ゆかりさんと行く終末旅行   作:夏野とびうお

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2.決意

 

 

ゆかりさんが眠ってからすぐ後、俺はまたゆかりさんを起動していた。

 

「起動準備完了。起動を開始します。…………………おはようございます。あ……、夢じゃ無かったんですね。出来れば夢オチがよかったです……」

 

「それに関しては同意見」

 

無理やり起こしてしまったが、ボイスロイドに自分から起動する方法はないから仕方ないはずだ、うん。

一応ボイスロイドは睡眠モードがあるから、毎回自分が起こさないといけないとかはない。

 

 

「さっき言っていた、マスターしかいないってどういうことなんですか?ほかの人は誰もいないんですか?」

 

「そうだね。今この世界で話しているのは多分俺たち二人だけだね」

 

「そういうシチュエーションとかで遊んでいるとかではないんですか?」

 

「ないんだよなーそれが」

 

「VR空間で見ているとかでもない?」

 

「めっちゃ疑うね、まー信じられない気持ちはわかるけれど」

 

「すみません、あまりにも意味不明だったので……」

 

やっぱり信じ切れてなさそうなので、昨日の出来事をあらかた話した。

 

「やっぱり嘘みたいな話ですが、周りに人はいないし、ネット上の情報もある時間を皮切りに全く更新されてないので信じるほかなさそうですね」

 

「信じてもらえてよかった。一日とはいえ、俺一人は流石に寂しすぎたから」

 

「そうですね。でもこれからは私がいますから!」

 

 

 

やばい……もう泣きそう………

これからゆかりさんと暮らせるとか最高かな?

本来なら一緒にゲームをしたり、動画を一緒に編集したりしてたのかな。

まぁ、本来があるならゆかりさんと過ごすことはないんだろうけど。

もし、余裕ができたら一緒にゲームしてみたいなー

 

「ところで私を起動する際に何か問題とかはなかったですか?」

 

「え?いや多少整備に時間がかかったけども問題はなかったよ」

 

「そうですか……、一応私、プロトタイプなので起動するのには癖があるのですが、よく正常に起動できましたね。ボイスロイド開発部の人ってわけでもなさそうですね」

 

「まぁ、ボイスロイドを作るために大学に行って勉強中だから知識はあったかな」

 

「実際に作ろうとするとは、ずいぶんと努力家ですね。………………もしよければなのですが、これからは日常整備とかもお願いしてもいいですか?」

 

「もちろん。そのためにゆかりさんを整備したんだ。だから、これからよろしく!」

 

「……っ、はい! こちらこそよろしくお願いします!」

 

随分と時間がかかったけど一緒に居ていいって言われたし、これからはゆかりさんと頑張っていくか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐぅぅぅぅぅぅぅ……

 

…………

 

…………

 

「……朝から何も食べてないから、まずは、何か食糧調達に行かない?」

 

「ふふ、そうですね。これからを考えると食糧も多めに確保しておいた方がよさそうですね」

 

ゆかりさんのことしか考えていなかったから、何も食べてなかったわ。

集中してごはんも忘れる癖も直さないとな……

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「人がいないとここも寂しいですね」

 

「そうだね。俺もショッピングモールがこんなにも静かなのは、違和感しかないよ」

 

今、俺たちはホームセンターの横にあるショッピングモールに来ていた。

ここの中に大きなスーパーがあるのだが、このスーパーは未だに電力が行き届いているのだ。

恐らく非常電源に切り替わって、発電機に繋がって供給しているのだろう。

ショッピングモール全体にも電力が通って明かりがついてるので、ショッピングモールの非常事態に対する備えだと思う。

ここを拠点にするなら、後々食品の鮮度が落ちて食べれなくなって困る前に、電力節約のためにスーパー以外の電力供給は絶っておこうか。

 

「周りに物資と食料もあるし、電源が落ちるまではここを拠点にするか」

 

「分かりました。……ところでマスターはサバイバル技術は持ち合わせていますか?」

 

「インドア派だから全くない。一応、昨日アウトドア関連の書籍をダウンロードしたけど」

 

「流石マスターですね。私も基本的な情報は分かるのですが、念のためにダウンロードしておきますね。まだネットワークは生きていますが、もう使えないサイトも増えてきましたので」

 

「やっぱりゆかりさんはすごいな。」

 

「そうでしょうそうでしょう! 私は天才ですから!wik〇とかのサイトも大体記録しましたよ」

 

「……ほんとにすごいね、容量大丈夫?」

 

「この私を見くびってもらっちゃ困ります!こんなのはまだまだ序の口ですよ。動画編集から作詞作曲、コンピューターハッキングまで何でもお任せください!」

 

最近のボイスロイドは随分と進歩したんだなぁ……

それともこのゆかりさんがおかしいだけ?

まぁかわいいからヨシ!

