大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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108話 アウトオブディスディメンジョンズ

 

「……それは……一体何が……」

 

「マジ意味不明だよ、ほんとにほんっとに一体どこのボディ様の仕業なんだろうねー」

 

「リンクリンク、頼むから尾翼を曲げないでくれ……偽物でも心が痛いから頼む曲げるな折れる折れる折れる折れた」

 

 

顔から青筋の消えないリンクが八つ当たり気味にステージそのものに当たるのを息継ぎなしで止めようとするフォックス。なお結果は。

合流のできた彼らは、まずリンク達4人の見た意識不明集団のことを話した。全員が倒れて起きる様子のない人々。

連れていきたいのは山々だったが、あまりにも数が多い上に人を担いで飛行しているアーウィンに乗り込むのは無謀だったために、断腸の思いで置いて行っている。

 

 

「……で、そっちはジョーカーがほにゃららでマスターハンドがどんがらがっしゃんしてるんだっけ?」

 

「リンク……」

 

「言った覚えないよそんなこと」

 

「イレブーン!?」

 

「ヤメロいれぶん、真面目ニ取リ合ウト話進マン」

 

 

あまりにも曖昧なリンクの把握にけろりとした顔でイレブンが答える。

まあ、このふざけたムーブは一応今平静を保てているということだと感じられた。かといって呆れないかと言われたら嘘になる。この2人でよく逸れることなく行動できたなとケンは密かな自信をつけた。

 

 

「そういえば……結局、ケン達や8号さん達はどちらから来たのですか?」

 

「またどっかのステージだろ? う〜ん……」

 

「ニヤニヤ」

 

「ナンカ腹タツ」

 

 

普通に微笑んでいるイレブンの傍らでわかりやすくにやけるリンクとケン。彼らがそこからここに来て、そして今から向かう場所は。

 

 

 

 

 

 

円柱状の舞台。そこから一直線に伸びるフィールドには規則的に線が引かれていた。まるで物差しやメジャーのように。

 

 

「すてーじジャネエ!!」

 

「ほ、ホームランコンテスト……!?」

 

「うーん、いい顔。サプライズやっぱり大好き」

 

 

そう、ここは大乱闘とは別の催し物。

サンドバッグくんにダメージを溜めてブッ飛ばすことで、どこまで飛んだかの飛距離を競うホームランコンテストの舞台だったのだ。

 

 

「えっと……つまりマスターハンドからしてみたらステージと同じ管轄にあったと」

 

「あ、そうそう。僕たちもここからあの夜の空が広がる場所に来てたんだ。外からその歪みに飛び込んで、こんな感じのところに来て……」

 

 

リンクやケン、イレブンだけではなく、エイトと8号もここを経由して合流したのだという。

ステージとは関係ない場所からステージのある場所に飛び込み、巡り巡ってみなと合流した。

 

 

「つまり、エイトと8号と同じ道順を辿ればステージとは関係ない世界に戻れるということですね」

 

「ウン、マズアッチ」

 

 

8号が指差したのはサンドバッグくんを向かわせる遥か先。

 

 

「なんでこんな遠いとこなんだろうな? オレ達はそばだったってのに。まあ、とりあえぐふっ」

 

「うわ、ケンが倒れた」

 

 

先頭で歩こうとしたケンが後ろ向きに倒れた。額を抑える彼を見て、ふとイレブンが手を動かすが、どうしても一定の場所で先に進まない。

 

 

「……これ、壁になってる」

 

「また見えない壁か? あ、でもホームランコンテストなら間違ってないのか……」

 

「でも、向こうからここには来れたのに……」

 

 

ホームランコンテストの不正防止のためか、距離を測る領域には人が入れなくなっている。

 

 

「一方通行カ。何ニシテモ通レナイガ問題デ……」

 

 

ふと円柱の舞台に登場したサンドバッグくん。パックンフラワーはない両目をパチクリさせた。

 

 

「……打テト……?」

 

 

確かにサンドバッグくんを飛ばせるなら、少なくともその時には壁はないわけで。

 

 

「……ヤッテヤルゥ!!」

 

 

思い切りはよい方だった。

 

 

 

 

CASE 1 パックンフラワー

 

 

「頑張ッテクダサーイ!」

 

「ファイトー! 自分に負けるなー!」

 

 

傍から声援が送られる中、どこからともなく聞こえた開始と共に、ポイズンブレスを吹いた。

 

