婚活PTの日常   作:ガラクタ山のヌシ

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婚活パーティーってこう言うことでしょ?え?違う?


婚活PTの日常

ここは場末も場末の安酒場『ゴブリンのでべそ』

その名の通りとてもお上品とは言えないような客層で今夜も溢れている。

喧嘩が起きても囃し立て、勝手に賭けを始める連中まで現れても誰も咎めない。

そんな酒場の端っこに雁首揃えて景気の悪そうな顔をする四人。

彼らは冒険者、つまりは魔物を狩ったりなんだりして生計を立てる者達である。

「結婚してぇぇぇぇぇ」

開口一番そう言うのはリーダーのアルト。剣士である。

赤毛に青い目、無精髭をたくわえた、不潔……いや、野性味あふれる男。

「言うなアルト。そもそもお前、こないだ彼女出来たってはしゃいでたではないか。」

それを咎めるように言うのはラスター。神官だ。

精悍な顔つきで目つきも鋭く、髭は生えていない金髪碧眼のクソ真面目。

「そうは言うがよぉラスター、向こうは全然手も繋いでくれないんだぜぇ。ソノ気がないの丸わかりじゃんよ」

「それはアレだ。ほら、お前の愛を試しているのだろう」

「へーへー愛ねぇアイアイ、オメーさんはそんなことばっか言って理想だけ高いから結婚できねーんじゃねーのー?」

「茶化すな」

「そもそもこーんな酒場に入り浸るような不良神官なんぞカネがねーって自分から言ってるようなもんだしなぁ」

そう言うのは盗賊のラッド。

スキンヘッドで頬に大きな傷があり、知らない人が見ればマフィア関係者と勘違いされそうである。因みに前科は無い。

「ゴッゴッゴッ……プハーおかわりーーー!!」

そんな野郎三人を横目に、酒をかっくらうのはアイーシャ。

それなりに有名な魔道士で、さっぱりと切った茶髪に琥珀色の瞳が眩しい。

なお、女性の象徴はぺったんこである。

「アイイーーシャ!飲み過ぎだ!!」

「会計どーすんだよ!」

それを見咎めたのか、アルトとラッドが大声をあげる。

「あーー?いーじゃん。飲んだって」

「そういやぁ、お前も彼氏出来たとか言って有頂天になってたよな?アレどうなったんだ?」

なんと無しに放たれるその一言がアイーシャがフリーズし、数秒の沈黙。

「……相手、奥さんいたんだわ」

ボソリとそう言うアイーシャの顔は男三人が覗き込めるほど明るくは無く。

「もーーーいいよぉーー!!お前らのうちの誰でもいいから結婚してくれよー!!!」

泣き出した。こうなると長いのは男三人が一番わかっている。

「アタシこれでもそれなりに稼いでんだよ?貰い得だよ?」

「いや、収入の大半が酒代に消える女なんて地雷も地雷だろ」

「うむ。堂々とした地雷だな」

「寧ろ置いてあるだけな。むしろ肥料にならない分ゴブリンのうんこにも劣るだろ」

「わーーん!それもこれも四等冒険者から抜け出せないお前らのせいだーー!」

三十近い女が大声を上げてジタバタしている。

周囲からの見るに耐えないものへ向ける視線が痛い。

「ちょ、お前それ言う?」

「言うーー!!」

「まあ、事実ではあるな」

「ラスターさーん?」

そう。冒険者には七つの等級が定められており、コレによって受けられるクエストの難度も変わってくる。要するに実力と信頼の証明だ。

彼らのパーティは四等級、等級としては高くは無いが低くもない。

まぁ中型の魔物をパーティを組んで倒せるくらいか。

手取り金としては、まぁ、報酬を四人で分けて、食費や怪我をした時の治療費、武器防具の手入れなどの諸費用を引けばちょっとだけ蓄えられるくらいか。

「でもなぁ」

「頭打ちって残酷だなぁ」

「まったくだな」

「なんだよー、冒険者になればモテるって聞いたのにぃーー!!」

その言葉はある意味では間違っていない。

実際、ある程度稼いでいる冒険者はモテる。が、それはなにも冒険者に限った話ではない。

ただ、それは大商人だったり、高名な武術家だったり、どっかの国の将軍だったりと似たようなもの。

俗な話、稼いでる奴はモテるってだけだ。

「って言うか、お前らだって他人事じゃないだろ」

「は?」

「ちょっと何言ってんだこの子は」

「よくわからんな」

「いやいや、自分のトシ考えて見なよ」

アルト 32歳

ラスター 34歳

ラッド 35歳

アイーシャ 29歳

「パーティ組んで何年だっけ?」

「10年くらいか?」

「いやいや、13年だから」

「そっかー、もうそんなに経つんだなー」

感慨深そうにするアルト。

一攫千金を夢見てパーティを組むため地元の教会で勤めていたラスターに頼み込み、強そうなラッドに土下座してまで入ってもらい、世間知らず丸出しのアイーシャを騙くらかし…もとい哀願して仲間になってもらって早十数年。現実に打ちひしがれて、冒険譚のような華やかさとは無縁で、後輩が次々に出世して行くのを口先でだけ祝福しては嫉妬しての毎日を送って気付けば三十路。

「あれ?なんかオレまでブルーになってきちゃった」

「オレも…」

「私もだ…」

そう言って、再び気まずくなる四人。

やがて、アルトがこの空気を変えんとんっんーと咳き込んで言う。

「飲むか!!」

「そうだな!!」

「飲まなきゃやってられんからな」

「そうそう、ウチのパーティはこうでなくっちゃねー」

今日もまた、ダラダラと酒をかっくらうのである。

多分、出世できない原因はそういうとこだぞ。




おそらく多分きっと続かない。
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