大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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134話 Link to All

 

「あーうぃんっ!」

 

「えっ? あっ!!」

 

 

ウルフェンの上に乗り、空からジョーカーを探すフォックスとカービィ。

右手側に2機のアーウィンが空中に飛ぶボディ達の相手をしているのを見た。

向こうもそれを認知していたのか、近づくウルフェンと回線を繋ぐ。

 

 

『よう、ウルフ。なんだ、仲直りのドライブか? それともイヌ科同士、キャッキャウフフになかよちどうめいか?』

 

「ほざけ」

 

『ったく、そこのトリもそうだが、冗談ってものが通じんのかね? それとも冗談がわからん程度の頭か?』

 

『んだとゴラァ!! いい加減にしやがれ、あれこれ言うなら降りてもらおうかこの場でな!!』

 

『さっきから後ろにつけられてたの誰だっけ〜?』

 

『ああん!?』

 

「いい加減にしろお前ら!!! 喧嘩してる場合じゃないだろ!! というかなんでガンナが乗ってんだ!!」

 

 

フォックスの胃にミサイルが激突していそうだ。

アーウィンに乗った片方がスターフォックスの仲間ではなく、ガンナであったことに驚きつつも、いつも通りの口論にいつも通りの仲裁にかかる。

 

 

『空中戦要素がコイツだけじゃ不安だったんだよ』

 

『ああ!?「あーはいはい!! わかったこの話終わり次次!!」

 

 

悪口を混ぜないと碌に会話もできないのかガンナは。また口論になりそうといったところで力技で止めた。

 

 

「チッ、さっさと要件だけ言え」

 

『マスターハンドがジョーカーへ逃げている。さっさと探して、体の方に連れて行け!』

 

 

それだけを言うと、再び戦いへ戻っていく。

神弓の矢をローリングでかわしていき、すれ違いざまにショットを撃ち続けて堕としていく。

ガンナが繰るもう一機も、機体へ叩きつけたボディを更に別のボディへと、突進し、至近距離のブラスターでトドメを刺す。

 

 

『しつけえなコイツら、何体いるんだか』

 

『ヘッ、テメェの口から弱音たぁ珍しいモンが聞けたぜ』

 

『状況の把握を弱音とか思える神経なんだな、よっぽどいつもは何も考えてないらし「マ゛ア゛ァァァァァァーーーーーー!!」 って……』

 

 

突如の空気ごと揺らす爆音と声。

2人は珍しく呆気に取られて目をぱちくりさせていた。

巨大な光線のような音波攻撃。射線上にいたボディ全員が全滅である。掠っただけでも飛行を続けられずに落ちていくのもいた。

 

 

『んだ今の……』

 

『グレートフォックスにいたな、同じ声のインクリングが……』

 

『は? これ声なの?』

 

「……心配しなくても良さそうだな」

 

「ぅんっ」

 

 

この2人に空中を任せていいのかと思ったが、口だけではなく、手も動かすだろう。地上からの援護射撃もあるようなので、戦力的な問題はなさそうだ。フォックス達はこちらの用事を優先させることにする。

 

 

「ちょっとしか話せなかったけど、持ってる情報としては変わりないみたいだな」

 

「鍵を握ってるのはあの仮面か……」

 

 

万が一、彼が元の世界にいたら打てる手はない。この世界にいることを前提に動くしかない。

 

 

「おーい!」

 

「……! ぽーよ!!」

 

「あれは!」

 

 

呼び止めながらも、走るのをやめない仲間達。

呼び止めたのはケンだった。ウルフェンの赤い翼は曇りの空によく映える。

そのままフォックスもカービィも地面へ降りる。それを見届けたウルフはケッ、と言って飛んでいってしまった。

 

 

『カービィにフォックス、それとウルフも共にいたんだな』

 

「まあ、色々あってな。そうそう……」

 

 

ケンにルカリオ、ルキナ、リュウ、リュカ。そして。

 

気づいていた。この暗闇を討ち払える、主人公の姿。心の怪盗団、リーダー、ジョーカー。

 

 

「ジョーカー、お前の力が必要なんだ。えっと、自覚してるかはわからないけど……」

 

「安心しろ、全部わかってる。今は光ったところにマスターハンドがいると思って向かってるところだ」

 

「あ、そうか……」

 

 

リュウの肩に乗っていたモルガナ。驚かないのは、まあ自分も喋る狐だし。

 

 

「ですが、思った以上に複雑というか、相手も一枚岩ではないというか……」

 

