AIが書いた間違ったボーダー青春ラブコメ   作:taiken

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鈴鳴支部に加入した雪ノ下は、支部唯一の攻撃手である村上先輩に押しかけ弟子となる。
しかし、村上先輩に異変が……?


六月下旬 鈴鳴支部

*********

 雪ノ下が無事鈴鳴第二に加入し、数日。日曜に太一が来馬先輩の大切なペットを殺しかけるのを阻止して、六月も下旬になった。

 雪ノ下は、村上先輩に剣術の指導を仰いでいた。

 

「……。」

「……どうですか?」

「……筋は悪くないが、動きが素直すぎる。」

 村上先輩は、優しく実直な人だ。頼まれれば、雪ノ下の面倒を見る事も引き受けてくれた。

「そう、ですか。」

「……だが、飲み込みは早い。最後に入れたフェイントは悪くなかった。今のまま訓練すれば、すぐにでもB級に上がれるだろう。間違いなく、俺がC級の時よりも強い。」

「ありがとうございます。」

 雪ノ下は頭を下げる。

 雪ノ下は、村上先輩に弟子入りしていた。理由は、彼が短期間でマスタークラスへと駆け上がった実力者の一人だったから。

 

(村上先輩は、支部にいていい人ではないと思うのだけれど……)

 村上鋼という先輩は、A級の隊員に匹敵すると噂される隊員に最近仲間入りしていた。そういう隊員はB級には何人かいて、トリガーの個人ポイントでマスタークラスに到達していた。

 ちなみに、来馬先輩も比企谷も、マスタークラスに到達したことは一度もない。それと比べれば、村上先輩がここに居るのは不釣り合いに思えた。雪ノ下には、それが不思議で仕方がなかった。

 

「終わりましたか?」

「はい。」

「お疲れ様です。」

 オペレーターの小町がスポーツドリンクを渡す。雪ノ下はトリオン体を解除してそれを飲んだ。トリオン体はエネルギーの消費効率がいいので必須ではないが、敗北の精神的な痛手には糖分が効く。

 

「ありがとう。」

「いえいえ〜。にしても凄いですね!あの村上先輩相手に善戦できますなんて。」

「別に善戦でも何でもないわ。」

「またそんなこと言って〜」

 小町はそういうが、雪ノ下も手加減されておた理由が自分の未熟さにあると理解出来ている。

「事実だもの。」

「まあ、確かに……。」

 村上先輩の戦い方は、片手に弧月を持ち、相手の戦法を読んで攻撃するというものだ。ボーダー隊員であれば誰もがすることだが、近接戦闘で高レベルに先読み出来る隊員はそういない。

 また、トリオン体の筋力と反応速度ならば、片手で持ったところで検束にさほど差はない。純粋に剣術や間合いの取り方、移動速度など、雪ノ下が改善すべき部分は山ほどあるだろう。

 

「私も経験を積んで、いつか村上先輩のように強くなれるかしら?」

 雪ノ下は直接村上先輩にそう尋ねた。

 

「……」

 村上先輩は何も言わずに腕を組んだ。村上先輩にとっても、これは難しい問題だった。

「無理かしら?」

「……俺は、強くなるためにここにいるわけじゃない。雪ノ下を俺のように強くする方法は、俺には分からない。」

 俺のように、という部分を強調する。

「え?じゃあなんのために鈴鳴支部に?村上先輩ほどの人がこんなところで燻っている理由がわからないわ。」

 雪ノ下の言動には遠慮というものがない。ここに八幡か由比ヶ浜がいたら止めただろうが、あいにくここには年下の小町しかいなかった。

 

「……。」

 村上先輩は無表情のまま何も答えなかった。

「……とにかく、強くなりたいなら、自分で自分を鍛えるしかない。B級に上がっても、基礎訓練を欠かすなよ。」

「……ええ、分かりました。」

「それと、もうひとつ。」

「はい。」

「誰かを守りたければ、まず自分が強くなければならない。」

「……わかりました。」

 少しの間を置いて、雪ノ下が答える。誰か、とは……。

「……。」

「……。」

「……俺は、本部に用事があるから失礼する。」

 どこか気まずい雰囲気のまま、戦闘訓練は幕を閉じた。

 

