右手を事故でバッキバキに折ってしまったので全く書くことが出来なかったのだ。
おかげでヴェノムを公開日に見に行けなくて・・・ウワアアアァ!!(発狂)
あと、今回の話のクオリティはマジで低いです。
次回からは本調子に戻ると思うので、どうか温かい目でご覧ください。
サーナイトアイは手放された意識の底で、走馬灯に照らされていた。
これまで起きた数々の事件、そしてそれに対応するオールマイトとその事務作業を裏で行う自分。
永遠にも一瞬にも感じるその至福の時間が、いつまでも続けばいいのにと、どれだけ願ったことか。
しかし運命というのはあまりに残酷だった。
オールマイトの未来を視た時、最初は興味本位だった。
しかし後になって初めて自分の個性を呪った。
もし見なければ、あの凄惨な未来が確定されなかったのかもしれないのに。
自分のせいで、自分の憧れオールマイトの未来を汚してしまった。
未来なんて視なければ良かった。
何も知らずに、ただオールマイトの背中を支え続けていればよかった。
そしたらきっと、今よりももっと、未来は明るくなっていたかもしれなかった。
だが、運命は絶対に覆らない。
誰よりも自分の個性を憎んでいる。
誰よりも自分の運命を憎んでいる。
誰よりも、自分自身を憎んでいる。
拭いきれない罪悪感に苛まれ続けながら、赦しきれない絶望感に押し潰され続けながら、ナイトアイはこの五年間を過ごしてきた。
そしてそれはこれからも続くのだと、未来を見るまでもなくそう信じていた。
『オールマイト・・・!』
それは、遡ること三日前の話だった。
◇■◇■◇
「・・・・・・アイ!・・・ナ・・・トアイ!・・」
海面から、自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
人生で最も聞いて、最も尊敬している者の声。
それが切っ掛けとなり、それまで沈んでいた意識が浮上していく。
「・・・・・・」
「大丈夫か!ナイトアイ!!」
「・・・・・・んっ?」
意識の遥か底に幽閉されていたサーは、その固く閉ざされた瞼をゆっくりと開く。
そして暫く光に慣れさせた後に、視界に映った人影に思わず、それまで細めていた目を見開いた。
「・・・オールマイト?」
全体的に気怠い体を持ち上げながら、立ち上がろうとする。
しかしバランスを崩し、一瞬の浮遊感の後に、視界が一転し腰に衝撃が走った。
「ウグッ!?」
「アチャ、無理に立ち上がろうとするから・・・」
オールマイトがこちらに向けて手を伸ばしてくる。
その手は細く人を引っ張るにはあまりにも心許なかったが、しかし人の親切を無下にするほど空気が読めないわけではない。
それもオールマイトのものとなれば、それこそ切腹物だ。
伸ばされた手に、地面に付いたことで汚れた右手を伸ばした。
「・・・すまない」
汚れている右手でオールマイトに触るという背徳感。
オールマイトの手を借りて立ち上がるという罪悪感。
そして、オールマイトの未来を視た自分への嫌悪感。
その全てが上に積みあがったかのような重い、しかしたった一言だけの軽い謝罪。
無論、到底許されることではないだろう。
未来を視たその代償、その責任が、たった一言の謝罪だけで許されるだなんて、寧ろ許される方がおかしいに決まっている。
これはただの自己満足。
これで少しでも、自分を赦せるようになりたい。
そんな我儘のつもりだった。
「・・・これぐらい、なんてことないさ」
太陽のような笑みと共に返される、温かい返事。
傍から聞けばそこまで深い意味は無いかもしれない。
ナイトアイの心情を全て汲み取った上での発言では無かったのかもしれない。
しかしそのたった一言の返事だけで。
ナイトアイの心は救われた。
「え?なんで泣いてるの?!」
指摘されてようやく涙を流していることに気付いた。
