大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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Super Smash Brothers “Fortress”
112話 星空の守り人


 

 

……そろそろお膳立てはいいかな。

飽きてきただろう? こういうの。

 

 

 

君達が見ていない残りの連中は満身創痍のマスターハンドを守っている。

僕がさっくり集めたボディの大群を送ってるから、それなりに厳しい戦いになってるんじゃないかな。数だけは十分だからね。

 

 

 

マスターハンドの居場所は知っていたけど、別に他の彼らに言わなきゃいけない義務はないよ。みんなは自分の体を求めているけど僕もそうだとは一言も言ってないじゃない。

 

じゃあスマッシュブラザーズの仲間なのかって聞かれると……そうでもないけどさ。

 

 

裏方に立ち回った甲斐があったよ。

あの三人を無理やり別世界に放り出して……

あとベレトに他の英雄の遺産をプレゼントして……

マスターハンドに対して、ジョーカーがおすすめだって言ったのも僕だったね。

 

 

おっと、答え合わせはまだ早かったか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

握りしめた拳、歯痒さを感じる現状。

頬を流れた冷や汗が絶対零度に錯覚する。

 

 

「受けてみろ!」

 

「くらえっ!!」

 

『……っ!』

 

 

ガードした後の反撃で、ボディが乱れ斬りに合う。フィニッシュで磁力の魔法を扱い、敵をまとめて集めて吹き飛ばした。

 

その脇では防がれた大剣を力技で無理やり押し通し、腹部を蹴り飛ばして後ろの敵もろともぶっ飛ばした。

 

囲んで近づく敵達が静止する。なにもできず、そしてさせず、空中へ浮き上げ、岩肌や木々に激突させた。

 

 

「ウ〜……」

 

「あっ、でちゃダメです!」

 

「なになにー?」

 

「だからでちゃダメですって!」

 

 

洞窟の浅い場所、白い肌をした女性が必死に他を抑える。怯えながらもどうにか助太刀したいと考える2匹の獣と、ただの興味が第一願望である平面の人。

 

それらと戦場との間、多くのカラフルな集団とともに、オリマーは立ちすくんでいた。

 

 

「(どうして……)」

 

 

 

「(何がどうしてこうなった!?)」

 

 

彼ら、そして女性達の奥。

土か煙か。煤汚れた白の巨体。ぴくりとも動かないマスターハンドが横たわっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──時は遡る。

 

 

オリマーは何をするでもなく、この世界を回っていた。観光、に近いのかもしれない。

 

彼は別に新参者、というわけでもない。

しかし、大乱闘の休息の機会を、家族との時間と仕事にと回していると、どうしてもこの世界を回りきれないのだ。

 

勿論、妻や子供との時間は大切だし、大好きだ。仕事だって、自分が抜けた穴を埋めれる者はそういないと自負している以上、気軽には開けられない。

 

だが、彼はそれでも自分だけの時間を大切にする者でもあったのだ。例えその結果、自身の命が危険になるほどの遭難に合っても。

ピクミン達、ひいてはスマッシュブラザーズの仲間達と会えたと考えれば、結果オーライというものだ。

 

 

「しかし、この世界のほとんどは森林や草原だな。マスターハンドのことだから、もっとこう……様々な地形を取り入れてもおかしくないが」

 

 

氷山はあるが、雪山はなく。砂漠もないので星の縮図というよりも、自然らしい自然を目指しているのだろうか。

だが、雲の上にも地形が広がっているので案外深く考えずに創っているような気もしなくない。

 

 

「しかし、キーラに創り変えられたというのにその時の面影は残っていない。彼らの力を、生物学や論理的に解そうとするのが間違っているのかもしれないな」

 

 

遭難していた時は、確実に生き延びようと必死であったために、ピクミンを含めた原生生物の生態をできる限り観察して頭に叩き込んだ。

マスターハンドの所業を同じ縮尺で測ることはできないのだろう。だができる限りの解釈はやめない。今や趣味に成り果てた。

 

