大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「……ここも知らない場所だわ」
「あ~……ここは使ってないってわけじゃないけど、最初とかしか使ってないからな」
次に訪れたのは空中に浮かぶスタジアム。青を基調に創られていたスタジアムはかつて亜空軍による抗争の火蓋を切った場所。シンプルなこのフィールドは、大乱闘自体がはじめてという人々にも戦いやすい癖のないステージ。それはシーズンの節目に使われる程度の頻度でほとんど使われていないのだ。
「そうそう、ボディがいるかもしれないし、気をつけないと。障害物がないここではどっちが先に敵を見つけられるかが重要なんだ」
「ええ……あれは?」
「は?」
さっそく見つけたのか、と思って差した指の先を見る。その景色は想像通り、ではなかった。たたずむ植木鉢、伸びた茎に丸い花に牙が生えた一輪。
「パックンフラワー……!」
クッパ軍団の植物だ。それがまるで黄昏れるように、近くに感じる曇り空を見上げてたたずんでいる。口以外の表情が見えないから何を考えているのか、まったくわからない。
「あれは……ボディ……じゃないの?」
「キーラの一件が落ち着いた後にファイターになったからアイツのボディはいないはず……多分」
保険をかけたのは、説明がつかないことが多く起きているからこそ何が起きてもおかしくないという考えも頭の中にあったからだ。
「とりあえず行ってみましょう」
「ああ」
とはいえ仮にボディでも、1体ならばなんとかできる自信はある。近付く2人に気づいたのか、ひょこひょことパックンフラワーからも歩み寄ってくる。
「…………」
「…………」
「…………」
「コレ、ドウナッテル?」
「しゃべってる……」
「ウォッチもそうだけどやっぱり慣れないなあ……」
お前喋るのか第二弾。
Mr.ゲーム&ウォッチとは真逆で、片言気味で口数の少ないパックンフラワー。渋さすら感じさせる彼は、そういうところもMr.ゲーム&ウォッチと対極である。
「誰かがバラバラにさせてるみたいだな……残念ながらオレ達も合流したばかりで全然わからないままなんだが……」
「ボディ……えっと敵もいるのです」
「知ッテル。くっぱ様ヤボッチャンカラ聞イタコトアル」
「あ、そうなの……なら、一緒にいきましょう。その方が安全でしょう」
「…………」
何かを考え込むようにうつむくと、後ろへ向き直り再び空を仰ぐ。拒否する、ということではなさそうだ。何かを思案しているような、他のことに気を取られて心ここにあらずというような様子だった。
「……かーびぃガ戦ッタ、ぴーち姫トぜるだヲ捕ラエタ同士、知ッテルカ」
「え……? ちょっと待って、そんな記憶ないのだけど……」
「あー、《前の》ゼルダだな。ちょっと話に聞いたことがあるぞ」
マリオが吹き飛ばされ、カービィが単独で戦った亜空軍最初の刺客、ボスパックン。ピーチと当時ファイターだったゼルダを捕らえ、両手の檻をぶつけて戦った。
フォックスは軽くだが、話に聞いたことがあるし、亜空間での最後の冒険で再現のような模倣のようなヤツを実際に知っている。
「自分ハソノ子供ノヨウナモノダ」
「そうかあ、子供……はあっ!?」
「ココニ自分ガ来タノハ嫌ガラセカ?」
「子供……子供できるのかあの種類……?おしべ? めしべ? 交配? 交尾? そもそも植物なのか動物なのか? 似てる種族……ピクミン? オニヨンに死骸とかペレットとか……駄目だ参考にならない……」
「お、落ち着いて……」
「先ヘ行クゾ」
完全に頭がバグっているフォックスを置いて、パックンフラワーは行く。出自はともかく、協力的な味方が増え、幸運にも敵と出くわさなかった。ゼルダに呼ばれて、やっと我に返ったフォックスは慌てて一輪の後を追いかけていった。
夕暮れの光が不意に目に入り、反射的に目を細めた。足元の浮遊感が印象的だった。
「夕日が綺麗……」
「今更……ってまあ、大乱闘中にジロジロ眺める機会はないもんな」
オルディン大橋。石造りの一本の橋がフィールドで、範囲外まで地続きのステージだ。
「観光目的カ、オマエ」
「いや、でも! こうやってじっくり眺められるいい機会でしょう!?」
「確かにそうだけど……そんな大声で言い訳しなくても……」
大げさな手振り身振りで必死に否定するゼルダ。観光でも観賞でもそういう時間があるのは面白そうではある。全てが片付いた後、覚えていたらマスターハンドに提案してみていいだろう。
「さて、今のところ手がかりなしだが、どこまで行ったらあるのやら……ん?」
辺りを見回す。崩れた大橋の残った端、存在しない中央を崖際に背水の陣で戦う青の長髪、そして腕と足のついた黄色い球体。
時が止まったように戦闘の途中から動かない。ルキナとパックマン、2人ともこっちを見て唖然と口を開けたままだ。
「あの……フォックス……」
「ルキナ! パックマン!よし、加勢するぞ!」
「加勢よりも大事なことが……」
「ワタワタ」
言うべきかどうか口をつぐむルキナに慌てるばかりのパックマン。
彼がテンパりまくって足下を指差す先、それにつられて1匹と1人と1輪。見た先には深い闇。あるはずの地面がなかった。
「「「………………」」」
オルディン大橋の特徴は、時間で橋の真ん中が消え去ったり元に戻ったりする。一つ前のリンクの冒険の中で出くわした現象でもある……が、今は由来はどうでもいい。
2人が端の落ちそうなところで瀬戸際の戦いを繰り広げているということは、そのギミックが発動しているということ。つまり、フォックス達がいるのは足場のない空中。
「あー……黙っていれば誰も気づかないってヤツか?」
知り合いが言っていた。例え宇宙の酸素のない戦場でも、黙っていれば誰も気づかない。気づかなければ問題にはならない。気づいてしまったら?
