大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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12話 アナザーディメンションヒーローズ

 

「ベホイミ」

 

 

体の芯からじんわりと湧き上がる暖かさ。

木の葉や枝に掠ってできた細かな切り傷ごと、体の疲労が抜けていく。鈍重だった自分の動きに速さが戻っていく。

 

 

「あり、ありがとう」

 

 

とりあえずそれを言っておく。鈍い頭ではうまく機能していないが。

 

 

「大したことはしていない。ボロボロのおまえを放ってはおけないさ。」

 

「はあ…」

 

 

逆立って上に伸びた頭髪。銀色のサークレット。どうしてだろう、どこかで見覚えがあるような。

 

 

「っ! これは…」

 

「まず…い…!」

 

 

2体ほどの敵。生き残りがいたのか、囲まれてしまった。

足に力を入れて立ち上がる。どうにかこの男性を守らなければいけない。未だ震える手を無理矢理抑えてスプラシューターを構える。

 

 

─足止め以上のことができないということだぞ?

 

 

引き抜こうとした引き金を止めてしまう。

 

 

─ こいつの命が惜しくなければ戦えばいい。

 

 

息が荒くなって、水の中にいるような感覚に陥る。

 

 

─ インクリングを、お願い

 

 

だめだ。動けない。やられる。

 

 

「はああ!!」

 

 

男性が兵士を斬りつけた。返しの剣撃を盾で弾き、剣で貫いた。

 

 

「まだまだ! ライディン!!」

 

 

背後から迫っていた拳をかわし、雷の呪文で焼き焦がす。兵士二人はやがて完全に見えなくなった。

 

そうか、どこかで見たことがあると思ったら。

あの剣と盾、イレブンのものに似てるんだ。

同じ世界の人。おそらく彼の過去か未来の人。

同じように勇者の名前を冠した。

 

 

「…強いなあ」

 

「おまえは…」

 

「せめてこんだけ力があったら…」

 

 

実力不足で嘆くこともなかっただろうに。

誰かを終わらせる恐怖を踏み躙るほどの力があったら。

 

 

「いや… あったよ… そんな力。あたしが意識してなかっただけだ… 全然考えたことなかった!! 自分は正義のために戦ってるんだって! 相手のことなんか考えたことなかった!!」

 

 

ずっと同じことをしてたのだ。

あまりにも無知なだけだった。

残酷だった世界に対して、あまりにも純粋だっただけだった。

 

 

「責任なんて、感じたことなかった…」

 

 

セイギのギセイを見てこなかっただけだった。

 

 

「…犠牲になる人が出るのはどうしようもないことだ。相手だって、信念のために戦ってる。それが善か悪かは関係なく、敵のとっての正義と対立するなら、必ずどちらかに犠牲が出る。」

 

 

風が、インクリングのゲソを揺らす。

名も知らない男の言葉に聞き惚れるように、木の葉も揺らめいた。

 

 

「大事なのは… その犠牲を無意味なものにしないことだと俺は思う。」

 

「無意味って…! 死んだら、終わりなんだよ!? それこそ」

 

「違う」

 

 

ばっさりとインクリングの話を遮った。

男性の目は優しさを交えながらも、厳しさを含めた、厳格な父親のような印象だった。全ての誤魔化しが効かないような。

 

 

「…なあ、名前はなんだ?」

 

「……………インクリング。えっと、」

 

「アルスだ。俺はバラモス… 魔王を倒すために旅にでたが、その道中で魔物を倒した。たしかに個体としての命は俺が終わらせてしまったんだろう。」

 

「あっ…」

 

 

ロイは、カムイは、自分の世界で人の命を奪っていたのだろうか。

同じ勇者のイレブンは、同じように魔物を倒していたんだろうか。

 

無意味、本当に無意味なのか?

彼らは成し遂げたことがあるじゃないか。

 

 

「でも、その分俺は強くなって、それで魔王を倒せた。魔物からすればそれは不本意だろうが、俺にとっては、無意味になっていない。そう感じる。」

 

「それが、責任、なのかな」

 

 

自分はどうする?