 

「そういえば、この世界は自然は豊富なのに野生の生物がほとんどいないな。もっと繁殖していてもおかしくないと思うが……!」

 

 

目の前に気配を感じて、音を立てないように地形に隠れた。そこにいたのは自分自身。否、自分を模したただの人形。

何かを探すように辺りを見まわし、オリマーのいる場所とは逆の方へ歩いていった。

 

 

「(なぜボディが……!?)」

 

 

思わずヘルメット越しに、口を押さえる。

キーラもダーズももういない。なのに、その傀儡は捜索するように動き回っていた。

 

何があるのか……放っておくには不穏すぎる。確かめなければならない。

こっそりと、近づきすぎないように後をつけていく。幸い、自身のボディには宇宙服のアンテナが目立つため、尾行の経験がなくても見失うことはなかった。

 

 

『…………』

 

「(探しているもの……場所ではない。人か、物か? しかし、まさかあのボディが主犯ではないだろう。ボディはあくまでも手下あたり……ならば)」

 

 

生物を分析するために鍛えられた論理的思考能力は、単純な物事の推理にも発揮される。

 

 

『…………』

 

『…………』

 

「(やはり単独ではないか……)」

 

 

さらに、インクリングの形をしたボディが増えた。人海戦術でなにかを捜索しているのだろう。

 

 

「(しかし、一体なにを……!)」

 

 

たどり着いたのは小さな洞穴。

身を隠す凸凹もなく、少し開けた場所にある洞窟というには少し狭い入り口。

 

これが目的とばかりにかけだしたボディ達の先には、倒れる白。火傷があるように所々黒く焦げたマスターハンドがいた。

 

 

「まずい!」

 

 

反射的に飛び込み、笛を吹く。

一回転しながら、ボディとマスターハンドの間に割り込み、やぶれかぶれで打った両拳は2体の腹部に綺麗に決まり、後ろに引かせる。戦闘体勢でなかったからこそできた素人の不意打ちである。

 

 

『…………』

 

「しかしここからどうするか……」

 

 

自分のボディが敵にいるということは、完全にスペックだけは上回られているということ。

頼みの綱のマスターハンドは完全に沈黙している。そしてなにより。

 

 

「今の私は戦えない……!」

 

 

大乱闘と同じようにピクミンが引っこ抜けない。ここには無力なベテラン宇宙飛行士が1人。戦士でもないし、兵士でもないし、勿論勇者でもない。

思わず飛び出してしまったが、ボディをどうこうできるとは思えない。

どうすればいい。どうすれば……

 

 

「?」

 

「えっ?」

 

 

自分の背中に触られた感触。振り向くととんがりハナの赤い生き物。どうしたの、というように、赤ピクミンがいた。

 

 

「ピクミン……!? なぜこんなところに……!?」

 

「ホア?」

 

「ン?」

 

 

1匹だけではない。

暗くてわかりづらいが、青、黄、紫、白、岩、羽……全ている。

疑問符を浮かべるように頭の葉を傾けた。……黄色が1匹だけ遅れていた。

 

 

「……いや、いつも君たちはそうだな。私がピンチの時にはいつの間にかそこにいる。また力を貸してくれ!!

 

「ピー!」

 

 

赤ピクミンをまずぶん投げ、視線を集めたところに、岩ピクミンの鋭い一撃と紫の重い一撃が1人ずつ襲い、後ろへ倒れる。

 

 

「頼む!」

 

「オーン!!」

 

 

そして、突撃の笛を鳴らす。

ピクミン達は思った以上に数がいて、瞬時に数えきれないほど。

 

 

「100匹いるんじゃないのか……?」

 

 

ピクミン達に囲まれて見えなくなったボディ。

いざ、散ると哀れな姿に。モザイクが必要な有様が、元は自分と同じ姿だったと考えると直視したくなくなる。

 

