最近個性が芽生えました。   作:限界社畜あんたーく 

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なんか中途半端な感じになっちゃった




電車で移動後ホテルに着き、早速それまで着ていたスーツを脱いだ。

 

 

「・・・やっぱり、なんか体の調子がいいような気がする」

 

 

軽くなった肩を回し、洗面台へと向かう。

鏡を覗くが、しかしこれといって変わった点は見受けられない。

 

(何が原因なんだ?あの薬の副作用でハイになっているだけか?)

 

あの黒い靄が関係してそうな気がするが、しかしそれに繋がる確証が無いのも事実。

 

 

「フム。理由はどうあれ体調がいいのはむしろありがたいこと。この体調が続いている間に、社会貢献!ヒーロー活動!全身ッ全霊で!!」

 

 

コスチュームに着替えると、マッスルフォームへと変身した。

 

鏡の前でスーツの皺がないかの確認をして、最後にニッコリと笑顔を作り出す。

 

 

 

「・・・ッヨシ!!」

 

 

 

準備は万端。笑顔もジューシー。

 

早速ベランダから飛び降りると、小走りで目的地まで向かっていった。

 

 

 

 

 

 

道中でサインを強請(ねだ)られながら、およそ三分弱で目的地へと到着した。

そこはかなり大きめの公園のような場所で、そこには既に多くのマスコミが四角い列を成していた。

 

オールマイトがその公園に片足入れるや否や、シャッターのフラッシュが焚かれた。

 

 

「わ~た~し~が~・・・」

 

 

 

 

 

 

「静岡に単身で来たァ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

キメポーズをとると同時に、太陽光に負けないレベルのシャッターが切られる。

流石に眩しいので目元を少し隠すが、それはそれで様になるようでさらにフラッシュが増えた。

そのマスコミの間を潜り抜けるように、一人のマイクを持った女性がオールマイトの前に立った。

 

 

「すみません!オールマイトさん!!」

 

「なんだね?」

 

「これからは静岡を中心にヒーロー活動を行っていくようですが、その意気込みはどうですか!?」

 

「HAHA!やる気しかないね!!自慢じゃないが、事故最多を記録していた名古屋を、今年は事故数0に押さえられた実績もある!今度は(ヴィラン)事件の多い静岡の、来年の敵事件数を0にしてみせるさ!」

 

 

ちなみにこれは余談だが、静岡のヴィラン事件数が多くなった理由は、オールマイトが名古屋で活動していたのでそこから敵が静岡に逃げたからだ。

なので突き詰めるとオールマイトのせいということになるのだが、だからと言ってオールマイトを責めるような者はいない。

 

何故ならNO.1ヒーロー(オールマイト)だから。

 

何故なら最強(全てを救う者)だから。

 

どうせ敵が集まっても、オールマイトならなんとかしてくれる。

そう信じているからだ。

 

 

「流石オールマイトさん!では今後の予定は!」

 

「静岡の(ヴィラン)事件を中心に、そしていつも通り各都道府県の敵事件に対処していくつもりさ!」

 

 

とはいえ静岡以外の都道府県に行くときは、その地のヒーローでも対処できないような敵が現れた時だけなので、そう頻繁に静岡以外の場所へ行くことはないのだが。

 

 

それから幾度もの質問を終え、段々と人だかりが出来てきた頃合いになって、グルリと背後へと目を向けた。

 

 

「ム!?遠くで悲鳴が!それでは皆!さらばだ!!」

 

「え!?まだインタビューしたいことが・・・!」

 

 

言葉を最後まで言わせることなく、オールマイトの姿が消えた。

その直後、オールマイトが目線を送っていた先で大爆発が起きた。

なんという反応速度。

なんという判断力。

呆気にとられていたマスコミやカメラマン、そしてインタビュアー達は、オールマイトを追いかけるべくその場から走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、やっぱり間近で見ると速いっすねー」

 

「だな。俺たちマスコミが追い付けない、というかカメラの中に収まらない速度で跳んでくとは。流石NO.1ヒーローってところか?」

 

「・・・あ、もう事件解決させたらしいっすよ」

 

「マジか。それライバルのところか?」

 

「ええ。ここのサイト、オールマイトの記事ばっか挙げてるんですよね。僕も今じゃオールマイトのファンっすよ」

 

「全くのんきに仕事しやがって。最近結婚したからっていい気になるなよ!」

 

「えへへ・・・あれ?」

 

「ん?どうした?」

 

「いや、あの地面、なんか割れてません?」

 

「割れてるって・・・そりゃあオールマイトが跳んだところだからな。割れててもおかしくないだろ」

 

