大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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120話 太陽は昇る

 

「ラスボスっぽいの、でおったでー!」

 

「あ、そうそう。僕は()()()()を降りたから。もう、傍観者でしかない。だからダックハントの狙撃手としての役目はどこか遠くにいる盟友に任せるよ」

 

「さっきから何言ってるんだか……!」

 

「そもそもが予定外だったし……今はプレイヤーじゃなくて、黒幕でもなくて、ただの観客だ。だから……君たちの輝きを。この物語の行く末を……!」

 

「あ、おい!!」

 

 

それっきり謎の声は聞こえなかった。

高揚し、感極まったような声が徐々に小さくなって、そこから風が吹くように掻き消えたのだ。

 

 

「なんなんだあの声は……!」

 

「今はこちらに集中するんだ……!」

 

 

背後の洞穴、崩れた岩の隙間からはマスターハンドの白が垣間見える。とはいえ、どうにか時間をかけて退かさなければ、主の様子をみることも叶わない。その前に、目の前の敵を滅せねば。

 

 

「まずは様子見からだな……どう動くか調べて対策を取らなければ……」

 

「ここはもち! 先手必勝やろ!」

 

「もういい加減にしろ!」

 

 

2対のキーブレードから放たれた光、足元へ塗りたくられたピンク色のインク。

パッチワークデュオンはゆっくりと片側の腕を向けると、高速の弾丸を撃つ。

 

 

「ヘブっ!?」

 

「ぐえ!?」

 

「はやい!? こんなの見てから避けられるものじゃないです……!」

 

 

仕掛けた2人がお返しとばかりに撃たれる様に驚愕する。その弾丸は思っている以上に高速だ。フォックスのブラスター以上。威力もそれなりにありそうだ。

 

 

「(ソロのいうこともわかるが……少し手を出して敵のできることを探っていかないと……)」

 

 

そう考えたクラウドはパッチワークデュオンの懐へと迫る。遠距離は得手、ならば近距離は?

 

 

ブオン!

 

 

「くっ……!」

 

 

振りかぶった大剣での攻撃を中断し、両手を使ってでの防御に移る。銃の搭載されたアームのもう片方、槌のついた腕がボディ全体が回転して振り回された。

踏ん張ったはずの足が地面を抉り、両手の大きな痺れに苦虫を噛み潰す。さらに回転したことで青を基調とした面がこちらを向く。

 

 

『スピードとパワーの両刀か……ならばこの面は?』

 

 

適当に岩をサイコキネシスで動かし、ぶつけにかかる。それなりには大きいはずの岩はボウカンの一矢によって砕けた。貫通して上空へ飛んでいく。

接近戦に切り替えたソラ、ハンマーを握ったMr.ゲーム&ウォッチが右と左で挟み撃ち。振り抜かれた刃は近くのソロまで斬りつけ、しゃがんでかわした結果背後の、それなりに距離のある木に穴を開けて倒した。

 

 

「む……! 4つの腕にそれぞれ特徴があるというのか……!」

 

 

スピードの銃、パワーのハンマー。

範囲の剣に貫通力のボウガン。

 

4つの武器を自在に使いこなす機械、ということだ。オリジナルは射撃と剣の二刀流であったが、さらに手数が増えている。

 

 

 

「んー……つまり! 四方向に分かれて攻めやすいように動けばいいんや!」

 

「本当に簡単に言う……! グワー! ミサイル!?」

 

 

4号がへこたれず飛び込む中、オリマーへと追尾してくるミサイル。いかんせん、さほどはやくないので振り切れない。

 

 

「メラ、メラ、メラ!」

 

「た、助かる……腕で攻撃するだけじゃないな……!」

 

「ああ、まさに多彩か……!」

 

 

小さな火球がミサイルを撃ち落とす。

腕以外から飛んできた飛び道具。この巨体で4号を踏み潰そうとし、Wii Fit トレーナーが連れ出す中、剣メイン側からばら撒かれた小型爆弾。

ダックハントのボムとどこかからの射撃が安全に起爆される中、再びののしかかりでMr.ゲーム&ウォッチが潰される。

 

 

「うわー!」

 

「くっ、硬い……! 物理だと効果がないか……!」

 

 

救い出そうとクラウドが足元から切り掛かるも、びくともしない。槌の攻撃を防いだら、銃の腕が助走をつけて殴ってくる。

 

 

「それなら魔法か! ソラ! ソロ!2人をメインに!」

 

「りょうかい!」「ああ」

 

 

俄然と回り始めるオリマーの頭。集団で、ひとつの巨大な敵と戦うのは彼の得意なのだ。

頭部の大砲から放たれるレーザーをピクミンが犠牲になりつつも逃げる中、動いたことで開放されたMr.ゲーム&ウォッチが言い放つ。

 

 

「これね! どっちかかたほうのがわしか、こうげきできないのー!」

 

「先言えやー!!!」

 

 

どこから出しているのかわからないくらいの大きなツッコミが4号から飛び出す。

その通りに、ミュウツーが剣を念のスプーンで抑えているうちに槌のついたアームへと跳び蹴りを放つ。

 

──が、ホームランのごとく打ち返された。

 

 

「嘘つきー!!!」

 

「あれー?」

 

「ウォッチさんの知っているものとはかなり強化されているのでは!」

 

 

