最近個性が芽生えました。   作:限界社畜あんたーく 

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緑谷が試験を受けるのはまだまだ先になりそう・・・映画公開までにカーネイジを用意するのは無理ぽよ・・・。


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「ZZZ・・・」

 

日の明かりが昇り始め、大地を白く染め上げる。

 

「ZZZ・・・」

 

ホテルの一室、カーテンの間から白い光が差し始める。

 

 

「・・・ングカッ!」

 

 

ベッドで寝ていた八木の顔を、直射日光が鋭く照らす。

 

 

「う~ん・・・」

 

 

まるで虫眼鏡のように集中された日光は、次第に瞼の奥に隠した眼球を焼き始める。

 

 

 

「・・・いや眩しッ」

 

 

ベッドからガバッと飛び降りると、日光を避けるように日陰へ移動した。

そして恐る恐る、日光を掻い潜りながらカーテンの元へ向かうと、勢いよくカーテンを閉じた。

 

 

「全く。まだ朝は来てないぜ太陽さん!」

 

 

時計の針はまだ五時半を差している。

もうあと三十分は寝れるはずだったのだが。

 

 

「いい夢を見ていたってのに、全く台無しだ・・・」

 

 

尚、夢の内容は企業秘密だ。

 

八木はそのままベッドにダイブすると、しばらく羽毛の上を泳ぎ続ける。

右へ左へ体を揺さぶり、十数回の往復を繰り返すと、ようやく大人しくなった。

 

 

「モーニングルーティーンは六時からって決まっているんだ。それまでおこさないでくr・・・ネムネム・・・」

 

 

言の葉は途中で途切れ、またも夢の世界へと誘われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇■◇■◇

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると、白い空間の中にいた。

 

「ここは・・・」

 

どこか見覚えのある空間。

しかし見覚えのない空間。

浮遊感と重力を同時に感じつつ、自由と不自由を同時に感じる。

 

 

そうだ。たしかここは──。

 

 

 

 

「黒い靄と出会った場所・・・!!」

 

 

夢の中にて、八木の記憶は覚醒した。

 

 

「どこだ!どこにいる!!」

 

 

恋焦がれるように、必死になって周りを駆ける。

しかし体はその場に固定されているのか、どうにも動いているように感じない。

 

 

「クソ!せめて感謝の言葉でも伝えたいのだが・・・!」

 

 

無我夢中になって、体を動かす。

走る様に足を動かし、泳ぐように手を回し。

 

まるで動いている実感が得られないまま体を動かし続けていると、視界の内にある変化が生まれた。

 

 

 

 

「黒い・・・点?」

 

 

 

 

しかし靄のように気体のような見た目でも、コールタールのように液体のような黒でもない。

例えるなら存在。

例えるなら概念。

まるでブラックホールのような、周りの光をも飲み込みかねない、底が無い黒。

 

点は次第に面積を広げていき、気付いた頃には八木の周りを包み込んでいた。

 

 

「なんだコレは・・・!?」

 

 

両足が地面に着く。軽く飛ぶが、重力には特に変わったところはない。

しかしなぜだか、全身に未だ拭いきれぬ浮遊感が残っている。

未知の体験。まさしく夢の中というべきか。

興味が渦巻くと同時に不安が過り、全身が震える。

取り敢えずは様子見か。

そう思い、足を前へと踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

暫く足を進めていると、遠方に小さな輝きが見えた。

赤く、そして暖かい光だ。

 

「アレは・・・火か?」

 

急ぐことも無く、ゆったりとした足取りで光の下へ進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

「コレは・・・」

 

光の下に着いたオールマイトは、その光の正体に首を傾げた。

 

 

 

 

「焚火・・・いや、篝火か?」

 

 

 

真っ赤に燃えるその炎は未だ衰えることが無く、根元には太い薪がくべられている。

また、薪の周りには白い灰が積もっており、小さな山を築いている。

 

 

「温かく、そして美しい炎・・・だが、一体何故こんなところに?」

 

 

篝火に手を伸ばし、炎に触れようとする。

が、その指は()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベチョリィ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コールタールのように輝く()()が、腕の進行を妨げた。

 

 

炎の中から現れたソレは、いまだ原型を留めることなく流動体を維持している。

まるで孵るのを待つヒナのように──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリリンン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「ングホッ!?」

 

 

 

目覚めると、八木はホテルのベッドの上で横になっていた。

 

 

「なんなんだ・・・一体あれは・・・?」

 

 

時計を見れば六時二分。

アラームは今も忙しなく鳴り続け、止められるのを今か今かと待っている。

 

 

「オット、考え事をしている暇はないな。今日は朝からバラエティー番組の収録があるんだった!」

 

 

マッスルフォーム用のスーツを用意しながら、八木はスマホのアラームを止めた。

 

 

 

 

 

◇■◇■◇

 

 

 

 

 

とあるヒーロー事務所にて。

青年は鼻歌を奏でながら、手早く資料を纏めていた。

 

「フンフーン!フン!フンフーン!」

 

リズムは極めて不細工ながらも、資料は着々と纏められていき、最終的に一つの段ボール箱にキッチリと纏められた。

 

 

「良し!あとはこれを・・・」

 

 

50キロはあるであろうその段ボール箱を、片手で軽々と持ち上げると、青年はその部屋から廊下に出た。

 

 

 

 

 

 

 

