大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
背後から力づくで押さえ込んでくるボディを肘打ちで退かし、ジャンプしたルカリオははどうだんを連射してボディ2体を沈める。
剣を受け流し、2人の木槌で止めたところにファルコンパンチで吹き飛ばす。
困らないほどはあったはずの聖水の残量が気になりはじめた程度には彼らは戦っていた。
「な〜んだコレは? 戻ってきたはずなのに景色は変わらずボディばっか!」
「愚痴を言っても状況は変わらんぞ。手を動かせ」
惑星PNF-404、哀しき獣の塔からからくも脱出してきたファイター。アイスクライマー、ルカリオ、シモン、キャプテン・ファルコン、リドリー、リュウ、キングクルール。
そして、スマッシュブラザーズではなくとも、縁あって共に戦線を張る、黄昏の世界のリンクとガノンドロフ、そしてアンブラの魔女の生き残りジャンヌ。
チハクの残したボディ達との混戦をからがら潜り抜けて大乱闘の世界に戻ってきた彼らだったが、そこもまたボディが蔓延っていたのだ。
「全て相手にしている時間はないか……!」
「どうにか切り抜けるぞ!」
疾風のブーメランでひとまとめにしたボディ達に銃弾の嵐。そして、魔神を呼び、巨大な体躯から真下へ大剣を一刺し。
『進むぞ!』
「……ジャンヌ。さっきの技は今は使わない方がいい」
「視線など気にしてる場合か」
「いやもっと……なんでもない」
リンクは口をつぐんだ。ベヨネッタも視線を気にしないどころか、どう魅力的に見られるかを意識していたような気がする。精一杯良いように言及したらだが。
男ばかりの上に子供までいる年齢の団体の中、平気な顔して露出を増やせる女性がいることを理解したくなかった。
「湖のところに行こう!」
「むらびと達がネッシー探すって言ってた!」
「そうだな。ここで起きたことも知っておきたい」
「OK! 先陣切らせてもらうぜ!」
ボディの相手もそこそこに、キャプテン・ファルコンが先頭に立つ。スピードとパワーを兼ね備えて先手を取るにはぴったりの人選だ。
足の遅いガノンドロフを殿とし、走っていく。
『……! キャプテン・ファルコン、前だ!』
「えっ? うおっ!?」
「いったー!」
ルカリオの声、まっすぐ飛んできた子供サイズの人影を思わずキャッチする。それはボディではない。トゥーンリンク本人だった。
「トゥーン!?」
「あー! みんなー! それに……ボクのよく知るリンクだぁ……!」
「ひさしぶり、トゥーン。でも、後にしよう」
受け止めた存在が仲間であること、そして一番身近であった頼れるお兄さんと久々に会えたことに大きな目が緩んでいく。
「そうそう! 一緒に来て! ジョーカーとマスターハンドを会わせなきゃなのにいっぱいボディが……!」
「え!?」
「なんでジョーカー!?」
『後でいい。加勢するぞ!』
加速していったルカリオが飛び込んでいった先、多くの仲間達とボディ達との混戦の真っ只中だった。
「わ、ル、ルカリオ!」
「ここで援軍か! 頼もしいな!」
ロックマンがはじめに気づき、モルガナのナビが彼らに伝わる。ネスとリュカが回復のPSIを飛ばす中、他の者達も合流する。
「リ、リンク!!」
「後にしろと言っている!!」
「無視されててドンマイ、おじさん!」
「どうでもいいわ小僧」
思わず本人に飛び込む子供達にジャンヌの叱責が飛んだ。
足元を斬りつけて体勢を崩させて、闇の魔力が宿った拳が突き刺さる。クローショットで無理やり引き寄せた敵を討っていく。
「よっ、リュウ! 普段とは違うがこういうのもいいんじゃねえか? Brun Knuckle!」
「竜巻旋風脚! もう少し、的を寄越してくれてもいいんだぞ?」
「ヘッ、言うねえ! より数を倒した方が奢ってもらうことにしようぜ!」
鍛えられた拳が、鋭く振りかぶる足が、雑兵のようにボディ達を砕いていく。少しずつ敵の数も減っていく中、鋭くも暖かみは消えていない、ドミノマスク越しの眼差しを見た。普段はちょっと茶化している相手。
「おっと、ジョーカー? おサボりは良くないぞ? えっーと確か……働かざるもの……」
「お前がサボりじゃん」
「フガッ!?」
こどもリンクに鼻を摘まれた。心底、可愛くねえ。生意気な子だってもっと可愛げがあるぞ。
頭は冷静でいたこどもリンクが、別の時間の勇者と魔王を見て少し顔を歪めながらも、状況を説明する。
「今重要なのがジョーカーなの。戦えないむらびとと、ジョーカーを守って、マスターハンドのとこまで連れていけばなにか動くはず」
「ごめんなさぁい!」
傘で目眩しをしながら、慌てふためくご本人。勿論こどもリンクに非難の意図はない。
足止めもされたボディをクッパが切り裂いていく。
「……! 湖に何かいるぞ」
「湖……ですか!?」
側の湖が波打つのをシモンは見てしまった。ネッシーの捜索隊が先程までを思い出して背筋に嫌な汗が流れる。どんどん荒れていく水面から、1匹の巨大な生物が浮上した。口から激しい激流を吐き出し、辺りを荒らしていく。
「プルオオオオオオオオォッ!」