「村上先輩、ちょっと最近調子悪いみたいですね。」

 小町が不安げにそう呟いた。

 

 

******

******

 

 数日後、鈴鳴支部で、村上先輩は崩れ落ちていた。

「どうしたの?」

 来馬先輩が、村上先輩を気遣って声をかける。あまりの異常事態に、支部の全員が黙りこくっていた。

「……。」

 

「……なんかわかんないんだけど、荒船くんがアタッカーを辞めちゃったんだって。」

 今先輩も困惑して事情を説明する。

 

 村上先輩は、少しづつ事情を説明した。入隊してから、荒船先輩に剣術を教わってきたこと。最近、荒船先輩に勝ち越せるようになったこと。荒船隊長が、攻撃手から狙撃手に転向したこと。

「鋼さんに追い抜かされて、つまんなくなって辞めちゃったんじゃないですかね?」

 

 別役が笑ってそう言うことに黙っていられなくなったのが雪ノ下だ。

「別役くん!貴方言っていい事と悪い事の違いも分からないの!?」

「え!?あ……」

 

 太一としては冗談のつもりだったのだろうが、村上先輩にはそれが致命傷だったようだ。彼はさらにふさぎ込んでこう呟く。

「いつも、こうなんです……」

 村上先輩は悔しげに拳を握る。

「俺は、色んなスポーツで仲間に入れてもらって。そこで色々教えて貰って、練習して…でも、俺が楽しくなってくると、だんだん最初から居た人たちがいなくなっていく。俺が居ると、グループの場が壊れるんです。」

 

 

 

「……。」

 由比ヶ浜はそっと村上先輩から目を背けた。村上先輩の姿に自分を省みて、胸が痛くなった。自分は香取と雪ノ下に曖昧な態度を取り続け、二人を傷つけた。そのせいで、グループの雰囲気を悪くしただろう。何となく本部に居づらくて鈴鳴に逃げたという罪悪感も、確かにあったのだ。

 

「今回だってオレは荒船がまとめたアタッカーの理論を教わっただけ。」

「本当はやるべき苦労を何もやってない。」

「オレはサイドエフェクトで、みんなの努力を盗んでるだけなんだ。」

 

「……」

 比企谷には、村上先輩の気持ちが分からない。比企谷にとって村上先輩の悩みは次元の違う天才の領域のものだ。

 ただ、比企谷が鈴鳴に移籍してから今まで、村上先輩にはお世話になりつくしていた。それを伝えればいい。だが、どのように?先輩にどう声をかければいいのだろう?

 比企谷は結局、何も言う事が出来なかった。

 

「村上先輩……」

 雪ノ下は、村上鋼の気持ちが理解できた。彼女は、勉強では同学年の仲でも優秀で、それが原因で虐めに遭う事もあったからだ。

 ただ、村上鋼の善性に打ちのめされていた。自分が傷ついても、傷つけた相手や周囲のことまで考えるその善性が、彼女には痛ましく思えた。

 

 しかし、反論しなければ。少なくとも数日の間だけだが、村上先輩に見てもらったことで雪ノ下は強くなれる切っ掛けを得た。それは、村上先輩にしてもらった事なのだ。

 そして、村上先輩が居たことで、鈴鳴支部はこれまで成り立ってきたのではないか。そう、言いたかった。だが。

(付き合いの浅い私が言ったところで……)

 雪ノ下には積み上げた時間というものがあまりにも無さ過ぎた。

 

 今先輩は、村上にかけるべき言葉などない。壊れるにしろ構築するにせよ、人間関係というものは個々の意思によって成り立っているものだ。村上がどう思おうと、荒船が攻撃手を辞めた以上、もう戻りはしないだろう。そうだとしても、それは荒船の自由だ。時間はかかるだろうが、それを受け入れるしかない。そう思っていた。

 そして、それがどれだけ残酷だとしても。それを言うのが自分の役割だとも。

 

「……でも。」

 今先輩が言葉をかけようとしていたその時、動いたのが来馬先輩だった。

「荒船君が、そんな考え方をするかなあ?」

 

 そう言うと、来馬先輩はレインコートを羽織り、支部から飛び出した。

「来馬先輩!どこにいくつもりですか!?」

「外は雨ですよ!?

