大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「こいつらシバけばいいんやろ? ウチのスピードについてこれるか?」
インクリング……3号と同じ種族の少女。ショートしてカットの彼女は3号とは違い、軽めの銃を両手に持っていた。瞬間的に加速し、右へ左へ。敵の遠距離攻撃を避け、2丁の狙いを1つに絞り集中射撃。
「あ……! もしかして、インクを吐き出した勢いで瞬間移動をしているんですか?」
「自分、よう見とるなぁ!マニューバー使ってみる?」
『インクリングの知り合いか?』
「ウチの知り合い、大半インクリングや! 何いうとんねん!?」
『……3号の知り合いか?』
「ややこしー」
「まあ確かに……」
Mr.ゲーム&ウォッチのぼやきに同意しながら、発言者の本人の方を見る。さっき誤爆されていたからか、今の天気どうかなレベルのナチュラルさで、ダックハントの尻尾に火をつけていた。
「ワウーーーーーー!?」
「うわあああああ!? 何やってるんですか!?」
「落ち着け! 落ち着いて振り払え!」
テンパったオリマーの笛の音を背景に、インクで視界を潰されたボディ達の間を駆け抜け、同士討ちを誘発させる。
「ああ、ヒーローの先輩や。会うたことあらへんけど」
「
「なんか気づいたら、入ってたわ」
「ズコー!」
成り行きでなったヒーロー。
色々頑張って、それでも未だ1人だと3分の1
「あ、ウチ、4号言うねん。そっちのお堅い仏頂面がソロ」
その通りだ、とばかりに無言で頷いた。全身至る所にできた細かな傷へ回復呪文を唱える。
「オレはソラ! オレも一応キーブレードヒーロー3なんだからな!」
「そのスリー、どこから来とんねん!」
「そっちこそ4はどこからだよ!」
「「人数だよ!」」
白と黒のキーブレード、約束のお守りと過ぎ去りし思い出を二刀流としてふるい、ボディ達を打ち払いつつ突進していく。
間を取ってその隣には、4号がヒーローマニューバーを撃っていき、空中で回し蹴りをはなつ。倒れた相手を踏んづけて胸へインクを撃つ。殺傷力はほとんどないが、そういうノリだ。
「すまない、助かる。ぼちぼち体力が尽きてくるところだった」
「役に立ったのなら何よりだ。しかし、ここに来て4号と共にあちこち探索してきたが……ここまであの人形達が多いのははじめてだ」
敵の背中にイオラをぶつけ、ぶっ飛んだことによって間合いに入ったボディを斬りあげる。
多くの敵がやってくる中、アストロンで肉体を無敵とし、そのソロもろとも画竜点睛。
クラウドの背中を狙い、走ってきたボディがすっ転ぶ。なかったはずのインクを踏んづけたのだ。念の力によって場所が変わっていた。
「詳細な理由は知らないが……! 近くで倒れていたこの世界の創造主に用があるらしい……!」
「なるほどなっ!」
倒れた相手へ剣先を突き刺し、一気に引き抜くことでトドメとした。
少しずつ、敵のボディは減ってきている。2人の戦闘員の加勢によって遠い目標ではなくなっているのだ。
「これでもそれなりに減らしたところだったんだ……! だが、2波が来て……!」
「ならば、もう少し楽に動こう……ラリホーマ!」
ボディが崩れ落ちて目を閉じていく。全員に効いた訳ではないが、ほんの少しでも効率よく倒せればいい。そうでなければ、全てをじっくり考える時間も取れないのだ。
「こっちにも頼むわ!」
「ああ……ッ!」
4号とソラが相対するボディ達にも同じようにかけようとするが、別のボディに行く手を塞がれる。剛腕のストレートパンチに、盾を介しても威力をころしきれずに左手が後ろへ持ってかれた。
「くう……!」
「これでどうだ……!」
追撃を喰らわせようとするボディは、胸部に受けた爆熱に距離を取るしかない。
「どうです!! やっぱり投げると言えばオリマーさんです! 私よりも高精度!」
「ちょ、ちょっと照れくさいぞ」
「ワヒー……」
ダックハントの尻尾がちょっと焦げた中、オリマーはピクミン投げから爆弾投げにジョブチェンジ。そしてダックハントは完全に火薬庫と化していた。
「助かる!」
爆煙を潜り抜けて、唱えたラリホーマは4号の目の前にいたボディを昏倒させる。
離れた4号の代わりにミュウツーが武器を用いて撃ち飛ばした。握っていたのは念の力を固めてスプーンの形状にした即席の得物だった。
「え、なにそれすごっ!」
『む、意外となんとかなるものだな』
初めてやってみたものだが、存外しっくりくる。
「スプーンって……料理の達人かなんかか!?」
「スマッシュブラザーズがびっくり戦闘集団ばかりになってきたな……」
「それはオリマーさんも……というか今更でしょう!」
そういうWii Fit トレーナーもトンチキ戦闘手段の使い手である。
「びっくり戦闘集団といえば……」
「何で何を思い出してるんですか!?」
「トリオの狙撃手はどうなったんだ? そもそもダックハントが戦えなくても単独での援護はできる、という話だったじゃないか」