「ああ! ちょっと助けないといけない女の子がいてな……!」

 

「女の子? おまえこんな時にナンパは……」

 

「違う違う違う!!!」

 

 

普段の行いって大事だね。

止まっている時間もないし、フォックスもカービィも着いていくことにした。どのみちマスターハンドの器がどこにあるかまでは知らないのだ。

 

 

「どうやら仲間割れが起きて、敵の1人が独断行動に走っているんです。ひとまず彼をなんとかすれば……」

 

『それについても、創造主から話を聞こう。どちらにせよ、この世界はボディに溢れている上、離反したとしても元より何人が敵に回っているかなどわからない』

 

「それにしてもマスターハンドは何回捕まるんだよ……いや、今回は捕まってないのか?」

 

「あはは……」

 

 

1回目(亜空軍)を知る彼らは苦笑いしかできない。2回目(キーラ)は記憶に新しい。

 

 

「……! 先にいくぞ!」

 

「ちょっ、おい!」

 

 

何かに気づいたか、突然ジョーカーが急ぎ始める。木々を取っ掛かりにワイヤーアクションを駆使して、スピードを上げていく。

 

 

『もうすぐだ。私の器に辿り着く……!』

 

「ただ、その前に!」

 

 

自らにのみ聞こえる、創造主の声。

実体がなくとも僅かな力を行使したか、先の道がわかる。戦っているのだ。仲間達が。

 

 

「『奴らを蹴散らす!」』

 

 

コートを翻し、上空から英雄王のボディの懐を斬りつける。奴はフィギュアの形となり、形を失い溶けていく。2人の意思は同じに揃っていた。

 

 

「またなんか増えたで!?」

 

「ジョーカー!」

 

 

戦力不足を嘆いた過去とは裏腹に、ピースは揃ったようなもの。ファイターは誰もが知っている。普段のジョーカーには戦う力はない。それが斬れるナイフを手に来たということは。

今、この場で彼だけはファイターだということ。

 

形勢が、変わっていく。

それを彼は感知はしていたのだ。どこからともなく声が聞こえる。

 

 

『……やっと来たか、創造主。何も考えずに時を過ごすのは得意のはずだったんだがな』

 

『暇で死んでしまったって誰も悲しまん。貴様にこの世界は勿体無いぞ。野アリに塔を建てるようなものだからな』

 

「(俺以外聞こえてないんじゃなかったのか……?)」

 

 

突然自分達に話しかけてきたのは、先程ケンの言っていたダブルという男だろう。

よもや、自分の内の神と会話ができるとは思っていなかったが。

 

 

『さあ、来るがいい。来たくなくても来させてやるさ……』

 

「あっ! マスターハンドの体が……!」

 

 

異空間への入り口がどんどん大きくなり、マスターハンドの肉体を呑み込んでいく。

反射的に追っていくが、ジョーカーの足でも間に合わない。

 

 

『案ずるな、私の肉体は異空間へ飛ばされたのみ。私が十全になれば死なぬファイターが完全復活するからな……奴の心情がどうあろうと敗北は免れない』

 

「ぷやーい!!」

 

「カービィ!」

 

 

後頭部にはりつくカービィ。

顔のパーツが少なく表情も読みにくい彼だが、マスターハンドとは、この世界の創世からの付き合いである。彼の意図を的確に読み取った。

なんせ彼は亜空軍との戦いでも、スマッシュブラザーズ復活の立役者の1人であり、キーラの猛攻からただ1人生き残った灯火の星なのだから。

 

 

『いいだろうカービィ。同行を許可すると伝えてくれ』

 

「……一緒に来ていいそうだ。」

 

「ぽよっ!」

 

「……ッ! オレも行くぜ!」

 

『駄目だ』

 

「……なぜ?」

 

「駄目なのかよっ!?」

 

 

後から合流したケンがジョーカーの反応から断られた事実を察して理由を激しく問う。

 

 

『今までの戦いとは違う。ファイターの力が及んでいないジョーカー以外は誇張の余地なく生死をかけた戦いとなる。実績が無ければ認められない……ジョーカーとカービィと……マリオ、君達に任せる……だそうだ」

 

「エッ、ボク?」

 

「なんだと?」

 

 

マスターハンドの言葉をそのまま伝えながら、じわじわと異空間へ近づいていくジョーカー。

突然脈絡なく呼ばれたマリオは驚きつつも、まあスーパースターだし番号トップだし当然かと心の中で納得する。

それができてないのは別にいた。

 

