大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
「はあ……はあ……」
ギリギリだった。
剣術などやったことのないチハクには、そこそこの長さを持つ刀を扱う自信はなかった。
カオスコントロールの影響下なら当てられたが、ではその影響を与えるためには存在の不明瞭な奴を対象にしなくてはいけなくて、そのために……いや、もうそういうことは考えたくない。
大口は叩いても、割と筋道は曖昧だった。単独では確実に返り討ちだっただろう。
「……おい」
「わかっている……手を貸せと言うのだろう? いいさ、愚兄の友を死なせるつもりはない」
ガノンドロフが首元へとあてがう大剣。その反応は予測していた。よく、戦闘の中で連携を取ってくれたとさえ思う。
「……いいのかい?」
「拒否する理由はない。我々はハナからそうするべきだったのだ。完全ではなく、不完全な融和……隣の知人が牙を向く保証を拭わなければ気が休まらぬなら、最初から個人で戦うべきだったのだ」
「?????」
「つまり、保険のためにこんなことを?」
「ボディの肉体をフィギュア化する可能性を無くしたかった……それだけだ」
「?????」
バンジョーとインクリングがクエスチョンの花を頭上に咲かせている中、カムイは安堵の顔。少しばかりの笑みを浮かべた。
「……うん、ありがとう」
「気にするな。しかしこの状況……私達が離反するより先に誰かが計画の脇道へ入ったな。プレシアはこれほどのことは出来まい。キクかダブルか……ルネか? 奴は底知れない」
「とりあえずおまえの知ってることを全部教えろ。もしくは……ボディ取り換えろ!!!」
くわっと、目を見開き、指をさしてブラックピットは言い放つ。パルテナはため息である。
「おまえのボディを使っていたのは愚兄だが」
「瓜二つなのが更に増えるのが気に食わねえんだよ!!」
「はいはい、先行きましょうね〜」
ズルズル引き摺るパルテナを先頭に彼らは進む。
「(……うん……僕も行かないと。)」
また、会うために。
息が整わない。
どれだけ戦っているのか、あれから何体のボディを葬ったのかわからない。
でも、ああ、でも、まだ敵がいる。
討たなければ、戦わなければ。
チャリとチェーンが擦れる音。
剣先を地面に突き刺し、支えにして立ち上がる。
よろめきながらキーブレードを天に掲げて、癒しの魔法を唱えた。
「……ッ!!」
白と赤の混じるキーブレード。
己の服が白く輝いて、手には虹の刃を携えた剣。宙へ浮かぶ周囲には結晶のような非実態の剣。
「うおおおおおっ……!!」
戦いの中で他のみんなが放つ声があまりにも遠くて。まるで水の中にいるようなくすんだ声だった。
手の動きに対応して1人でに動くオートアサルト。縦2列に並んで交差するように切り刻み、刃から放たれる光線。
『痩せ我慢か? 知ったことではないが……』
振り払うように心を闘争へ傾ける。
ああ、そうだ。
最初の冒険の際、リクと別れた時とは違う。
希望は見えない。頼れる友達も隣に居なくて、1人っきり。
この世界だからこそ会えた友達はいるのに、誰と居ても名状しがたい孤独感はどうしても拭えない。
だから今側にいる友達と共にいたい。1人が事実でも誤魔化したい。
前に進むことで、今も失うことがとても怖かった。自分の置かれている状況から目を逸らすことで、楽しいことだけ見ることで現実逃避していたのだ。
痩せ我慢──奴の言うことはああ、正解だ。
『キミが元の世界に帰れなくなるかもしれない』
『キミ自身がこの世界から消えてしまう……力が失われるから元の世界には戻れなくなる』
『さようならソラ、おまえは──この世界から──!』
「……うわっ!?」
『…………』
宙の高くに飛んで、戦いのみに集中していたために足を掴まれるまで気づくことができなかった。
巨大な衝撃に足首から上が後ろへ逸れ、声も上がらない悲鳴。強大なビームのようなものを真っ向から受けたのだ。それでも足首は掴まれたまま。
「ソラ!? ぐっ……!!」
『…………!』
「あかん!?」
痛む体に鞭打つクラウドも、ガノンドロフのボディとの鍔迫り合いを振り切れない。
距離が近く、ソロの魔法は味方にも当たる。回復だって、戦士が足りなければジリ貧である。
動ける人数ももう僅かだ。
走る、足音がする
「どりゃあああッ!」
「わっ!?」
スライディングで敵だけを吹っ飛ばした赤色。背中を強かに打ち付け、すぐに体を起こす。
「うーん、なかなかいいタイミングだったよね! 大丈夫? ソラ」
「……! あ、ああ」
差し出された手を握り返して、自分の足で立つ。
自分が最後のファイターならば、彼は最初のファイター。
