大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「もー! かんべーん!」
「…………」
「よーやく振り切れたよ……なにあの集団? 絶望と希望のてんこ盛りみたいな面々だったんだけどー」
「…………」
「チハクのところはどうだった? あんな絶望メンツじゃない?」
「…………足を動かせ愚兄」
「ひどぉい!!」
涙目になりながら弟に縋り付く兄。
白い羽衣を纏う、ブラックピットのボディに宿る黒の眼差しの兄チゲン。
黒い羽衣を纏う、ピットのボディに宿る白の眼差しの弟チハク。
雷の魔法に反応した黄ピクミンが起こした光。 そこへ向かうべく戦闘から離脱した兄弟はからくもマリオやベヨネッタ、セフィロスやカズヤといったとんでもメンツを振り切ることに成功したのだ。
「あの光、つい追っちゃったけどなんだと思う? キクがマスターハンド見つけていればいいんだけど」
「……そもそも仲間が起こした確証もない。本当に愚かだ」
「う〜……」
さらにしょげていくチゲンはチハクに引っ張られながら進んでいく。
「あそこにいるのがさ、スマッシュブラザーズだったらどうする?」
「可能ならば捕獲する。当たりでなくても抵抗は防ぐ」
「うん……また戦って……」
「チゲン」
「ん?」
「悩むこともまた真意。しかし、私は踏み越えて進むことを選んでいる。
「兄弟、半身、片割れ、慰め、ひとり劇場……」
「会いたいのだろう?」
今度は大きく頷くとチゲンの足取りが速くなる。大きく、ちっぽけな願いを叶える為。大袈裟に大股にしていた歩行が止まった。
「いた……スマッシュブラザーズ……」
「……は?」
急転直下で急激に機嫌が悪くなっていく様は少しだけ面白いものがあった。しかし、それよりも見つかってしまったという考えの方が大きくて。
「なんなんだおまえらは……!」
「ウホッ!? また増えてる!?」
しかめっ面なのはブラックピットだ。 自身がコピーなのにも関わらず、さらにそっくりさんが増えていることにはらわたが煮えくりかえっている。
「まあ、落ち着いてくださいブラピ」
「ブラピやめろ」
「外見以外はあなたともピットとも関係がありませんよ。なんたってキーラ達の遺したボディに宿っているだけです」
本来プレシアが担当するはずだった彼らが飛ばされた世界。そこではボディに襲われることもなく、ましてや大乱闘の世界を制圧するチゲン達の一味もいなかった。
ルネに関してはビジュアルよりも中身や性格の方がインパクトが大きかった。
そのため、今の状況に関して1番情報がないのだ。彼らが敵なのか、味方なのかすらわからない。
ただ、ブラックピットにはそんなものは関係ない。オリジナルでもコピーでもない。偶然だろうがただ自分達と同じ姿でいるのが許せないのだ。
「会って早々酷い言い様だ、私達は望んでこの姿を選んでいる」
「弟とは同じがよかったんだよ~」
「知ったことかよ!」
制止も振り切り、ブラックピットは飛びだした。分離して二対の短剣となった神弓シルバーリップを振り下ろす。
ため息を吐きながら、指で九字を切るように円を描くとブラックピットの両腕ごと白の小石が縛り付けた。
「なっ……! テメェ!」
「猪のようにまっすぐ突っ込んでくるならとっ捕まえるのは難解ではない」
「すげー!! さっすが僕の弟!」
「やかましい愚兄、そこの辺りの石ころにでも相手にしていろ」
「うんにゃ~……」
涙を絶え間なく流すチゲンを押しのけて指と武器を握って戦闘態勢。それを受けてファイター達も同じように構える。
「先に突っ込んだのはブラピだが……」
「どちらにせよ有効的ではあるまい、やるぞ」
敵かもわからない相手に先に攻撃を仕掛けたのはこちら側だが、結局敵ではあったのだから。戦うことに戸惑いはない。
「兄弟……? ですが2人の本質は……」
何かを考え込んで悩むパルテナだけを除いて。それ以外は戦闘の域へ突入していく。
「とはいえ、この人数を相手にたった1.1人でまともに戦うのは愚策だな……」
「こんにちは半人前以下でふ……」
ぐっと近くにいるブラックピットを掴むとチゲンに押しつける。
「わっちょ、」
「盾だ」
「んだとテメェ!」
「えっ……うん……」
どうにか拘束を取ろうとするブラックピットを戸惑いながら受け取る。
