大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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116話 究極のリアルフィクション

 

こうして物語は徐々に起点へと収束していく。

 

 

オリマーの立ち位置は、まるで非戦闘員の仲間入りをしたような位置だ。

倒れたままピクリもしないマスターハンドから顔を出して、Wii Fit トレーナー、ダックハントと、大勢のピクミンと共に戦況を見守っていた。

なお、Mr.ゲーム&ウォッチは数匹のピクミン相手にベルを鳴らした反応を面白がっていた。

 

 

「こ、この数は冗談じゃすまないですよね?」

 

「明らかに狙いがマスターハンドだ。多分……」

 

「多分って……」

 

「戦略についてはルフレに頼む……」

 

 

この数で襲ってくるなら間違いなく狙いはマスターハンド。だとは思うが、陽動の可能性があるくらいは専門外と言いつつもわかっていた。とはいえ、ならどうしていいのかは頭の中に浮かばなかった。ただの運送会社の社員に多くを求めてはならない。

 

 

「それにしてもどんどん多くなっているような……あっ、終わったようですね」

 

 

ソラのソニックレイヴが残っていたボディを貫く。溶けていったボディを確認し、ソラはキーブレードを虚空へ戻し、クラウドは合体剣を背中にしまい、ミュウツーはメガシンカを解いて見慣れた姿へ戻った。

 

 

「ねえ、ピクミンに引っ張られてきたんだけど何が起きてるんだ? なんか、みんなそっくりの敵がうようよしてるし」

 

「よかった、話せないから少し不安だったが、ピクミン達は君たちのことを呼んでくれていたんだな。流石だ……」

 

 

みんながみんな、ピクミンに連れられてここまできた。幾度となく危機を救ってくれたピクミンへの信頼感はまだ伸びていく。

感慨深くなっていくのも束の間、最後に来たソラの質問に答えるために切り替える。

 

 

「それにしても、そういえばそうか。ソラはボディのことを知らないんだったな。どこから話すべきか……」

 

「倒したはずのキーラとダーズというものが作っていたはずの俺たちの模造品が先程戦ったそっくりな敵、ボディだ。何故かはわからないが健在なんだ」

 

「へえー」

 

 

解説役の仕事を横からクラウドが掻っ攫っていった。

そういえば何故だか、ソラは最初からクラウドには懐いていた。わかりやすく人当たりのいい者を差し置いてだ。知り合いにほんっとうにそっくりらしいがそれだけですぐに打ち解けられるだろうか。そのソラの知り合いという者の顔を一目見てみたい。

ふと、そんなことを思っていると、周りから離れてじっとマスターハンドを見上げていたミュウツーの姿が目に入った。

 

 

「……? どうしたんだ」

 

『……ない』

 

「何がですか?」

 

『奴の念を感じない。ここにあるのはただの抜け殻だ』

 

「ぬけがらー?」

 

「そこにマスターハンドの意思がない……ということか?」

 

『ああ』

 

「意思がない……」

 

 

その言葉を心の中で繰り返しながら、この世界の主の今と先程を思い返す。

深く深く眠ったかのように動かない姿は、死んでいるとすら思えるほどで……そこに心がないというならば納得できる。

 

 

「心が眠ってるのか?」

 

『いや、そもそもこの体にない』

 

「その心の居所はわかるのか?」

 

『……難しいな。そもそも追われないようにしている』

 

 

そこまで言えば、この無尽蔵に襲いかかるボディ達が何を狙っていたのかは大体わかった。

 

 

「なんでー?」

 

「ボディから自分を守るためですよ!! 当然でしょう!」

 

「イッシッシッシッシ」

 

 

……その大体から外れた奴もいた。

悪意という概念がないのならば、その悪意から身を守る術が理解できないのも当然である。

 

 

「……ならば守るべきは器ではなく意思の方なんじゃないか?」

 

「あー……」

 

 

ボディがマスターハンドの器へ向かっていくということは、敵側はまだマスターハンドの意思か器かを確保できていないということで。

 

意図的に逃げた痕跡が消されているということは少なくともマスターハンド側は敵の狙いが自分の意思だと思っているということで。

 