 八幡と太一が慌てて聞く。

「ちょっと、本部まで。荒船君のところに行ってみるよ。」

 

************

「それは、あのバカの考えすぎですね。」

 

 来馬先輩の手で明らかになった真相は、荒船先輩が各ポジションにおけるマスタークラスの一般マニュアルを作ろうとしている、というものだった。

 

 

 

(……頭良すぎだろ、この人ら。)

 比企谷は、荒船さんの声を聞きながら驚き呆れていた。

「……それは……実現したら画期的じゃないか?」

 俺は心の底から敬意を表して言う。俺のように、二年間師事してもマスタークラスには到達できない隊員もいる。まして攻撃手や狙撃手のことなど理解の外だ。だが、それぞれのポジションの要点を抑えて効率よく学ぶことが出来れば、防衛任務の時に他所の隊の邪魔をすることは少なくなる。隊員の一人一人が高いレベルで動き方を理解しているということは、全体の効率を向上させることにも繋がるだろう。

「うん、まあね。ただ、まだ試作段階らしいよ?」

 来馬先輩が補足する。

「そりゃそうっすよ!狙撃手は甘くないっす!」

 太一も言うように、どのポジションもそれぞれに適した動き方というものがある。攻撃手の経験g生かされるよりも、足かせとなることだって多いだろう。

 

 太一は不満そうだったが、これは仕方ないだろう。何しろ、狙撃手は昇格条件が厳しい。普通に4000ポイントを溜めても上がれるが、訓練成績で上位に入り続けなければ昇格出来ないのだ。

 狙撃銃自体が、ボーダーでも新しい傑作トリガーだということも関係しているだろう。

 

「荒船くんは今、狙撃手として色々な人に指導を仰いでいるみたいだよ?今はイーグレットを鍛えているとか。」

 荒船先輩は攻撃手としてもかなり強い。そして、村上先輩によると教えるのも上手かったそうだ。しかし、荒船さんがマスタークラスに達したのは、剣の才能があったから、という可能性も否定できない。

 

「ですが、何故狙撃手に?隊のポジションだけ見れば、銃手からオールラウンダーになる方が良かったのでは……?」

「でも、隊に狙撃手が居るなら分からないところはすぐ聞けるね!あたしとヒッキーみたいに。」

「それもそうね……」

 

 

「それに、今の所、狙撃手にはマスタークラスでないと教えられない技術もあるしね。」

「……ああ、確かに。」

 太一が何やら納得したようにうなずいている。

「どういう事?」

 由比ヶ浜が俺に聞く。

 

「銃型トリガーで射程と威力と弾速を細かく設定しとくだろ?狙撃銃は、さらに条件を厳しくして設定しなきゃいけないらしい。」

 狙撃手には狙撃用トリガーの弾道計算が必要だ。この数値を正しく設定しないと、いくらトリオン能力が高くても無駄になる。長距離狙撃用のイーグレットなら、よりそれに適した設定が必要らしい。そして、それは一定以上の実力者でなければできない。

 

「荒船は頭がいいからな、心配ないさ。」

 鋼さんが言う通り、荒船さんも総武高校生、つまり頭が良い。少なくとも俺や由比ヶ浜では比較にならないくらいに。

 

「育成論が完成したら、また荒船に理論を教えてもらう。俺はその日まで、攻撃手をやってみる。」

「荒船くんとの約束だもんね。」

「ああ。」

 今さんも安堵したように笑う。今の鈴鳴支部には、数週間前までの快活さが戻っていた。

「鋼は鋼のやりかたで強くなっていいんだよ。ランク戦で敵わなくても、人型近界民と戦うときは、『鋼がいてよかった』って思ってくれるよ。」

 

 来馬先輩の言葉を受けた村上先輩の表情からは、迷いが消えていた。

 

*** 

 太一や今先輩が早々に帰宅した後、鈴鳴支部の第二隊室で俺達四人は駄弁っていた。

「凄い人だよねぇ、先輩たちって。」

「みんなの努力を盗んでるだけ、か。俺は、技は見て盗めって諏訪さんに言われたけどな。」

「つまり村上先輩は何の問題もないということね。」

「おう。……でも、村上先輩があんなに悩んでたとはなぁ。俺はてっきり、香取のことが好きだったから落ち込んでたのかと……」

 