「くっ、」
人質作戦。ピットのボディを使用しているチハクはなかなかに頭が切れる。人数差をどうにかする方法を手早く選択する。これで大半は動けなくなる。それを気にしない者もいない訳ではない。
「ふんっ」
「わっ!?」
ガノンドロフの振った剣が近くの木を切断する。重力に従い倒れていく木がチゲンの頭上に影をつくる。慌てて後ろへ飛び退いたチゲンの手からブラックピットが離れていく。
「無事か?」
「チッ、ああクッソ!嫌な真似しやがって!」
「愚か……」
「うえ……仕方ないじゃんか……」
と言いつつあまり悔しそうな顔はしていない。シャドウが受け止めたブラックピットを見る目は少し笑っているようにさえ見えた。だが、戦う腕に鈍りはなかった。2人して印を切り、合体技を振り回す。
「「
ならばと攻撃の密度で対抗の手段を取っていく。ただ密度の高い多くの攻撃が彼らを飲み込むように襲いかかっていく。
「カオスコントロール!」
シャドウが辺りの時間を歪めていく。自分達はそのままに、そして敵の2人は遅く。
「とっ捕まえるわよ!」
「うん」
弾幕といったレベルの攻撃も、遅くなればなんとでもなる。釣り飾りを避けるようにくぐり抜け、まずは頭脳派のチハクの肩に手をかける。
「ガッ!?」
『……』
「えっ、」
ちょっと漏らしたような驚きの声は誰のものだっただろうか。
シャドウを蹴り飛ばした少し薄めの青の影。カオスコントロールの影響下にないボディ。横槍を入れられた結果、カオスコントロールが解除される。
「えっ、あれ? ボディがなんで?」
「…………どうやら誰かが手をだしたようだな。誰かまではわからないが助かった。あんな技が使えるとは思わなかったからな」
『…………』
彼らも知らなかったボディ達による助太刀。だが、今となってはありがたかった。ソニックのボディの他にも10体ほどのボディがいる。
「どうやら中身のない人形のようです。手加減する必要はありませんよ」
「ハナからしておらぬわ!」
腕で剣を受け止めつつ、ボディを殴り飛ばしていく。卵を足下で爆発させてすっころび、別の誰かが蹴り飛ばしていく。単純な混戦だが、そうはさせないと飛んでくる黒い小石。白い小石でできた壁。チゲンとチハクが随所でサポートしてくる。たまに黒い方が誤射していることもあるが、相変わらずである。
そこでチハクの矛先が戦いに参加していないパルテナに向く。
「それで、お前は? 助言をした様子を見るに戦意がないわけではないだろうが」
「少し疑問があるだけですよ。あなたも他と同じ。中身があるように見えて、まるで2人……いいえ、1人です」
むすっとした顔、チゲンは完全に支援の手を止めて慌てている。
「何が言いたい」
「あなたは、一つの独立した存在ではない。ホムラとヒカリと同様に、1人の存在が分裂したものではないのですか?」
気の毒になるほど真っ青な顔のチゲンと対称に、チハクは不快さを隠さなかった。
◯タイトル
ゼノブレイド2 第五話のタイトル。
シンの正体やカスミなど、イーラ関係の謎が明らかになる話。
ホムヒカが自由にバトンタッチできるようになるのもこの話。
字の意味としては、動きや思考の自由を束縛するもの。
今話でブラピが簀巻きにされたが、これとそれは偶然の一致です。
◯チゲンとチハク
ねえ、なんでしっかりしているチハクが弟なのかな?
ねえ、なんでチゲンの方が最終的な行動指針を決めてるのかな?
ねえ、なんで世界を隔てたところからチハクだけにチゲンの声が届いてたのかな?
普通の兄弟じゃないよね?
◯4章のあらすじ
誰も知らないモンハンの世界に飛ばされたファイター達。
そこで現地人から噂話で情報を聞きつつ、合流したシャドウとシャドーカービィの案内で謎の男が残したという情報を狙う。
卵に紛れており、それのためにリオレイアと他の卵を討伐しながらもなんとか会得に成功。最終的にはルネが人力で情報を伝える中、唯一襲われてこの地に来たクロムとそれ以外の違い、そして彼の言う盟友の存在というインパクトを残し、現地の者に見つからないようにその世界を後にするのだった。
◯作者の気まぐれコメント
ちょっとやりたいことがあったので今話ちょっと手抜きです。
まあ、オリキャラの謎に重点を置く話だからまあいいか……
連載向いてないのかもしれないです。