「「ネッシー!!?」」
「トゥーン、トゥーン! シャッターチャンスシャッターチャンス!! ベルベルベル!!」
「明らかに敵意の目だってー!!」
誘われても登山のために諦めたネッシーを間近に見て大興奮。まだ金稼ぎを諦めていなかったのか。
「さっき倒したプレシアなのか!?」
「これが本当の姿ってことか……だが何度出てきても結果は同じだ、やっちまえオマエら!!」
再びあの少しずつダメージを与える霧を生み出し、視覚の妨害と同時に自分の戦いやすいフィールドをつくりだす。
「また……!」
「ふん、まともに相手をする必要もない。行け貴様ら。1人で十分だ」
「はあ? 何言ってんのこいつ」
ハンマーのように振り回した長い首をガノンドロフは受け止めた。そこへクッパがその剛腕で首を弾き飛ばす。
「な〜にが十分だキサマ! ワガハイはキサマに騙されたこと忘れてないぞ!」
「父さんを騙したぁ!? じゃあ誰がおまえの言うことなんて聞くか!」
「騙される方が悪いわ」
「もう! 喧嘩する余力は相手にぶつけてよ」
呆れかえるこどもリンク。頭が痛くなってきたのか抑えて言う。器用に剣でまだ残っているボディの相手をしながら。
「別に1人だけ残す必要ないでしょ。行きなよ。あの3人はぼくが面倒見てあげる。さっさとジョーカー連れてけ光の勇者」
「…………」
無言で並ぶリンク。
ため息で返したこどもリンク。
「逆にこっちの方が人数が必要だ。数人とそのジョーカーだけでマスターハンドととやらのところに行け!」
「だが……」
「だいじょうぶだよ!ジョーカーばかりにいい顔させないし!」
リーフシールド、スパークショック、フレイムブラストと次々と武装を変えてボディ達を翻弄する。その上では呼び出された魔人がプレシアを直接押さえ込んでいた。
「……わかった」
『ならば私も行こう。この濃霧を確実に抜ける』
視覚のハンデをものともしないルカリオが立候補する。後は治療可能な者と純粋な戦闘技術。
「どうだ? リュウ?」
「俺か?」
「パワーがあってもアイツらに着いていけなきゃどうしようもない。だが、オレはネッシー捜索隊の隊員だからな。こいつらを置いてはいけない」
「ああ、わかった」
「よっしゃ! ジョーカーくんを任せたぜ!」
背中を勢いよく叩き、リュウが受け持っていたボディも引き受ける。
「リュカ! 行って!」
「僕!?」
「回復とか、できた方がいいよ!それに他のみんなにも会えるかもしれないし……」
「……うん。それじゃあいく」
他のみんな。そうだ。
レッド自身は戦えない。この惨状で目の届かない者たちはどうなっていてもおかしくない。
時間稼ぎにしかならないここで戦うより、ジョーカーと共に行った方がいいだろう。
「プルオオオオオオオオォッ!」
「っ! みなさん!」
そうはさせないと激流を撃った先。ジョーカー達、そして合流を急ぐリュカとネスの背中が襲われる。しかし、それを2人は反応できた。
「PK LOVE!」「PK キアイ!!」
属性の存在しない広範囲のPSIが攻撃を打ち消す、どころかプレシアも大きくのけ反らせる。
そこへ顎から一矢が貫き、無理やり口を閉じさせる。
「がんばれっ!」
「うんっ!」
すれちがいにハイタッチでそれぞれに託す。
「やるじゃねえかボウズ!」
「うん、ありがとうネコさん」
「ネ、ネコじゃねえよ……」
「いくぞ」
託され託し、ファイターはゆく。
この世界をあるべき姿へ戻す為────!
◯タイトル
初代MOTHERのキャッチコピー。いわゆる名作保証。
本作に使うのちょっと恐れ多いですが、片手間でも構いませんので楽しんでください。
◯騙し騙され
亜空の使者にて、クッパはトワプリガノンに不意打ちでフィギュア化され、その恨みを晴らすがためにカービィの目の前でフィギュアのガノンに暴行を働いていたぞ! 亜空軍は一枚岩ではなかったが、もうなんか全員自分のことしか考えてなかったな!
◯PK キアイ、PK LOVE
MOTHER2、3におけるネス、リュカの無属性全体のPSI。
最初に入力するかっこいいものがそのまま名前になる。キアイとLOVEはデフォルトです。
◯各章のあらすじ
惑星PNF-404へ迷い込んだアイスクライマーは意見の違いから仲違い。哀しき獣の塔の上と下へ分かれ、ファイター達と合流しながら進んでいく。内部でチハクとボディ、そして原生生物に襲われるも、合流した2人は仲直り。「大乱闘の世界で、愚兄と共に待っている」と言い残して消えたチハクを追うために2人とファイター達は戦うのであった。
ネッシーの捜索隊を結成したこども達。それにジョーカーこと雨宮蓮などを巻き込みつつも、目撃されたという湖へ向かった。
そこでネッシーもといプレシアに散り散りにされ、戦う力のない蓮はペルソナが使えたらと悩みながら合流していく。しかし、重要なのは戦う力ではなく、力なくても持てる叛逆の意思であることを知ったジョーカーはマスターハンドが自分の内にいること、それでファイターの力を今唯一使えることを知る。
プレシアを倒した彼らはマスターハンドの肉体を探すべく、大きな光を放つ場所へ向かってみることにした。