一応どちらも狙いではあり、意思を確保したから今度は肉体も、という可能性はあるものの、護衛から奪還に変わるだけ。

 

 

「だが手がかりが……ピクミン達に探してもらうのも流石に無理がある」

 

「ならわた……しが……追われておいて説得力ないですよね……」

 

 

立候補の声がどんどん小さくなっていく。

人を呼んでくると1人駆けていった先程が理由だ。

 

 

「体の方を放っておいて全員で探しにいく訳にもいかないだろう……ボディはどんどん増えてきているんだ」

 

「なんかイマイチまとまらないなぁ」

 

 

方針がひとつにならない。

この団体にはリーダー適正と戦闘双方に優れた者がいないのだ。

オリマーには集団対集団の戦闘経験はなく。

クラウドには無条件で上に立つ威光はなく。

ミュウツーには信頼の上での指示は出せず。

ソラにはそもそも誰かに指示を出して行う緻密な作戦に参加したことがなかった。

その他は戦闘といえば、大乱闘しか経験していない。

 

それぞれ意欲はあっても、いわば個々がそれぞれ戦い、意見だけを出しているような状態。

 

 

「……ここでボディを撃退していれば、いずれ親玉なりが現れるんじゃないのか?」

 

『…………そうするか』

 

 

結果的にその判断を投げた。

現状維持を選んだ。

肉体を確保された結果、この世界に何かが起きてしまったらそれだけでアウトだ。

 

 

「せめて私も戦えればいいのですが……」

 

「私ももう少し頑張るが……どれだけ体が持つか……」

 

「え? 体って……」

 

『(ソラ、彼の年齢は……)』

 

「え」

 

 

ようは純粋に戦えるのは、クラウド、ミュウツー、ソラの3人。オリマーはピクミンと体が保てばという状況。

 

 

「ウォッチ、ダックハント、あんたらは……」

 

「ん? へいわがいちばんでしょ?」

 

「(喋れるんだ……)」

 

「クゥン」

 

「え? やってほしいの? 今までなんとなくで流してたのに」

 

 

さっと、ダックハントは2足で立ち、2丁の銃を構えるような体勢を取った。ボディランゲージか。

 

 

「ミュウツー、通訳できない?」

 

『もう1人が頑張る、そうだ』

 

「今は僕がそこにいるから僕がやれと」

 

「そういえば、パルテナさんから聞いたことがあります。ダックハントはトリオだと」

 

「トリオ……?」

 

 

そのもう1人……否、1匹か?

確かに大乱闘ではダックハントと戦っているとどこからともなく援護射撃がくる。そんな最後の一角に援護を任せると。

それを見たことがないのだが。つまり第三者任せだと。

 

 

「その第三者は僕でもあるし盟友でもあるけど」

 

「……考えたら負けな気がする。とりあえずいる、ということは頭に入れておこう」

 

「誰が負けだ、何がとりあえずだ」

 

「いわゆる……専守防衛で進めるということか」

 

「センシュボウエイ?」

 

『守るためだけに戦う、だ』

 

「君たちを襲わせてるの、僕なんだけどなあ」

 

 

眉間に皺を寄せたオリマーも決意を固めて言った。

 

 

「トリオの援護……今聞こえているかわからないが、聞こえているのならば……頼む」

 

「仕方ないなあ。でもそれなら相応の敵が必要だよね?」

 

 

聞こえているか、いないのか。

長い空白が続くのち。

 

 

『…………』

 

「あっ! またボディが!」

 

 

ソラが気づいた。新たに現れるボディ。

20にも届きそうなほどだ。

 

 

「や、やるしかないか……!」

 

「当然。やらなきゃいけないんだよ君たちが君たちである限り。異次元からなら援護してあげるからさ。さ、ファイト!」

 

 





◯タイトル
ニューダンガンロンパV3に登場するキーワード。
これを解説すると、V3の根幹からネタバレすることになるので解説は自重します。


◯同じような説明繰り返しててくどい
それぞれの章で把握している情報がバラバラだから1回1回説明しないといけない……今更ながらこの方式の弱点が見えましたね。


◯謎の声
「まるで聞こえてないねえ。ま、当然なんだけど」


◯作者の気まぐれコメント
ランタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!

私のポケモンSV、始まったな。
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