「オールマイトは跳ぶときに地面を割らないように気を遣ってるとかなんとかって聞いたような気がして・・・」

 

「噂かなんかじゃねぇのか。それとも緊張して力んだとか」

 

「そんなまさか。あのオールマイトですよ」

 

「だよな。ならただの噂だ。それよかさっさと次の現場行くぞ」

 

「うっす!」

 

 

 

 

 

 

オールマイトは空を跳んだ後になって、自分の身体に起こっている()()()に気づいた。

 

 

(力の制御が利かない・・・なんだ?これは)

 

 

先ほど跳んだときも、あまり力を入れずに跳んだはずが、地面にヒビを入れてしまった。

 

 

 

(全盛期の頃より前、OFA(ワンフォーオール)の力を制御できていなかった頃のような、まるで有り余る力を抑えられないような・・・)

 

 

そんなことを考えながら、地面を蹴って跳んでいると、丁度目の前で大きな爆発音が聞こえた。

 

 

(・・・今は事件の解決が最優先!)

 

心に釘を刺すと、眼前の(ヴィラン)の目の前に飛び降りた。

視界内には建物を崩す個性的な見た目をした(ヴィラン)と、巻き添えから逃げようとする一般市民たちの姿があった。

 

 

「私がッ「やった!オールマイトだ!!」えちょ

 

「何!?オールマイトだと!?」

 

 

建物を崩していた関節を除く体のあらゆる部分が四角い(ヴィラン)は市民の叫びを聞くと振り返り、オールマイトを見るなり叫んだ。

 

 

 

「・・・来たァ!!」

 

 

 

歯切れが少々悪いが、いつもの決め台詞を放った。

 

「まさかオールマイトが来るなんて・・・!そういえば今日来るとかなんとかってニュースで・・・クソォ!」

 

(ヴィラン)は悪態をつくと、地面に手を当てる。

すると、触れた地面が真四角に削られ、(ヴィラン)の手にある小さな袋に収まった。

 

 

「俺の個性『ブロックポケット』は、触れたモノを縦横高さ1mのブロックにして、それを収納する能力!重さに関係なく最大64個持てるんだ!!」

 

「何故説明口調!?」

 

 

しかしかなり強力な個性だ。

思考回路が(ヴィラン)寄りでなければ、いいヒーローに()れただろう。

 

 

「だがこんな俺でもオールマイトには負ける!ここは一時撤退だ!!」

 

 

手のポケットが開かれ、そこから質量保存の法則をガン無視したブロックが幾つも取り出される。

 

 

「必殺!!『積罪(ツミツミ)ブロック』!!」

 

 

ブロックは(ヴィラン)の目の前に展開され、縦横8mの正方形型の壁を作り出した。

遠目から見ればモザイクのように見えるソレだが、しかしその圧迫感は(ヴィラン)のソレとは全く持って異なる。故に市民の多くは腰を抜かし、その場から逃げられない者もいた。

 

 

「必殺技も持っているとは!しかもネーミングセンスもかなりいい!

 

 

 

 しかし!!!」

 

 

拳を引き絞ると、ブロックの壁に向かってダッシュする。

なるべく力を籠めず、辺りに破片が飛ばないようにと意識を集中し──。

 

 

 

 

 

 

「SMASH!!!!!」

 

 

 

 

 

 

壁は隅々まで亀裂が走り、そして破壊された。

破片は周囲に飛び散り、それを全身でオールマイトは受ける。

さながら雨を浴びているようであり、周りの民間人や傍観者の多くからまるで美麗な絵画を見たかのような圧倒された声が漏れる。

眼の前の(ヴィラン)からも思わず「何ィ!?」という驚きの声が漏れている程だ。

誰しもがその光景に、オールマイトたる正義の力を再認識した。

 

 

たった一人を除いて。

 

 

SHIT(シット)、破片が周りに飛ばないように考慮したつもりなんだが・・・)

 

幸い、破片が飛んだ先には民間人はいなかったので、大きな事故にはならなかったが、それでも自分の行為により民間人に被害が広まる可能性があったということに、少々不甲斐なく思う。

しかし本当に、この体はどうしたのだというのか。

 

(否、それよりも───)

 

思考を止め眼の前の相手へ意識を向ける。

 

 

「君の個性とその必殺技、確かにカッコいい!!だが、君は積むべきものを間違えている!!」

 

 

 

 

 

 

「君が積むべきは、努力と徳と・・あと勉学だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

無詠唱化したSMASHで、(ヴィラン)を吹き飛ばした。

そのまま地面を滑っていき、電柱に後頭部をぶつけて気絶した。

 

