 

 

「ハァアア!」「うぉっ!」

 

 

その中、龍騎は飛び込んできたバロンの姿を捉えた。

突き出された槍を腕で挟み、すかさずホールドする。

だがバロンの判断は早い。槍から手を離すと、ゲネシスドライバーを取り出して、戦極ドライバーから張り替える。

 

 

【レモンエナジーアームズ!】【ファイトpower! ファイトpower! ファイファイファイファイファファファファファイッ!!】

 

 

逆手に持ったソニックアローで龍騎を切り抜けると、弦を引いて光をためる。

 

 

「やば!」

 

 

龍騎が反応した時には既に矢は放たれた後だった。

光の矢が次々に胴体に直撃し、龍騎は悲鳴を上げながら後ろに下がっていく。

するとバロンはドライバーからロックシードを抜いて、弓のほうに装填した。

 

 

【ロック・オン!】

 

 

弦を引くと、黄色い光が一気に集中していき――

 

 

「爆ぜろ!」【レモンエナジー!】

 

「うわぁあああああ!」

 

 

高エネルギーの矢が龍騎のもとに届くと、爆発が起こる。

しかしそれは一瞬。爆発が粉々に砕けると、サバイブの音声とともに強化形態になった龍騎が姿を見せた。

 

 

「フン、面白い! 旧時代の騎士がどこまでやれるか見せてみろ!」

 

 

矢を連射するバロン。龍騎も合わせて光線を連射した。

 

 

「なかには古いもののほうがいいって令子さんが言ってた!」

 

 

二つはぶつかり合うと相殺するが、すぐに熱が宙をかける。

バロンの矢は一発一発だが、龍騎は違う。

メテオバレット。光線を追うようにしてドラグランザーの火炎が追撃として放たれていた。

ソニックアローの連射スピードを超えた炎弾がバロンに直撃していき、爆発を起こしていく。

そこで龍騎は走り、ドラグブレードを展開、思いきり剣を突き出して胴体に打ち当てた。

 

 

「ぐぅ! ウゥゥウ!」

 

 

転がっていくバロン。

 

 

「なるほど。少しはやるな……!」

 

 

しかしすぐに立ち上がると、すでにロックシードをセット済みの戦極ドライバーを再び装備した。

 

 

「だが真の強者はただ一人!」『カモン!』『リンゴアームズ!』

 

「今度はリンゴぉ? 普通に食わせてくれよぉ……」

 

「そう、禁断の果実だ!」『デザイア・フォビドゥン・フルーツ!』

 

 

戦極ドライバーは性能的にはゲネシスには劣るが、このリンゴのみは例外である。

ほとんどのステータスがレモンアームズを上回っている。しかしデメリットも存在しており、すぐに全身を苛む痛みと不快感。

長時間の変身は不可能であり、故にこれになったということは、決着をつけるということである。

 

 

『カモン!』『リンゴスパーキング!』

 

 

バロンは盾を投げると、両手で剣を持って走りだす。

一方の龍騎もファイナルベントを装填してバイザーを投げた。

飛び上がり一回転。両足を突き出すと、ドラグランザーが炎を与えて爆発的に加速させる。

 

 

「ダアアアアアアアア!」

「ハァアアアアアアア!」

 

 

サバイブライダーキックと、赤く発光したソードブリンガーがぶつかり合い、爆発を起こした。

ほぼ同じタイミングでフィールド外へ排出される真司と戒斗。

相打ちが続いていくなかで、場面はまどかとフォーゼに移る。

 

まどかは天使ハホヤーが与えた光の翼で。

フォーゼはイカロスウイングと呼ばれた光の翼でそれぞれ飛行し、武器を打ち付け合う。

フォーゼはブーストモードに変えたバリズンソードを突き出すと、一気に加速して、まどかのもとにたどり着く。

まどかが手をかざすとシールドが展開していくが、バリズンソードはそれをバリバリ打ち砕いてまどかにまで到達する。

 

 

「あうッ!」

 

 

突進が直撃して、まどかのバランスが崩れる。

 

 

「ごめんなまどかちゃん! ギャルの加速力は凄いから!」

 

 

しかしまどかは墜落していくなかで、魔力を凝縮した光球をいくつも出現させ、それで射手座の並びを作る。

 

 

「スターライト! アロー!」

 

 

まどかの手に大きな弓の形をした天使、アドナキエルが握られる。

弦を引き絞ると、眩い光が収束していき、手を離すと同時に巨大な矢が発射された。

 

 

「やば! え、えと、こういう時は確か――」

 

 

フォーゼはそれを見ると、バリズンソードの柄頭にあったスイッチのボタンを押す。

するとフォーゼの前にワープホールが出現、光の矢はそこへ吸い込まれて消えてしまった。

 

 

「え!? あッ!」

 

 

