【東方狂神父】アンデルセン神父が幻想入り 作:トマトマトトトママトマトトトマト
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決闘を終えた2人は、白玉楼の座敷の中に戻っていた。
「ん〜良い戦いだったわよ2人とも!」
「申し訳ありません幽々子様。私の未熟さが幽々子様に恥をかかせる結果となってしまいました」
「何言ってんのよ妖夢。このレベルの相手にあれだけ立ち回れたのは賞賛されて然るべきよ。もっと自信を持ちなさい」
幽々子の発言にアンデルセンも同調する。
「幽々子殿の言う通りです。実際、途中の加速する剣撃は初見でしたら防げなかったでしょう」
「はぁ…そうでしたか?」
当てるどころか掠らせることすらかなわなかった妖夢にしてみれば、その発言は気休めにしかならなかった。
そしてアンデルセンの何気ない一言に、幽々子が興味を示す。
「今、初見だったらと言ったわね。ちなみにその相手は誰?」
「私の教え子です。訓練に付き合っていたもので」
「聖職者って何なのかしらね……」
アンデルセンからしてみれば自分の事を話しただけで溜息をつかれるのは甚だ心外なのだが、素性をバラすわけにもいかないので黙っていた。
そして、話題が切れるタイミングを狙っていたかのように、幽々子が話し始める。
「時にアンデルセンさん。貴方はこれからどうするつもりなの?」
「どうする……と言いますと?」
「簡潔に言えば、
再びアンデルセンの知らない地名が出てきた。
雰囲気から察するに重要な場所らしいが、それが何の関係があるのだろうか。
「では、その“幻想郷”というのは?」
「人間と妖怪が共に暮らす楽園、それが幻想郷よ。外の世界で忘れられた存在しか、足を踏み入れることは出来ないようになっているわ」
「………………………」
「人間は人間の里で暮らしていて、妖怪はそれぞれの住処で暮らしているわ。基本的に人間には襲ってこないから、安心していいわよ」
「………………………」
「時々『異変』と呼ばれる、一部の妖怪による事件も起きるけど、それは大抵神社の巫女が解決してくれるわ……」
話しているうちに不気味なものが徐々に増大していくのを幽々子は感じていた。
幻想郷に関する説明を始めた途端にアンデルセンの雰囲気が目に見えて変わったのだ。
周囲の空気はピリピリとし始め、その顔には刻みつけられたような笑みが浮かんでいる。
その笑みは何処からくるものなのか知りたいが、掛けている眼鏡は凄まじい逆光に包まれておりその真意を窺い知る事はできない。
「あの………私、何か不味いことでも言ったかしら?」
目の前の男は妖夢との決闘の時とは違い、明らかに殺意が滲み出ていた。
どうやらその矛先は自分達には向いていないようだが、あのレベルの戦闘を行える者がこれだけの殺意を露わにするというのは恐怖以外の何物でもなかった。
「いいえ。何でもありませんよ」
そう言って幽々子に向けられた顔は、既に慈愛に満ちた穏やかな微笑みを浮かべている神父の顔に戻っていた。眼鏡の逆光も消え失せていた。
「そ、そう。なら良いわ(とても同一人物とは思えないわね……!)」
側で見ていた妖夢も同じことを思っていたらしく、妖夢の顔には冷や汗が浮かんでいた。
「それで、どっちにするのかしら?
