ウマ娘、それは神秘の存在。
人とは違う耳を持ち、尻尾がある。
身体能力は伝承にある英雄のようで、この世界における神話、伝説、伝承に多く登場する。
彼女らは皆、見た目麗しく男性からも女性からも人気が高い。
人々から好かれ、御伽噺にも登場するほど知名度のあるそんな彼女たちにも避けられない定めがある。
そう、名前だ。
彼女たちのウマ娘としての名前は彼女たちが母親のおなかの中にいるとき、母の頭の中に名前が下りてくることで決定する。その下りてくる時期はまちまちであり出産直前だったり、新たな命が芽生えた時だったりする。
余談になるが海外では神から与えられた名前と言うことでとてもそれが大事にされるが、古来より本当の名を明かすと呪いなどがかけられてしまうと恐怖を持っていた私たち日本人は人としての名前とウマ娘としての名前、二つ持っていたりする。あの緑色の帽子の中にはいったい何が詰まっているのか。たづな氏の帽子の中身を発見した方は消される前に私までご連絡ください。
下りてくる名前はターフやダートを彩る彼女たちに相応しい名前であるが……
時たま、いや今日すれ違った人の中で一人くらい確率で思わず聞き返したくなるような名前を授かることがある。
ところ変わって日本の府中。
中央トレセン学園。その空き教室にて不定期でひっそりと行われる集会があるらしい。
なんでも主要なメンバーたちに紹介された者たちのみ参加できる特殊な会であり、その存在を知るものはそんなに多くない。
しかしながら、人づてに調査を進めていくと面白いことが分かってきた。
なんでも、その集会に参加する者たちは決まって『珍名』・『奇名』をもつウマ娘らしい。
この物語は何の因果かどんでもないお名前をもらってしまったウマ娘たちのお話である。
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トレセン学園の空き教室。放課後となれば彼女たちも女学生、ターフで修練を励んだり、友と街に繰り出し流行の流れに乗ったり、時には時代を逆行して深夜の首都高をかっ飛ばすウマ娘もいたりする。しかしながらこの空き教室にいるのは例外の子達、仲間内で一つの教室に集まり日が暮れるまで話をする。うむ! これもまた青春!
「なんだっけこれ、鬼滅の刃だっけ? ネコから渡されたから読んだけど面白いね。アニメもあるみたいだし見てみてもいいかも。」
校則の厳しい学校なら持っているだけで指導室行きになるだろう漫画を手に所謂お誕生日席に座るウマ娘。桃色の髪を持つ“スモモモーモ・スーモモ”である。最近アニメ二期に大きな期待がなされている『鬼滅の刃』、その原作片手に話しております。
「あれ~、もしかしてスーモはまだ読んでなかった勢ですか~?」
そう答えるのは現在部屋にいる二人の内のもう一人、名前を“モチ”。もしかしたらビワハヤヒデの親族なのではないか、というぐらい髪質が似ている白髪のウマ娘。まぁ彼女の場合は短く整えているのでそこまで苦労はなさそうですが……、そんな彼女が答えます。
「うん。私デビューしたの二人より遅かったからあんまり読む時間なくて……、ちょうど流行りだした時と被ってたっけ? 名前は聞いたことあったけど読んだことはなかった感じ。」
「なるほど~、ネコも私も速めでしたもんね。ちょうど流行りの時にはお休みしてた感じですから~。それにしてもネコがこれ読んどけって言うのも珍しいですよね~。」
「然り然り! ネコなら漫画とか読んでれば『何読んでるのかにゃ?』とか言いながら殴ってきそう。」
「あの巨大組織、ネコ軍団を仕切るぐらいだしそういうのうるさいもんね~、ま、そこがいいところだけど。」
トレセン学園、一応中高一貫校にあたる学校組織なのだがレースにライブとサブカル方面に色々と関係がある都合上、そういった一般校にあるような校則は結構ゆるゆる。縛り過ぎればゴルシみたいな猛獣が暴れだす可能性もあるので致し方ないのだ……、つまり漫画とか持ってきても大丈夫なんだけど仕切る側のネコパンチどのは生真面目なので注意しちゃうわけですね。
そういえばネコパンチ殿のお姿が見えないようですが……。
「そういやネコどこ行ったの? もうそろそろ始める時間だけど?」
「たしかここ来る前に今日のゲストさん呼んでくるから遅くなるって言ってた~。今日は豪華に二人ゲストだって~。」
「へ~、二人かぁ……。」
スモモモモモがその次の言葉を紡ごうとした時、『にゃー!』という掛け声とともに勢いよく開けられるドア。どうやら噂をすればネコが寄ってきたようである。ではでは、今日も愚痴会初めて行きましょうか。