「あ、そういえば……」
どっきり戦闘トリオのダックハントは、異次元からの狙撃が戦闘の要。そしてそれは2匹が戦闘から身を引いていても同じことであり、第三者の戦闘の参加とはまた別の話である。
「ピックミー」
「ワォ……」
「なあ、君たちは結局その狙撃手とどういう関係なんだ」
「グワッグアッグアッ」
ピクミン達が運んできた2匹に対して、屈んだオリマーが話を聞く。尻尾が焦げて元気のない片方を嘲笑うもう1匹。
「……まあ、話せはしないか」
「じー」
そして、そのもう1匹に忍び寄る松明もちの平面人間。
「って、何してるそっち!?」
「えっ? こっちはおしおきしてなかったなって」
「焼き鳥、ダメ、絶対!」
反射的にWii Fit トレーナーが松明を取り上げる。高いところへ持ち上げて、取り返さないようにする。
「やだー! かたほうだけなんてふこうへー!」
「確かに誤爆したのはダックハントに非がありますが!! 流石にこれはやりすぎですって!」
「やだー! せつじょくをはらすー!」
「これは復讐の域ですって!」
「(なんか楽しそうやん)」
戦いそっちのけで言い争う非戦闘員がちょっぴり羨ましい4号。こりゃイカンと集中する中、足元に何か毛玉のような、濃い紫の何かが動くのを見た。
「なんやねんコレ……」
「影蟲……!? ウォッチ!!!」
「えー!? まってまって、ほんとにしらない!」
その影蟲は残っていたボディを巻き込み、目の前で人を遥かに越す巨大な形状を形作っていく。
思わぬ形で変わる形勢に嫌な汗が止まらない。
「ま、コレもいいタイミングってことかな。他のスマッシュブラザーズのことも考えればこのあたりでクライマックスでしょ」
『誰だ……? テレパシーとも違う、ダックハントのトリオか……?』
「そうでもあるし、そうじゃない。でも、どうして今は声が届くのかは知ってるよ。今の僕は幕引き係であり、台本を書くペンみたいなものだから」
突如、頭の中に響く声。
理解できない内容を話すが、この影蟲の発生源はこの声だというのはわかった。
「でてこい!」
「そんなのおことわりだ、ってね。もうすぐ観客になるけど、その前にボスは必要だから用意しなくちゃいけないんだ」
「ボス……? まさか……!」
蠢く影蟲達は腕のような部分を振るって洞穴を殴り飛ばす。
「うわあああ!?」
「きゃー!!」
「わー!」
「バウウゥ!?」
「ワー!」
崩れる岩に巻き込まれないように走って飛び出すオリマー達。無理やり戦闘に引き摺り出したと気づくのは少し後。
塊でしかなかった影蟲達は、はっきりした色と形を生み出していく。
しかし、それらは異質だ。
白とピンクで彩る大砲のついた腕部に、走る赤いライン。
青と薄紫で彩る刃のついた腕部に、走る水色のライン。
その二つのボディを繋ぐ二輪のホイール。それを完全に模していたのならそうなるはずだった。
しかし、射撃腕の片方はハンマーがつき、刃の腕はボウガンのようなものがつき、全身の機械は取ってつけたような装甲や飛び出た銅線。
所々色がはげているどころか、まとまりがつかないほどいろんな色の破片をつけたような、つぎはぎだらけの修理をしていたような。
「いやあ、ね、この世界の隅々まで探してどうにか影蟲見つけたんだけど、キーラなりがスピリットにしたりボディで傘増ししたり……色々あって、どうにも本物にはならなくなっちゃって」
「これは……!」
「あっ、知らないか。そうだね、いわばこれは……
ボディを薙ぎ払った上での登場。
非戦闘員を無理やり巻き込んでまでのボス戦は、ボディと同じように模造品との戦いだった。
◯タイトル
みなさんご存知、スマブラXのアドベンチャーモード。
キャラの出番格差とかカービィ活躍しずぎ色々言われる部分はあるけどもそれも含めてやっぱ神。やっぱ亜空間突入のムービーすこ。
シールによる強化を前提としているからか、難易度を上げると名に違わぬ難しさになる。
◯英雄と書いてヒーローと読む。
オリンポス関連ではこうなる。が、Bbsのザックスは英雄と書いてえいゆうと読む。
◯デュオン
作者は個人的にガレオムよりデュオンの方が好きです。
というのは置いといて、元のデュオンは亜空の使者のボスの一体。
射撃メインと剣メインの胴体を使い分けるタイプの敵。作者の小さい頃はディアルガとパルキアの色味だからディアパルって呼んでました()
パッチワーク化した結果、色々変わってますが詳しくは次回。
◯作者の気まぐれコメント
みなさまあけましておめでとうございます。
ここでは今まで、あまり後ろ向きなことを書かないようにしてましたので、今回も同じようにします。
ただ、これだけ。
無理な時に強引に前に進む必要はありません。
停滞でも構わないので、後ろは向かないように自分のペースで進んでいきましょう。
ちょっと照れくさいけど、この作品がほんの少しでもその力になれたならいいな、と思います。