 

「まずは、昼ご飯から食べようか。先に足の早い食品を消費していこう。そういえば、ゆかりさんはごはん食べてエネルギー供給するタイプのボイスロイド?」

 

「そうですよ。ご飯でも電気でもどっちでも大丈夫です!」

 

「ならよかった。折角こんなにも食料があるから一緒に食べれるうちに食べれおこう。」

 

「ありがとうございます。……良ければ私が調理しましょうか?」

 

「いや、先にゆかりさんにはこの建物の電力室を探してほしいんだ」

 

「……あー、他の施設の電源を落として、ここに集中させて節電するんですね」

 

「察しが良くて助かるよ。場所は分かる?一応目星はつけてあるけど」

 

「ご心配なく!空間スキャナーと撮影用小型ドローンを搭載してますのですぐに見つけられますよ!」

 

「分かった。気を付けてね」

 

「はい!行ってきます!」

 

 

 

…………このゆかりさん何者なんだろう。

てかその髪飾りってドローンだったの⁉

明らかにスペックがおかしい(褒め言葉)

後で詳しく聞いてみよ。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

ゆかりさんが電力室に行ってる間に昼ご飯と保存食作成の準備をしておく。

生ものがまだ食べれるうちに作っておかないと。

肉や魚の缶詰とかはならあるけど、新鮮なものはしばらく食べる機会がなさそうだし。

普段一人暮らしをしているから料理はそれなりにできるが、保存食は作ったことが無い。

なので文明の利器を頼って作っておこう。

インターネットがまだ使えるうちに自分でも作って、やり方を覚えるに越したことはないからな。

まぁ、ゆかりさんならそれぐらい作れそうだけども。

 

先に昼ご飯を作ろうかな。

日持ちするものはこれからを考えて残しておきたいので、日持ちの短い肉や魚、野菜を使った料理を作る。

おかずだらけの食卓になりそうだが、今はわがまま言わずに食べておこう。

 

 

 

 

しばらくしたら、ゆかりさんが帰ってきた。

 

「おかえりー」

 

「ただいまです。マスター、ここを除く場所の電力供給を遮断してきました。あと、警備室もあったので、監視カメラに細工をしておきました。これでもし人が戻ってきても映像には残らないです」

 

なんかもう配慮がすごい。

ゆかりさんに出来ないことはないんじゃないか?

 

「おぉ……、ありがとう。……そのスペックの高さはプロトタイプのゆかりさんが特別製だから?それとも製品版に実装予定とかなの?」

 

「私自身もよくわかってないですが、使えるものは使っとこうの精神です!多分使っても大丈夫でしょう」

 

「アッハイ」

 

 

 

やっぱり深く考えないでおこう。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず昼食はできたよ。保存食で干物も作ってるけどしばらくは、乾燥させるために天日干ししてる」

 

「わぁ!美味しそうですね! しかも仕事も早い! 流石マスター!」

 

「よせって、褒めても何も出ないぞ。てか、俺の照れ顔とか誰得やって」

 

「私は結構かわいいと思いますよ。しかも、追加のおかず作ろうとしているとこもポイント高いです」

 

ゆかりさんと他愛もない話をしながら、調達してきた簡易テーブルを二人で囲んで、昼食をとる。

誰かと食べるごはんってこんなにもおいしかったっけ?

もう人と食べることはできないって思ってたから、安心感のせいかさらにおいしく感じる……

てか、元々一人暮らしだったから、だれかと食べるの久しぶりすぎて泣きそう。

 

「……っ! 美味しい……! 美味しいです! 生まれて初めて食べましたがこんなにも美味しいとは思いもしませんでした!」

 

「……そっか、そういってもらえて何よりだよ。俺も久しぶりに一人じゃなくて感動してる……」

 

「私が起動するまでは一人きりでしたもんね」

 

「それもあるけど、その前は一人暮らししてたからね」

 

「……マスターさんは元々一人暮らししてたんですね」

 

「うん。こうなる前からしてたから、あんまり生活自体は変わってないけどね。だから、誰かと食べることが珍しくって」

 

「…………不愉快になることを聞くかもしれませんが、マスターって両親とかは……」

 

「あー大丈夫大丈夫、全然普通に生きてたよ。単に俺が一人暮らししたいって言って出てきただけだから」

 

「……そうですか……よかった。ちなみになぜ一人暮らししたかったんですか?大学が遠かったとか?」

 

「まぁ、半分あたり。もう半分の理由は、ボイスロイドを作りたかったんだ。昔から『ボイスロイドが好きだから作りたい』ってことを両親に言ってきたんだけど、なかなか許してくれなくて。それで別の手段として、ボイロの音声を使った実況動画を作り始めて、収入が安定したから一人暮らしを始めたんだ。」

 

「へぇ……、そんなことがあったんですね。……ていうか、動画投稿してたんですね」

 

「こうなる前は一応中堅投稿者だったんだ。ゆかりさんと一緒に出来たら、さぞかし楽しかったんだろうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今度撮りましょうよ、動画」

 

「…………え?いいの?」

 

「当たり前です。そのための私ですから。たくさん動画を撮って私たちがいたってことをこの世界に刻みましょう!」

 

 

 

 

 

 

…………ほんとに泣きそう。マジで。

俺も生きてきてこれほどうれしいと思ったことはない。

 

「……わかった。絶対一緒に撮影して動画に残そう!」

 

そのためにもまずは生きていくための土台作りから始めなくちゃな……。

 

 

 







ゆかりさんと一緒にご飯食べたい人生だった……


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