「と、いうわけで今回は特別にゃ! ほんとは三人来てもらう予定だったけどちと一人は用事があってこれそうになかったのにゃ。……でもでもいつも一人なのに二人の大型ゲストにゃ!」
“おおー!”という声を挙げながら拍手するモモとモチ。文字にして並べるとモが多すぎて解らなくなっちゃうわね。それを含めてネコパンチの三人組の前に座るはどこか疲れ切った顔をしている二人組。
「ま、一人ずつお名前教えてください二や。」
右から順に、髪色は茶色で短めに揃えているウマ娘、その次に同じく茶色であるがこちらは腰まで伸ばしている長髪のウマ娘。両者ともにスモモが片手に持っている『鬼滅の刃』を見た瞬間から目が死んでいる。
「……タンジローです。」
「……ネズコです。」
瞬間、スモモの周囲だけ空気が凍る。彼女の周りだけ白黒になってしまったかのような気まずい空気。そう、モチやスモモモ(当てはまるか?)のような食べものの名前がいれば、ネコパンチのように語句の名前も存在する。
一部の人がこどもにキラキラネームを付けるように……、時たま神様もキラキラネームを降ろしてくるのだ。うん、キャラクターの名前だね。ほんと。
「ちなみにもう一人呼ぼうとしていたのは“ミズノコキュウ”って子にゃ。ということで今日は『鬼滅の刃』ウマ娘コラボ会にゃよ~!」
「「おまえ、人の心とかないんか!?」」
モチとスモモの声がそろう。わざわざ自分の名前と漫画内の登場人物がかぶってて、それを学友とかにいじられまくってる可能性が大いにあるのに、この愚痴を吐かせる部屋で『鬼滅の刃コラボ』とかいうネコの気持ちがわからぬ! いうかスモモちゃんあなた現役中なのにそれ読む暇あったのね……。
「あ、いえ。それを言い出したのは僕たちの方なので……。」
「最近は昔より収まってきましたし、私たちもある程度耐性ができたので……」
急にネコの精神にビターグラッセ(若干サイコパス)が宿ったかと思い、頭でも叩いて復活させようとしたスモモモモモモモとモチを諫めるタンジローとネズコ。ネコはイタズラが成功したのかご満悦そうだ。
「にゃにゃにゃ。マジで嫌がること私するわけないにゃ。ま、この子達から言ってくれたから乗っかった感じ。ちなみにそのコミックも最初スモちゃんに見せるの私渋ってたんだけどネズコちゃんが『急に知らない漫画のキャラクターが出てきたらついてこれなくなってしまうと思いますので……、タンジローの方も大丈夫だと思いますよ。』って言われたから見せてるんにゃ。にしてもいい顔してたにゃwww」
【ウマ娘としてのタンジロー・ネズコ】
タンジローちゃんの方がデビューは早いけど、二人とも生まれた年は一緒。タンジローはスモと同じように中央から地方に遠征している子で13戦1勝、ネズコちゃんの方は中央で頑張っていて3戦1勝という成績。タンジローちゃんの方は最近勝ちから見放されてるから頑張って欲しいし、ネズコちゃんも現在調整中だから明けた時どうなるか期待大。という感じですね。
「というかタンジローちゃんもネズコちゃんもこのスモモモモモと同い年だにゃ。」
「あ、言われてみればそうですね。クラスも違いますし、ネズコさんの方は中央なので会う機会もなかったです。でもタンジローさんの方は同じ大井で戦っているのに会わないもんなんですね。」
「確かにそうですね。同じ一勝同士、いつか当たるかもしれません。その時はよろしくお願いしますね。」
「……ねぇ、ネコ? どうしたら首の強度って上がるの? 私後ろから呼吸で切られるかもしれないんだけど。」
「ん~? スモモモモモはもう血鬼術持ってるじゃにゃいか。ほら、自分の“モ”の数が誰にもわからないっていう……」
「う~ん、戦闘にもレースにも役立たない!」
ネコとスモモモンガがじゃれ合いを楽しそうに眺めるタンジロー。別に呼吸使って斬られる! とスモモモッモに言われても気にしていない様子である。たぶんほんとに後ろから差し切るつもりなのだろうか……。
それを傍目に机にぐで~んとしていたモチもスススとネズコの近くに移動し二人で話している。
「あ~、それと~。ネズコちゃんの方は中央ですし、このままうまくいけばティアラ路線ですか~?」
「うーん、どうでしょう。この後うまく勝てて重賞レベルにまで行けたら挑戦できるかもしれませんけど……、やっぱり私の口からは何とも。でももし出れたら応援してくださいね!」
【名前についての悩み】
「あ~、やっぱり。発売されるまでわからなかったことですかね。」
「うんうん。ホントそれ。」
名前についての悩み、ということで二人に聞いてみたのだがタンジロー、ネズコともにそう返ってきた。