 

「元より貴様の許可など必要ないが、過小評価は気にいらん」

 

「俺に言われても……」

 

『常時はいいが、非常時は御せない性格は災いするか……気にするな。3人で勝ってしまえば問題ない。言って聞くような人格ではないのだ』

 

「あ、ああ」

 

 

戸惑いつつも、頷くジョーカーの背後を襲うボディ。奇しくもマリオとカービィ、同じ姿をもつ者が蹴り飛ばした。そして後ろへ飛びつく。

 

 

「よーしッ! 一緒に頑張ろう、ジョーカー!!」

 

「ぽよー!!」

 

「……! ああ!」

 

 

その普通の高校生がやるようなノリは、決して嫌いではなかった。

3人で一直線に走り出すが、それを妨害しに入るボディ達。他のスマッシュブラザーズも防ぎに回る。

 

 

「やっちまえジョーカー! ドッペルゲンガーとやらをぶっ飛ばして、この世界を取り返しちまえ!」

 

「本当はオレだって行きてえけど……任せるぞ、ジョーカー。キクちゃんのこと、頼む!」

 

 

ボクサーの拳を受け止めながら悔しそうにケンは言った。

 

怯えがあったのは認める。もし自分が死んだら、妻と子はどうするというのだ。悔しくけどそれを考えて一瞬でも二の足を踏んだら、もう不適合だ。

でも、大丈夫。3人とも強い。自分がいなくても勝てる。

 

 

「ああ!」

 

 

そう言って、飛び込んでいく。

最後の世界へ。

 

 

「ふんっ」

 

「カズヤ!……しまっ……!」

 

 

競り合いをしていたボディを蹴り飛ばし、同じように異世界へ飛び込もうとするカズヤ。

本当にそうするかと驚き、声をかけようと気を逸らしたのが不味かった。オリマーと戦っていた狐のボディが駆けていく。ジョーカー達に追われてしまう。

 

 

『…………!』

 

「雑魚が……! ッ!」

 

 

しかし、その入り口へ差す一筋の光。

それはソラのキーブレードの先から放たれていた。光が止むと入り口が消え、元の洞穴へ戻っていく。

 

 

「ソラ……!? おまえ……」

 

「ジョーカーの元には行かせない……! オレ達が相手だ!」

 

 

ソラが鍵をかけ、敵も味方も跡を追えなくなる。

 

結構面倒を見てくれて、今も駆け寄ってくれたフォックスも、

ぶっきらぼうだが気にかけてくれたこの場にはいないファルコも、

今は散り散りになっているここで会ったスマッシュブラザーズという仲間達も、

 

 

大切だ。

難しいことはわからないし、どう帰るかも検討がつかないけれど、この絆は大切だ。それは事実だ。

 

強がり? それでもいい。この事実は覆らない。

全ての繋がりが今の自分の力になる。

 

 

「ジョーカーも……マリオもカービィも……みんながみんなを信じて戦ってる……」

 

 

心配してくれてありがたいけど、もう大丈夫だ。

 

 

「つながる心が、オレの力だ!!」

 





◯タイトル
キングダムハーツ3Dが初出の名曲。
初代から流れていたという訳でもないが、あのせつなげなタイトル曲がここまで勇壮になるのかという素晴らしいアレンジに、流れるタイミングがことごとく神がかってるのもあり、シリーズ定番になりつつある人気曲。これが流れるシーン全部好き。


◯マー!
センパイキャノン。
終末の歌声。


◯「つながる心がオレの力だ!」
説明する必要もなく皆さん知っているでしょう(過激派)
というか野暮。キングダムハーツやりましょう


◯作者の気まぐれコメント
という訳で、ラスボスダブル戦に入ります。
ジョーカー、マリオ、カービィの3人でな!!

最終戦ということであと少しで終了かと思われますが、
ここだけの話、もうちょっとだけ続くんじゃ。

ここで突然ですが、敵陣営の状況まとめ!

ダブル:ラスボス化。なんかいっぱい力を使えるようになって待機中。次回、戦闘へ。
キク:心は既に離反済み。しかしダブルに捕まり身動きできず。
プレシア:元の肉体に戻り、一部ファイターと戦闘中。何も知らない。
チハク:完全離反。

チゲン:精神体に戻って元の世界へ送り返される。
ナカツナ:除霊。ようは消滅。

ルネ: 「何してると思う? 君と同じだよ」
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