大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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ちょっと前話を修正しました。
やらかしレベルの設定ミスをなかったことにしてやりました。



137話 Vector to the Heavens

『君は……』

 

「吸収とはいえ、今の私も同じ力を持つ。だからかしら、聞こえるのは。複雑なのはわかるけど、私は私で助けるわ」

 

『……まあ、いいだろう。敵が同じならば今は深く問い詰めはしない』

 

「助かるわ。防御の方は任せて、どうにか近接で当てて。実態のない攻撃は私のものにできるから」

 

「だけど、それは向こうも同じだね。ってことは……」

 

 

これから始まるのは、近距離戦。

飛び道具の中には弓矢などの実態がある物もあるが、その多くは実態のないものだ。

 

 

「連れてって!」

 

「わかった!」

 

 

そして、その少ない例外をジョーカーは持っていた。ワイヤーで背後に回り、大きくしたレンガブロックの足場からペルソナの力を宿した銃撃を放つ。

 

 

『重要な立ち位置に守り特化のキクを置き、背後で射撃、そして前からは……』

 

「とりゃあ!」

 

『機動力に常時攻撃を続ける者をつけての近接戦闘か……』

 

 

ウィングカービィがハンマーを振るマリオの背中に張り付いている。衛星ガーディアンズが生み出す盾型の弾でハンマーを防ぐが、2つの盾の間を掻い潜り、ダメージを与えんと懐へ飛び込む。小回りのきくウイングだからこそできたことだ。

 

 

『そして、忍び寄る背後の切り札……』

 

 

思いっきり振り下ろしたナイフを受け止める。そこにはアイクやクラウドのような大きな剣の強さがある。

 

 

「うりゃあー!!」

 

『前から来ても同じこと!』

 

『ならば上からだ!!』

 

『グッ……!?』

 

マリオを切り離したカービィが上空からコンドルずつきを叩き込む。

ぐらついたダブルを押さえ込んだのはフロルの風のテレポートで接近したキクだった。腕ごと胴を両手両足で決死に拘束する。

 

 

「やって!!」

 

『カービィ!』

 

 

マスターハンドの助力によって、カービィの頭に竜の炎が宿る。これこそドラゴストーム。ウルトラソードに並ぶスーパー能力の一種だ。

ダブルがキクの力を引き出す暇はない。

 

 

「「「いけえええぇぇぇ!!」」」

 

 

真上から竜の炎がダブルとキクを呑み込む。

あまりの熱量にジョーカーとマリオが後ろへ引きながら、気持ちは3人揃っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………キクちゃん?」

 

「ケン! ぼんやりしてる暇はないぞ!」

 

 

ふと空を見上げるケンを叱咤するリュウ。

もう口を動かす暇はあっても、戦うこと以外に手足を動かす余裕はない。

 

 

「閉めたからじゃないのか」

 

「えっ!? オレのせい!?」

 

「八つ当たりは見苦しいぞっ!」

 

 

クラウドの一振りがボディを粉砕する。内部の剣も分解し、近くの岩壁に縫い付ける。

カズヤが嫌味をぶつけるようにソラに冷たい目を向ける。

 

ジョーカー達がダブルの元に向かい、後は追わせまいと入り口を閉じた後だったか。

増援という言葉すら生ぬるいほどのボディ達。異常レベルに発生したそれらに最早全員で戦っていた。

 

 

「でも、でもきっと後少しだ!」

 

『マリオ達が勝てば、マスターハンドが元に戻れば、このボディ達も……!!』

 

 

空振を起こすほどのサンダガンをぶっ放した後、取りこぼしに対してはっけい。

そこに飛来する蝙蝠の羽を持つ剣士。全力のマッハトルネイドが多くのボディ達にトドメを刺す。それでも、まだまだ無限に湧いてくるボディ達と、プププランドに迷い込んだカービィを除く面々。

 

 

「うっわっ、なんだこれ!? 水没してた方がまだマシ……ってクラウド! 今度は本物だよな!?」

 

「おまえが何故ここに……いや、今言ってる暇はない!」

 

「なんかセフィロスまでいるし訳わかんねー!!」

 

「こっちが聞きたい!!」

 

「(今度はティーダみたいな人がいる……!)」

 

 

輪廻に続く闘争の世界で出会った戦士達。

味方以上に、敵も多くて。再会を喜ぶ暇もない。

 

 

「モナド……アーマー! 大王さま!(カービィだってきっとどこかで戦ってる!)」

 

「やらいでかぁ!! (良いところを持ってかれる時にカービィが負けたことはないんだぜ!! )」

 

「Hey! ダイオウさま気張ってんな! おっと!?」

 

 