「ん~、わかってからの方が大変な方な気もするけど~、違ったの~?」
「いえ、確かに解ってからの方も大変でしてたけど……、やっぱりわからなかったときの方がアレでして。“何とかオー”とか、“何とかカイザー”だったら少し男の子っぽい名前でも私たちなら普通に通用するじゃないですか。」
「あー、確かに。生徒会長のルドルフも男性名だけど別に違和感ないもんね。かっこいいし……、まぁ私の場合何を付けたとしても“モ”の数が邪魔になってくるんですよね! 誰ですか私の事ス+モ×1024って言ったやつ! さすがにそんな多くないわ!」
「あはは……、まぁそのツッコミは置いておいて、僕の場合“タンジロー”なんですよ。後々炭次郎ってわかりましたけど、まず何の漢字を当ててるのかとか、誰の名前なんだよとか、なんで最後“ー”で伸ばすんだ、とか色々考えてましたね。それに小学校の頃とか結構いじられてましたし……。」
「お兄ちゃんの方はまだいいですよ! 私なんて“ネズコ”ですよ“ネズコ”! 作中の伊之助みたいにネズミ、ネズミってずっと言われてきたんですよ、私!」
まぁ確かに“ネズコ”の方が大変そうである。幼子の無邪気さは凶器ですからなぁ……。どうどうとネズコを諫めるタンジロー。
「確かに解る前は色々大変そうにゃ……、で? その後は?」
「えっとですね。ちょうど私たちがトレセンに入った時ぐらいに『鬼滅の刃』が連載されまして……、二人ともそれまで全く接点なかったんですが、たまたま月曜日ジャンプ買ったらあら不思議。自分の名前が主人公として出てるじゃないですか、というわけです。」
「あれ? さっきネズコさんお兄ちゃんって言ってたんですけど……、血縁関係とかない感じなんですか?」
「あぁ、はい。そうですよスモモさん。単に私が面白がって“お兄ちゃん”呼びしてるだけです。こういってるとファンの皆様の感触もいいですし……、実際私たちが知名度得れてるの名前だけですから……。」
どこか遠いところを眺めるタンジロー&ネズコ。輝かしいGⅠウマ娘と違って成績があまりすぐれない者たちは何とかして生き抜かないといけない、そういう苦労が見え隠れしますね……。
「まぁ、最初は困惑しましたしビックリもしましたけど大変だったのは原作がアニメ化した時ですね。元々クラスの中で『うわ! タンジローにネズコいるじゃん!』って感じでしたがアニメが始まって、人気が爆発したらもう大変。珍しいもの見たさにいろんな人が寄ってくるんですもん。」
「大変だったよね~、ほんと。URAのお偉いさんから頭下げられてコスプレしたり、原作者の方とお話ししたり、勝負服もまだ出来てないのにコスプレで走らされたり……、お兄ちゃんは模造刀振り回すからまだ絵がありましたけど私竹咥えないといけないからしゃべれませんで……、うん。大変でした。」
どこか、煤けたような笑顔を見せるネズコ。確かに竹口に咥え続けるの大変そうだもんね……、URAも話題作りのために奔走したみたいですし、色々世知辛いですなぁ。
「まだファンが付いたからいいんですけどね……。」
と、言うことで今回はここまでになります。
次回はスモモがゲストを連れてくるようですが……、
なんだか後ろめたいことをしている人は逃げた方が良さそうです。
でも来る方も逃げたがってますね? なんででしょう?
あとがき
スモ
「第二回、コメント返しの巻!」
モチ
「こそこそ大正ばなし~!」
スモ
「んじゃ早速。」
【お芋様は本当に強い上に後継まで出た御方ですからね……。】
モチ
「前回のポテトおばあちゃんの話~。」
スモ
「基本、後継が出てくるのいませんもんねぇ。実際親子で活躍してるのエアグルーヴさんのところぐらいでしたっけ?」
モチ
「親子かな~? という人たちも血は繋がってない他人とかありますもんね~、テイオーさんとルドルフ会長とか~。」
【ポテイトーズの英名がホントにPotooooooooまたはPot-8-Osで草。最初ネタかな?と思ったのでゆるして(懇願】
スモ&モチ
「(許して)あげません!」
モチ
「まぁ冗談ですけど~。」
スモ
「そういう冗談みたいなのがごろごろいるんです、ホントに……」
モチ
「神様は何考えてるんだろうね~?」
スモ
「面白くて話題性あるじゃん! よっしゃ! って感じですかね? 知らんけど。」
スモ
「と、いうわけで今回はこの辺でおしまいです。たくさんの感想と評価、お気に入り登録、本当にありがとうございました!」
モチ
「投稿速度遅くて申し訳ないです~。でも頑張るから見てくれるとありがたいで~す!」
スモ&モチ
「「では、またお会いしましょう~!」」