大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
遠くの海、空を制すためにボディが放たれていたのならば、海にも同じように放たれていた。
とはいえ、海にて行動できるボディは空のそれよりずっと少ない上に、メインの戦場たる地上に攻撃を届かせるボディともなればほとんどいない。
そして、マスターハンドの陣営からしても、敵がいないのであれば、そこで戦う理由もなく。
何が言いたいかというと、相対的に戦闘が少ない。砲台を置くには絶好の場所だ。
「へへっ、まっ、こんなもんだ」
「……ありがとうございます。乗せていただいて……」
「細かいことは気にすんなって、なんかアンタとは他人の気がしなくてさ」
空中へ飛び出して、襲い掛かろうとしたゲッコウガのボディの胴体真ん中に大砲の弾が突き刺さる。
鼻を擦って得意げに笑う女船長の傍に、海賊船に似つかわしくないドレスを纏う女性の姿があった。
彼女はテトラ。彼女はゼルダ。
かつて宿した光は、同じものだった。
「この大きい音は……」
「大砲ですね。かなり遠くに落ちましたか……」
「多くの人がこの世界に来ているようですね。なるほど、マスターハンドが僕達を呼ぶ訳だ」
ここまで戦える存在がいるならば、兵器レベルの戦力すらいるのなら、
多少戦力が偏っていてもどうにかなる。
チゲン、チハクを先頭に駆けるスマッシュブラザーズ。会敵はほとんどいない。スマッシュブラザーズ以外の者達が、ボディを引き受けているのだから。
今起こっていることを、マスターハンドが伝えたから。
「しかし、ダブルが1人でここまでをやったと……? 奴にそれほどの力が……?」
「仲間だったんでしょ? どんな人なの?」
ルネとマスターハンドが繋がったということは、ルネがその気になれば全て知ることもできる。当然、今この瞬間の物語を創り出す最後の敵もまた。
「否……先程少し話したか。仲間ではない、利害の一致だ。私とチゲンを除き、この世界にて会った者だけの同盟だ。そこに絆も信頼もない。鷹が隠した爪を見落としていた可能性は十二分に存在する」
「仲冷え切ってるじゃん……」
「冷え切るほどの仲も無いと思うよ」
「チ、チゲン……」
チゲン本人もだんだんと発言に毒が混じっていっている。
「だが、知っている範囲でも奴の誰かに成る力は極めて強力だ。傷すら共有する強力な繋がりは1番危険だ」
「すまん、もっとわかりやすく説明してくれないか……?」
「やだよ、ない知恵絞って考えて」
「なっ……!?」
「チゲン。」
「ダブルはね、ドッペルゲンガーなんだ。でも何かそっくりになるんじゃなくてそのものになる」
カムイ限定の友人対応、それ以外への塩対応に無言で抗議するのがクロム。本人は知ってて無視。カムイだけが戸惑っていた。
「あっちが傷つけば、そのものであるこっちも傷つく。難しいね」
「……討とうと攻撃すれば、犠牲がでるってことか……」
ロイが1番はやく言わんとすることに気づいた。
犠牲を強要し、そして犠牲を払っても討てる確証はない。
ひたすら倒しにくい敵。
「……! もしかしたら、ナカツナのあの剣なら……」
両手拳銃。
認知の力が干渉する今この瞬間は、実際のそれよりも軽く扱える。
銃口から上がる煙が眺めながら、ただそう思った。
「やれやれ……またこんな風に戦うことになるたぁな……」
「ジョーカーがドッペルゲンガー?を倒すまで公安に休みはない、だと、オッサン」
「誰がオッサンだ! 顔見えねえだろっ……って」
「久しぶりだな、ウルフ」
電子の光で構成された表情という名の
「ソフィー……おまえのとこまであの胡散臭い小僧が来たのか!?」
「オッサンに言われたらおしまいだな。ちなみにさっきの言葉はその小僧からの伝言だぞ」
「アハハ……そりゃどうも」
日本全国を巻き込んだ集団の改心事件。
EMAやジェイルを悪用して人を意のままにする悪人を野放しにできず、北は仙台、南は沖縄まで叛逆の心を持って戦い続けた。
その中で出会ったのが、ソフィーとウルフだった。
「モナだけじゃない。スカルやモナ達も来ているらしい、というか私たちだけじゃないな、見てみろ、あの空飛ぶ船」
「もうつっこむ気も起きねえよ……」
現実離れした光景はジェイルで見慣れたと思っていたが、おそらく一生慣れやしない。
ほら、あの卵みたいなものは生き物なはずだが見た目はシャドウに近い。
水色が基調の大きな白いウイングの船を召喚して、乗って、タックルして、ボディを手当たり次第に蹴散らす。
「チョットー? サボってナイー? モットキビキビ働けヨォ」