 

「うわあ……」

 

 

自分が指示したこととはいえ、流石にドン引きである。

しかし、しばらくすると金色の液体に溶け、地面に消えていく。

 

 

「……何がなんだかさっぱりだが、マスターハンドがこうなっているのならばただごとではなさそうだな……」

 

 

全ピクミンを集合させる。落ち着いたところでピクミンの数を数える。

 

赤ピクミン、20。

青ピクミン、20。

黄ピクミン、20。

紫ピクミン、10。

白ピクミン、10。

岩ピクミン、10。

羽ピクミン、10。

 

図られているようなキッチリとした数を怪訝に思いながらも、頭の中で作戦を組み立てていく。

 

 

「……よし、青ピクミン、黄ピクミン、白ピクミン、羽ピクミン10匹ずつでここを離れて誰かを連れてきてくれ。頼んだぞ」

 

「ピクミン!」

 

 

おつかいを頼むように10匹ずつの塊があたりに散っていく。速度に長けた白と羽に、青と黄まで。

 

 

「赤ピクミン、紫ピクミン、岩ピクミン、そして私でここを守る。彼には、近づけさせない!」

 

 

小さい者達の、防衛任務が始まる。

 





○章タイトル
Fortressは要塞。
今章はマスターハンドを守る雑魚敵ラッシュが主です。とくに捻りなし。
しかしプロット考えていた当初は、ピクミンで防衛戦を本編でするなんて思ってませんでした。


○タイトル
ドラゴンクエスト9のサブタイトル。
実は開発開始が10より後であり、外伝として発売する予定であった。
DSのマルチプレイやすれちがい通信などがブームとなり、まさゆきの地図とか川崎ロッカーの地図とかが生まれたのもこのタイトル。
クリア後が本編との呼び声もあるが、普通に本編ストーリーも面白いと思うんですがね。病気の町とか……
オフライン版をリメイクと捉えると、現在唯一リメイクされていないナンバリングタイトルでもある。そのためリメイクの声が待ち望まれているが……3DSが終焉を告げた今、Switchで9の面白さを出せるのかが不安です。まあ、なんだかんだで出たら買うんでしょうけど。


○オリマー
素では、パンチしかできず、ピクミンがいなかったら終わっていた彼。

現在のピクミン数
赤:20 青:20 黄:20 紫:10 白:10 岩:10 羽:10

スマブラでは岩ピクミンだけはぶられているので、今作では思いっきり活躍してもらいます。氷はなし。光もなし。出てくるのがちょっと遅かった。(プロット作成的な意味で)


○ピクミンの声
拙作の前作では別に喋っていませんが、オリマーに延々と独り言言わせるのもあれなので、鳴き声程度は喋ります。人数増えてきたら、自然となくなるかもしれないです。


○作者の気まぐれコメント
(^^)あ、マリオRPGもうすぐ発売じゃん。予約忘れるとこだったよ

(^^)うわ、プリペイドカードめっちゃいいじゃん。そっち買えばよかったわ……

(^^)そういえば、タクティカも発売もうすぐだっけ。何日だったけな?



( ゚д゚) 同 日 発 売 (翌日にスプラフェス)


と、いうことなので、タクティカはお見送りになりました……
いつか遊んでやるからなー!!

あ、どうでもいいですが、私が望むスロッシャー系統のサブスペ書き残しときます。PVには出てないけど鉛筆の例がありますし!
当たったら高評価お願いします()

エクスカスタム クイボメガホン:攻撃型編成。近距離カバーとメイン直撃した敵を仕留めるサブに、追撃兼インク回復もできるスペシャル。
サブはやりすぎかもしれないけど、スペシャルは可能性高いんじゃないですか?

モップリン亜種 ポイズンカニタンク:二撃しやすくするポイズンに雑に強いカニ。しんどすぎる打開をスペシャルで補う。ていうかなんでカニタンクのブキこんな増えないの?
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