 

「マダダー!!」

 

 

葉っぱを回転させて切り刻み、植木鉢を叩き込む。そして、落ちてきたバットを拾って振った。

 

 

「オラァアア!!」

 

「お、行ったか!」

 

 

 

遠く遠くの空へと飛ばされていくサンドバッグくん。肉眼で見えない遠い遠い場所まで。

 

 

「500キロちょいってとこか?」

 

「まあまあで草、花だけど」

 

 

咄嗟にリンクの顔にくらいつくパックンフラワー 。くぐもった声でギャアギャアと叫んでいるリンクを全力で背景にする。

 

 

「まあ、結果はいいや。先に進めるなら……」

 

 

透明な壁は消えてない。フォックスの手も通さずに依然として突っ立っている。

 

 

「なんでだよ……」

 

 

 

 

 

CASE 2 フォックス

 

 

「なんでオレまで……」

 

「言ったもんがやれってこった!」

 

「手数タイプだから向いてないんだよ単純に!!」

 

 

フォックスは攻撃の回数で攻めるスピード型。

ダメージとぶっ飛ばし力が物を言うこのイベントには相性が悪い。

 

 

「まあ、いい記録を出せれば道が開けると決まった訳でもありませんし……」

 

「ポンポン」

 

「パックマンまで……くそ、一回だけだからな!」

 

 

そんなこんなで始まったフォックスの挑戦、蹴りの連打からサンドバッグくんを打ち上げて、ブラスターもともない確実にダメージを増やしていく。

 

 

「向いてないとか言いつつ、いい感じじゃねえか」

 

「最後ニブッ飛バスノハワカリマスガ、ソレマデノ過程ハドウシテデスカ?」

 

「まあ、ダメージを溜めれば溜めるほど飛距離が上がる……大乱闘方式ってことだ」

 

「ナルホド……」

 

 

8号が物珍しそうに眺める中、カウントダウンがはじまり、トドメ用のバットが落ちてくる。

いつの間に作ったのか、お子様ランチに刺さっている旗のようなものを両手で振って応援しているリンクをはじめとした声援(?)が飛ぶ。

 

 

「よしっ!」

 

「空振れー!!」

 

「リンク!?」

 

「ほらほらイレブンも!」

 

「えっ!? えっと……尻尾とバット間違えないように!」

 

「間違えるかァ!!」

 

「あっ」

 

 

リンクに背中を押されたイレブンが咄嗟に放った言葉。無視無視と頭の中で問いかけていたフォックスもたまらず言い返した。

そして、無情に唱えられたカウントゼロ。気の抜けたゼルダの声。

 

 

「やってしまった……」

 

「向イテナイ以前ノ問題ダナ」

 

「リンク、あなたゼルダさんを助けたいんじゃないの?」

 

「ゼロの記録も試してみなきゃな」

 

「色々試してみるってことか? まあ、わかりやすいのは何キロ以上の記録を出すってことだが」

 

「あのさ、」

 

 

そこでエイトが手を挙げた。

スマッシュブラザーズとは違う意見の話。

 

 

「これは、そもそも1人でしかやれないものなのかい?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………確かに」

 

 

 

 

 

CASE 3 パックマン&イレブン

 

 

「フォックスから怒られた……なんか言えって言ったのリンクなのに……」

 

「ハァ」

 

 

少し落ち込んだままのイレブンに、やれやれといった雰囲気で付き合ってくれているパックマン。とはいえ、次に進むための道が見つからない以上、真剣にやらなければ。

 

 

「パックマンはダメージをお願い、僕が決めてみるよ」

 

「コクリ」

 

 

2人組での初挑戦。ベギラマでサンドバッグくんの足元を焼き、少しだけ空中に浮かせる。

そして、パックマンがピザ欠けパックマンの姿となって回転しながらぶつかり、さらにパワーエサを操ってさらに打ち上げる。

 

 

「ギガデイン!」

 

「カミナリガ!」

 

「あんなに呪文を使ってしまっていいのかな? いざという時に魔力がなくならないといいんだけど……」

 

 

呼び込んだ落雷にエイトが一抹の不安を覚えた。全てを仕組んだ黒幕も控えているのだ。多少なりとも温存しておくべきのはずだが──

 

落雷に打たれて落下していくサンドバッグくんに振りかぶったバットをヒットさせてぶっ飛ばしていく。あっという間に見えなくなって、静止するまでだろう時間が経った後、記録が大きな画面に出てきた。