まどかは驚いてしまい、少し離れたところに出現した同型のワープホールに気づいていない。

矢を吸い込んだのが『入り口』ならば、今さっき出現したのは『出口』だ。

そこからまどかの矢が放たれ、気づいたばかりのまどかに直撃した。

 

 

「きゃあ!」

 

 

よろけ、なんとか踏みとどまるが、隙は大きい。

その間にフォーゼはレバーを入れて必殺技を発動。大きな翼を広げてまどかに突っ込んでいく。

 

 

「イカロスライダーキィーック!」

 

 

まどかは巨大な盾を持った天使を召喚して真っ向からそれを受け止めた。

 

 

「はァアアア!」

 

 

気合が入った声と共に盾を上昇させ、フォーゼを上に押し上げる。

 

 

【アライブ】

 

 

女神の姿になったまどかが手をかざすと、天使ニターヤーが召喚されて、フォーゼの箱型のバリアの中に閉じ込めた。

 

 

「うっ!」

 

 

フォーゼは壁を殴るが、これがまた頑丈でどうにもならない。

しかも箱は三重になっており、一枚バリアを破壊したところで残り二枚もある。

だがどうやらフォーゼはワープが使えるようなので、まどかはさらに力を込めた。

すると箱が一気に収縮、真空パックのように隙間なくフォーゼをラッピングしてみせる。

 

 

「う、ごごごごぉ……!」

 

 

どんなに力を込めてもフォーゼはピクリとも動けない。

仮面の下の美歩は目を見開く。まどかの背後、そこに11体の天使が現れたのだ。

 

 

「祈りを絶望で終わらせたりしない、この一撃で貫いて!」

 

「あ、これやばいわ……!」

 

「ごめんね美歩さん! シューティングッッ!」

 

「ちょ! ま――ッ!」

 

「スターッ!」

 

「うっ! ほっ! べ! ぶ! びっ! んにっ! ぎぎ! てぇ! ぷぅ! ほへ! にゅわ! ぎひーッ!」

 

 

フォーゼ、爆発。派手に散りました。

 

 

「美歩! 何やってんだ!」

 

 

真志龍騎の文句が聞こえたのか、バトルフィールド外で美歩が叫んだ。

 

 

「仕方ないって! 使い方もいまいちわかんねぇし! 純粋にまどかちゃんが、つよつよなんだって!」

 

 

並べられていく理由はまあ理解できる。できるからこそ、龍騎は前に出た。

 

 

「させるか! って、うぉ!」

 

 

ディケイドは龍騎を止めようとしたが踏みとどまる。

当然わかっていたのか、ディケイドを遮るようにドラグレッダーが現れたのだ。

一方のまどかは、元の姿に戻っていた。強化フォームは時間経過か大技発動で変身時間が減少していくようで、シューティングスターは高威力であるが故にということだ。

 

 

「鹿目さん! 悪いけど先に消えてもらうぜ!」

 

 

しかし彼女も向かってくる龍騎を見て真正面からぶつかっていく。

 

 

「パニエロケット!」

 

 

ボン! と一瞬で服が膨らむと、空気の抜ける音と共に、まどかが猛スピードで飛んでいく。

ロケット頭突き。しかも脳天にはシールドを纏わせており、威力を上げていた。

しかし龍騎に焦りはなかった。どこからともなくスマホのような端末を取り出すと、指でスワイプして目的の絵柄を表示させる。

それをベルト横にある手の形をしたスキャナーにかざした。

 

 

『ディフェーンド!』『プリーズ』

 

 

突如、土の壁が出現して、まどかはそこに突っ込んだ。

 

 

「わわ! わ!」

 

 

ズボッと上半身が壁の向こうに出たものの、そこで止まってしまう。

 

 

「む!」

 

 

モニタで見ていた椿が立ち上がる。

えちえちな作品で見たことのあるヤツや。

とは思ったが、椿も話の分からぬ男ではない。中学生の女の子たちの前で口にするのはとんでもない愚行であるとわかって――

いや、や、違う。そうではない。そんな話ではない。

一同が驚いたのは、やはり龍騎が発動した『魔法』である。

 

 

「それはッ、確かウィザードの……!」

 

 

バトルフィールドにいたディケイドもその異変を確認していた。

よく見れば龍騎のVバックルがいつもの形ではない。

横にあるハンドオーサー。そして反対側には――

 

 

『Clock Up』

 

 

ディケイドの体が浮き上がる。打ち上げられる。

龍騎は目にもとまらぬスピードでディケイドを攻撃すると、回し蹴りで吹き飛ばして見せた。

 

 

「は!? なんでクロックアップを――」

 

 

さらに龍騎は再びスマホを操作し、別のリングの絵柄を表示させてハンドオーサーにかざす。

 

 

『バインド!』『プリーズ』

 

 

