大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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126話 The 13th Struggle

 

「さて……ここからどう探そうか?」

 

 

ステージを抜けて大乱闘の世界に戻ってきたのは、キクの創り出した世界にいたファイター、サムス、ピット、ダークサムス、マルス、プリン、しずえ、ミェンミェン、ディディーコング、スティーブと、その協力者、リンク、ゼルダ、クリス。

そして、ステージを巡り、ボディとキク本人との激戦を繰り広げたフォックス、リンク、イレブン、パックンフラワー、パックマン、ゼルダと、彼らに合流したエイトと8号。

 

 

「ケンキナ見つけて、ジョーカー見つけて、マスターハンド見つけてジョーカー連れてって……やること多いなもう!」

 

「くっつけるなヨ」

 

「ここは何人かにわかれたらどうでしょうか? 人数が多いと動きづらいでしょうし……」

 

「しかし、何も考えず人数を減らしてもできることが少なくなりますし……」

 

「ここはバランスが重要ですのね。ボディもどの程度いるかわからないもの!」

 

「似たような口調を3連ちゃんだと誰が喋ってるのかわかりづらいなぁ」

 

「口見て声聞けヨ、まったく……」

 

「誰でも声聞けると思うなよ!」

 

「なんで責められてるネ……?」

 

 

しずえが言うことももっともだが、(ファイターではない)ゼルダが言うように、人を分けることはその分選択肢を減らすことでもある。

対応できないほどのボディが出て終わり、なんてことが起きないよう、(ファイターの)ゼルダのバランスさは重視しなければならない。

 

 

「ア! アレハ……!」

 

「別のステージに移動する時の隙間……みたいなものだね……」

 

 

どこか別の場所に繋がる空間の歪み。垣間見える日光が遮られて、向こう側から潜ってきたのは見知った顔達。

 

 

「むっ、お前達は……」

 

「メタナイトにアイク! それに……」

 

「オレさまもいるぞ!」

 

「キーッ!?」

 

「ウルフェンが突撃してきたー!? 緊急着陸緊急着陸!!」

 

 

カービィ、シュルク、デデデ、ソニック、アイク、メタナイト、ウルフ、ガオガエン。

そしてバンダナワドルディ、ティーダ、シオカラーズの2人。

プププランドでリヴァイアサンのおこした大雨による大洪水。それに巻き込まれ、巻き込まれに行った者達。ちょうど彼らの帰投した位置が近くだったのだ。

 

 

「これでできることも広がる……あれ、8号、どうしたの?」

 

「アワ、アワワワワ……!」

 

 

体を竦めて逸る心臓を抑えるように胸元を抱くように握りしめる。しかし、エイトの背後に回っても気持ちは抑えきれてないようだ。

 

 

「あれ? タコの子もおるね」

 

「あ、ホントだ! もしかしておじいちゃんの言ってた……」

 

「ワー! アー! ワーワーワー!?」

 

「あー!? ちょっとどこに行くの!?」

 

 

ついに体から飛び出た憧れ。思わぬ出会いに全速力。顔を両手で隠しながらどこかの彼方へ逃げ出していく8号。それを背景にスマッシュブラザーズは再会の喜びを短いながらも堪能していた。

 

 

「無事だったようで何よりだ」

 

「まったくだぜ。プププランドに来たと思ったら、あちこち水ばっかでもう勘弁!」

 

「ソニック水とかダメなんだっけ。そっちも色々あったんだな……」

 

「そんな茶番は後にしておけ、どういう状況かだけ簡潔に教えろ」

 

「ちゃめっ気なし子? まいいけどさ」

 

 

こうして再び説明する。探さなければならない3つのこと。

 

 

「それでウルフウルフ、ものは相談なんだけど」

 

「なんだ」

 

「フォックス乗せてフライアウェイ!」

 

「は?」「はあ!?」

 

 

リンクのすっとんきょんなアイディアに当事者2人は思わず大きな声を上げる。リンク本人は知らぬだろうが、それを実行したことはある。なので可能ではあるのだが。受け入れられるかは話が別で。

 

 

「空から探す方が効率がいいのは認めてやる。ただコイツを乗せる必要性がねえだろ。追い詰められて中身もふざけ始めたか?」

 

コックピット(あんなもん)の中に入ったら真下とか見れないじゃん! 別にオレがくっつくこともできるけどオレはまあ普通に考えてゼルダ様と一緒が世界の真理だし。あ、あとカービィもいけるか!」

 

「中盤息継ぎしろよ、怖えよ……」

 

「あ、カービィ……」

 

 

マジトーンの混ざったリンクの言葉が終わった途端に、シュルクの肩から飛び降りたカービィがウルフェンの左翼にしがみつく。そしてフォックスの方向を向いて、まだ?と言わんばかりにこっちを見つめてくる。