 

 

「765……記録はともかく、どうだ?」

 

「……ダメです。まだ壁があります」

 

「ヤッパリ、さんどばっぐト共ニ突撃シカナイカ……?」

 

「可能な気がしないのだけど……」

 

「次、ワタシガヤッテミタイデス」

 

 

でもやはり現状に変化がない。そんな中、今度は8号が手を挙げた。

不謹慎ながらも、慣れぬ体験をしてみたいというワクワクさはある。

 

 

「えっ……できる……のでしょうか?」

 

「まあ、今のオレ達だってファイターじゃないらしいし、できるんじゃないか? ハチちゃん、頑張れ!」

 

「ハイ!」

 

「やってみたいのかな……」

 

「まあ、そういうことだろ……」

 

 

 

 

 

CASE 4 8号

 

 

真剣にまっすぐ、サンドバッグくんだけを見つめる。その本気具合にサンドバッグくん本人も少したじたじである。

始まろうとしていたタイミングで、抱えたバレルスピナーのチャージを開始した。

 

 

「え、ガトリング? ナワバリバトルのブキはこんなものまであるのか……」

 

 

ダダダダダダダダ!

 

開始と同時にバレルスピナーを撃ち放った。

細かく、数の多い弾丸は、インクでなければ蜂の巣にしていただろう密度。

撃ち終わると、バレルスピナーをその辺に放り、オクタシューターレプリカに持ち直す。蹴り上げて、下からドリルキックで突き上げる中、撒き散らすピンクのインク。

 

 

「あれは……」

 

 

銃と足技で同時攻撃するのはフォックスもやっていた技。先程見た時にしっかりと有効な技を考えていたのだ。

 

 

「すげー……」

 

「クライマックスです!」

 

 

茶化す暇もない綺麗な動き。

落ちてきたバットを握ると、大きく大きく振りかぶって打った。

 

 

「おおおー! さすがハチちゃん、やるなー! もう見えなくなった!」

 

「ウン、チョーシイイネ!」

 

「結果は……」

 

 

いい汗をかいて8号も満足だ。

コロシアムについた大画面での結果を今か今かと待ち侘びる。

 

 

「あれ?」

 

「ノイズが……」

 

 

しかし、画面の中には数字も出ない。それどころかどんどんとノイズや砂嵐が酷くなる。

 

 

「ええ!? ハチちゃんの記録は!? こんなところで故障!?」

 

「まさか、スマッシュブラザーズじゃない人が結果を残すのを想定してないんじゃ……」

 

「それにしたって何か変よ!」

 

 

フォックスのひとまずの仮定。単純に想定されてない表示を出せないから。

だが、ノイズや砂嵐は画面の外にまで及び、コロシアムも含めて大きく、強くなっていく。

そして視界が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──どうして、

 

 

──どうしてここがわかったの!!

 

 

彼らの目が開いた時、そこにいたのは。

 

 

「まさか、こんなところにまでスマッシュブラザーズが!」

 

「……私?」

 

 

緑を基調とした衣装となったゼルダの姿。

否、キクという少女だった。

 

 





◯タイトル
SFC版スターフォックスに登場する隠しステージ。
特殊な方法でしか入る……というか迷い込むことができない。
登場した謎のスロットマシーンを退けたらスタッフクレジットが流れて終了、と思いきや、クリアはできない仕様のためにゲームオーバーになるか電源を切るしか抜け出す選択肢がない。
元はポリゴン製作の練習用のオブジェクトを再利用したもの。いわゆる黒い任天堂、みんなのトラウマと呼ばれるものなので、検索は自己責任でお願いします。


◯ホームランコンテスト
DXから登場のゲームモード。サンドバッグくんをぶっ飛ばした飛距離で競う競技。ピクオリは紫ピクミン3匹登場済み、ゲムウォのジャッジで6しかでないなど運要素を無くした仕様があり、ある意味タイマンより競技性が高いかもしれない。
余談だが、ドラクエ9の没モンスターに、ダミーデータと思わしきサンドバッグくんという名のモンスターがいる。


◯作者の気まぐれコメント
サメライド、まさかのノータッチ。
塗り、弱くしていいので前隙と後隙短くしてください、お願いします……ボム消しすらない状況で頑張ってるんです……モップリンに救いを……

でもマリオワンダー発売だよおおおおお(テンションの差)
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