「資料纏めました!!」

 

扉を開き、開口一番そう叫ぶ。

暗い部屋の奥には、何故か眼鏡だけ輝く男がいた。

男の目線は段ボール箱を見つめた後、青年へと向かう。

 

 

「ご苦労。・・・ところで、調子はどうだ」

 

 

資料を置いた青年は、一瞬キョトンとした様子を見せ、そしてすぐにニコと笑う。

どことなく空気を和やかにする、可愛げのある笑みだ。

 

 

「全然問題ないですよ!個性も順調に使いこなせてきましたし!」

 

 

手をワシワシと握ったり開いたりを繰り返す青年を見た後、「そうか」と目線を落とした。

 

 

「やることが地味なことばかりで、少し退屈しているのではと思ってな」

 

「いえ全然!むしろ大満足って感じです!」

 

「・・・雑用ばかりなのにか?」

 

「むしろ雑用だからこそ、やりがいがあるってもんですよ!」

 

「ほう?その心は?」

 

「雑用は簡単に言うと、『あまり周りがやりたがらない仕事』!それを行うということはつまり、『雑用をやりたくないと思っている人』の役に立っているということ!」

 

「つまり?」

 

 

 

「つまりたくさんの笑顔が生まれる、ということです!!」

 

 

 

言っていることがよく分からないし、何故=になるのか分からないし、色々とツッコミどころが多いのだが。

 

 

「ナイスユーモア!」

 

 

取り敢えず元気なのでそれで良し。

 

それからしばらく青年の、笑顔の生まれる秘訣を小一時間聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年がその部屋から去ろうとした時。

青年は「そういえば」といいながら、270度クルっと回った。

 

 

「昨日のクイズ番組、サーも見ました?」

 

「回転しすぎだ。それと、私はあまりテレビは見ない」

 

「オールマイトが出てる番組だったんですけど」

 

「ああ、『クイズ!オールマイトとスフィンクス!』か。それなら全部録画している」

 

「録画してるってことは見てないんですか?」

 

「こう見えて私も忙しいんだ。・・・家には三週間以上は帰っていないな」

 

「三週間も前から不眠不休で!?」

 

「そういう訳じゃないが。単純に家に帰る時間が無いんだ」

 

「なんだ、そういうことですか・・・」

 

 

目に見えてホッと息を吐いている。

 

(しかし、そろそろ家にも帰りたいな。撮り溜めた番組もそうだが、観葉植物の様子も気になる)

 

一応、全自動水やり機は置いてあるので、枯れていることは無いと思うが。

 

 

スマホを開いて、予定表を見てみれば、明日の予定は特になかった。

普段は仕事が無くても事務所で掃除やら資料整理やらをしているのだが。

 

 

(サイドキックの皆に任せて、明日は家で溜めていた番組でも見るか)

 

 

サイドキックの皆からも「そろそろ休んだらどうです?」と言われていたのを脳の隅で思い出しつつ、男は──サーナイトアイは机の上の紙の束にハンコを押し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰ったサーは観葉植物の点検をした後に風呂に入り、ラフな格好に着替える。

そして諸々の作業を終えた後に、早速録画していた番組を見始めた。

 

 

「・・・・・・」

 

 

ソファーの上で手を組みながら、無言&真顔で番組を見るサーだが、実は結構楽しんでいる。

実際オールマイトがジョークを飛ばす度に顔がカチコチに固まるのは、笑うのを堪えているからだ。

 

 

「・・・・・・」

 

 

時刻はすでに深夜の二時。

サーの瞼もそろそろ鉛を垂らし始めたところで、ふとオールマイトが画面一杯に飛び出て来た。

 

 

『私が来たァ!!』

 

「・・・ん?」

 

 

その声に、その顔に、どことなく違和感を感じた。

ソファーから立ち上がり、フラフラとした足取りで画面に寄った。

そしてリモコンで十秒前に巻き戻し、もう一度オールマイトを画面に召喚する。

 

 

『私が来たァ!!』

 

「・・・・・・」

 

 

その後も無言で、流れ作業のように延々と繰り返し、オールマイトの顔と声を同時に脳に入力していく。

 

 

 

 

『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が来たァ!!』『私が────────』

 

 

 

 

 

若干の違和感を追求する狂気の所業。

それは彼が、この世の誰よりもオールマイトを敬愛(あい)しているからこその正気。

その狂気と正気が織りなす作業の結果──。

 

 

 

 

真実は彼に微笑んだ。

 

 

 

 

 

「オールマイト・・・?」

 

 

 

 

それはまるで、奇跡を目の前にしたかのような、神秘的な感情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間の間、事務所にはサーが現れることは無かった。

 




サーナイトアイの家。

タワーマンションの最上階。中は至る所にオールマイトグッズが置かれており、意図的に目を逸らさなければ視界にオールマイトが入る様になっている。


クイズ!オールマイトとスフィンクス!

アクション型の謎解きバラエティー番組。
目玉コーナーは『最強クイズ!オールマイトVSスフィンクス』
オールマイトとスフィンクスが互いに問題を出し合い、問題を十問解いた方が勝ち。
ちなみに負けた側はその場で奈落に落とされる。

視聴率は割と高く、グッズも販売されている。なお家庭用ゲーム版はそこまで売れていない模様。




ちなみに投稿者はサーナイトアイがヒロアカの中で二番目に好きです。


一番は耳郎です。
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