懐からハンカチを取り出し涙を拭く。
「ゴミが入っただけだ。問題は無い」
「そうかい・・・?」
暫く目元を抑えつつ、それまで自分が横になっていたベンチに腰を掛ける。
眼鏡拭きで眼鏡を数回拭いた後に、深呼吸を一度挟んでナイトアイは八木に向き直った。
「ところで、何故オールマイトが東京に?」
「フム、それはだね」
「トシ、彼は大丈夫かい?」
噂をすればナントヤラ。
デイヴとメリッサがこちらに向かって走って来た。
二人の両手には既に紙袋が二つ握られており、歩くたびにガッサガッサと紙同士が擦れる音が聞こえてくる。
「悪いねデイヴ、それにメリッサ」
「いや、謝る必要なんてないだろう?君の友人が急に倒れたんだから」
「それに、お土産も沢山買えましたし!」
ナイトアイの様子をオールマイトが監視している間、二人はお土産を買いに行っていた。
本当は二人だけで寿司を食べてもらっても良かったのだが、『なら僕たちはお土産でも見てくるよ』と二人はそれを遠慮してくれたのだ。
ナイトアイは震える手で眼鏡を掛けると、三十回以上の瞬きを繰り返した後に、まるで呆けたように首を曲げた。
「・・・デヴィット・・・シールド博士?それに後ろにいるのは・・・」
「ん?ああ、ナイトアイは名前だけしか知らないかな?」
オールマイトはメリッサの横に並ぶと、その肩を持った。
「こちら!デイヴの娘のメリッサ・シールドだ!」
「はーい!メリッサです!」
「「いえい!」」
ジャジャンと、どこからともなく効果音が鳴り、二人でポーズをとる。
アドリブながらその完成度は極めて高く、デイヴはその様子をパシャパシャとスマホで撮っている。
しかしナイトアイはというと、いつもと何ら変わらぬ真顔で二人を見ていた。
「・・・アレ?アドリブの割には結構うまくいったと思ったんだけど・・・」
「ナイトアイなら喜ぶと思ったんだが・・・アレ?ナイトアイ?」
目の前で手を振ってみるが、しかし反応は無い。
眼鏡の奥の瞳を覗いてみると、その瞳はまるで悟りを開いたかのように白い眼をしていた。
「これは・・・いわゆる
デイヴのその言葉が切っ掛けとなったのか、ナイトアイの垂直に正されていた背筋が、前のめりに傾き始める。
そして限界まで体が傾いたところで、ナイトアイは白い灰になった。
「ナイトアイィィーーーー!!!!!」
◇■◇■◇
目と目の間を解しながら、深呼吸を繰り返す。
そんな死にかけみたいな(実際そうなのだが)ナイトアイに一応声を掛けておく。
「大丈夫かい?」
「ああ、問題ない。いや問題はあるにはあるんだが・・・」
「・・・ああ、そっちね」
「パパ、箸ってどうやって使うの?」
「じゃあスシが来るまでに、ちょっと勉強をしようか」
現在四人がいるのは、元々予約していた高級寿司屋のカウンター席で、入り口の近くから順にナイトアイ、八木、デイヴ、メリッサの順に並んでいる。
ナイトアイはちらりと二人に目を向けて、そして鈍い悲鳴を上げた。
「・・・やはり刺激が強すぎる・・・!」
ナイトアイにとってデイヴは、先輩・憧れ・尊敬の対象だ。
それも、今のオールマイトへの信仰心・情熱に匹敵するほどの、である。
さて、そんなデイヴとその娘のメリッサと、そしてオールマイトが揃った時、ナイトアイに何が起こるのか。
「後光が眩しすぎる・・・!なんという破壊力だ・・・!!」
あまりに過剰すぎるエネルギーの放出、それによる眼球への損傷。
そして損傷した眼球を通して脳に送られてくる、キャパオーバーな画像データ。
それを脳内で処理できるはずもなく、かといって視界に入れないわけもなく。
今まさにナイトアイは、天国と地獄?の両方を味わっているのだ。
「トシが面白い子と言っていたから、どれほどのモノかと思っていたが。これは想像以上だね」
「でしょでしょ?」
今の発言でまた死んだ音が聞こえたが、まあ問題は無いだろうと無視をする。
