「ねぇ、上司は?」
「さぁ今日は用事があると言ってどこかに出かけましたよ」
「この仕事の山を見て良くどこかに出かけられるな」
某企画のペンギン達のデスクには大量の書類が置かれており常に彼らは仕事に追われていた。ちなみに今日は零士やカゲチヨもいて彼らもペンギン達の仕事を手伝っていた。
「そういえばNo11君は?今日は来てくれるはずだよね」
「さっき連絡があって少し遅れると言っていたな」
「あのヤロー!!来たらぶっ飛ばしてやる」
カゲチヨは死にも狂いで仕事をしておりNo11が来たらぶっ飛ばすと心に誓っていた。
上司(かど つかさ)は墓地にいた、その理由は親友の墓参りだった。いつも傲慢で定時に帰るダメ上司だがこう言うのだけはしっかりとしているのか手には酒瓶があった。
「よぉ久しぶり元気そうだな、俺か?俺は元気だぞ」
上司は親友の名前が彫られた墓の前に来ると声をかけた。しかし相手は墓石であるので上司の返答に返ってくる筈も無かった。
「そっちはどうだ?もう何年も経つなお前が死んでから」
上司はしんみりしながらも地面に座るとコップに酒を注いで一つを墓石の前に置いた。
「今日はとことん飲んでお前に付き合ってやるよ、仕事?帰ったら部下の分の仕事を手伝ってやるからそれで勘弁してくれよな」
墓石がもしも喋ったら仕事をしろと言われそうだったので上司は帰ったら部下の仕事を手伝うと約束をした。
「聞いてくれよペンギンがー!!最近俺にキツく当たってきてな毒舌な言葉をばっかり言ってくるんだよ。パンダは外面では俺を慕ってくれているけど内側は腹黒でな、シャチは仕事のミスばかりするし皆に迷惑かけてなしかもキレたらかなり怖いんだよな。まぁそれでも俺の大事な部下だけどな」
上司は散々言うも内面では部下を大事にしている人物である。自分のコップに酒を注ぐとそれをグイッと飲んだ。
「お前はこれからもっと色々な人生があった筈なのに・・・
何で・・・何で死んじまったんだよ」
上司は涙を流すとそのまま倒れ込んだ。唯一の親友だった人物が突然死んだその事は今でも上司は覚えている。それから彼の命日には墓参りをかかした事はない。人知れず泣き終わるとその後は墓石に日頃あった色々な事を話して上司は上機嫌だった。そして酒瓶の中が空になった事に気付いた上司は立ち上がった。
「もう帰るわ、また来年な」
そう言って上司は墓地から出ようとするがふと人影が見えたので誰だと思い見てみるとそこには死神No11がいた。
(あいつが墓にいるなんて珍しいな)
上司はそう思ったがこの後No11は某企画に来る事になっているそれだったら一緒に行ってもいいだろうと思い彼はNo11に声をかけた。
「よぉ」
「ん、なんだ上司さんか」
No11は墓石に視線がいっていたのか上司が声を掛けてくれるまで気づかなかった。普段なら人の視線に敏感な程の彼が珍しいものだ。
上司は近づくとNo11の前にある墓を見て動きを止めた。その墓石は名前こそ消えかかっているもののNo11が視線をそれに向けていたのだよほど大切な人物だったのだろう。
「・・・手を合わせてもいいか?」
「どうぞ」
上司は酒瓶を地面に置くと静かに手を合わせた。普段の上司を知っているNo11は人間性があったのだなと心の中で感じ取った。
「この人はお前の大切な人か?」
「あぁ・・・」
No11の問いかけに上司はそうかとだけ言った。
「人は何故死ぬんだろうな」
「はぁ?」
「人間生きていればいつか死ぬ時が来る。それは人にもよるが俺の友人はそれが早かっただけだ」
「何で人が死ぬのかは俺にも理解は出来ねぇよ。ただもしもあの穀潰しが命を作れるのなら俺はすかさず頼んでいるな」
「そうか難しい事は俺にも分からん」
No11はそう言うと上司は難しい事は分からないと言う。それを聞いたNo11は不覚にも笑ってしまう。それでいい普通の人間は死というものに関して関心を持ってはいけない。それを感じて欲しいのは老いて死ぬ時くらいにして欲しいものだと死神であるNo11はそう思った。
「さぁ行くぞ!!仕事が俺たちを待っているぞ」
「いや貴方は仕事をしないでしょ」
上司は歩き出していくとその隣をNo11が歩いていく。
(騒がしくてごめんな今度来たらちゃんとお詫びするから)
彼の行っていた墓参りはちゃんと出来なかったのでNo11は心の中で謝罪をする。彼の見ていた墓は風が強く吹いていいよとでも言ってくれている様だった。
「お前らー!!帰ったぞ」
「上司、どこに行っていたんだ」
「っう!!お酒臭いですよ」
「ちょっと!!飲んできたんですか。僕も連れていってくださいよ」
「パンダ、お前は仕事をしろ」
某企画に戻ってくるとペンギン達からの質問攻めに上司は追われる事となりNo11はその光景を見ていた。
「No11!!一体どこ行っていた!!」
No11もカゲチヨに見つかってしまった、カゲチヨの横には零士がいたのだがエナドリの空き缶がいくつか置かれておりこちらに気が付いたのか視線をPCの前からNo11に向けた。
「やっときたか!ほらこれとこれまだあるから今日中に仕上げないといけないんだぞ」
「はいはい分かってるよ」
No11はそう言うと席に座って仕事を始める。ちなみに仕事は朝までかかって全員が死ぬ思いをしたのはまた別の話。
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