アーマーで強化された防御力で、ハンマーの大車輪。ソニックが捉えられないスピードで各自のカバーに回る中、自身のボディに挟まれて動けない状況に。

それらの足元に撃たれた異次元からの狙撃。遅くなった奴らの前に立ち塞がったのがアイクと4号だった。

その背後を狙い、岩と化すボディをPKサンダーで大地に叩きつける中、リュカに抱かれたまま、戦えないモルガナは彼の身を案じるしかない。

 

 

「だ、大丈夫です、ジョーカー、さんを信じて……!」

 

「ジョーカー……!!」

 

 

曇り空を仰ぐしかないまま、リュカの腕にしがみ続けるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唸る竜の声、噂通りの風貌、すらっと伸びている首についた頭。その口から放たれる激しい水流を、テリーは全身で受けた。背後にむらびとがいたからだ。

 

 

「ヘッ……こんなものモーニングに浴びるシャワーみたいなモンだぜ!」

 

「フンッ、カゼでも引いたなら下がってるがいいわ!」

 

「HAHAHA! 面白さの足りねえジョークだな!」

 

 

 

──プロワオオオオオオ!!

 

 

それを虚勢と笑ったか。

真実がわかるものは本人以外にもいる。

 

 

「ボクたちはお前のおもちゃじゃない!! こうやってみんなで戦えてるのも、今までいっぱい大乱闘してきたからなんだ! PKフラッシュ!!」

 

「ただ仲悪いだけのケンカじゃないもんね! だからジョーカーならなんとかできるって思ってるんだよ!」

 

「「だからいっしょに戦えるんだっ!!」」

 

 

前後不覚になり、頭蓋へのアイスクライマーの二振りがクリーンヒット。抵抗に放った水のブレスは氷の力を纏った矢によって凍りつく。

それを足場に駆け上がっていくロックマン。視界の回復したプレシアが薙ぎ払う尻尾を鬼神の面を被るこどもリンクが一振りの元に撃退する。無慈悲な面の裏側で、プレシアが即席の道から遠ざかっているのを見た。

 

 

「逃げてる!」

 

「のれー! ロックマン!」

 

「うん!」

 

 

面でくぐもった声に応え、クッパJr.の操るクッパクラウンに乗り込み、追いにいく。湖の真ん中で、ネッシーのプレシアは深い霧を生み出した。

 

 

「またコレか! シツコイぞ!」

 

「そのまま追うよ!」

 

 

だが、それでも進む2人。

丘では霧に紛れて、数多くのボディが押し寄せていた。

 

 

「……! これは……抵抗でしょうか……!」

 

「追い込まれてるつーことだな! あとちょっとだぜ、お前ら!!」

 

 

ロゼッタがバリアで敵陣を突っ切り道を作る。真ん中でテリーが獅子奮迅の動き。

ジャンヌとクッパなど、戦いに慣れた者たちが背中合わせとなる。

 

 

「け〜、ガキってのはつまんねえことばっかりくっちゃべってやがるぜ」

 

「動け、以前のやらかし具合は貴様もそうそう変わらないだろう!!」

 

「…………」

 

 

リドリーとガノンドロフもまた、そこまで積極的ではないものの、ボディ殲滅に動いている中、光の勇者リンクは面を被り戦う少年を少し遠巻きに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれを見てください!」

 

「アーウィン! 今度はモノホンだよなアレ!」

 

 

上空で戦う二機のアーウィン。

もうここはステージの世界ではない。間違いなく誰かが操縦する本物だ。それらが空を飛ぶボディ達と戦っている。

 

 

「偽物でも飛べるのにボクと来たら……」

 

「へこんでいる場合か!!」

 

 

サムスの叱咤激励。

大乱闘のステージに迷い込んでいたイレブンやリンク達と、キクの創り出した偽物の世界に閉じ込められていたマルスやピット達。

プププランドにいたファイター達と共に、手がかりや逸れたケンとルキナを探すべく、分かれたのはいいが、ボディの予想以上の襲撃にあった。

 

巻き込まれたキクの被害者達が不安になり、慌てて戻ってきたのだ。案の定、小クッパ七人衆では対処しきれていなかった。

 

 

「他のみんなも戦ってるんだ……最悪、僕たちは守りきればいい」

 

「カービィ達がジョーカーを見つけて、マスターハンドを復活させればいいんだよね?」

 

「まだ見つけてないネ……? いや、信じて戦うだけヨ!」

 

 

指揮の暇もなく、マルス自身も戦うことを強いられている。そんな中で、剣を受け止めたクロムのボディをプリンがころがるで吹き飛ばす。

 

 

「プリン……!」

 

「プッ!!」

 

 

信じているのだ。彼女も。

ジョーカーがどこにいるのか、そしてマスターハンドがどこにいるのかわからないが、そう遠くではないと。

それを信じて、嫌いな戦いに身を置くのだ。

信じているからこそ、置くのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッソ!! 次から次へと湧いてやがる! キリがねえ!!」

