語るに落ちる 作:徹夜は脳を刺激する
漢は何時だって|衝動『ロマン』よ。
俺は何の因果か地縛霊をやっている。
死んだ瞬間は覚えてないが、普通の日常を送っていた事は思い出せる。
ニートで生活保護で生きている。親を介護してて目も離せなかった。
俺は死んだが親は何処にも居ない。成仏でもしたのかね。
介護から解き放たれて地縛霊なのに解放感すら感じる。だが地縛霊なんだ、きっと何かが心残りなのかもな。
……どうでもいいや。
俺は生来怠惰な性格なんだ。生粋のめんどくさがり屋。
それが介護の日々で義務感で家事をやっていたが地縛霊に成った今ではそんなのやる意味も無い。
ゲームも無い、スマホも無い、睡眠欲も食欲、性欲も無い。何の為に
俺ァニートで、中でも怠惰なニートだ。
やるべき事でも尻を叩かれなきゃやらないし、それだって最低限言われた事だけやる。それ以上はめんどくさいから手を抜く。
料理だって一度大雑把にレシピを覚えたら目分量でやってしまう。それで食べれるなら文句も無いからな。ま、それを誰かに振る舞うなら気を使ってレシピを調べるがね。
いけねぇいけねぇ。生前からの悪い癖だ。話がとっ散らかる。
何だっけか、ああそうそう。俺の性質だァな。
俺は痛い目を見ないと、失敗しないと学べない類いの人間だ。だからこそ挑戦を恐れる。それが俺の根本である怠惰っつー話だ?
準備は怠る。危機感に煽られて動きはするが遠出はしない。
しないとイケないと分かっていても心のメンドクセェという声に従う。
ゲームが欲しい、だが買うのすれメンドクセェ。今度で良いや。
そんな具合で俺は暇な時でもそうなった。
ならこんな霊生活すら怠惰に生きれるんじゃねーの? と考えてしまった訳だ。バカみてーだ。
霊ってのは楽な生き物で、これが怨霊とかなら誰かを想って怨み辛みを練るんだろうが、生憎俺は心残りさら忘れた地縛霊。
飯の用意も要らず、性欲の処理も不要、寝たい時に寝て、暇潰しすらメンドクセェと割り切れる。親しい人間も居ないし誰かに置いていかれる、此方に来いなんて悪霊みたいな事を思わないで済むしな。
ある種の仙人だろこれ。いや仙人に失礼だな。仙人って生きてんだから、死んでこの境地なれ探せば有りそうだが、わざわざ死んでんのかって位に修行するのが仙人だろ?(偏見)
まあだからこそ霊ってのは楽だ、と感じるのだろうな。
何人にも憚ること無くただ存在しているだけ。俺はそれで満足してるんだよなぁ。
◆
"ふわぁ~あ"
欠伸なんてしないのに、何でかしてしまう。
世界の時間はあっという間で総理大臣は変わるし、時代も変わる。
それでも俺に変化は無く、現代社会に興味は無い。働かない事を望むようなニートだからこそ社会に興味も無かった。
死んだ今はあれほど没頭した二次元作品すら興味が薄れている。所詮それすら己にとって暇潰しだったのだと言える。
空を観て、流れる雲をボーッと眺めてるだけで時間は過ぎ去り。
月を観て、輝く星を覚えるでも無く見てるだけで時間は溶ける。
そんなものが日常だ。日がな一日空を眺めるだけの幽霊。
まるで石だな。こうして思考すら放棄しているのが大体だ。風の音に思考を回して、また止める。
退屈に慣れてしまったからか。退屈は退屈と諦め受け入れるのはニートの本能、いや本領ですらあるのかもしれない。
暇だ暇だと騒ぎ立て、詰まらないと誰かに愚痴り、それでも行動に移さない。自分で退屈だなぁ、と終わらせるのだ。
退屈は精神を蝕む毒だ、なんて名言? も合ったような気もするが強ち間違っては居ないのでは無かろうか。
鉛の様にズッシリと重い。行動を縛る毒。ゆっくりゆっくり体に染み渡り、抜け出すには何もしない快適を手放す苦痛と、日常を変える覚悟を必要とするのだから。
気紛れにやって上手く行くのはそれはもうそういう人間だっただけ。千差万別なんだ。うだうだ語る俺の持論だって俺がそういう人間だったからなんだと受け入れるのは楽だ。
人は楽に流れるんだ。わざわざ艱難辛苦を迎え入れるのは難しい。
"ふわぁ~"