「こういうパターンか……」
落下、普通に落下。光が見えない奈落の闇。
突然空中に投げ出されたファイター達。とはいえ、空中戦や復帰は大乱闘でやっていること。急ではあったが、対応は可能である。
「あっぶな……」
「だ、大丈夫ですか?」
まとめて全員がギリギリ崖に手が届く。パックンフラワーは牙だが。
気になって顔だけ向けるルキナは器用に敵の攻撃をさばいていた。
「速ク上ガルゾ」
「え?」
「橋、戻ッテクル」
「!?」
上空にポータルが出現し、慌てて昇るファイター。パックマンがボディをほおり投げて、橋の下に閉じ込めた。
「ステージギミックも役に立ったと思ったら……」
「完全にこっちも仕留めにかかってきたな……」
一体、このステージギミックを動かしているのは誰なのか。こっちの味方でも敵でもなさそうだが。それとも止める方法がないのか。マスターハンドに何かあって止めようにも止められないか。
裏剣ファルシオンを鞘にしまうルキナから手が差しのばされる。
「お怪我はありませんか?」
「あー、そんなに問題はな……ルキナ、それはこっちの台詞だが……」
「……あはは、少し色々ありまして」
髪も服も乱れたままのルキナ。しかし、彼女には全身に傷が残っていた。先ほどの戦いで、とも思ったが、パックマンにはそこまで怪我は多くない。
「なら、少し休むか。情報も交換しておきたいしな」
「ソウダナ、自分モ色々ト聞キタイ」
彼女の怪我を重く見たフォックスは休息を取ることを提言した。
沈んでいくはずの夕日は動くことなく同じ場所で輝いている。
◯タイトル
ゼルダの伝説シリーズの内一つのタイトル。
風のタクトのトゥーン基調から一転、FFよりのリアル基調になった初報トレーラーは世界中のゼルダファンを歓喜させた。
発売時期の関係上、WiiだけでなくGCでも発売されており、Wii版ではコントローラーの都合上、右利きだが、元のGCでは従来通り左利きのため、なんとマップなども含めてほとんど全部逆転されている。ある意味力技。
バグの都合上、RTAなどではメインじゃないGC版が主流なので、Wii版を遊んだユーザーからしてみればなんか気持ち悪く感じる。
◯パックンフラワー
色んなパックン族の攻撃を使えるハイブリッド種。
せっかくなので亜空の使者のボスパックンと関係を持たすことに。
ベビーパックンがいるのだから、幼児期みたいなものはありそうだが、生態が植物よりか動物よりかは不明。
◯亜空の使者のコロシアム
以前の章でセフィロスカズヤもいた。もう少し遅かったらラスボスとエンカウントとかいう地獄が待ってました。
◯パックマン
前回、鉤括弧すら使わせないで苦労したので、拙作の短編のように、動きを入れることに。ワタワタとか口に出している訳ではない。
◯ルキナ
今回は使わなかったが、クラスの都合上槍も使用可能。
FEファイター全員に言えることだが、ヒーローズの武器は構想に入れてません。収集つかないしシリアルブレイカーだし。
想像してください、ケーキサーバを振り回すマルス、プレゼント袋を振り回すクロム、卵から魔法を撃つルキナ……
◯黙ってたら誰も気づかんわい!
なんかスターフォックスってスマブラだと弾けません?
そうめんとか目標ファイターとか……原作あまり詳しくないんですけど原作でもそんなものなんですかね?
ローン80年からしてそんなもの? 確かに……
◯オルディン大橋
別にプリンがデカいまま戻らなかったりはしない。