ここは冒険者の街でもお高いことで有名な高級レストラン『グリフォンの目ヤニ』。
いつもの四人は、よそ行きの格好でそのレストラン…もとい戦場に居た。
「よーし、野郎ども準備はいいかぁ?」
アルトがニヤリと笑いながらそう言うと、ラスターは呆れたように嘆息し、ラッドはノリノリで「おう!!」と言う。
「タダ酒〜♪タダ酒〜♪」
若干一名、違う意味でテンションが高いがまあ問題は無い。
そう、彼らの目的は今宵開催される出会いの場。合同コンパ、通称合コンである。
しかも、先述したようにかなりいい店を抑えての開催。ハッキリ言って期待しか無い。
何故、こんな席にこの四人がいるのかと言うとひとえにアルトの隣にいる今回の幹事である青年のお陰だ。
「いやぁーしっかし、招待ありがとなぁークリスくん」
「あ、あはは…先輩方のお役に立ててなによりです…」
苦笑を浮かべつつ困った顔をしている美青年、名をクリスと言うのだが、実を言えばこのクリス、冒険者見習い時代にアルト達のパーティに指導を受けて、メキメキと頭角を表し今となっては20代前半でありながら三等級冒険者になったと言う実力者である。
よく他の冒険者連中にもダシに使われて繁華街へ連れ出され、その度に商売女にしつこく迫られてタジタジになっているのをよく見かける。なお、彼自身には既に婚約者がいる模様。
そんな男に対するアルト達の嫉妬、私怨はそれはそれは深い。控えめに言って醜すぎるのである。
その売った恩を少しばかり返してもらおうというアルトの目論見でこの度の男4女4の合コンをセットしてもらったという流れなのだ。
なお、ラスターは意地汚い真似はよせと制止したが結局抗えず、ラッドはカワイイ子が来るというだけでアルトの側についた。実に正直者である。
「そんで?カワイイ子くんのね?」
アルトは鼻息荒く聞く。実に本日五回目の同じ質問である。
「あ、はい。そうはもうあちらもそう言っていたので……」
「やるねぇーさっすがモテる男は違うわぁ」
ラッドが機嫌よくクリスをヨイショする。
「いや、ボクはそんなんじゃあ……」
「それで、どんな子が来んの?」
「えっと、踊り子さんが二人と、女格闘家さんが一人ですね。」
後の一人は言わずもがな今か今かと乾杯の時を待っている酒呑み魔道士である。
「だがアルト、もう少しやり方というものが…」
ラスターが無意味と知りつつ諭そうとするが
「うるせーー!!手段を選んで結婚できるなら初めからそうしとるわーー!!」
魂の叫びである。血の涙を流しそうな勢いだ。哀愁がすごい。
「アッハイ」
そうやって男連中が騒いでいると
「ごめんねー、お待たせーー!」
その声に振り返ると女性にしては背が高く、浅黒く日焼けした肌にスッパリと切られた黒髪、青い目は海のように深く目鼻立ちも整い全体的に快活さを覚える女性がやって来た。
年齢は21〜22歳くらいだろうか。ゆったりした服を着ているためか、体のラインは分かりにくいが少なくとも腹が出ているようには見えない。
「あ、リナさんすみませんお忙しいところ」
「いいっていいって〜、義理の弟くんの頼みくらい聞くわよ〜!」
「えっ、お姉さんなの?」
「はい。ちょうど義姉も彼氏が欲しいけど出会いが無いって言ってたとマナ…婚約者が言っていたので」
「ほーほー。それでそれで?他の子達は?」
ラッドはニコニコと気になったことを聞く。
「あー、そうそうそれなんだけどさー」
「?なにかトラブルでもありましたか?」
「うーん、トラブルっていうか、他二人来られなくなっちゃってさー、上客から指名が入っちゃって相手するの忙しいから今日無理って言われてねー」
「え、それじゃあ合コンは中止ってことっすか?」
アルトが気の抜けた声で尋ねるが
「あーうん。まあ一応色々知り合い回って来てくれそうな人達は見つけたんだけどねぇ」
何やら言い淀むリナ。
「その…二人ともクセが強い子なんだよねぇ」
「あー……」
なるほど、とアルトとラッドは納得する。
確かにこう言った場で癖の強い人物はともすれば鬱陶しかったり場の空気を悪くしてしまいかねない爆弾でもある。
しかし、この店に見合う美女ならば、むしろそう言った
アルトとラッドは互いに目を合わせ、頷く。
ラスターはもう何も言うまいと数合わせに甘んじている。
「ダイジョーブダイジョーブ!!」
「そーそー、オレらそういうの気にしねーから!!」
「えー、ホント大丈夫?一応近場で待っててもらってるけど」
「ヘーキヘーキ!なっラッド君!」
「おうともよアルト君!」
「そう?じゃぁいっか」
そう言うとリナは少し席を外し、知人とやらを呼びに行く。
そして………
「お待たせーーーん☆」
「来たわよーーーん♡」
現れたのは、青髭でした。
「うぎゃーーーー!!」
まさか三桁見てもらえるとは、作者驚き。