欠伸を一つ。ああ、今日もまた働いた、なんて労働者が聞けばぶちギレと侮蔑に満ちた目で唾を吐く言葉を垂れ流す。
◆
何時の魔にやら時は百年も過ぎていた。俺は何も変わらず空を眺める。世界は変わったのだろう。
俺は知らないがきっと変わった。流行も忘れたし、介護していた家族の名前すら忘れた。
にも関わらず飼っていたペットとの日々を追想し、亡くなった日を思い出せるのは記憶に焼き付いているからか。
地球がどうなったとかは興味が無い。一個人が変わっただけで地球が変わるなんて考えは生きていた頃から持っていない。
何せ議員選挙だかの清き一票にだって何の影響力も無い平民であるからしてな。
一人の影響で議員を選べるならば世界も変わる筈なんだ。
地球温暖化すら何とかなるしそれが成せていない時点で俺という存在は世界を動かせなかった人間なんだ。
人間の意志薄弱を舐めんなよ? 弱ェ弱ェ。なんて弱い人間よ。
所詮穀潰し。産まれが負け組勝ち組なんて腹が裂けても言わないがそれでも世界を変えない事を選択した人間だ。
脊髄で話すし、そんなこと言いました? なんて惚けて責任を放棄した存在だからな。
あれ、なんでこんな話をしているんだ?
どうでもいいのに。
……ああ。滅べ世界。
◆
その日も日がな一日、日がゲシュペンs……ゲシュタルト崩壊しそうな日を過ごしていた。俺の世界は時間に溢れている。
そんな俺の灰色世界に新しく色が入った。何やら天から後光射し込み、天女が舞い降りたのだから。
こちとらオカルト存在。相手がオカルトだろうがキョドりはしない。
因みに後光がすりきれってジュゲムに有りそうだよね。
ジュテームジュテーム後光はすれすれ矢鱈滅多にブラ外し、パピコパピコパピコのシュレディンガー、シュレディンガーのモーマンタイ、モーマンタイのチンチロリンの反復なの、超救急の長助ェェェェ!?!?
……うん、韻は踏めたのでは無いかな?
駄文だな。
「貴方、死にかけてますね」
"死んでますよとっくに"
会話を振られては仕方ない。会話事態は嫌いじゃないんだ、専ら聞く専だがね。
「依り代も無い霊が何故存在できるのか不思議で成りませんね」
"生きたかったんでしょうね。まあ人間誰しもがそう思っているとは思いますけど"
「……ふむ、貴方私の眷属に成る気は有りますか?」
"有りか無しかで言えば有りですね。退屈に慣れているとは言え、私は最早空を眺めるだけの石ですし。何かしら行動を起こそうにもメンドクセと動かない人種なんで、やれと言ってくれるならやりましょう"
「覇気に欠けますが、まあその程度なら動かしやすいのもまた事実。言いなりの配下としてなら使えそうです。屁理屈に口達者ならば私以外に易々と従う事も無さそうですし。それに石ならば神が拾いあげましょう」
"……俺を雇うなら、何かしらの形での報酬さえあれば素直に従いますよ。言われた事しかしないので。他者からの命令も雇い主がヤれと言わない限りやらない主義です。てか俺は別に捨てられた訳では無いのですがね、神でも無いし"
「わざわざマイナスアピールまでしますか。ワンチャン雇うのを止めたパターンを狙っていますね。退屈から脱しようとしているのに、退屈に留まろうとする。怠惰です。……あと貴方は自分を捨てている。百年もの時間を空を眺めていたならそれはもう捨て石ですよ。それに八百万の神に連なるでしょう。九十九神といあのも有りますしね」
"アハァー! 心の声聞かれてるぅ。てか律儀に話してくれますねー"
「うざい。良いでしょう私の元で働きなさい。名前は【怠惰】で良いでしょう。私すら貴方の名付けがめんどくさいと思えました」
"ははは、恐悦至極でーす"
「適当な愛想笑い。いっそ相手を不快にすらさせる他者への気遣いの感じられない慇懃無礼。怠惰です」
と言うわけで死語百何年か経って俺は働く事となった。
この天女様は異世界の存在であれば良いな。地球の空と異世界の空、退屈なのはどちらか比べてみたい。
筆が乗ったら三千時なんて一時間よ。それが散文だろうと。特にジュゲムなんて寝惚けた頭じゃねぇと浮かばねぇ