「僕の後継者・・・いや、後輩と言った方がいいのかな?」
「元だけどね」
「全く未来を視られたぐらいで喧嘩するなんて、ねえ?」
「でも、パパのプリンを私が勝手に食べた時、とっても怒ってたわよ?」
「それとこれとは違うぞ!それにあのプリンは、私がネットで120ドルも払って買ったプリンなんだ!」
「・・・ちなみに、なんて名前のプリンなの?」
「「グ〇コのプッチンプリン」」
「デイヴ、それ多分騙されてるよ」
暫くして、頼んでいた四人分の寿司下駄が目の前に並んだ。
十二貫の色とりどりの寿司に加え、その横には綺麗な螺旋を描くガリと、その下にはすりおろしたてのワサビが乗せられている。
また、デイヴと八木には、水とは違う透明度のある液体が注がれた小さなコップが横に置かれていた。
「これは・・・日本酒かな?」
「大当たり。これはこの寿司屋でしか飲めないお酒だよ」
この店でしか飲めないわけではないが、市場やネットじゃ相当出回らない大変貴重なものらしい。
噂じゃこの酒を作っている製造元と、この寿司屋のオーナーが兄弟だとか親子だとかなんとか。
最も、情報源はグラントリノなので、あまり信用はできないが。
「パパ、この白いのは何の魚?」
「それはイカだね」
「いや、赤いところが無いだけで本当はタコっていう可能性も?」
「・・・それはタイですよ」
「え?・・・まあ知ってたけどね!」
蘇生したナイトアイに指摘され、自分の後頭部を撫でながら誤魔化す八木。
しかしデイヴはともかくメリッサは「マイトおじさまはやっぱり凄いわ!」と鵜呑みにしている。
「・・・それで、オールマイトはどうやってそんな姿になったんだ?」
震える手で寿司を食べるナイトアイを横目に、コップに注がれた酒を口に含む。
久方ぶりの酒ではあるが、思ったより飲みやすく、それでいて程よい旨味が口の中を駆けた。
「やっぱりそれだよね。別に隠していることじゃないし、話してもいいんだけど・・・」
コップを置くと、モジモジと人差し指同士をツンツンと合わせる。
しかしナイトアイは、その動作だけで、八木の言いたいことをすぐに把握した。
「私が何故あんな醜態を晒してしまったか、か」
「醜態って。ただ倒れちゃっただけだよ」
「それを私は醜態だと言うんだ。たかだか三日間、飲まず食わずであなたの全盛期の肉体と今の肉体をずっっと比較して、その後に静岡に行こうと自宅から駅まで歩いて向かおうとしたぐらいで倒れてしまうなんて・・・」
「いや、それは誰でも気絶しちゃうでしょそれは」
軽くツッコミをしたところで、あれ?と首を傾げた。
「どうやって私の体の変化に気付いたんだ?」
「それは勿論、声の張りと顔に浮かんだ皺の角度と数、前髪のVサインの角度や笑みを浮かべた時の口角の位置、皮膚の色から筋肉の膨張具合に・・・」
決壊したダムのように口から溢れる、オールマイトへの情熱と知識。
その波に翻弄されつつ、しかし真正面から受け止める。
(吐血以外で気付くなんて、やっぱりナイトアイは凄いなあ)
そして、五分以上の演奏時間を持って、ナイトアイの指揮棒は下ろされた。
「・・・長くなったが、以上の特徴と情報で、あなたの体の変化に気付いた、というわけだ」
「そうなんだ・・・変わらないな君は」
「そう・・・かな?」
「そうとも」
大きく頷くが、しかしナイトアイはあまり実感がないのか、頭に?を浮かべた。
「さて、今度は私の番だな。さてどこから話したらいいモノか・・・」
説明することが長すぎて若干戸惑いながらも、これまで起きたことの全てを、ナイトアイに説明する。
途中、ナイトアイが詳しく聞いてくることもあったが、それにも答えられる範囲で答えながら、今に至るまでの経緯を全て話した。
「つまり、その黒い変な液体的なモノが干渉した結果、あなたの体の各器官が健康以上に修復されたと」