言葉には出さずともダメージの大きいMr.ゲーム&ウォッチを拾って遠くへ離れる。しかし、まだ射程圏内。アームからのショットが2人と、吹き飛んだ4号を襲う。

シェルターで耐えてゆっくりと着地する傍ら、追撃を警戒したオリマーが羽ピクミンをつけて機動力を上げて囮となる。パッチワークデュオンを挟んで向かい側では、ミュウツーが抑えてソラがファイガを放っていた。が、

 

 

「き、効いてない……!」

 

「くっ……イオラ……! 呪文はそこまで得意じゃない……!」

 

 

魔法でも、目に見えたダメージはないように見えた。それは機械っぽく見えるから、ダメージがないように見えるのか、それとも本当に効いてないのか。

 

 

『くっ……! かまいたち……!』

 

 

振るわれた剣が空を裂き斬撃となって、離れた位置のミュウツーを引き裂く。そして、その体全体を回し始めた。

 

 

「……ッ!? まずい、隠れ──!」

 

 

嫌な予感がしたオリマーの声は最後まで届かない。パッチワークデュオンが横回転したまま、さらに攻撃に移るとどうなるか。

頭部の大砲、銃の腕、さらにボウガンの腕。空中地中を除いた辺り360°になんらかの攻撃が襲うのだ。

 

 

「バッ……!」

 

「うっ……! うわあああ!?」

 

 

レーザーと銃撃が襲い、ガードが間に合ってもボウガンの矢が障壁を貫通する。

 

 

「……ッ!?」

 

 

オリマー、彼に付き従うピクミンも例外ではない。巻き込まれた彼らは既に数えるのも不可能じゃないほどに減少していた。

 

 

「(赤が……6、黄色7、青10、紫1、白が3、岩2、羽が3……!)お前……!」

 

 

怒りが。小さい体から溢れてきそうだ。

それでも頭は冷静に回していた。攻撃に長けたピクミンを後ろへ回し、数の多い青を中心に。

 

 

「ボウガンはミュウツー、ハンマーはソラ、銃はクラウドに頼む! 他はそれぞれ援護に回れ!」

 

「剣は!?」

 

「私がいく!」

 

 

最低限だけを言った指示。特に指揮官を決めてはいなかったが、それぞれが小さくないダメージを負っている。指示の元の方が疲労の管理もやりやすい。

 

 

「援護言うて!」

 

「そもそも隙もないですし!」

 

「どうしよー」

 

「ワウ……!」

 

 

パラシェルターがエネルギー弾を受け、ボウガンの一矢をかわし、Mr.ゲーム&ウォッチの吹いた空気や異次元の射撃が剣とハンマーの軌道をズラす。

 

 

「ならば……! ぐう……うっ!」

 

「あっ!」

 

 

遊撃で1人自由に動くソロは雷の魔力を込めた剣を銃アームの繋ぎへと、うめき声を上げるほど力を込めて振り下ろした。

弾かれはしたが、明らかに傷がついて内部が覗けるようになったからだ。

 

 

「一度距離を!」

 

 

サイドではソラがハンマーの攻撃を二刀流で受け止めている。傷をつけたソロが標的になるだろうと感じ、彼らにも一旦離れるよう声を上げた。

 

 

「わかっとる! ……あれ?」

 

 

 

 

ガッ、ガッ、と何か勢いのあるものを無理やり堰き止めるような音。

 

 

パッチワークデュオンは距離を離さまいと動こうとしたはずだが、上体だけが前のめりになって地面に伏す。よく見れば、向こう側も同じようになっている。

 

あっ、と向かい側、Wii Fit トレーナーが何かに気づいた。

 

 

「そりゃあ……そうですよね。同時に前に動こうとしたらこうなりますよね……」

 

 

オリジナルのデュオンは剣側と銃側同時に攻撃はできない。

 

その弱点は克服されたと思いきや、まったく別のところに弱点をつくっていた。

そして、それは光明。

 





◯タイトル
大神のラスボス戦。
同作品の他BGMと同様に和風系のBGM。ストーリーの展開も合わさって、感動と涙が溢れながら負ける気がしないボスに挑むことになる。全人類大神やろう。ゲーム部分は難しくないぞ!
みんなで決めるゲーム音楽の投票では、第2回のみ順位を大きく落とすも、そのせいかそれ以外ではほとんど5位以内をキープ。そろそろ殿堂入りにした方がいい気がする。


◯謎の声
「前まで謎声と狙撃してた者だよー。というか、それ以外でもしょっちゅう出てるんだけどね。え? ヒント? 仕方ないなあ、最初はル!」


◯パッチワークデュオン
コンセプトとしては、どこでも遠近対応。
追加装備として、打撃武器のハンマー、貫通性能のボウガンを装備。実はそれと見た目以外はあまり変わっていない。近づけようとした痕跡がある。
そして最大の変更点として、剣サイド、銃サイド、どちらも同時に攻撃可能。これは広い3D空間で戦うからこその変更でもある。


◯現在のピクミン
・隊列
赤:6匹 黄:7匹 青:10匹 紫:1匹 白:3匹 岩:2匹 羽:3匹


◯作者の気まぐれコメント
そろそろ今章も終わり、最終章に移るのですが……
みなさま、他の章がどこまで進んだとかどの程度覚えてらっしゃいますか?

日本はポケモンsvの番外編派、スプラのフェス派、久々にやりたくなったゲームがあるからパッケージを開けてみたら別のゲームが入っていて目的のゲームを探すのに苦戦した派の3勢力に別れ、混沌を極めていた……
みたいにうろ覚えの方がいらっしゃいましたら、次回の後書きで補足しようかなと考えているのですがどうでしょう?
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