来馬辰也 本物の仏
本部から八幡を受け入れたら事故でシフトに穴が開き、復帰したと思ったら勝手に防衛任務を組まれた苦労人。
八幡は鈴鳴所属だがフリーのB級隊員という扱いだったので、防衛任務のシフトを組むために支部所属のオペレーターと組ませて隊扱いにすることで切り抜けた。なおそれ以外にも八幡は彼のお世話になっている。
今結花 鈴鳴の支配者
鈴鳴第一の正オペレーター。普通校ながら高い学力、高レベルの料理の腕を備えた苦労人。あるキャラクターの成長に手を貸したうちの一人。
村上鋼 闇をもつイケメン
現在マスタークラス。レイガストはまだ装備していないが、銃手としてのスキルを取る前の現在のカトリンには勝てる。カトリンの起源が悪かったのもこれが原因。
比企谷小町 シスコン製造機
本作の独自設定で中学二年、鈴鳴支部所属のオペレーター。三門中では出穂と同じクラス。色んな意味で有望な子。鈴鳴の先輩たちは尊敬しているが、太一と八幡のことは舐めている。
別役太一 本物の悪。
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到着と同時に、軽い破裂音が響く。気が付くと、俺と由比ヶ浜はクラッカーでまみれていた。
「移籍おめでとー結衣ちゃん!」
「隊長就任おめでとうお兄ちゃん!」
その襲撃の実行犯、三門高校の制服に身を包んだ今先輩と、三門中の制服に身を包んだ妹の小町を見ながら、俺は口を開く。
「……あの、これは一体どういうことですか?」
「だから、今日は結衣さんの歓迎会だよ。座って座って!!!」
小町は快活に笑って由比ヶ浜をエスコートする。小町は俺の妹とは思えないほど活気がある。
「結衣さん、ようこそ鈴鳴支部へ!」
「……あ、ありがとうございます……。」
由比ヶ浜は戸惑いながらも、今先輩と小町に頭を下げる。
「気にしなくていいの。今日は食べるわよ!」
「はいっ!」
歓迎会なだけあって、ローストビーフやシーザーサラダなどの洋食が並んでいる。おそらく今先輩の手作りだろう。今先輩は鈴鳴でもっとも料理が上手いからだ。
テーブルの中央にはケーキも置かれている。そう言えば、俺がここに来た時もそうだったことを忘れていた。
「お帰り、八幡。」
「これで、防衛任務の穴が無くなるな。」
「……はい。ただいま戻りました、来馬先輩、村上先輩。」
やや無機質な印象を受ける村上先輩と、人のよい微笑みを浮かべた来馬先輩に促されて俺もいつもの席に座る。村上先輩が歓迎ムードであることは、昨年からの付き合いで何となく察せられた。
(ああ、帰ってきたんだな……)
安堵したような柔らかな笑みを浮かべていることに、八幡は気付いていない。
「……というか、新しい隊員ってのが由比ヶ浜だって教えて下さいよ。俺はてっきり、本部のソロ隊員かと思ってました。」
「だって黙ってないとサプライズにならないだろ!?」
「……原因はお前かっ!?」
鈴鳴第一では唯一八幡と同い年の男。本物の悪こと別役太一が冗談を飛ばす。こいつなら良かれと思って情報隠蔽くらいはする。
「そんな訳ないでしょ?防衛任務漬けで勉強を疎かにするから言わなかったのよ。ちょっとは自分のことを考えて休みなさい。」
即座に今先輩が理由を説明してくれた。
「それは……そうなんですが……」
痛いところをつかれて、俺は言葉につまる。
金に目が眩んだ俺は、六月に退院してから放課後は防衛任務のシフトを組みまくっていた。小町や太一があえて黙っていたとしても、気付かないのは自分の落ち度だ。ぐうの音も出ない。
「や、私が謝りにいこうかなって思ってたんだけど、なんて言うかきっかけが掴めなくて……」
俺をみかねてか由比ヶ浜がフォローに入る。情けない隊長ですまない……
「小町的には、もっと言ってやってほしいと思います!小町がいくら言っても聞かないので。」
「はっはっは。結花、小町ちゃん。その辺にしとかないと折角の料理が冷めるぞ?」
「……そうね、鋼くん。八幡、お説教はまた後で。」
「押忍!」
「よし、それでは鈴鳴第二の発足を祝って、乾杯!」
『『『『『『『乾杯!!!!!』』』』』』』
来馬先輩の言葉を皮切りに、歓迎会は始まった。
「やっべスープうまいっすね。おかわり頂きます!」
「これスープじゃなくてポタージュじゃね?」
「どんどん食べろ太一。八幡、本部はどうだった?誰か知り合いと会えたか?」