 

 

「…………終わったら大乱闘のタイマン、付き合うからな……」

 

「…………振り落とされても止まんねえぞ」

 

 

渋々、ではあったものの、引き受けることになった。時間が経つたび状況は悪くなろだろうという懸念もあるのだろう。右翼にフォックスが立つと、上昇したウルフェンが空を切って飛んでいく。空には小粒のようにも見える、飛行するボディの姿が。

 

 

「ハイドラは機動力に難があるために使えなかったが……流石に空中戦で兵器がボディに遅れを取ることはないだろう」

 

「それで、結局どう分けるって話だったんだけど」

 

「世界ゴトニ分カレタ分ケ方デイイダロ」

 

「「え〝」」

 

「揃エルナりんく共」

 

 

ゼルダ様と一緒で、姫さんをほったらかしにするのは心配だけどゼルダさんには僕のアイテムを貸している、などとギャーギャー言う中で、フォックスも含めた3人抜けたステージ班の者達に、ナイトの一族のリンクと封印の巫女ゼルダを混ぜることで話はまとまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれほど戦っただろうか。

強く得物を握った手は、手汗もないのではないかと錯覚するほど冷たく、まるで血の巡りが届いてないかのようだ。

 

 

「やめろッ!!」

 

 

やみくもに近いような振り方で、ボディが被るヘルメットを強引に破壊した。さらに超至近距離からのファイガ。

戦いが雑になっていることに自覚はあるものの、気持ちを折ってしまえば、きっと膝をついてしまう。

 

電撃を受けて痺れる体を無理やり動かす。癒しの魔法はできる限り温存したい。自身のそれは連発ができないのだから。

 

 

「ひ、酷うなっとる……なんでボス倒した後の方が敵多いねん!」

 

「あの光……思った以上に遠くまで届いたようだな……!」

 

「……あっ……オレのせい……?」

 

「いや……黄ピクミンの発光を舐めていたのは私だ……だが、尻拭いも難しい……!」

 

「クゥ〜ン……」

 

 

マスターハンドの体が横たわる場所。それを守護することになったファイター達。

 

オリマー、ダックハント、Mr.ゲーム&ウォッチ、ミュウツー、クラウド、Wii Fit トレーナー、ソラ、4号にソロ。

 

パッチワークデュオンを倒してもここからが本番だと言わんばかりに増え続けるボディ達に、まずダックハントが限界を迎えた。

 

次に動きまくった4号が落ち、ピクミンの数が一桁を切った辺りで、今更Mr.ゲーム&ウォッチがピクミンがいないと落ち込んだ。

それでもとくらいついていたオリマー、Wii Fit トレーナーが岩肌にもたれて戦線離脱。

次はソラか……と薄々感じ取っていた時のことだった。

 

 

『ボディが騒がしいと思っていたら……マスターハンドの肉体がこんなところにあったとは……』

 

「えっ?」

 

 

今までにない声。ダックハントのトリオでもない声。機械を通したようにくぐもった声は少女を雑に抱えた男から聞こえてきた。

 

 

「ルフレ……じゃない、誰だ貴様は……」

 

『ダブル……虚無の残骸……とでも名乗っておこうか』

 

 

はじめはルフレのボディが喋っているだけに聞こえた。

 

しかし、その顔全面に機械でできたかのような仮面のようなものがついており、表情は読み取れない。

明らかに敵であるというのに、少女キクを抱えている異質さもあるのに、それでも敵意よりも不気味さが勝って、戸惑いと動揺がおさまらない。まるで生物らしさを感じないチグハグさ。

熊の人形が失った手足の代わりに、ウサギや犬のぬいぐるみの手足をくっつける方が、まだ生命として違和感はないだろう。

 

 

『ファイター、か。安心しろ。お前達を叩き潰すのは後だ。創造主を特等席に案内してから、目の前で作品を叩き壊すつもりだからな』

 

『何を、言っている』

 

『後でこの世界ごと破壊してやると言っている』

 

 

字面通りに受け取ったのか、それともわかってて皮肉のために言い直したのか。

 

 

「……正直、お前の言ってることはほとんどわからない。でもオレは帰らなきゃいけないし……この世界も同じように大切だから……破壊なんかさせるか!!」

 

『痩せ我慢か? 知ったことではないが……』

 

「……っ」

 

 

ダブルは戦闘を続ける体力がほとんど残ってないことを指した。

しかし、ソラにはまるでまだ帰れない状況が、自分の知る仲間がいない寂しさを突かれたかのように聞こえて、わかりやすく動揺した。

 

