大乱闘スマッシュブラザーズ Histoire Artificielle 作:蘭沙
レッドやリヒター、ヨッシー達、ガラル地方ワイルドエリアに迷い込んだ彼らの内、ルフレは移動と周りの警戒をしながら、思考を続けるという器用なことをしていた。
──「……いけない。
そう言ったのが、以前。
しかし、その懸念が伝わっているのか、戦況は膠着状態。
ボディらとは相手をしていても、最後に立ち塞がる敵には手も出していない。
おまけに十全となったマスターハンドからのメッセージ。
──『そろそろ役不足のドッペルゲンガーにはご退場願おうか。私の選んだスマッシュブラザーズよ。これが、最終決戦だ』
そして、間髪入れずに聞こえた少年の声。
──『さっきみたいな選抜もいいけど、どうせならみんながここにいないとね。せっかくの全員参戦なんだ。イーリスの3人組もみんなみんな、戦い交わり、演じなきゃ。それを盟友は求めている』
わざわざ自分達を例に出したということは、間違いない。自身を襲ってきておいて、命も物も取らずにワイルドエリアに置いてきたのは彼だ。
おそらく、クロムとルキナも同じように。
マスターハンドの保証があっても信じていいものかルフレは疑っている。
「さっきの変な声? でも、マスターハンドがあつまれーって言ってるし、大丈夫だよきっと」
これが、この中で1番マスターハンドと古い付き合いのヨッシーの談だ。(ピカチュウもそうだが、言葉がわからないため、彼に聞いた)
とはいえ、マスターハンドが騙されている可能性もなくはない。第一、ルフレがダブルを倒せないと考えている理由は、戦力ではないのだから。
「(どうする?)」
その方法を、走りながらにずっと考えていた。
とはいえ、心なきボディ達が自分達を慮ってくれる訳もない。
思考しながらも、戦場を俯瞰的に見ようと心がけている中、視界の端にいたキャプテン・ファルコンのボディ。
「1体いる。動きが変だ。様子見に近い」
「ああ」
このメンバーは物事を冷静に対処できる、または指示や作戦に準じるのに慣れている者が多く、軍略的な経験はなくとも、こちらの指示に素直に従ってくれる。バトルマニアの気があるリヒターもだ。
「どう変なんだ?」
「こちらは動いてないのに、回り込むように動いている。様子見……いや陽動かな」
「ブロウの何倍カシコイんだろー? アレ、ゼロに何かけたら100になるんだっけ?」
「…………」
「ンムーンムー!」
「兎も角、陽動なら……我慢比べの超次元耐久チキンレースでいいのか? それとも無視すっか?」
口を押さえながら、もう片方の腕でソードの腕を捻り上げる。気づかれているためどれほどの意味があるかわからないが、自然と声が小さくなる。
ホムラとピカチュウだけが、ブロウを宥めようとしていた。
「いや、耐久戦になって有利なのは数の多い敵側だ。こちら側が把握されているなら後手に回るのとよくない。ここは……少数で本隊を誘い出そう」
「ちょっとだけ乗ってやるってことだな」
「じゃあ俺が行ってくるぜ、サポートは任せた」
バシッと、自分の拳を受け止めゆっくりと前に出るリヒター。1体を倒すのは難しくはないが、本隊がどれほどいるかが問題だ。そのあたりは他のメンバーで対応するしかない。
『…………!』
「おし……!」
後方へ逃げていくボディに攻撃せずにほどほどの距離で追っていく。
その後ろを他のメンバーが追っていく。
「さて、どこまでいく?」
まだ見ぬ戦いを密かに楽しみにするのは、自然と上がった片方の口角が証明していた。
「……! らぁっ!!」
唐突に止まった囮のボディの様子に、奴の役割は終わったと判断し、即座に手斧を放った。
頭の真ん中に突き刺さった囮の背後から、ロックマン、ロイの他のボディも飛び出してくる。
「あれは……! ルフレ! まだいるぞ!」
「どうやら僕達がどれだけいるかも把握していたみたいだね……!」
ヴァンパイアキラーを振り回して、敵の飛び道具を撃ち落とし、駆けてきたルフレが炎の魔法でまず、ダメージを受けていた囮を撃つ。
「パニッシュメントレイ! 二手に分かれて、それぞれで討つわよ! ホムラ、来なさい!」
「はい!」
「オレも行く!」
「ピカッチュウ!!」
ヒカリに続いて、ホムラ、レッド、ピカチュウが追いかける、はずだった。