「そういうお前こそ、船呼び出してタックルしてるだけじゃねえか……」
「ローアの手柄はボクの手柄だヨォ!」
「なんだコイツ……」
掴みどころのないマホロアに調子が狂いっぱなしのウルフは背後のメタナイトのボディに一瞬反応が遅れた。大剣を振り抜くより前に、細身の剣が敵を刺し貫いた。
「駄目ですよ。喋ってばかりは」
「おまえは……誰だ?」
赤の髪を一つにまとめ、黒い仮面をつけた少女。
顔は知らない。名前も知らない。
しかし、おそらく同じペルソナ使い。
「私はヴァイオレット。ここに来れば、先輩の力になれると聞いたんです」
「お前も怪盗団か? 聞いたことねえが……」
「あ、怪盗ではないんです。事情があって……」
「まあ、確かに無理に怪盗することねえか……」
同じペルソナ使いでも、怪盗団に入らねばならない訳ではない。リスクは大き過ぎるし。
だが、ジョーカーと面識がある理由がペルソナなのは間違いないだろう。
「(先輩ってことはジョーカーと同じ秀尽で……交友関係は公安の方で洗ったはずだが見落としがあったのか?)」
彼女のことを聞いたことはないが、確かにメンバーでないならわざわざ言う必要もないかと自身を納得させる。
「私はソフィー。人の良き友人だ。こっちはおっさんのウルフ」
「おっさん言うなっての、ったく……」
3人の仮面が剥がれ、登場する3体のペルソナ。
大剣が、エストックが、ヨーヨーが、ボディの体を砕いていく。
交流を深めるのもほどほどに、こうして戦いは激化していく……と、思いきや。
「退いた退いたー!」
赤い戦士の服を纏った戦士が剣と盾を手に、敵勢の隙間を潜り斬り込んでいく。囲まれた位置にて、袋叩きにされる、かと思われたが、風の魔法が敵を吹き飛ばしていく。
「おっとバギマあたり? なら……!」
手を空にかざして、バリアをはり、残った相手を弾いていく。すぐ近くに敵がいなくなると、虎のような猫のような魔物から紫のターバンを頭に被る男性が隣に着地する。
そして背中合わせに並んだ。
「なるほど、ネットの小説にあったぞ、魔王を倒す勇者だな。最近は追放されたりするらしい」
「知識偏ってねえか……?」
「ひとまず加勢を……」
ギョッとした目をした2人がその場から飛び抜くと、空中から振り下ろされた大剣がボディを纏めて一刀両断する。
「アイツ、諸共やろうとしてただろ……」
「ナンのことカナァ?」
遠くでクスクスと笑うマホロアに呆れる視界の端にまだ出てくる大勢のボディ達。
過去も名も知らぬ相手だが、
こんなことがなければ会うこともなかった相手だが、
巡り合って共に戦う奇跡と、
ここで会ったみんなと並びあって戦う。
◯タイトル
ドラゴンクエストXの通常戦闘BGM。
名前、かっこいいよね。オーケストラ音源もかっこいいよ。
Ver変わるとBGMも変わるので、なかなかゲーム内で聞くことも少ない……
◯ゼルダ(時オカのすがた) ゼルダ(風タクのすがた)
時オカゼルダは幸薄いイメージがあるんですけど、シークも彼女ですしファイター経験もあるので、パワフルなの好きです。
テトラみたいな明らかなアネゴタイプも好きですけど。
◯ソフィー、ウルフ、ヴァイオレット
ペルソナ5の続編、スクランブルの追加キャラ。
AIのソフィーことソフィアと、公安のウルフこと長谷川善吉。
回復と光属性の万能タイプと体力を犠牲に火力を得るアタッカータイプ。
吉澤かすみことヴァイオレットは完全版のロイヤルの追加キャラ。
ソフィーと同じタイプですが、彼女の方が物理より。
ロイヤルとスクランブルは開発期間の都合で繋がっていないため、彼女らの言う怪盗団は別者。しかし、語る暇がないので彼女らの中で矛盾していないのだったまる。
ちなみに描写してないだけで、他所で他怪盗団も戦っています。
◯マホロア
みんな大好きイカサマたまご。
エフィリンに土下座すべき1人のドノツラフレンズ。
大概敵のマルクに対して、操作キャラだったり店主だったり競争相手だったり露出の多い子。
戦闘はスタアラのイメージです。
◯主人公(ドラクエ5) 主人公(ドラクエ10 )
明確に勇者じゃないと断言されているドラクエ主人公。
剣と魔法のオーソドックスから外れた2人を描写しようと決めたら、偶然にも勇者を外していました。
魔物使いで、剣も装備できるが杖のイメージが大きいアベル。
勇者の盟友としてバリアをはれるエックス。
冷静に考えたらあのバリア勇者限定な気がしますが、細かいことは気にしたら負け。
ちなみに描写してないだけで、他所で他勇者も戦ってます。
◯作者の気まぐれコメント
スプラのフェスが終わったと思ったら、来月と再来月のフェスが発表されました。訳がわからないよ。