倒れたディケイドを縛る無数の鎖。

間違いない。龍騎はウィザードの力を使っている。力を込めてみるが鎖は切れない。

そうしていると身動きが取れずに困っていたまどかが、さそり座の光を解き放つ。

 

 

「来て! バルビエル!」

 

 

すると突如として空間から鎧を纏った巨大なサソリが出現した。これもまたまどかを守護する天使なのだ。

だがしかしまったく同じタイミングで龍騎の背後から、機械のサソリが飛び出してきた。CLAWs・サソリ、鋼の体を振りまわしてバルビエルとハサミを交差させている。

 

 

「司! オレは先に行くぜ!」

 

 

龍騎はヒーハックガンを取り出すと、グリップ底にあるスキャナーへ、ファイナルベントのカードを押し当てた。

すると無事に読み取れたのか、ヒーハックガンへ炎のエネルギーが収束していく。

さらにディケイドの前にいたドラグレッダーが割れて消え、破片が龍騎の背後に収束したと思ったら、再びドラグレッダーの姿になる。

 

 

「悪く思わないでくれ! 鹿目さん!」

 

 

龍騎が引き金をひくと、銃から圧縮された火炎弾が発射される。

さらに頭上にいたドラグレッダーも火を放ち、火球の大きさが膨れ上がった。

 

 

「!」

 

 

目を見開くまどか。

バリアを何枚か重ねるが、火球はそれらをものともせずに突き進み、やがて着弾。大爆発を巻き起こした。

 

 

『Clock Over』

 

 

そこで電子音が聞こえる。龍騎のものではなく、ディケイドだ。

カブトに変身した後、クロックアップでまどかを助け出していたのだ。

 

 

「ありがとう司さん……っ!」

 

「ああ。まどかちゃんはそこで休んでて」『アタックライド』『クロックアップ!』

 

「司ァア……ッ!」『Clock Up』

 

 

超高速の世界に足を踏み入れるディケイドと龍騎。

一瞬で近づき、一瞬で拳を交差させ、打ち付けあう。

その中でふと、龍騎が呟いた。

 

 

「司! オレたちは果たしてレジェンドを……ッ! いや、仮面ライダーを超えられたと思うか?」

 

「……ッ?」

 

 

ディケイドの動きが鈍る。

だからこそ胴体へ打ち込まれる拳。

卑怯、なのかもしれないが、別にそこを追及するつもりはない。なぜならば龍騎とてすぐに動きが鈍ったからだ。

続きの言葉が出てこないのはお互い一緒だった。何を言えば伝わるのか、探しているうちに有耶無耶になる。

だが、言いたいことはなんとなく理解できている。

ディケイドは一度、まどかを見た。

 

彼女は、クロックアップには反応できていない。

同じような表情で止まっているように思える。しかしつい先ほど彼女は美歩を――ファムでありフォーゼであるものを破壊した。

普段使いなれているファムではなかったにせよ、仮面ライダーが魔法少女に負けたのだ。

さらに試合で見れば、負けたのは美歩だけだ。

他のメンバーは相打ちにもっていっているのに。

それは果たして美歩が弱かったからか? 違う。きっとそうじゃない。それを真志は感じている。

 

 

「レジェンドと、そうじゃないものの、違い」

 

 

やっとディケイドが口を開いた。

そこで互いのクロックアップが解除される。

 

 

「ライダーになるために生まれてきたのか、そうじゃないのか……」

 

 

龍騎は動くこともできたが、動かなかった。ディケイドの言葉を待ったのだ。

 

 

「だからきっと、もしかしたら……、俺たちの背中の羽は他よりも小さいのかも。だからきっと高くは飛べないかもしれない……」

 

 

ディケイドはケータッチを握りしめる。

 

 

「でも、それでも……ッ」

 

「ああ。わかるぜ、司」

 

 

龍騎は言葉を聞きながら、手を天へかざした。すると飛んでくるバリズンソード。

 

 

「俺たちは……、伝説と同じ場所を目指せるんだ」『ファイナル・カメンライド』『ディケイド!』

 

「……わかってるさ」【サバイブ】【コォズミィーック/オン】

 

 

龍騎サバイブフォーゼ。

顔は龍騎サバイブのものであり、体から下はコズミックステイツが赤く染まっている状態になっている。

もちろんこんなフォームは見たことがないが、その詳細を問うことはしない。

 

 

『ファイズ!』『カメンライド――』『ブラスター』

 

 

ディケイドの胸に並ぶパネルに表示されているライダークレストが一斉にファイズのものに変わる。

するとディケイドの隣にファイズブラスターフォームが召喚され、ディケイドの動きに合わせて動き始めた。

ディケイドがライドブッカーの引き金を引くと、ファイズもブラスターを発射する。

飛んでくる光弾を龍騎はバリズンソードで切り弾いて前進していった。

 

