周りの楽しげな声。
隣り合う彼女との、何とも言えない空気。
肩に、背中に張り付く……
其れ等が相俟って、時間が経つのをただ待っているような時間が過ぎる。
「えーっと……お前等はペアで良いのか?」
そんな声が掛けられるまで、内面の時間でどれほどが経過したのか。
ふと気付けば、人員確認……いや、正確には「ペアか否か」の確認をしに。
主催者のクラスメイトが俺の目前に立っていた。
ああ、と口を開く前に隣へと視線だけを向ける。
場所が不味い。
頭数合わせ。
その何方も口にはしたが、此処に……正確には俺に張り付いている理由をはっきりと答えたわけではない。
もし、此処で彼女が
そんな、
「……そうね。 そう考えて貰って、良い。」
はっきり通る、そんな声で。
その肯定を以てして。
期待を肯定されたという理由を得て。
(…………一体、俺が何をしたんだ?)
同時に覚えるのは、不安と恐怖。
ただ公園に顔を出し。
何をするでもなく待っていようとしただけで、巻き込まれたのは何処か異質なあの場所。
そういうものだと、上辺の知識では得ていたのに。
「お、おう……まあいいや、分かった。」
俺達の間に漂った空気を読んだのか。
ちらちらと俺達に視線を向け、戸惑い混じりで言葉を出し。
深く追求しようとせずに、念の為と口にする。
「一応誰が誰と、ってメモだけ取ってるんだが名前だけ聞いてもいいか?」
その視線は彼女に向けてのみ。
一応クラスメイトだからこそ、名字くらいは……少しばかり珍しいそれは、記憶に残っていたらしい。
「……彼は?」
「そんな話もしてねえのか?」
当然のように、俺への質問が飛び。
合わせ、名前すら話していないという違和感に首を傾げたようで。
いや、単純に疑問を抱いただけなんだろうけども――――。
「
嘘ではない。
間違ってもいない。
その内容が、甘酸っぱいなんてものではなく薄ら寒いものである、という事実を除いて。
男女がするべき話なのかは……まあ、良く分からないが。
「……ま、俺は深くは聞かねえ。 それで?」
『それくらいは話しろよ』とでも言うような。
冷ややかな目線が俺に向けられた後で、彼女へ改めて確認の問い。
はぁ。
あからさまに漏らす溜息と合わせ。
「
「九重さん、な。 じゃあ後で順番決めの――――。」
この後の流れを説明するのを小耳に挟みながら。
俺ではなく、彼女に説明していると判断
思考の海に沈んでいく。
(引き込まれた……いや、未だに引き込まれ続けている?)
怪談、都市伝説、妖怪譚。
そんな俺自身が知る知識から、一番親しいものを当てはめるならそんな状況になる。
領域を作り上げ、其処に人を引き込む霊。
異界に紛れ込み、帰ってこれたか曖昧な話……そう、『きさらぎ駅』のような。
多分、俺一人だったら、と。
そんな事を考えて。
「……あの。」
改めて掛けられた声に、反応した。
明らかに怒っているような雰囲気を漂わせている。
「あ、すいません。」
と素直に謝ってしまうレベルで。
「……聞いてなかった、よね?」
言葉尻は落ち着いている。
但し、その端々が淡々としすぎていることからあからさまな怒りを見せつけて。
「…………すいません。」
二度、同じ言葉を繰り返した。