「本当にソレが原因なのかは分からないけどね」
背凭れに全体重を掛けながら、眉間の皺を解すナイトアイ。
暫く時間を経過させた後に、その腰を真っ直ぐになおした。
「すまないが、私にも心当たりはないな」
「そうか・・・いや、そんなに落ち込まないでくれ。どうせ核心には迫れていないんだ」
しかし、ここまで色々な人脈を使って調べてきたが、なぜ手掛かりが見つからないのだろうか。
普通に考えて、他人の体を治癒する個性を持つ者が、探偵やヒーローの網を掻い潜りながら、ここまでうまく雲隠れをすることが出来るだろうか。
(もしかしたら個性ではなく、もっと別の何かが・・・いや、その何かが分からない時点で調べようがないしな・・・)
コップの底に残った酒を煽りながら、寿司を食べる。
その相性・美味しさに思わず顔を綻ばせてしまう。
「・・・本当に、これは夢じゃないんだな・・・」
「ん?なにか言ったかい?」
幸せそうなその横顔を見ていたナイトアイは、目線を逸らすと同じように水を飲んだ。
「いや、何も言っていない」
「本当か?」
「本当だ」
「ム~??・・・まあ、いいか」
ニカッと心地良い笑顔を浮かべる八木。
それに釣られて思わず笑みを零すナイトアイ。
(そういえば、二人でこうやって笑いあったことは無かったような)
二人で事務所に居た頃の記憶を掘り返して───。
「二人とも~~!!な~につまんない顔してるのさ~!!」
「もうパパったら!だからお酒は三杯で止めておいてって言ったのに!」
顔を真っ赤に染めたデイヴが、体を振り子のように揺らしながら八木の肩に無理矢理腕を組んだ。
しかも、全体重をこちらに乗せるかのような、相当厄介な肩の組み方だ。
「も~僕を置いて二人でしゃべらないでよ~!これでも寂しいんだぞ~!」
デイヴは見ての通り酒に弱い。
なのでいつもは嗜む程度に留めていたはずなのだが。
「本当に厄介な感じになっちゃったよ!ナ、ナイトアイも助けてよ!」
「・・・・・・」
「ナイトアイ?ナイトアイ!?」
しかしすでに息を引き取ってしまったらしい。
「今日は寿司を食べに来ただけだっていうのに・・・」
「本当よ。パパもナイトアイさんも酔い潰れちゃって」
「いや、ナイトアイは酔い潰れたわけじゃないと思うけどね」
まあ死んでいるので、潰れているといっても過言じゃないが。
「・・・どうしようかな?」
「私はもうお腹一杯よ?パパは分からないけど・・・」
「私ももう満足かな。七貫しか食べてないけど。ナイトアイは・・・」
「・・・私も、十分回復した・・・」
よろめきながら立ち上がるナイトアイ。
流石に少し慣れたのか、蘇生までの時間は短くなっているようだ。
「聞いているのは回復したかじゃないんだけど・・・一応お土産用のやつ買っとくよ」
「すまない・・・」
「いいっていいって。それにどうせ、メリッサとデイヴの分も買うわけだし。払うお金が少し増えるだけだよ。HAHA・・・」
たった何億円の支払いが、何億一万円になるだけだ。
むしろ買い得だ。どういう理論かは自分でもよく分からないが。
「それじゃあ、帰ろうか」
「ああ」「ハイ!」
デイヴを背に担ぎ、八木は微笑んだ。
◇■◇■◇
勘定を済ませた後にタクシーを拾うと、中にデイヴを担ぎこんだ。
そしてメリッサも中に入ったことを確認すると、運転手に一万円と、デイヴから事前に聞いていたホテルの名前を告げておいた。
「あ、一応だけど、デイヴが起きた時のためにコレ、渡しておくよ」
自分用に用意していたア〇ピタンを、メリッサに渡す。
「ありがとう!マイトおじさま!」
「いやいや、どうってことないさ。明日はデイヴと一緒に、東京を適当に観光するんだっけ?」
「うん。特に目的地とかは決めてないわ」
「気を付けなよ?ヴィランに襲われる危険も・・・」
「その時はマイトおじさまを呼ぶわ!」