しかしこれが不思議なもので。

龍騎の前にはディケイドが。ディケイドの前には龍騎がいるはずなのに。

今、一番近いのはエム。つまりエグゼイドだった。

それはなぜなのか? 答えはきっと、お互いの向こうにある筈だった。

 

 

「う――ッ! がぁああ!」

 

 

龍騎の体からスパークが起こり、火花が散っていく。

痛みと痺れを感じて、龍騎はバリズンソードを落とした。

Episode DECADEのしわざか、それともあるいは博士の調整ミスか。

いずれにせよ龍騎の体にリジェクションが起こり、動きが鈍る。

しかしそれでも仮面の奥で歯を食いしばり、彼は前に進んだ。

 

 

『ブレイド!』『カメンライド――キング』

『ファイナルアタックライド――』

 

 

金色のカードが一枚、ディケイドの前に現れた。

全速力で走ってきた龍騎はそれにぶつかり、大きくのけぞって後退していく。

その間に何枚もカード型のエネルギーが追加されていく。

それは龍騎の背後も同じだった。ディケイドはキングフォームを龍騎の真後ろに召喚していたのだ。

 

 

『ブブブブレイド!』

 

 

ディケイドが剣を振り下ろすと、シンクロしてキングフォームも剣を振り下ろす。

二つの斬撃はカードを通過していき、同じタイミングで龍騎に直撃した。

 

 

「ぐあぁぁ……ッ!」

 

 

真志が転がって、バトルフィールド外にて停止する。

レベルアップの音声が鳴り響く。真志はバツが悪そうに肩を竦めた。

 

 

 

星の図書館。

魔女の『眼』であるナインは、白髪に中性的な容姿の少年だった。

その向かい側に座っていたのは白衣を着た小柄な少年、結弦博士だ。

表情は硬い。手にあるタブレット端末には、あまりいい数値が表示されていないようだ。

 

 

「バリズンツール。悪くないと思っていたが、悪い」

 

「たしか、誰もがフォーゼに。だったね」

 

「ああ。仮面ライダーの本質は『仮面』だ。人間のカタチをしてりゃあ誰でも被れるのが仮面ってものだろ?」

 

「顔の大きさという関係がある」

 

「だから失敗した。僕は天才だが、意外とそういうところがある」

 

 

博士はふと、棚の上に置いてあるウィザードライバーを見つける。

 

 

「ウィザードになったヤツは……、確かクロークだっけ?」

 

「返却されてしまったよ。申し訳ないと謝られた」

 

「当然だろ。ヤツは魔法の国に生きている」

 

「だからウィザードが合うと思ったのさ。事実かなり根深いところまで適応していたよ?」

 

「だが所詮は外来種。種を増やす前に淘汰されては意味がない。断言するが撒くなら龍騎か鎧武の種にしておけばよかった。ウィザードではライダーが足らん」

 

 

念を押して。

 

 

「仮面ライダーが呑み込まれたのだ」

 

 

博士はため息をつくと、タブレットの中にいた魔法少女を軽くタップする。

姿が拡大し、博士はソウルジェムをジッと見つめていた。

 

 

「魔法少女か。たとえばタイムマシーンで一番最初の少女に声をかけたキュゥべえを殺し、さらにインキュベーターという存在そのものをなかったことにした場合――」

 

「そうだね。人類はまだ穴の中で暮らしていただろう」

 

「運の悪い連中だ。不安定な力に未来を任せるなんて僕には信じられん」

 

「キミの科学世界だって、過去にはインキュベーターがいたかもしれない」

 

「だったらとっくに滅んでる。こっちの世界はアホしかいない。おれの父と祖父は堅物で、母も祖母もヒステリックなメンヘラだったらしい」

 

「キミの助手も毒々しいピンク色の髪をしていたね。一般的にメンヘラと呼ばれる少女たちの容姿を統計すると――」

 

「ナインくん。差別はよくないと前にも言った。アイツはちょっと頭の調子が悪くなる時があるだけだ。月を見て泣いたり、メッセージを一文字ずつ送ってきたり、いいところを言ってくれないと死ぬって……、もうこの話はやめよう。よしたまえ」

 

 

本題に入るべきだと、博士は黄金の銃をテーブルの上に置く。

 

 

「デンライナーに使われている技術を可能な限り小型にした。これをあの黒髪ガールに渡せばいいってわけだ」

 

 

博士はナインの後ろにいる男を見て喋っている。

 





知らない人もいるかもしれないんですけど、仮面ライダー鎧武と、まどかマギカってシナリオの人が一緒なんですよね。
やっぱ鎧武よかったですよね。
ちょっと若干、マンネリ感も出始めたところに、放り込まれたというか。
僕結構、ライダーいっぱい出てくるタイプのほうが好きなんで平成二期の中では一番好きかもしれません(´・ω・)b
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