 冷静に考えればあり得ない。しかし、以前に太一がきっかけで好きな女性のタイプについてバカ話をしたことで、結びついてしまったのだ。

 村上先輩は、明るくて見た目がいい方が好みだと聞いたから。

(つまり、機嫌がいい時の香取のことだったんじゃないかと……)

 

「!?そんなわけないでしょう!?」

「うおっ!ビックリした!」

「そうじゃなくて!……いえ、そういうことなのかしら?私にとってはどうでもいいことだけれど……。」

 雪ノ下はぶつぶつと考え込んでしまった。

「え、なんの話?」

「なんでもないわ。それよりあなた達、そろそろ帰らない?もう夜も遅いし。」

「お、そうだな。お疲れさん。」

「お疲れ様です、結衣さん、雪乃さん!」

「うん!あたしもお母さんに連絡しとく。」

「……。」

「ん?雪ノ下、どうした?」

「……ごめんなさい、私はもう少し残るわ。先に帰って頂戴。」

「わかった。じゃあ、また明日な。」

「バイバーイ!ゆきのん、がんばっ!」

 雪ノ下は、隊室の隅に置かれたソファに座って、テーブルの上に置いたノートPCを睨みつけている。熱心なことだ。

 

 

(村上先輩のことがよっぽど気になるのかね……)

 それは別に構わない。村上先輩の負担が増えることは心苦しいが、雪ノ下の上達が早くなるなら悪いことではない。だが、あまり遅くなるのもご両親に悪いだろうなと八幡は思いはじめていた。しかし、その心配は無用のものだったようだ。

「比企谷くん、今後の私の方針なのだけれど。」

「おう?」

「……弧月を、片手持ちで戦えるよう訓練するわ。その上で正隊員にもすぐ上がるつもりよ。比企谷くん、防衛任務にはいつ出れるようになるかしら?」

 雪ノ下は今まで両手持ちで戦っていた。だが、敢えて戦闘スタイルを変えるらしい。

 恐らく、村上先輩の戦い方を覚える気だろう。

 

「正隊員になってからも覚えることは山ほどあるからな。シールドの習得が出来るまで防衛任務に出す気はないぞ。」

 本音を言えば、B級ランク戦で戦い慣れてから防衛任務に出したいところだ。

「わかっているわ。ただの確認よ。」

 雪ノ下はいつになくやる気に満ち溢れている。

(雪ノ下は強くなるだろうな)

 と俺は思う。支部に来るまでの間、走破訓練も隠密走破訓練も真面目に高い成績を維持していた。基礎が出来ている上で上を目指す隊員は、強い。

「ま、雪ノ下なら1週間くらいでBに来れる。その間にしっかりトリガーセットを考えてこい。」

「えぇ。そうさせて頂くわ。小町ちゃんも今日はありがとう。」

「気にしないでください!私こそありがとうございました!楽しかったです!」

 雪ノ下を見送ってから、俺は晩飯の支度をはじめた。

 

 ……この時俺は、ボーダーにこれ以上の問題が発生することになるとは思いもしなかった。

 

**********

 

 




登場人物紹介

村上鋼/ガンダム トラウマを克服した頼れる先輩
本作では露骨な風評被害を受けた上太一以外にも後輩が出来た苦労人であり天才。鈴鳴支部の大黒柱である彼にとって、18歳組と来馬先輩の存在は癒し。押しかけてきた雪ノ下の扱いに困っている。ちなみに彼の好みは明るく見た目が良い子(BBFより)。

荒船さん/アクション派狙撃手
本作でも目的は変わらず。彼のメソッドはボーダーにとって必ず役立つだろう。彼の好みは落ち着いていて性格がいい子(BBFより)。


……ちなみに荒船さんは引退した時点で8000ポイント台の、アタッカーランキング8位。原作開始前のこの時期、上位陣が
餅、若いの、KONAMI、カゲ、雪丸、イコさん、ガンダムで埋まってしまうので、7位以下のランキング争いは激戦区かつよねやんや佐伯、辻あたりのA級攻撃手は上位ランカー共(餅)と戦ってるせいでポイントが落ちていると設定した。
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