「──伏せろ」
「え?」
無数のコウモリがボディ達へぶつかり、空中へ打ち上げていく。そのボディを誰かのシルエットが1体1体、一刀の下に両断していく。薔薇の花弁が舞い散る。
コウモリと赤い花びらが踊る空、コウモリのみが集まって人の形を作っていく。
長い長髪と肌は日光を嫌うように白かった。
「アンタ、アシストフィギュアの……」
「アルカードさん、でしたよね」
「ああ、早く先に行ったほうがいい。確かにスマッシュブラザーズ側の戦士が増えていても無限に現れてはいずれ……」
少しの空白を得た後に、アルカードはそう言った。耐久戦で有利になっていくのは無限の軍勢となるボディだ。大きく見た対局でもそれは変わらない。
「やはり大元を叩かなきゃ……」
「ええ! だから先に行って!」
「クリスタル……!?」
青い毛並みの狐の女性が、ロッドの先から氷を呼び出す。アシストフィギュアと呼ばれる、大乱闘を彩るゲスト達が積極的に呼ばれているのだろうか。
「大丈夫。今はファイターなんだから……!」
「フィギュア化システムか……! わかった、みんな、行くよ!」
サンダーソードでロックマンのアームを斬り放したところで、他をメンバーを誘導して向かうべき場所への道を進んだ。
ソワソワしながら、あちこち見渡しながら待つルキナ。望んでいた姿を確認すると、すぐに駆け出した。
「ルフレさん……!」
「ルキナ……! 心配してたよ……!」
「ルフレ……!」
ルネによって強襲され、それぞれ別の場所に誘導されていた彼ら。
全ては、スマッシュブラザーズ全員に戦ってもらうためだった。
そして、それは今も。
「あ、グレートフォックスにアーウィン!」
「本当か!?」
最後に、イイダやアルフの手によって飛行してきたグレートフォックスと、ファルコ、ガンナの騎乗するアーウィンが着陸する。
これにて、正規スマッシュブラザーズ、全員が集合した。
マスターハンドの器が転がっていた場所、ダブルの創り出した最終決戦のフィールドへの入り口。
決心したようにチゲンが、ねえ、と全体に声をかけた。
「カムイ、みんなで行ってくれ。そっちのステージには誰にも行かせないから」
「えっ、でも……」
「僕が一緒に行ったら……足引っ張りそうだし……」
「これだから愚兄は」
不運ゆえのネガティヴは簡単に治らず、チハクにアレコレ言われる始末。
後を継いでチハクが話す。
「ダブルの処し方はどうやら創造主が心当たりがあるらしい。気にせず征け」
「そう、だな。モナ、ここは頼む」
「任せとけ! 今まで動けなかった分、たっぷり暴れてやるさ!」
ファイターの力を得て、認知の力が及んだ結果、二足歩行で戦闘が可能になったモナが気勢を張った。
「よし、行こう!」
マリオの言葉が、はじまりのファイターが、
最終決戦の開戦を告げた。
◯タイトル
イナズマイレブンシリーズの目的(つまりは次やること)の、最後の表記。
ようするに、ラスボス戦に勝ち、エンディングを迎えた後用の表記である。まあ、裏ボスとかで変わったりしますけども。
なんか、ここまで見てようやく終わったんだな、と感じます。
◯アルカード
悪魔城ドラキュラシリーズから参戦。
ドラキュラと人間のハーフ。長命なので、シリーズの至るところに登場しては戦っています。闇堕ちするリヒターと戦うのも彼。
◯ライトニング
FF13の女性主人公。
戦いの中で赤色の花びらが舞い見栄えがいいので、クラウドとの絡みは薄いが登場させてみました。
「光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士」……というのは公式では微塵も言われていない。
その他主人公達も描写がないだけで(以下略)
◯クリスタル
スターフォックスシリーズから参戦。
青い狐系のヒロインで、コマンドのエンディング次第でフォックスと子供までつくる。スターフォックス4人めのファイターなるか、と言われてましたが、結局アシストでおさまりましたね。
ちなみに、各章のゲスト含め、アシスト登場は結構優先して描写してます。あくまで傾向なので、全てではないです。
◯作者の気まぐれコメント
そろそろ最終決戦に入ります。
この人数差でどこまでダブルがやれるのか!
仮にもラスボスの扱いじゃねーなこれ!