 

「多過ぎんな……ぜってぇキーラやらが創り出したよりも増やしてるぞ」

 

 

光と闇の残党にしては数が多すぎると、ガンナは言った。事実空から倒せるだけ倒しているが、底が見えない。

 

 

「スリッピー、そっちはどうだ」

 

『全然ダメ!! 負けてはないけど多いよ数!!』

 

 

テンタクルズの2人やピクミンの力を借りれるようになったアルフも加勢してもなお多い。

 

 

「さっき、ロイとかドンキーとか……そいつらもどっか移動しながら戦ってるの見えたぞ。他の奴らもこっちに来ててなおコレか……つか、ブラピが分裂してるように見えたしへばってんのか私……?」

 

「ケッ、こんなところで弱音か? 離脱するならせめて自爆特攻してくれ」

 

「いつ弱音とか言ったか? 耳腐ってんのかよ!」

 

 

アーウィンを旋回させ、ローリングして敵を振り落とす。この上空からは世界の戦況がよく見える。

 

 

「謎の霧ねえ……想像以上に厄介なことになってるな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ガラル地方ワイルドエリアに飛ばされていたレッドやリヒター達もまた、ボディ達と戦っていた。

 

 

「戦争でも始める気なの!? この数、戦えない人はすぐに犠牲になるわよ!!」

 

「マジガチでその通りだ、それでさっきシーラが……いや、なんでもねえ」

 

 

天の聖杯として、通常のブレイドを逸脱したヒカリの火力。ファイターという枷が外れていたのが功を制し、他よりも比較的余裕があった。

 

 

「……! ヒカリちゃん、待って!!」

 

「何よ……っておっと……」

 

 

ホムラが止めたのは、上空にある飛行物体があったから。赤い翼を持つ戦闘機、ウルフェンだった。

 

 

「ウルフー!! ナイスフライト!! で、ワッツ()があったか知ってルンルン?」

 

「焼きかけやがって……まあいい。どうやら、ダブルって奴がここまでにした元凶だ」

 

「ダブル……アイツが……?」

 

 

ケン達が得た情報が、フォックスへ。

フォックスの通信機器が開いた回線がウルフェンへと繋がっていた。

それによって元凶を知ったのだ。

 

 

「ダブルの力……工夫しないとダメージすら当たらないはず……」

 

 

ルフレは疑問視していた。

こっちも掻い潜るのがやっとだったダブル能力。

 

存在の共有。

ルフレのボディでも他の誰かでもない姿から放たれるスマッシュブラザーズの技。

 

 

── 「誰かに成っていれば、怪我もダメージもその誰かと共有する……!」

 

 

以前自分が解き明かした、能力のカラクリは……

 

 

「……いけない。()()()()()()()()()()()()()()……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぽよぉ……」

 

「なんで……キミは……! なんで!

 

 

ドラゴストームはダブルを焼き切った。

倒すまではいかずとも大ダメージではあるのだ。

ほら、そこに倒れていた。

 

最初は、やっと出せた大きなダメージに歓喜した。

 

 

しかし、その後すぐに顔全体から血の気が引いた。

 

 

「どうして()()使()()()()()()んだ……!!!」

 

「ふふ……いいのよ……これで……」

 

 

全身が燃やされ未だに完全に収まらぬ炎。

ボディの形が崩れかけ、か細い声しか出せないキクがそこにいた。

 





◯タイトル
KH358/2daysの(実質的な)ラスボス戦BGM。
正直、KHの中で1番人気なBGMじゃないかと思ってます。
直訳すると「空への方向」。ストーリーにマッチしててうわあああ
黄昏組に人生を狂わされた方は多いはず。

これ、タイトルに使ってそうで使ってなかった。
多分、チゲン関係で使ってたと思い込んでいたのでしょう。


◯ウィングカービィ
ウイングじゃないよ、ウィングだよ。
これまたSDXが初登場。偏ってんだよ人選ガァ!!

RTAの変態挙動は簡単に脳裏に浮かぶ。下向いて上に飛ぶ変態。
ミラーやジェットと違い、露出はかなり多め。


◯ドラゴストーム
ストームとか言いますが、風じゃないよ炎だよ。
ウルトラソードと肩を並べるスーパー能力のひとつ。
竜の形をした炎が画面を横断し、地形すらも焼き払う。


◯ティーダみたいな人
本作では、KHのクラウドとセフィロスは、FFの彼らとそっくりなだけで別人という設定です。
それを踏まえてKHのティーダを見ると、ソラより年下。
リクよりも上の原作ティーダを見ると「みたい」程度で落ち着きます。


◯ブラピが分裂
もしかして:チハク

この辺の話が想像以上に長くなってしまったので、今回はあえなくカット。まあ、どうせチハク連れて走ってるぐらいしかありませんし。
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