ローストビーフを咀嚼しながら、俺は村上先輩に返答する。
「ああ、そうですね……若村先輩と会えました。ついでに香取とも。また機会があったらこっちにも来てくれるそうです。」
「それなら連絡は貰ってるよ。八幡も若村くんも大変だったけど、銃手仲間が増えるのはいいことだね。」
来馬先輩も、俺や若村先輩と同じ銃手だ。先輩は銃手業界が活気づくことを喜んでいるらしい。まぁ、人が増えるのはいいことだ。
リムレス眼鏡先輩の胃に目をつぶればだが。
「そうですね……まあ、若村先輩はそういう星の下に生まれたんでしょう。」
「……そうか、香取はアタッカーを辞めたんだな。」
「……?村上先輩?」
「何でもない。ローストビーフのお代わりいるか、八幡。」
「頂きます!」
村上先輩の表情に少し陰りが見えた気がしたが、俺はすぐ思い違いだと思った。
(まぁ、香取隊が強くなったらうちが不利だしなぁ。)
鈴鳴支部の鈴鳴第一も、隊ごとの合同演習やランク戦には参加している。現在のランクはB級7位で、香取隊はB級6位だ。香取隊が強くなれば、それだけ鈴鳴第一のランクも下がるのだから、この推測は間違っていないだろう。
だから、この時の村上先輩の表情についても深くは考えなかった。
「お兄ちゃん、ソース取って。」
「はいよ。」
小町との雑談や、目の前の料理を平らげる方に俺の意識は流されていった。
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「おいしい……!今先輩、こんどゆきのんと料理教えてもらっていいですか!?」
「いいわよ。ただ、どんなジャンルの料理かは考えといてね?材料を揃えないといけないから。」
「じゃあ俺、結衣ちゃんが料理する時は試食に立候補します!」
はい、と挙手する太一を見て、俺は既視感を覚える。
(あれ、加古さんのオムライスを食べた時の堤さん……?)
何故だろうか、こんな気分がするのは。俺は昼に由比ヶ浜のお菓子を食べているし、味も問題なかった筈なのだが。
「私か雪ノ下さんがいる時にね。雪ノ下さんもこっちに来てくれれば良かったけど、贅沢は言えないわよね。」
「……?待ってください、雪ノ下もボーダー隊員なんですか?」
俺の問いかけに答えたのは、今先輩ではなく由比ヶ浜だった。髪のシュシュを弄りながら答える。
「そうだよ?言ってなかったっけ?ゆきのんは雪ノ下建設の社長令嬢なんだってさ。」
「雪ノ下建設って、ボーダーのスポンサーでもある?」
初耳である。
「うん、そうだよ!それでね、『私はボーダー隊員としてA級を目指す』って言ってたかな……」
「へぇ……。凄いな……」
「えっへん!」
大きな胸を張る由比ヶ浜だが、何に対して誇っているのかはよくわからない。
ボーダーに入隊した隊員は誰でも、A級隊員となることを目指す。才能のある人間はA級の隊からスカウトされるか、ある程度向上心があり、明確な計画が立てられる人間は、自分で隊を作りA級に駆けあがる。風間隊や、前期のランク戦でA級へ昇格した片桐隊がそうだ。
だが、殆どの隊員はC級隊員のときに挫折する。そこから這い上がりB級となっても、勝てる戦術を構築しA級に上がれる隊員は極々一部だ。
雪ノ下がその一部となれるかはこれから次第だろう。
「鋼から見て、雪ノ下ちゃんはどうだい?同じアタッカーとしては?」
「……熱心な努力家ですね。自分も荒船に教えて貰っている身ですから上からの物言いになりますが、動きの精度には目を見張るものがあります。」
村上先輩からの評価も低くはない。ということは、すぐにB級に上がるかもしれない。
(ランク戦で雪ノ下の隊と当たることになるかもな。)
と、この時の俺は考えていた。
なので、由比ヶ浜が何かを考えていることに気付くことはなかった。
「それは良いことだね。」
来馬先輩と話すと、村上先輩にも笑顔が戻る。和やかな雰囲気のまま、歓迎会は幕を閉じた。
現在の時間軸では、まだランク詐欺の二隊が降りてきていません。
本作の独自設定として、現在のB級部隊数は14,そのランクは、
一位 :生駒隊
二位 :弓場隊
三位 :東隊
四位 :荒船隊
五位 :諏訪隊
六位 :香取隊
七位 :鈴鳴第一
八位 :柿崎隊
九位 :漆間隊
十位 :那須隊
十一位:松代隊
十二位:海老名隊
十三位:早川隊
十四位:吉里隊
としております。