「マ、マリオさぁん……!!」
「待たせてごめんね! ボクが来たからにはもう大丈夫!」
マリオの隣へと並び立つ、ピーチ、ロボット、ベヨネッタ、ベレト、セフィロス、カズヤのファイター達。
そして、ギザみみピチューにウクレレピチュー、マリア・ラーネッド。
「……その男まで、連れておいて。どういうつもりだ?」
『アー……そうなりますヨネ……』
「敵に振り切られた」
あくまで淡白に、ベレトが代わりに言った。
クラウドとセフィロスの間に並々ならぬ因縁があるのも、セフィロスとカズヤがこういった時に足並みを揃えるはずがないという共通認識もごともっとも。ゆえに短く事実だけを伝える。
人が増えたことによって、ソロがベホマラーで癒す隙ができた。しっかりとした足腰で合体剣を構え直した。
「苦戦しているようだな」
「あんたの剣は借りないさ」
クラウドの身を守るように周囲を飛ぶフレア。光の障壁が足場になり、高所からの攻撃を可能にした。近づく敵はクラウドへ攻撃する前にフレアに焼かれる。
「ええっー!?」
「喧しいガキ。雑魚の掃討もできぬなら何処とでも帰れ」
「なんで、カズヤもセフィロスも!?」
まさか、こんな形とはいえ、共通の敵へ共闘するなんて。不満はあっても連携に支障は出さない。そこまですら行くとは思ってなかったのだ。
「事が思った以上に大きくなったまでのことだ。あの神を捩じ伏せるまでこの世界には保ってもらわないと俺が困る」
「クラウドに会う手段がひとつ減る」
「………………」
背後で微妙な、絶妙な顔をするクラウド。何か言いたげだが、言ったところで何が変わることもないのだろう。
どちらも自分本位。可笑しな物を食べた訳でもない。この戦況を潜り抜けても、大して変わってないのだ。
「ああそういえば! 先程黒幕らしいのがどこかに空間を繋げた!」
「ワープゲートかしら? どうして行ってないの!?」
「んな余裕ないわ!」
傷も癒えて、オリマーが、4号が、Wii Fit トレーナーが、ダックハントが加勢していく。
洞穴の中、彼らがいたその背後には、器だけのマスターハンド。その更に奥にはダブルが創り出したどこに繋がっているかもわからないワープゲートのようなものがあった。
それを聞いたカズヤが舌打ちをする。側にいたウクレレピチューをボディへ蹴りつけ、そちらへ行く。
「ならば、雑兵に拘っている暇などない。俺が片付けてきてやる」
「あ、だめー」
そのカズヤをMr.ゲーム&ウォッチは止めた。頭に血管が浮き出る。
「何のつもりだ貴様……」
「たぶんね、カズヤじゃだめだとおもう」
「え、じゃあボク!」
「マリオもだめー!」
「そ、そんなっ!?」
ある種の宣戦布告とも取れる彼の言葉に、不穏な空気が流れていく。
「ど、どうしよう……」
「お嬢ちゃんは下がってていいのよ? 彼の頭が悪いだけだもの」
「ほう? 魔女、貴様はこの雑魚よりは利口だと思っていたが勘違いだったか?」
更に言葉を重ね、カズヤの標的が増えていく。
下手人は涼しい顔で理由を話した。側のマリアが固まる。
「チゲンとかいう坊やが言っていたことを知らないかしら?」
『うう……マスターハンド、捕まえたかったけど逃げられちゃって……スマッシュブラザーズの誰かが持つ、ファイターの力に宿っているって言ってたから探してたんだよ……どっかの世界に散り散りにして、それで……』
『捕まえたかった?なぜでしょう?』
『僕たちがフィギュア化すると精神が追い出されちゃうから……』
『奴らに取っての標的は……奴らの特効なりうるファイター……ということか』
「ええ。誰かはわからないけど、待った方がいいんじゃないかしら」
「ピチュー!!!」
ギザみみピチューのかみなり。
ダブルの心臓を刈り取る刃を。仲間を。
「今の……!」
「い、急ぎましょう!」
最後の切り札たりうる
最終決戦が近づく。
◯タイトル
みなさんお馴染みスマブラSP最後の参戦ムービーの名前。
反応動画いつ見ても好き。本編も好き。
ソラの「おまたせ」に世界の何割が「本当に待たせやがって!」という思考になったか……と言いたいが、おまたせと言ってるのは日本のみなのです。
◯悪役達
セフィロスとカズヤってこんな感じでいいんですかね……
悪役の挙動はどうしてもトレースしきれない感があります。
味方になった経験があるならまだやりやすいけど……DFFNTのアレは味方になったって言うんだろうか?
ってかカズヤは悪役でもあるが主人公でもあるはずなんだが……
どうしてリドリーやダークサムスよりも書きづらいんだろう……
◯マリオ達
お待たせしました主人公。
ちょっとプロット訂正してたら出番が後に後にずれ込みました。