その様子を不安がって、戦闘と警戒を続けながらもクラウドが側によった時、心底呆れたと言わんばかりの動きを見せたダブルが手をこちらへかざした。

 

 

『"マリオファイナル"』

 

「えっ……」

 

 

その言葉を言って、その意味を理解できなくて。

しかし、よく知った灼熱が彼らを襲った時。

よく知る最後の切りふだがダブルから放たれたことを知った。

 

 

「……ッ!?」

 

「……! クラウドッ!?」

 

 

ファイターボディ問わず、岩肌に叩きつけられ、クラウドが咄嗟に庇ったソラ以外が倒れる。

 

 

「あ、んた……なんで、そのまま、で……使えるのよ……」

 

『そう、()()()からだ』

 

 

血まみれで道路に横たわっていた時、

ドッペルゲンガーの力を受け継いだ時、

寿命が短いと知った時、

 

例え今までの自分を全て無くしてでも生きたいと願った。

 

記憶をなくし、性格をなくし、人格をなくし、

趣向をなくし、名前をなくし、自分をなくし、

過去をなくし、未来をなくし、現在をなくし。

 

そして、役割をなくした。

そうして生きてきた。誰かに成って寿命を奪って、ただ未来を伸ばし続けた結果、なくした自分を欲した。

 

だから誰かには退場してもらいたかった。

ない自分を持つためには、誰かに成るしかなく、それを自分とするためにはその誰かはいなくなって貰わなければ。

 

それが逆立ちしても叶わないなら、

それが叶う世界をつくるし、叶わない世界は必要ない。

 

 

しかし、ドッペルゲンガーに自分がないならば。

その存在を曖昧にしてしまえば、誰でもない誰かにはなれる。

 

今、ダブルは誰でもなくて誰でもある。

誰でもない存在でありながら、誰でもあるのなら、この姿のままに、彼の知る全てのファイターと全ての者達の力を使える。

 

 

『さあ、次はどうする? "古代兵装の弓矢"か? "ウルトラソード"、"ボルテッカー"もいいが』

 

「うっ……」

 

『安心しろ、前言撤回をするつもりはない』

 

 

マスターハンドの体が横たわる洞穴の前へ行くと、その入り口をぐにゃりと歪ませる。

その先が何も見えぬ暗闇の地へ変わっていった。マスターハンドの姿はない。

 

 

『マスターハンドを連れてこい。それまで退屈だろう? ボディと遊んでいてくれ』

 

「待て……!」

 

 

ダブルの姿が消える。

入り口をゲートとして、違う場所に繋げたのだろう。今の状況では追っても結果は見えている。

満身創痍の仲間がいる。ボディから守らなければ。

 

 

『…………』

 

「今はやるしかないのか……!」

 

「くっ……きばれ!」

 

 

痩せ我慢。

その言葉を振り払いながら、歯を食いしばり。

ソラはボディ達へと突っ込んでいく。

 





◯タイトル
KHシリーズに登場するBGM。
13番目の戦い、という名もあり、XIII機関員の汎用ボス戦BGMみたいな立ち位置。たまに機関員以外でも鳴ったりする。
リマインドの再現データ戦では、専用BGMのないラクシーヌとルクソードがそれぞれアレンジをもらっている。同じ曲を別々のアレンジされてるの結構好き。


◯New!カラストンビ部隊とテンタクルズ達のあれこれ
サイドオーダー進めてて、テンタクルズと4号に面識……とまではいってなさそうでも認知してたのが意外でした。
もしかしたら、8号もシオカラーズと直接会ったりしてるかもしれませんが……反応が面白そうなので本作の設定では今話が初対面ということになってます。


◯それぞれの章のあらすじ
・2章
大乱闘の世界で研究を進めていたシュルクは、プププランドで大洪水が起きていることを知った。それを伝えてくれたソニックと共にプププランドへ乗り込む。メタナイトの助力もあって、洪水を引き起こしている原因、ルネを見つけ戦闘になるも逃げられる。召喚した召喚獣リヴァイアサンをカービィが退け、ルネを追うために大乱闘の世界へ戻るのであった。

・11章
大乱闘の世界に残っていたオリマーは、倒れて反応のないマスターハンドを見つける。そしてそれらを狙うボディをどうにか相手をし、仲間を探す中、合流したミュウツーからマスターハンドの意識は体にないことを知った。
体だろうが守るべきと考え、度重なるボディの襲撃を退ける中、ルネの用意したありがた迷惑、ではなくパッチワークデュオンという大ボス。それらも退けたが、黄ピクミンとギガディン、サンダガが反応し大発光。ボディをさらに引き寄せることになったが、同時に味方も引き寄せる標となったことを彼らはまだ知らない。
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