「いやいや、僕よりもこのナイトアイを呼んだ方が、迅速に解決してくれるよ」
ナイトアイに目線を向ければ、少し灰になりかけていた。
「確かに、いきなりマイトおじさまを呼んでも、すぐに来てくれるとは限らない・・・それにマイトおじさまは今は、シズオカで活動してるっていうし・・・」
するとくるりと、メリッサの目線が八木からナイトアイに向かった。
「ならナイトアイさんを呼んだ方がいいですね!ナイトアイさん、連絡先を教えてくれませんか?」
「・・・ェッ?」
普段のナイトアイからは想像もできないような、間抜けな声。
思わず笑いそうになるが、それを必死に堪える。
「だって連絡が取れなかったら不便でしょ?あ、そうだ!パパの連絡先も教えた方がいいよね!」
「・・・・・・そう、ですね」
ナイトアイは全てを受け入れたかのように、思考を停止させる。
そしてスマホを取り出しレインを開くと、QRコードをメリッサに向けた。
「・・・うん!これでヨシ!後でパパの連絡先も教えてあげる!」
「あ、ああ・・・」
果たしてこれが現実なのか。
それすらも疑いそうになっているナイトアイを他所に、八木は名残惜し気に運転手に車を進めるように声を掛けた。
「それじゃあね、メリッサ。デイヴのこと頼んだよ」
「分かりました!」
タクシーは進み出すと、メリッサは窓から身を乗り出し二人に手を振った。
「マイトおじさま!今日はありがとう!」
「じゃあねメリッサ!でも危険だから窓から出すのは手だけにしなよ!」
「ナイトアイさんも!バイバーイ!」
「・・・あ、ああ。さようなら」
顔には出ない名残惜しさを纏わせながら、ナイトアイは手を振る。
ソレに満足したのか、それとも八木に言われて反省したのか、メリッサは身体をタクシーの中に引っ込めた。
タクシーが角を曲がって姿を消したと同時に、二人は振っていた手を下ろした。
「それじゃあ、私も静岡に帰るよ」
「・・・ま、待ってくれオールマイト!」
裏路地に身体を潜めようとしていた八木は、ナイトアイの叫びに振り返った。
周りの目線から隠れるように体を縮めながら、ナイトアイに小声で近寄る。
「どうしたんだ?」
一瞬、ナイトアイの表情に戸惑いの色が見えた。
その色は次第に波紋のように広がり、顔を染め上げていく。
(今の私にはまだ・・・君の未来を視る資格はない)
自分の個性ではなく、自分のこの目で見るまでは。
それまではまだ、オールマイトの未来を確定させるわけにはいかない。
あくまで駄目押し。
あくまで確実な未来が見える時まで。
この呪われた力を行使してはいけない。
「・・・何でもない」
決意とも脅えとも見えるその顔は崩れ、そしてナイトアイは柔らかな笑みを浮かべる。
その様子に若干の違和感を覚える。
「大丈夫?」
「ああ、何でもない・・・大丈夫だ」
「?・・・大丈夫なら、いいけど・・・」
疑問に思うが、深入りしても何か得られるとは思えなかった。
胸にしこりのようなものを抱えながら、八木はその場を去ろうとする。
「じゃあ、またね」
「ああ。・・・何か分かったことがあったら連絡をする」
「それは助かるけど・・・でも君、今の私の電話番号知らなくない?」
「・・・確かに、そういえばそうだったな」
「・・・じゃあデイヴに聞いてみれば?」
「エ"ッ」
「冗談冗談。これ、電話番号ね」
電話番号が書かれたメモを投げると、ナイトアイはそれを空中でキャッチする。
それをしかと確認した後に、八木は手を振り路地裏へと身を隠した。
そしてほんの数コンマ後に、その路地からまるでロケットが打ち上げられたかのような音が響き、黄色い残像を残してオールマイトは去っていった。
(いつか、君に安らかな日常が戻ってきた時に)
その未来に辿り着くために、ナイトアイはまた闇雲に走り出した。
ちなみに投稿者は高級寿司屋になんて行ったことがない模様。