「そうですか、では…………」
面をあげたアンデルセンの眼鏡は、再び逆光が掛かっていた。
「私を“幻想郷”とやらに、連れて行って貰いましょうか」
* * * * * *
「それで?如何だったのかしら?」
アンデルセンの答えを聞いた幽々子は、明日の早朝に妖夢に連れて行かせると約束し、就寝するよう促した。現在は客間で眠っている。
そして、幽々子と妖夢は縁側にて密談中だった。
「悔しいですが…剣筋、速度、経験、技量、そして直感。全てにおいて私を遥かに上回っていました」
「でしょうね。あの立ち回り、明らかに妖夢のレベルに合わせていたものね」
「はい。博麗の巫女と戦った時でも、ここまで一方的ではありませんでした」
アンデルセンの手前、妖夢を持ち上げるような発言をしたが、幽々子とてあの実力差に気付かぬ程馬鹿ではない。
あえて本気は出さず、相手の技を全て見切った上で正面から斬り伏せた。
勝敗は最初から決まっていたのだ。
そして、話題は先刻の会話に移る。
「あと、さっき幻想郷の話をしたとき……」
「ええ。“妖怪”と“神社”に反応して殺気が湧き上がっていましたね」
「貴女も気付いてたのね。神社に反応するのはどういうことかしら?」
「アンデルセンさんは“きりすと教”なる宗教に所属していると言っていましたし、違う宗教同士仲が悪いのでは?」
「外の世界の宗教にあまり明るくないから仮説の域は出ないけどね。じゃあ、妖怪は何なのかしらね?」
「先程の決闘の時、私が“化け物”と口にすると、一瞬ですが嫌悪感を露わにしていました。妖怪に限らず、人外を全体的に敵視しているようにも思えます。つまり──」
──アンデルセンの剣技は人外を屠らんとするために鍛えたものである可能性がある、と妖夢は言外に告げた。
「不思議な事ね。外の世界の人間が妖怪と関わることなんてほぼ無いと思うのだけれど」
「こればかりは如何ともし難いですね。本人の口から語られない限り、結論は永久に出ないでしょう」
幽々子は嘆息した。
「何にせよ、幻想郷というそれこそ人外だらけの世界にアンデルセンさんを招き入れて大丈夫なのかしら?」
「それに関しては私に妙案がございます。ご安心を」
「そ。ならいいわ。じゃあ明日頑張ってね〜」
話が纏まると、妖夢は一礼して去っていった。
一人残された幽々子は、自分以外見る者がいない西行妖の前でポツリと呟いた。
「ねえアンデルセンさん。貴方は
* * * * * *
「本当に行くのね。寂しくなるわぁ」
翌朝、アンデルセンは身支度を終え、再び階段の前に立っていた。
「心配せずとも、一段落したらまたここに顔を出しますよ」
アンデルセンとしても、身も知らない男を匿ってくれた挙句、食事と寝床まで提供してくれた幽々子には少なからず感謝の念を抱いていた。
「そうね。その時が早く訪れてくれることを祈るわ」
「ええ、暫しの別れです。ありがとうございました、幽々子殿。貴女に神の加護があらんことを」
一頻り別れを惜しんだ後、アンデルセンと妖夢は長い階段を下り始めた。
* * * * * *
かつて己が30分強かけて上ってきた階段は、下り切るのも一苦労だった。
故に、雑談でもして少しでも気を紛らわせようとするのは極めて自然なことだった。
「私はこれから幻想郷でどうすれば良いのです?」
「とりあえず博麗神社まで送ります。私はそこで戻るので、後は貴方次第ですね」
「そのハクレイ神社とやらでは何を?」
「普通の外来人ならそのまま外の世界に帰すことが出来るようですが、貴方は少し無理そうです。なので、博麗の巫女の判断に任せる形になります」
「ほう………………」
シントウがどの様な宗教かは知らないが、異教である以上野放しには出来ない。遅かれ早かれ必ず確認する必要がある。
どんな生意気な人物がいるのかが楽しみだ。
「さて、もうすぐ着きますよ。冥界とは色々と勝手が違うので、気を付けてくださいね」
階段の一番下まで来ると、最初に来た時には無かった巨大な穴のような物が空間に空いていた。
妖夢はその穴に躊躇なく飛び込む。アンデルセンも後を追って飛び込み、視界が暗転した。
* * * * * *
視界が開けたとき、アンデルセンの目に飛び込んできたのは広大な自然と、その下に広がる人々が住んでいると思われる集落だった。
前世よりも自然の量が明らかに多く、文明は感じないものの風流な処である。
「アンデルセンさん、博麗神社はこっちですよ」
壮観な景色に息を呑んでいると、妖夢から声がかかった。
案内されるままに着いていくと、冥界よりは遥かに短い階段があった。
階段の頂上にはHとTを合体させたような謎の赤いモニュメントが置いてある。
そして、妖夢曰く“トリイ”というそのモニュメントを潜ると、恐らく神社だと思われる建物があった。
周囲を見渡してみるが、特に誰もいなかった。
否、正確には一人いた。箱に上半身を突っ込んでおり、微動だにしないその赤い物体を人と認識するのにそれなりの時間を要した。
しかし、その赤い物体が声を発したことで、
「あぁ!今日もお賽銭が入ってないじゃない!今日の朝ご飯は何にしろっていうのよ!」
その人物はまだこちらには気付いていない様子だが、それはそれで誰もいない空間で物に当たり散らし、怒号を飛ばすというのは傍目から見ても如何なものか。
そんな様子を見かねたのか、呆れた様子で妖夢が話しかけた。
「はぁ……一体全体何をやっているんですか、霊夢さん」
どうも、赤い箱です。ミートソースを5回食べると粉チーズが空になります。
いよいよ本当の意味で神父が幻想入りです。
神社がAmenされないといいですねぇ…(遠い目)
あと、地雷ワードは大文字になる模様。
ところでこの小説の一話ごとの長さをば
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長い。もう少し短くしてくれるとよきかな
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ちょうど良い。そのままの君でいて
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短い。儂は一話をたっぷり楽しみたいんじゃ