実際は寸止めして風圧で後ろに倒れるレベルの拳を放ったつもりだったのだが。

 

 

(やはり力の制御が利かなくなっている。もっと出力を抑えるべきか)

 

 

出力を抑えると、精密な力の操作が出来るようになる。

が、その代わりに、いざという時にフルパワーで挑むことが出来なくなる。それを考慮すると、出力はこれ以上下げない方がいいのではないかとも考えてしまう。

 

取り敢えず、今はこの場から離れるべきか。

周りを取り囲むファンの持ち物にサインを書くと、その場から若干離れた位置で足を曲げた。

 

 

「それでは諸君!!今日の夜七時からのクイズ番組で、また会おう!!」

 

 

オールマイトは空を跳び、また次の事件へと向かった。

 

 

 

 

 

 

◇■◇■◇

 

 

 

 

 

静岡に来てから約三日後。

数多の事件を解決し、力の制御にある程度慣れてきた頃。

 

 

週に一度の休みに入ったオールマイトは、八木俊典(トゥルーフォーム)で外に出ていた。

大好きなコカコ・オレの1Lペットボトルを二本買い、晩御飯用の食材を買い入れたところで、街中をフラフラと歩き始める。

 

オールマイトが何故街をフラフラとしているのか。

それは静岡全域のマップを覚えるためだ。

ヒーローたるもの、どんな状況であっても最速最善を尽くさなければならない。

そのため、例え見知らぬ土地であっても、通りの造りや近道を覚えていた方が良いのだ。

 

 

(ここを通ると銀行があって・・・そういえばマンホールもあるのか。中の構造とかも覚えておいて損はないな)

 

 

足元のマンホールを見たときに、ふと下水道のことを思い出した。

名古屋の方では移動手段として使ったことはなかったのだが、敵の逃亡を追うために活用することは稀にあった。

静岡でも同じようなことが起こるかもしれないし、覚えていて損はないだろう。

 

 

(地図でもあればいいんだけど・・・おっと)

 

 

緩んだ手からビニール袋が落ちた。

それを拾おうとして、ふと着ていた白のTシャツから自分の腹の傷がチラリと見えた。

 

(腹の痛み、本当に無くなってきたな。副作用で消えるようなものではないと思うが・・・)

 

そもそも今までにあの薬を取り込んできて、痛みが消えるような副作用は無かったはず。

では、一体何が原因なのだろうか。

 

やはり、あの黒い靄だろうか。

 

(でもあれから一度も夢で見たことはないし。本当にアレはなんだったんだ?)

 

疑問は疑問のまま解決することはなく、そのまま見出だせない答えを求めてフラフラと意識の波に煽られていく。

いつか周りの光景が見えなくなってきた頃になって、ふと悲鳴が聞こえた。

 

 

 

「強盗だァ!!誰かああああ!!」

 

 

ふと目を向ければ、そこに緑の液体のような(ヴィラン)がいた。

 

 

『捕まえられるもんなら、捕まえてみな!!』

 

 

鉄柱に肩を透かせているところを見るに、ただ個性で液体を纏っているのではなく、体自体があの液体で出来ているのだろう。

 

 

(ヴィラン)か。今日は非番だから休むつもりだったんだがな)

 

 

溜息を吐きながら、しかしその眼には確固たる意志が宿っていた。

 

 

 

非番だから休むのか。

非番だから見逃すのか。

 

 

否。否。否である。

 

 

 

誰かが助けを求めるのであれば、必ずそこに現れ事件を解決する。

 

人を守り、財産を守り、悪を挫く。

 

(ヴィラン)が、悪が、この世に蔓延り続ける限り、ヒーローは決して休むことはない。

 

 

 

 

 

 

「すぐ()()来るのにな」

 

「今朝の混乱に乗じたんだろ。個性もて余してる奴なんていくらでもいるし」

 

「キリねぇなー」

 

 

 

 

「キリはある」

 

 

 

 

民間人の後ろにズンと立つ。

その姿はマッスルフォーム。

 

振り返った民間人は、まるでNO.1ヒーローを間近で見たかのような、目玉が飛び出るレベルの驚きを全身で表現している。

 

 

 

 

「何故って?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が来た」

 

 

 




オールマイト静岡来日の理由
教師になる手続きをするためだが、現時点では表向きにはされていない。
そのため口実として用意したのが、静岡のヴィラン事件の件数を0にすることである。(尚投稿者はにわかなため、多少のガバは許してください)


ブロックヴィラン
オリ。ちなみに元ネタはマイクラ。投稿者はプレイしたことがない模様。



原作突入。
デク君がこれから参戦します。

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