自分を逃そうと戦って死んでしまった名前も知らない男性。自分を守るために自らの身を差し出したロイ。

 

それを、本当に無意味にする気なのか?

 

 

「アルス」

 

「ん?」

 

「君さ、どっちの方角から来た?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの世界、どこかの場所。

二丁拳銃から、ピンク色のインクがとびだした。それは敵の足元に当たる。インクに足をとられ、動きの遅くなった敵を、イオラで周囲ごと蹴散らした。

 

 

「フウ〜! 即席のコンビにしては、ウチらイカしてるんちゃうか?」

 

「少なくとも悪い相性ではないな」

 

 

大量の敵に囲まれながらも、二人は手堅く戦い、無理せず引いている。

たまたまここに来て、敵に囲まれたのは不運だった。だが、仲間となれる人物に会えたのは幸いだったろう。今は二人で事情を知るものを探しているのだ。

 

 

「よっしゃ! やったるで! ソロとウチでコテンパンやわ! タッグマッチやでー!!」

 

「4号… 私は人間なのだが…」

 

 

いまだ、佳境にも入らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「8号、少しよいか?」

 

「ハイ、エット… ペッピーサン。」

 

 

グレートフォックスの操縦席に集められたのはオクトリングの元被験体No.10008改め、8号だった。

 

グレートフォックスは先にフォックスとファルコを送り、その後この世界にたどり着いた。そこで敵に奇襲をかけられ、結果、墜落したグレートフォックスに、同じようにこの世界で迷った者の拠点となっている。

グレートフォックスを直しながら。

 

 

「少し頼みたいことがあってだな…」

 

「…! ハイ! ヤリマス!」

 

「ぬおお!? 見たことないほど純粋な目!!」

 

 

一も二もなく了承した8号にペッピーの方がたじろいだ。

 

 

「ハチのやつ、なんにもできねーの随分気にしてたんだな」

 

「自分も何もできてないのに偉そーに」

 

「まあまあ、適材適所、ですよ」

 

 

操縦席の一つにふんぞりかえるヒメに毒を吐くスリッピー。機械系に詳しいスリッピー、イイダはグレートフォックスの修理に回っていた。そして、もう一人、

 

 

「ったく、フォックスもファルコもどこに行ったんだか…」

 

「その二人も動けないんじゃないんでしょうか?」

 

「ほう、その根拠は?」

 

「ピクミンの力を借りれないんです。きっとオリマーさんが100匹のピクミンの力を使っているんです。限界まで使っている… ということはよっぽどのことがあったんでしょう。きっとその人達も…」

 

「それじゃあわかんないよ〜」

 

 

ドレイク号の若きエンジニア、アルフ。

オリマーと同じくピクミンの住む星への来訪者だった彼は知っている。地上には100匹までのピクミンしか出せない。この世界で自身がピクミンを1匹も扱えなかったということはつまりそういうことなのだ。

 

 

「あー、話を戻すぞ。おまえさんに頼みたいことというのはな、誰でもいいからスマッシュブラザーズにこの現状を伝えてほしいのだ」

 

「8号さんのnamaco端末にある映像を送りました。それを見せれば状況がわかると思います。」

 

「了解シマシタ」

 

「ちょっと待って」

 

 

早速行こうとした8号を引き止める声があった。操縦室の扉が開き、8号の隣に立つ。

 

 

「僕も行くよ。ここに残ってても何もできそうにないし。」

 

「うむ、なら二人で行ってもらおうか」

 

「ア、アノ」

 

 

恐る恐ると話しかける。オレンジのバンダナが特徴的な穏やかそうな顔。こちらを振り向き、笑顔で答えた。

 

 

「僕はエイト。よろしくね」

 

「ハイ、ヨロシクオ願イシマス!」

 

 

差し出された手を握り返す。

友情を深める裏でスリッピーがヒメを煽っててんやわんやしていた。

 





