前回の続きに当たるので短めです。
チャンネル。
或いは回線、世界、空間。
じっと見つめる
それを呟く九重さんの佇まいから感じるモノは、少しばかり似た雰囲気があるようにすら思えた。
「……合ったから、抜け出せない?」
小声になってしまうのは、視線に対する生理的な反応からか。
震えている、なんてことはなく。
恐れているのか、と問われれば。
「……月読くんの今までからして、余りこういうことには詳しくないと思って話すけど。」
「……うん。」
噂話とかは積極的に仕入れてるつもりではいるけれど。
彼女が告げる言葉はそういうものとは何歩か外れているように思えて、押し黙る。
「正しく言えば、抜け出せるけど抜け出せない……
「それは……。」
「繰り返す、ってわけじゃなくて。 いつまでも狙われて、最後は帰ってこれなくなる。」
ちらちらと見つめる視線の先。
俺の背後が気になりつつも、それをはっきりと名前で呼ぶことはない。
真逆、名前を呼んでは――――或いは、名前を定めてはいけないからか。
自分自身の肌で感じる考えとしては、後者。
出来れば当たっていてほしくはない、という気持ちと。
少しだけワクワクした感情とが同時に心の中に漂う。
「……出来れば、言いたくなかったけど。」
呟く声色からは、沈痛の感情が滲み出ている。
このまま行けば死んでしまう……
そんな言葉をはっきりと口にしようとしないだけ、口は悪いように思えるが。
(優しい人、なんだな。)
そんな感情が、頭を過る。
思っている余裕など何処にもないのに。
「なら、どうするつもり?」
だからこそ、心を曝け出さない内に彼女の方針を確認する。
祓う、封印する、逃げ切る、見逃して貰う。
大きく分けてしまえば俺の知る怪奇現象はこの4つの結末。
対峙する。
脇目も振らずに逃走する。
誰かしらの贄か、或いはお遊びのように見逃して貰う。
この内2つ目は既に無理だと彼女は呟いていた。
だから、恐らくは。
「……。」
そんな感情を知ってか知らずか。
片手を一度握り締め。
何かを覚悟するような、決めるような。
自分を鼓舞するように、言葉を漏らす。
「もう一度、封印する。 そして、それには君の力がいる。」
本当はこんなことしたくもなかった。
あからさまなほどに、そんな態度を示しつつ。
銀色の覡は、そんな決意を口にした。