大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle   作:蘭沙

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124話 大地の章

 

「……! おまえは……!」

 

「やれやれ、あっちにもボディ、こっちにもボディ。やることが単純だから配役がないんだよ。そう思わない?」

 

 

妖しく笑うその姿。

キーラの兵とは違う赤い光を宿す瞳。

 

マスターハンドの肉体を守り、ただひたすら襲いくるボディ達と戦っていた者達。

マリオを中心にチゲン達を追ってたどり着いた者達。

 

彼らが巡り合うのは新たな異物。

 

 

「えっ……え〜!? クラウドが3人目!?」

 

「誰が3人だ」

 

「くっふふっ……3人て……!」

 

 

本人とはかけ離れた子供のような笑いは、合っているようで、でもやっぱり異様な気もした。

 

 

「さて、僕ことルネはちょっとここに用があったんだよね。ベレトもここに来ていたのならば話がはやいや」

 

「……?」

 

「さて、報酬分は働いてよね。様々なフォドラの世界の未来から、その武器を拾ってきたんだから」

 

「武器……? まさかお前が……!」

 

「そ、僕が依頼者」

 

 

愕然とする。

天帝の剣と同格の力を持った3つの武器。

それらを譲り、これからの脅威に備えろと、忠告という名の依頼をしたのが彼だった。

 

 

「ベレト、知り合い?」

 

「……意味深なことを言ってすぐに消えた。お前は一体……」

 

「僕のことは良いんだよ。例え誰が報われなくとも、僕は面白い物語が完成すればそれで良い」

 

 

そっと白刃の美しい剣を振ると、それだけで周囲のボディが消え去っていく。

くるりと手の中で回転させて逆手で持つと、ベレトへヴォーパルの剣を差し出した。

 

 

「はい、これ。今後必ず必要になる。これで僕の出番も終わりだ」

 

「まだ物を寄越すと言うのか……」

 

「これは報酬とかじゃなくて必要なだけだよ、はい」

 

 

戸惑い、不審に思って受け取れない。

依頼依頼と言うが、自分が貰ってばかりなのだ。まるで自身が都合よく操られているような。

 

 

「まあ、待て。せっかくのその姿だ。少し遊んでいかないか」

 

「……あー。そういや、このボディだからこそ反応するのがいるの、頭から抜けてたな……」

 

 

うっかりしてたと、呆れと少々の興奮が混ざった声をだして、差し出した刃を逆手のままに動かす。

政宗とヴォーパル。互いに名刀と呼ばれる刃が交わる。

 

 

「暇なのかなぁ? 君レベル相手だとうんざりでもあるんだよ、しつこいもんねクラウドに対して」

 

「気になるものは仕方がないさ。付き合ってくれ」

 

「嫌だよ、時間ないし。最短ルートでいかせてもらう」

 

 

空いていた左手でバスターソードを抜き、振り回してセフィロスを退ける。十分に距離ができたことを確認すると、虚空へと喋り出した。

 

 

「とっくに見てるんだろ? でておいでよ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クレイジーハンド?」

 

 

えっ、と漏らしたのは誰だろう。

誰でもいいけど。

とにかく空から聞こえた思念のような声は、確実にあの左手のものだった。

 

 

『気っづいてんたんか?』

 

「クラウド、クレイジーハンドって?」

 

「マスターハンドと対になる存在……破壊欲の化身、と呼ばれている。この大乱闘の創成には関わってないが、たまに顔を出してくる」

 

 

おっと、ソラはクレイジーハンドを知らないそうだ。これはどうやら後からのファイターは知らないのかも?

 

 

「未来の僕がね、セフィロスとあーだこーだしてたら君が来たんだよ。気に入ったーとかなんとか」

 

『自分で言うか? つーか、お前と会ったことはねえだろ』

 

「会ったのは今じゃないよ。それに、今まで1回も顔を出さなかったのに今更どういう風の吹き回しだい?」

 

 

そう、色々やった。

右の人を左にいかせたり、あれやこれして……

たまには僕自身ラスボスになってみたり。

あの時は……確か、僕の過去を知る機会を与えて、

『僕の幾億、幾京の刻を超えてみろー!』なーんてこと言ってたっけ?