○タイトル
星のカービィ スターアライズの無料アップデート第三弾で追加された新モード。カービィ+ドリームフレンズをとっかえひっかえしてフレンズハートを集めながら、超強化されたボスを倒しに行くモード。フレンズハートが足りないと…? ギャアアアァァァ64のトラウマがああああああああああ


○3とIII、4とIV、8とVIII
この偶然の一致に気づいた瞬間からペアは決まったようなものだった。


○アルス
ドラゴンクエストIIIの主人公。個人的には小説ネームのアレルが馴染み深い。更にVIIとかぶるためアレルにしようかなと考えていたが、このスマブラの世界に置いて名前被りなど今に始まったことではなかった。
この作品の設定として、無愛想ではあるが、口数は少なくないという設定がある。


○4号
スプラトゥーン2 ヒーローモードの主人公。格好としてはパッケージに映っているピンクショートの子。関西弁の陽気な子だが、作者は関西弁に詳しくないので間違ってても許してください。ヒーローマニューバ、ヒーローシェルターとスプラトゥーン2で初登場したブキを所持。
どうでもいいが、彼女は3の新主人公である後輩に数字を抜かれることが確定している。


○ソロ
ドラゴンクエストIVの主人公。一人称私の冷静勇者。実は一人称私は完全な作者の創作ではない。勇者三人の一人称をバラけさせたいのが本音ではあるが。


○8号
スプラトゥーン2 有料ダウンロードコンテンツ、オクトエキスパンションの主人公。タコらしく真面目だが、少し熱くなりやすい子。作者の前作でも少しだけ登場。何故か彼女が見ているとインクリングは化ける。イカの言葉は未だ不慣れなので片言。ブキはスマブラでインクリングが使用しないブキ種とオクタシューターを所持。他二人と違ってヒーローブキではありません。


○エイト
ドラゴンクエストVIIIの主人公。穏やかで心優しき青年。ED後なので結婚済み。呪いを弾く体質だが、それよりもこの作品においては味方を完全回復させるベホマズンがチート級。余談だが、企画段階ではDQ主人公が雑談をするスレの設定をそのまま使おうとした時期があった。アルスはニートでソロはトリップし、エイトはチーズ狂になりかけた。作者が正気に戻ってよかったね。


○ペッピー
ペッピー・ヘア。スターフォックスに所属する年配のうさぎ。フォックスの父親とは旧知の仲。コーネリア軍の大将にもなるが、ぶっちゃけ作者がスタフォの時系列をご存知ない。


○ヒメ、イイダ
テンタクルズの二人。ヒメは幼い頃からの騒音?であり、オクトエキスパンションではトドメも決めている。イイダは8号と同じ、地上を目指したタコ。発明家として優秀で、2のミステリーゾーンやみんなのトラウマタコドーザーをつくったのも彼女。


○スリッピー
スリッピー・トード。スターフォックスに所属する、フォックスの士官学校からの友達。エンジニアも担当し、彼が敵機体の解析に回ることも。作者の前作でグレートフォックスを修理したが、今回もまた修理に回ることに。天文学的損失。


○アルフ
ピクミン3の主人公の一人。ドレイク号の若きエンジニア。コッパイ星は三人の専門家をよこしたと言っているので、若いが優秀なのだろう。原生生物が飲み込んだ携帯をレーダー機能に取り込んだりしてる。一日の終わりの日記は彼がはじめた。ピクミンの力を借りれないので現状戦闘ができない。


○今話
休憩回。間話ですね。一章に一話、たまに入れます。ちなみにインクリングとアルス以外は違う世界の話です。


○年末年始の早期投稿
前話の通り、投稿しました。また、正月辺りにテレビゲーム総選挙の結果を踏まえた、「テリー・ボガードはテレビゲーム総選挙の結果に物申したいようです」といった短編を投稿予定です。


○ピクミン
ピクミンは地上に100匹までしか出せない。アルフはピクミンを呼び出さない。この意味がわかるかなぁ?(ニチャア)


○年末のご挨拶
今年の投稿は終わりの予定です。皆様、良いお年を。

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