【東方狂神父】アンデルセン神父が幻想入り 作:トマトマトトトママトマトトトマト
評価してくださった方ありがとうございます!
あと、誰か挿絵を…(チラッチラッ
「で、改めて聞くけどあんたこれからどうすんの?」
話が逸れたとばかりに霊夢が質問する。
先刻まで絶叫していた人物が突然理性的に話しかけてくることにアンデルセンは奇妙なものを感じた。
アンデルセンは思案し、冥界の階段で気づいた問題を思い出す。
「聖書だ」
「え?」
「聖書を補充する必要がある。この場所に本屋はあるのか?あるなら場所を教えろ」
「聖書ってのが何か分かんないけど…貸本屋ならあるわね。一応買い取りも出来るけど、高いわよ?」
「構わん。金銭面に関しては後で考える。在るとするならば今はその所在を確認する方が先決だ。案内しろ」
あまりにも高圧的なアンデルセンの態度に、今度は霊夢が呆れる番だった。
「頼み事する立場の態度じゃないわね……」
「貴様にはこのくらいの扱いが充分だろう」
「……これはおむすび20個じゃ割に合わないわね」
次に妖夢に会った時に、追加で何か要求してもバチは当たらないだろうと、霊夢はそんなことを考えた。
* * * * * *
人間の里に向かうには博麗神社のある山道を下っていく必要があるが、その道中は酷いものだった。
まず整備が全くと言って良いほどされていなかった。歩行に危険なレベルの石があったり、折れた枝が道を塞いでいたり、雑草(霊夢曰く“非常食”)が生い茂っていたりと荒れ放題である。
次に、神社への案内が一切無かった。
御利益や歴史など神社に関わる情報はおろか、道案内のための看板すら置いていない。
参拝客のことをこれだけ考えていない神社でも月に2、3人は来るというのだから驚きである。
これはもはや狂信者と呼んでも差し支え無いのではなかろうか。
(ここにも我々と
無論、これは幻想郷にある数少ない神社であるので信心深い者が足繁く通っているだけだったり、化け狸が悪戯に来ているだけだったりするのだが、そんな事情をアンデルセンは知る由もない。
* * * * * *
~人間の里〜
山道を下り、やがて人里に着いた。
「随分と騒がしいな……」
霊夢「そりゃそうよ。今は商売が盛んになる時期なんだから」
そこは思っていたよりも活気があり、商人の呼び込みで賑わっていた。
里を歩いていると、すれ違う人々は皆2人の方に目を向けた。
その視線が
霊夢は数ある商店の中から、“鈴奈庵”と大きく書かれた看板の建物に入って行き、アンデルセンも後を追った。
* * * * * *
〜鈴奈庵〜
入り口の暖簾を潜ると、取り付けてあった鈴からチリンと音がした。
すると、奥から市松模様の服を着た少女が出てきた。
「いらっしゃいま…あら霊夢さん、お久しぶりです。この前はお世話になりました!」
霊夢の姿を見ると少女はこちらに駆け寄って来た。
少女は受け答えの割に小柄で、アンデルセンがこの世界に来て会った者の中では最も幼いような印象を受けた。
「その節はどうも。こっちは最近幻想入りした外来人よ」
「はえ〜外の世界の方とは珍しいですね。私はこの店を受け持っている、本居小鈴といいます」
「これはご丁寧に。私はアレクサンド・アンデルセンと申します」
客というのもあるだろうが、目上の者への礼儀を弁えた小鈴の挨拶に、アンデルセンは好感をおぼえた。
「よろしくお願いします。それで、霊夢さんは何かご入り用ですか?」
「私というより、アンデルセンの方が用があるみたいよ。“聖書”とかいうのを探してるらしいんだけど」
「私の世界にあった本ですので、少し難しいかもしれませんが……」
「ふふん、ご安心を。この店は幻想郷随一の貸本屋です。妖魔本から外来本まで何でもござれ!ですよ!」
妖魔本というのはよく分からなかったが、要するに聖書がある可能性が高いということだけはアンデルセンに伝わった。
「それは心強い。ではお願いできますか?」
「勿論です!それじゃあ、その本の簡単な特徴を教えてください。表紙とか、本の内容とかですね」
アンデルセン「そうですね…表紙には大きく十字架が描かれています」
「了解です!探してきます!」
聖書の特徴を聞いた小鈴は、本棚を探し回り始めた。
〜20分後~
「この店に置いてあるのはこのくらいですね」
全ての本棚を調べ終えた小鈴は、13冊の本をアンデルセンの前に並べた。
アンデルセンはそれらを一つ一つ手に取り、関係の無い本は除外していった結果、6冊の聖書が残った。
「これで全部ですね。貸し出しではなく買い取りをお願いしたいのですが、その場合は幾らになりますか?」
「買い取りですか?ただでさえ外来本は高いのにそれが6冊となると……こちらになりますね」
そろばんで弾き出されたその値段を見た霊夢は卒倒した。
「はあ!?えっ…はぁ!?本気で買うつもりなのあんた!?」
「何だ異教徒。これは大体どのくらいの価値がある?」
「これだけで家が半分くらい建つわよ!?」
たった6冊の本で家が半分建つとなると、流石のアンデルセンも驚きを隠せなかった。
「……これらはそんなに貴重なのですか?」
「幻想郷で外の世界の本は貴重なんですよ。なにせ取り寄せができませんからね、運良く流れ着くのを待つしかないんです」
「成程、分かりました。金銭の工面ができるようになったらまた来ます」
「ええ、お待ちしております。一応この6冊は次見つけやすいよう纏めておきますね」
「お気遣いに感謝します」
そう言ってアンデルセンは去ろうとしたが、小鈴が何やら荷造りしていることに気付き、足を止める。
「お出かけですか?」
「はい。これから寺子屋に行きます。何でも、授業で使う新しい教科書を支給して欲しいとか」
「寺子屋……とは何ですか?」
またもや知らない単語が出てきた。有耶無耶にしても後々面倒なので、アンデルセンはその場で聞くようにしていた。
「簡単に言えば、子供に勉学を教えるための場所ですね。歴史から算学まで、割と広い範囲を扱ってますよ」
それを聞いたアンデルセンは非常に興味を持った。
前世に比べれば
故に、アンデルセンは動く。
「もし差し支えなければ、私も同行してもよろしいでしょうか?」
「大丈夫ですよ。最も、納品するだけなのですぐ終わっちゃいますが……」
「構いません。この世界のこれからを担う子供達の顔を見ておきたいのです」
そう言って小鈴に向けられた顔は、見る者を安心させるような慈愛に満ちた微笑みを浮かべた神父そのものの顔だった。
どうも、赤い箱です。コース料理って料理と料理の間で腹がふくれてしまいます。
次回、教師アンデルセン、爆誕ッ!!(予定)
相も変わらず子供が好きすぎる神父様てぇてぇ。
なお、寺子屋が「寺・子・屋ァ!!」に脳内再生された人はもれなく