 

ただその時も、どんな時も、クレイジーハンドが出てくることはなかった。

 

今回がはじめてだ。

 

 

『今までだぁ? 悪くねえ。未来って言ったよな。未来のことを知ってるってことか?』

 

「まあねえ」

 

『てめえが干渉しなかったらどうなっていた?』

 

「そうだねぇ……」

 

 

どこまでを干渉だと言うのか。

多分彼的にはここに来なかったら、って聞きたかったんだろうけど。

 

 

「見るに耐えない上につまらないグダグダな結末だったよ」

 

 

敢えてこう言ってやった。

本当の最初を。僕のいなかったこの世界を。

 

 

『そのためにお仲間さんまでやったってんのか?』

 

「おや、どこから見てたんだろ?」

 

 

盟友と同じだね。

今の僕は観測される側でもある。

ちょっと楽しい。

 

 

『いいじゃねえか。いい破綻っぷりだ! で、そのグダグダな結末を回避するのにお前はどうするつもりだった?』

 

「け、結末? ルネだっけ、君はどこまで知ってるんだい?」

 

 

マリオが話に入ってきた。

さて、どう答えるか……

 

 

「数多の可能性。数多の結末。繰り返し続けた観測者。そして、トライアンドエラーの終着点」

 

 

未来が存在している限り、僕に限って知らないなんてことはない。

できること、やれること、いっぱいある。

 

 

「さて、僕が具体的に何をするか。本当はベレト辺りに任せて終わりにする予定だったけど」

 

『気が変わった?』

 

「そうだね。マスターハンドの肉体がまだ囚われてないならば、復活さえさせればこんなこともできるんじゃない?」

 

「こんなこと?」

 

「それは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、信じられない驚愕の。

 

 

「まさかそんなことが……!?」

 

「単独じゃ戦闘力があまりない君だってそうなんだ。確実に不可能じゃない。規模は広がってるけどそれ以外に難しいことは何もないよ」

 

 

ざわざわと、戸惑いの声。

本当にそんなことができるのか。

そうしたらこの状況をどれほど逆転できるのか。

 

 

『クククッ……アッハッハッハ!! いいぜいいぜいいぜ!! この定期囚われ状態のコイツの器はオレが預かってやる』

 

「うん。楽しめればいいんだよ」

 

『ああ、それじゃあこっちの要求も聞いてもらおうか』

 

 

不審げな顔をして、それからすぐに微妙そうな顔をした。嫌ではないし、乗っても別にいい。不利益がある訳ではないし、不可能なことを言われている訳でもないのだ。

だがなんというか、棚から牡丹餅のような唐突感があって、実に微妙な感情しか湧いてこないのだ。

 

 

「何の意味があるのさ……」

 

『話さなくてもわかるのは便利だな。いいじゃねえか、オレはお前を気に入った。お前の未来を見てみたくなった』

 

 

おいとけぼりにされるスマッシュブラザーズ達。

おずおずと、控えめにマリオが口を挟んできた。

 

 

「あ、えっと、なんとなく予知みたいなことができるのはわかったけどさ、結局何を頼んだんだい……?」

 

「聞きたいの? 君たちにはどうでもいいことだろう?」

 

『知りてえのか?』

 

 

愉快さが止められない、と噛み殺しきれていない笑いが聞こえる。

 

 

『なーに、おかしいことじゃねえ。ボーナスだボーナス』

 

「……彼はね、僕に元の体を取り戻すぞ、って言ってる」

 

 

元の体。

そう、ルネの今の体はクラウドのそれ。

スピリットである彼は、元から霊体などという例外でなければ、本来の肉体があるはず。

 

 

「元の?」

 

「元の体が違うのか」

 

「まあボディなんてレプリカみたいな扱い方してるだけだし、元の体ぐらいどっかにあるよ」

 

 

なんでこの片翼は残念そうなんだ、とボソッと呟いた。

 

 

「でも、できるの? 僕の体は、というか僕の存在は普通じゃないよ」

 

『できるさ、オレは不可能すらもぶち壊す気狂いさ』

 

 

それは、とある場所の時空の話。

過去を悔い、過去へ飛び、

その矛盾の負債を背負ったなんて事のない、

 

ただ普通の少年だった、観測者の話。

 





◯タイトル
ゲームボーイアドバンス、ゼルダの伝説 不思議の木の実。
ポケモンよろしく2バージョンの片方側。
しかし、マップやダンジョンが大胆に違う2バージョン。
正直ポケモンでも見てみたいですけど、今のグラフィックでそれは難しいですよね……


◯「クラウドが3人目!?」
KH、FF7(スマブラ )、ルネ(完全に偽物)。
これを言わせたかっただけに、ソラをここに配置したとかそんなまさかかかかか


◯英雄の遺産
裏設定として、アイムールは蒼月の章、アラドヴァルは翠風の章、ファイルノートは紅花の章のED後からルネが収集していたという裏設定があります。
みんな行方が追えなくなっているので、持っていっても問題ないと判断しました。


◯ルネ
次回、過去話。

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